【書評】『トライブ』(セス・ゴーディン)
お薦めの本の紹介です。
セス・ゴーディンさんの『トライブ 新しい“組織”の未来形』です。
セス・ ゴーディンさんは、コンサルタントです。
Yahoo!の元副社長で、現在、世界で最も影響力があるコンサルタントであり、優秀なマーケターの一人です。
新しい集団「トライブ」とは何か?
これからの時代、世界を変えていく大きな力となるであろう集団。
ゴーディンさんは、それを「トライブ」と名付けています。
トライブとは、互いにつながり、リーダーとつながり、アイデアとつながった人々の集団(グループ)
です。
トライブはどこにでも存在する。企業のなかにも外にも、公式な組織であろうとなかろうと、トライブはNPOに、学校の教室に、地球上のいたるところに存在する。そして「リーダーシップ」と「つながり」を求めている。
さあ、絶好のチャンスがやってきた。あなたがトライブを率いるチャンスが到来したのだ。問題は「わたしにできるのか?」ではない。「私は率いるのか、やめておくのか?」である。
私は長いこと、「現代は誰もがマーケターの時代」だと訴えてきた。「メディアチャネル」の幅が劇的に広がり、企業や組織の一人ひとりの「レバレッジ」が増したこともあって、誰でも、どんなもののマーケティングにでも影響を及ぼせる時代になった(レバレッジとは「てこの原理」と同じで、「小さな力で大きなものを動かす」作用のことだ。自分以外の人の力、と言い換えてもいいだろう)。
本書ではさらに新しい事実を伝えたい。「現代は誰もがマーケター」であるばかりか、「誰もがリーダーの時代」だ。トライブや愛好家の集い、サークルが爆発的に増え、誰でも望めば変化を起こせる時代になった。
リーダーがいなければ、フォロワーもいない。
だから、もう一度言おう。世界はあなたを必要としている。『トライブ』 第1章より セス・ゴーディン:著 勝間勝代:訳 講談社:刊
そういう意味では、ツイッターでフォロワーのいる人は、皆、それぞれの「トライブ」のリーダーになりうると言えます。
インターネットの普及とソーシャルメディアの力。
それらのおかげで、今では国境や人種を超えて無数のトライブが活動し、世界を変える大きな力となります。
この動きは、今後、ますます力強くなっていくでしょう。
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「リーダーシップ」と「マネジメント」の違いは?
集団がトライブに変わるために必要なもの。
それは、「共有する興味」と「コミュニケーションの手段」。
それともう一つ、「リーダーシップ」です。
トライブに必要なリーダーシップ。
ゴーディンさんは、それを、「マネジメント」という言葉と比較し、以下のように説明しています。
マネジメントの極意は、設備や人材をうまく使って、職場を効率良く稼働させることだ。「バーガーキング」のフランチャイズ店はマネジャーを雇う。マネジャーは与えられた設備や人材を使って、利益を出すためにできるだけ安いコストでその期待に応じる。
いっぽうリーダーシップの極意は、自分の信じる変化をつくり出すことだ。私の手元にある類語辞典は、「リーダーシップ」の同義語に「マネジメント」を挙げている。以前はそうだったかもしれないが、今は違う。
マネジャーには従業員がある。リーダーにいるのはフォロワーだ。
マネジャーは規格品をつくり出す。リーダーがつくり出すのは変化である。
そう、リーダーは変化をつくり出す。新しいものが生み出されるムーブメントには、何よりもリーダーが必要だからだ。『トライブ』 第2章より セス・ゴーディン:著 勝間勝代:訳 講談社:刊
リーダーの、「何かを変えよう」という強い信念。
それが、フォロワーを引き寄せ、トライブを形成する求心力となります。
集団の規模よりも、トライブを率いるリーダーの信念の強さが重要です。
リーダーとなることを恐れるな!
人々がトライブのリーダーとなることを妨げる、最も大きな要因。
それは、「自分の中にある恐れの感情」です。
トライブがイノベーションに報い・・・・・
・・・・先頭に立つ人間が幸せならば・・・・
・・・・なぜ、リーダーになる人が少ないのだろうか?
