本一冊丸かじり! おいしい書評ブログ

本を読むことは、心と体に栄養を与えること。読むと元気が出る、そして役に立つ、ビタミンたっぷりの“おいしい”本をご紹介していきます。

【書評】『20歳のときに知っておきたかったこと』(ティナ・シーリグ)

 お薦めの本の紹介です。
 ティナ・シーリグさんの『20歳のときに知っておきたかったこと』です。

 ティナ・シーリグさんは、米スタンフォード大学で神経科学の博士号を取得し、現在は同大学工学部に所属するSTVP(スタンフォード・テクノロジー・ベンチャーズ・プログラム)の責任者を10年に渡って務め、起業家育成やイノベーションの講師として世界的に有名な方です。

「自分の殻」を破ろう!

 シーリグさんの講義は、とてもユニークなものであることで有名です。

 本書は、いま、手元に五ドルあります。二時間でできるだけ増やせと言われたら、みなさんはどうしますか?という問いかけで始まります。
 この課題は、実際にシーリグさんが、スタンフォード大学で学生たちに出したものです。

 決まった解決法も、答えもない課題を学生たちに与える。

 シーリグさんは、そうすることで「自分たちには出来ない」という先入観を捨てさせ、社会で必要な起業家精神を教えようと試みます。

 この本では、多くの月並みな考え方を覆していきます。自分自身を、そして世界を新鮮な目で見てほしい――これがわたしの願いです。考え方はシンプルですが、必ずしも直観的に納得できるものではないかもしれません。ですがわたしは、イノベーションと起業家精神を教えるなかで、激動の時代に生きるわたしたちにとって、この本で示す考え方がいかに重要かを、実際にこの目で見てきました。状況が目まぐるしく変わる現状では、チャンスを見極め、物事に優先順位をつけ、失敗から学ぶことが重要です。さらに、この本の考え方は、人生をめいっぱい楽しみたい人にとってもとっても役に立つものだと思います。

 『20歳のときに知っておきたかったこと』 第1章 より  ティナ・シーリグ:著  高遠裕子:訳  阪急コミュニケーションズ:刊

 本書は、シーリグさん自身の体験や、さまざまな人々から見聞きした物語から、「新しいものの見方」を提供することを目的とした一冊です。

 起業家に限らず、全ての人に当てはまる「人生を楽しむためのヒント」が詰め込まれています。
 いくつかピックアップしてご紹介します。

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早く、何度も失敗せよ!

 シーリグさんは、成功と失敗は裏腹の関係にあり、どちらか一方だけというわけにはいかないと述べています。

 大きな成果を上げるには、大きなリスクを取る必要があります。

 ただ、人によって、「心地いいリスク」と「不愉快なリスク」はあります。
 その点は、考慮すべきです。

 考えてみると、リスクは基本的に五種類に分けられるようです。身体的リスク、社会的リスク、感情のリスク、金銭的リスク、知的リスクです。たとえば、わたしは社会的リスクは平気ですが、身体的リスクは取りたくありません。初対面の人に話しかけるのは億劫ではありませんが、橋の上からバンジージャンプをしろと言われたら困ります。また、自分の分析力を磨くためなら喜んで知的リスクを取りますが、大きな金銭的リスクを負いたくはありません。ラスベガスに行くなら、大損なくても済むように、わずかな現金しか持っていきません。
 わたしはよく、自分のリスク・プロファイルを描いているよう勧めます。ほんの少し考えるだけで、自分がどのタイプのリスクを取ろうとするかがわかります。一口にリスクと言っても、一様でないことにすぐ気づきます。面白いのは、ほとんどの起業家に大きなリスクを取っているという自覚がない点です。状況を分析し、すばらしいチームをつくり、計画の詳細を詰めていくと、できるだけリスクを減らしたと感じます。実際、事業からリスクを取り除くことに、エネルギーのほとんどを注いでいるのです。

