【書評】『長生きしたい人は「鏡」を見なさい 』(南雲吉則)
お薦めの本の紹介です。
南雲吉則先生の『長生きしたい人は「鏡」を見なさい 』です。
南雲吉則(なぐも・よしのり)先生は、主に乳腺や癌担当の形成外科を担当する医師です。
その後独立され、乳房専門のクリニックを開業し、現在は美容外科の第一人者としてご活躍されています。
「鏡」は、健康チェックに最適な道具
南雲先生は、医師にとって「見た目」というのはとても大事な情報で、人間の健康状態というのは皆が思っている以上に、見た目に表れる
と述べています。
自分の姿に関して無関心な人たちの多さを指摘し、普段から自分の姿をチェックして自己診断することが大事
だと述べています。
「鏡」は、自分の若さと健康をチェックするための手段として最適な道具です。
家の洗面台の鏡や卓上鏡はもちろんのこと、外出先でも、例えば、エレベーターの中の鏡やビルの外壁ガラスなどで姿勢や体型などのチェックなどができます。
本書は、「鏡」を使った具体的な健康チェック方法をまとめた一冊です。
その中からいくつかピックアップしてご紹介します。
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1日1回は「生まれたままの姿」を映す
南雲先生は1日1回、姿見で生まれたままの姿を映して体型のチェックをすることを勧めています。
大事なチェックポイントは、「ウエストのくびれ」です。
ウエストのくびれは、内臓脂肪の量と密接に関係があります。
食事などで吸収したエネルギーのうち、消費しきれない分は、一つはグリコーゲンと呼ばれる「糖」として、もう一つは「脂肪」という形で蓄えられます。
グリコーゲンは、肝臓や筋肉に一定量しか蓄えることができません。
そのため、多くは内臓脂肪として蓄えられます。
内臓脂肪が多くなると、なぜ問題なのでしょうか?
ものが燃えるときにはススが出ますが、同じように、脂肪がもえるときは、「アディポ(脂肪)サイトカイン」という化学物質が出ます。サイトカインとは脂肪から産出される化学物質の一つです。
脂肪は皮膚の真下にあります。皮膚は外界とのバリアの役目をしています。外界からの病原菌や寄生虫などが入らないように体を守っているわけです。
ところが、たまにそうしたバリアを突破してくるものもあります。そうした外敵を撃退するために、脂肪はアディポサイトカインを血液中に放出します。
アディポサイトカインは、たとえるならば海を漂う機雷のようなものです。血液の中を流れてきて、病原菌などの外敵にぶつかると爆発して相手を撃退します。
しかし、機雷という兵器はときに敵ではなく、味方の船までも傷つけてしまいます。
アディポサイトカインもこれと同じで、敵がいないときは血管の内皮細胞を傷つけてしまうのです。それによって血管の内壁にかさぶたができ、このかさぶたが結果を固く変化させて、動脈硬化をもたらします。『長生きしたい人は「鏡」を見なさい 』 第一章より 南雲吉則:著 朝日新聞出版:刊
動脈硬化は、心臓病や脳卒中などの重大疾患の大きな原因となります。
ウエスト周りは、見た目もそうですが、健康上も、やはり注意が必要ということです。
つねに意識しておきたいですね。
運動のチェックに欠かせない「鏡」
健康と体型を維持するためには、日々の運動が欠かせません。
とはいっても、なかなかそんな時間が取れないのが現実です。
南雲先生は、通勤時など普段の歩き方を変えることによって大きな運動効果を得られる
として、以下のような歩き方を推奨します。
「背筋をピンと伸ばしたままの姿勢で最大歩幅のまま、競歩のように歩く」
この歩き方は、心臓に負担をかけることなく、軽いジョギング程度の運動効果が得られます。
このときも、「鏡」が重要な役割を持ちます。
ビルのガラス壁面やショーウインドウなどが鏡となるのです。みなさんの通勤経路にも1ヶ所2ヶ所はあるかと思います。
自分がアスリートのように颯爽と歩いている姿を、きちんと見てください。
そこに映っているのが、ただの覇気のないおじさんであったり、疲れきったおばさんであったりしたら、いますぐ改善しましょう。
大切なのは、自分が人からどう見られているかを意識すること。それによってまず見た目が良くなる。見た目が良くなると中身もどんどん磨かれて、力が湧いてきます。これは日本の武道にも通じた考え方ですね。まず型から入り、自然と内面が磨かれてゆくのです。『長生きしたい人は「鏡」を見なさい 』 第三章より 南雲吉則:著 朝日新聞出版:刊
「まずは型から」、実行あるのみです。
フケやニキビも体調不良のサイン?
南雲先生は、三面鏡を使って頭頂部を見て、頭皮の状態をチェックすること
を勧められています。
フケやニキビは、ストレスが原因となって発生することが多いです。
副腎から分泌される「アンドロゲン」と呼ばれるホルモンが原因です。
人間はストレスが加わると、通常の男性ホルモンや女性ホルモンだけではその難局を乗り越えられないので、アンドロゲンも使って全体のホルモン量を増やそうとします。
もともとアンドロゲンは闘争=敵と闘う(あるいは逃走=敵から逃げる)ときに使われるホルモンです。闘うためには皮膚の表面が脂や毛で覆われていたほうが、敵の攻撃を受けても傷つきにくい。そのため、アンドロゲンは皮脂の分泌量を増やし、それがフケに変わるのです。
フケが多くなると、同時にニキビができたりもします。これもやはり闘争ホルモンによって皮脂量が増えたからです。ストレスで生理不順になるのも、男性ホルモンであるアンドロゲンの影響です。『長生きしたい人は「鏡」を見なさい 』 第三章より 南雲吉則:著 朝日新聞出版:刊
ストレスは意外と自分では認識できないものです。
このような「体からのサイン」を見逃さないことが重要です。
うつ病などの心の病気などの予防のためにも、是非実行したいですね。
自分をプロデュースする
長年、鏡を健康維持に役立ててきた南雲先生。
以下のような言葉で締めくくっています。
こうして私自身、一日の生活を振り返って思うことは、自分は自分を演出する監督であるということです。
演劇の舞台に出る俳優さん、女優さんは何も考えずに舞台に上がるわけではありません。役になりきり、その状態を自分で確かめ、さらに舞台の袖にある姿見でもう一度、念入りに確認してから舞台に出ます。観客からどう見られているのか、それを三人称で客観的にとらえて、納得した上で舞台に上がるのです。
それと同じで、自分自身の生活プロデュースし、演出することは、いつまでも若々しくいるために欠かせないことで、そのために「鏡」という第三者を見るためのものが必要となってくるのです。
それをずっと続けていたことこそが、私が実年齢より20歳も若々しく見えるようになった最大の原因でしょうし、なにより自分で胸を張って満足できる人生を歩むことができている最大の要因だと思うのです。『長生きしたい人は「鏡」を見なさい 』 エピローグより 南雲吉則:著 朝日新聞出版:刊
「自分をプロデュースし、演出すること」
つねに観客の視線を意識することが大事です。
俳優さんや女優さんがいつまでも若々しい姿を保っているのには、理由があるということです。
いいお手本ですね。
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「外見」と「心」は密接に結びついています。
どちらかをきっちり正せば、もう一方にも必ずいい効果が表れます。
南雲流「鏡」を使った健康法、試してみる価値は大いにありそうです。
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