それは怖いからだ。
私はこれまで、素晴らしいアイデアを持つ、数え切れないほど多くの人たちと出会ってきた。数千人、いや数万人はいたかもしれない。まあまあ優れたアイデアもあれば、文句なしに素晴らしいアイデアもあった。ごく普通の人でも、かなり簡単に常識破りのアイデアを思いつくものだ。アイデアは足りている。
足りないのは、アイデアを実現する意志である。
優れたアイデアが2つある時、いつもベストのほうが勝つとは限らない。それどころか、勝利を収めるのは、実現するぞという意欲に燃えた、恐れ知らずの“異端者”の姿がちらつくアイデアのほうなのだ。『トライブ』 第2章より セス・ゴーディン:著 勝間勝代:訳 講談社:刊
人々を共感させるのは、アイデアそのものより、その人の強い思い入れです。
たった1人で世界を変えられる
トライブを率いるリーダーには、肩書も、権力も、必要ありません。
有名であるか、無名であるかも、問題ではありません。
「トライブを率いたい」
「世界を少しでも変えたい」
強い信念を持ち続けられるか。
それだけが、重要です。
次の2つを心に刻んでほしい。
第1に「現代は、個人がこれまで以上に大きな力を手に入れた時代」だ。たった1人の力が業界を変えられる時代。たった1人の力で闘いに挑める時代。たった1人の力が、科学や政治やテクノロジーを改革できる時代である。
第2に「現状を打ち破る人間になることをためらうのは、信念が足りないから」だ。自分はできるという信念。変化を起こす価値があるという信念。失敗しても、それで自分がダメになるわけではないという信念である。
変化を阻む力は強く働く。システムや組織や規範は、現状に挑もうとする人間を思いとどまらせてきた。社会はシステムを強化し、システムを打ち破ろうとするクレイジーな人間を「異端者」と呼んできた。そして、異端者を“火あぶり”にすることで規範を守ってきたのだ。
だが世界は変わった。今や異端者はどこにでもいる。異端者の力が増し、火あぶりには効果がなくなった。その結果、優れた人や使命を帯びた人、アイデアを抱いた人がますます変化をもたらしている。
政治でも金融の世界でも、戦争においてさえ、システムは非対称になった。
「数が力の時代ではなくなった」のだ。それどころか、規模は時に邪魔ですらある。
(中略)
現代は異端者をリーダーと呼ぶ時代なのだ。『トライブ』 第5章より セス・ゴーディン:著 勝間勝代:訳 講談社:刊
現代は、異端者を「リーダー」と呼ぶ時代
。
人と違うことが、価値を生み出す時代となったということです。
今までの価値観では、うまくいかない状況が、あちこちで発生している世の中です。
誰もが受け入れられる、平均的な、ありきたりな考え。
それらは注目されないし、周囲の人々を引き付けられません。
現在、多くの影響力を与えるトライブのリーダー達は、皆、個性的で独創的な考えを持っています。
賛同する人も多いリーダーほど、批判される。
それは多くの注目を集めている証拠ですし、興味を引く信念を持っている証拠です。
さあ、前に進もう!
ゴーディンさんは、今すぐトライブのリーダーになる決断をするよう、私たち読者に促します。
トライブを率いるか否か、あなた自身が選択する。信念を持つかどうかの選択も、あなた自身にある。トライブに貢献するかどうかを決めるのもあなたなのだ。
自分はトライブを率いるのにふさわしい人間ではない、という理由があるのだろうか? 資質や権限がない? リーダーたるべき遺伝子や意気込みが不足している? 確かにそうかもしれない。しかし、だからどうだというのか? それでもあなたは選択することができる。
トライブを率いると決めたら決めたで、その後も、考え直したい、信念を曲げたい、放り出したいというプレッシャーに押し潰されそうになる。もちろん、そうだろう。それはよくあることなのだ。何かがあなたを大人しくさせ、後ろにつき従わせようとしている。現状が現状としてはびこるには、それなりのわけがあるのだ。
だがいったん率いると決めたら、実はそれほど難しくないことに気づくだろう。選択肢は明らかなはずだ。そう、あなたは目標へとたどり着くことができる。
さあ、前に進もう!『トライブ』 第10章より セス・ゴーディン:著 勝間勝代:訳 講談社:刊
自分の考えを、はっきり言葉にし、表に出す。
そうすることで、意外なところから共感者(フォロワー)が現れるものです。
その人は、名前も知らない、遠く離れた所に住んでいるかもしれません。
インターネットが普及した現在は、そんなことは、当たり前のように起こるでしょう。
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☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆
「点」と「点」がいくつも結ばれ、トライブとなる。
そのとき、世の中を変える力となります。
待っているだけでは、何も変わりません。
自ら行動すること。
すべては、そこから始まります。
皆さんも本書を読んで、その1歩目を踏み出す勇気を持ってみませんか。
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