 『20歳のときに知っておきたかったこと』 第5章 より  ティナ・シーリグ:著  高遠裕子:訳  阪急コミュニケーションズ:刊

 できうる限りの対策をとり、起こりうる最大の失敗を想定する。

 それが現実に起こっても耐え得るのなら、進んで大きなリスクを取るべきです。

幸運は自分で呼び込むもの

 シーリグさんは、「運のいい人たち」には、一般の人たちより幸運を呼び込みやすい共通の資質があることが発見されたと述べています。

 第一に、目の前に転がってきたチャンスを活かします。自動運転で気楽に行くのではなく、周囲で起きることにたえず注意を払うことで、そのときどきの状況を最大限に活かせるのです。こうした人たちは、コミュニティのイベント情報に詳しく、近所に誰かが越してくればいち早く気がつきます。同僚が困っていて助けを必要としているのに気づくのもこういう人たちです。運のいい人たちは、未知のチャンスを歓迎し、経験のないことにも積極的に挑戦します。よく知らないジャンルの本を積極的に読み、あまり知られていない場所を旅し、自分とは違うタイプの人たちとつきあおうとします。
 意外ではないのですが、運のいい人たちは、どちらかといえば外向的です。人と会うときは、相手の目を見、笑顔もたやしません。だから、いい人との出会いがあり、出会いの輪も広がります。それによって、さらにチャンスの扉が開かれます。運のいい人は楽天的でもあり、自分にはいいことが起きると思っています。これは自己実現の予言になります。というのは、物事が期待どおりに進まなくても、最悪の状況から前向きな成果を引き出す方法を見つけるからです。こうした姿勢は、周りの人たちに好影響を与えるとともに、一般には苦境とみられる状況もプラスの経験に変えられるのです。

 『20歳のときに知っておきたかったこと』 第7章 より  ティナ・シーリグ:著  高遠裕子:訳  阪急コミュニケーションズ:刊

 運も、ただ待っているだけでは、迎えに来てはくれません。

 アンテナを高く張り巡らして、自ら動く。
 そんな人に、チャンスは訪れるということです。

次第点ではなく最高を目指せ

 シーリグさんは、普段の講義では、パワーポイントのスライドを一切使いません。
 しかし、初日は別で、講義の中身についてスライドを用いて説明します。

 そこで学生たちに伝える最後のポイントは、

「光り輝くチャンスを逃すな」

 です。

 光り輝くとは、いつでも期待以上のことをすると決意することです。裏返せば、期待される最低限のことしかしないのは、その機会を自分で台無しにしていることになります。学校の訓示みたいだと思われるかもしれませんが、これは真実です。逃がした機会を足し合わせると、大赤字になります。おなじ100ドルを、利回りが5パーセントと105パーセントの商品に投資した場合の違いを想像してみてください。時を追うごとに、その差は大きくなります。これが人生に起きていることなのです。自分が投資したことは、自分に返ってきます。そして、日々、その結果が蓄積されているのです。
(中略)
 わたしたちは、「何かをしようとしている」としょっちゅう口にします。減量であったり、運動であったり、職探しであったり。でも、ほんとうのところは、しているのか、していないのか、どちらかなのです。「しようとしている」というのは言い訳に過ぎません。何か事を起こすには、最低でも100パーセントの力を出す覚悟がないなら、目標が達成できなかったとき、責めるべきは自分しかいないのです。

『20歳のときに知っておきたかったこと』 第9章 より  ティナ・シーリグ:著  高遠裕子:訳  阪急コミュニケーションズ:刊

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☆    ★    ☆    ★    ☆    ★    ☆

 与えられた条件で、常にベストを尽くす努力をすること。
 したいことを勇気を持って、実際にやってみること。

 人を光り輝かせるのは、結果の良し悪しではありません。
 常に全力を尽くす心構えです。

 シーリクさんが、起業家精神は全ての人に必要だ、と訴えるのはそのためでしょう。
 
「光り輝くとは、いつでも期待以上のことをすると決意すること」

 私たちも、つねに肝に銘じていたい言葉ですね。

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One thought on “【書評】『20歳のときに知っておきたかったこと』(ティナ・シーリグ)

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