【書評】『体温を上げると健康になる』(斎藤真嗣)
お薦めの本の紹介です。
斎藤真嗣先生の『体温を上げると健康になる』です。
斎藤真嗣(さいとう・まさし)先生は、米国医師免許をお持ちの内科医です。
現在は、ニューヨーク州を拠点にご活躍されています。
先生のご専門は腫瘍内科、つまりガン治療のプロ。
また、アンチエイジング専門医の資格もお持ちです。
高い体温を保つカギは?
病気と無縁な、健康的な若々しさを保つには、どうしたらいいか。
斎藤先生が、たどり着いた結論が、「体温を上げると健康になる」です。
斎藤先生は、人間の体温について、今までの認識を覆す、驚くべき事実を述べています。
あなたの健康体の平熱は何度か知っていますか?
健康な人の平熱は、36.8度±0.34度。つまり、36.5度~37.1度の間が健康体の体温です。
あなたの体温は、この範囲に入っているでしょうか?
健康な体温が意外と高いことに驚かれた方も多いと思います。
だるさやつらさなど病的な自覚症状がなければ、37度は高熱ではなく、健康な体温なのです。「体温を上げると健康になる」 はじめに より 斎藤真嗣:著 サンマーク出版:刊
平熱は、36度台で、それもそれぞれの体質によって、低かったり高かったりする。
それが今までの常識でした。
しかし、斎藤先生は、それは誤りであると断言します。
多くの人が「低体温」となってしまう原因。
それは、「ストレス」にあります。
斎藤先生によると、私たちの体には、そうしたストレスに対処し、健康を保つための機能が二つ備わって
いるとのこと。
ひとつは、「自律神経のバランス」です。
私たち人間の体は、「交感神経」と「副交感神経」という二つの自律神経が交互に体を支配することでバランスをとっています。
たとえば、働いているときや運動をしているときなど、アグレッシブに活動しているとき、体は交感神経の支配下にあります。逆に、寝ているときやリラックスしているときは、副交感神経が支配しています。そして、私たちの体をさまざまな病気から守ってくれている免疫システムも、この自律神経のバランスのもとで機能するようにプログラムされているのです。「体温を上げると健康になる」 はじめに より 斎藤真嗣:著 サンマーク出版:刊
もうひとつは、「ホルモンバランス」です。
体を構成している細胞が受けたダメージ、つまり体の内側で生じるストレスに対して働きます。
このホルモンバランスを司っているのは、「副腎」という腎臓の上にちょこんと載っている、おにぎり形の小さな目立たない臓器です。腎臓のそばにあるので「副腎」という名がついていますが、これは腎臓の機能を補佐するための臓器ではありません。副腎は、細胞がダメージを受けたとき、「コルチゾール」というホルモンを出すことで、細胞のダメージを回復させるという役割を担っています。
「体温を上げると健康になる」 はじめに より 斎藤真嗣:著 サンマーク出版:刊
「免疫系」と「ホルモン系」。
このふたつの機能が働くことで、私たちの体は、さまざまなストレスから身を守っています。
ストレスなどによって、この二つの機能が異常をきたす。
すると、血流が悪くなり、免疫力が低下し、病気に掛かりやすい「低体温」となります。
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体温が高いと病気になりにくい理由
なぜ、体温が高いと、病気になりにくくなるのか。
斎藤先生は、体温が1度下がると免疫力は30%低下し、逆に体温が1度上がると免疫力は500~600%もアップする
と述べています。
体温が高いと免疫力が高まる理由は、大きく以下の2つです。
①血液の流れがよくなること。
②酵素の活性が高まること
血流が良くなると、白血球の動きがスムーズになります。
白血球には、血液の中に存在する細菌やウイルスを駆除する働きがあります。
逆に、血流が悪くなり、白血球の動きがにぶくなると、免疫機能がウイルスや細菌に負けて、発病します。
酵素とは、体内で化学反応が起きる時に必要となる触媒の総称です。
その大事な酵素の働きが最も活発となるのが、体温が37度台のときです。
「筋肉量」を増やせば体温は自然と上がる
慢性的な低体温の人が、体温を上げるためには、どうしたらいいのか。
斎藤先生は、「基礎代謝を上げること」がもっともよい方法だと述べています。
基礎代謝は、何もせずにじっとしていても、体が消費するエネルギー
のことです。
1日に消費するエネルギー量の約60~70%は、実は、基礎代謝です。
食べても太らない人は、もともと食べても太らない体質なのではなく、「基礎代謝が多い」という体質を後天的に獲得してきた人
です。
そのため、基礎代謝を上げることは、ダイエットにも効果が高いです。
では、どうすれば、基礎代謝を上げることができるでしょう。
その答えは、「筋肉量を増やすこと」です。
筋肉量と基礎代謝量は、体温と基礎代謝量と同じく正比例の関係にあります。なぜなら、私たちの体の中で「熱(=体温)」を最も多くつくりだしているのが筋肉だからです。
つまり、ごくかんたんにいえば、筋肉を増やせば基礎代謝は自然と上がり、基礎代謝が上がれば体温も自然と上がるということです。「体温を上げると健康になる」 第2章 より 斎藤真嗣:著 サンマーク出版:刊
筋肉量を増やすより、筋肉の質を高めよ
筋肉を鍛えるうえで、もっとも大切なのは、回数や負荷ではありません。
「脳から筋肉への神経の経路を鍛える」ことです。
そのためには、脳が指令を出してから筋肉が反応するまでの速度を上げるトレーニングをする
ことが有効です。
距離は10メートルでも、短くてもいいので、とにかくゴールまで1秒でも早く到達するようにダッシュする。これでも神経経路は十分鍛えられます。
回数は1回でも構いません。2回、3回と回数を重ねれば、それだけ効果も高まりますが、回数をこなすことによってスピードが落ちるくらいなら、少なくてもいいので、とにかくいまの筋肉がもてる最大限の能力を引き出すことを心がけて下さい。
「体温を上げると健康になる」 第2章 より 斎藤真嗣:著 サンマーク出版:刊
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このような運動は、「無酸素運動」の一種です。
無酸素運動を行うと、脂肪の分解をする働きを持つ、「成長ホルモン」が分泌されます。
そのため、その後に、ウォーキングや軽いジョギングなどの有酸素運動を組み合わせると、効率のいいダイエットになります。
他にも、体温を上げるために、日々実践できるアイデアがいろいろ載っています。
皆さんも是非、お試しくださいね。
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