本一冊丸かじり! おいしい書評ブログ

本を読むことは、心と体に栄養を与えること。読むと元気が出る、そして役に立つ、ビタミンたっぷりの“おいしい”本をご紹介していきます。

【書評】『竹中式 イノベーション仕事術』(竹中平蔵)

 お薦めの本の紹介です。
 竹中平蔵先生の『竹中式 イノベーション仕事術』です。

 竹中平蔵(たけなか・へいぞう)先生は、経済学者です。
 ハーバード大学客員準教授、慶応大学の教授などを経て、2001年小泉内閣で経済財政政策担当大臣、2002年に金融担当大臣、2004年からは郵政民営化担当大臣を兼務されました。
「郵政民営化」など、多くの改革を演出し実行に移した「小泉劇場」の影の立役者とされています。

「イノベーティブに生きる」ことの重要性

 竹中先生は、民間出身の大臣でありながら、抵抗勢力にも臆することなく闘いを挑み、改革を徹底的に推し進めました。
 そんな竹中先生に、ついたあだ名は、『鬼の平蔵』。

 竹中先生は、人生を送る上で重要なことについて、以下のように述べられています。

 楽には生きられない時代です。だからこそ、自分のやりたいことに挑戦し、自分にしか生きられないような貴重な人生を送りたいものです。これはまさに、「イノベーティブに生きる」ということに他なりません。社会を発展させる最大の力はイノベーション(革新)であることを、20世紀を代表する経済学者ヨーゼフ・アロイス・シュンペーターは指摘しました。そしてイノベーションは、リスクを取って未来に立ち向かう企業家精神から生まれる・・・・これは、個々人の日々の仕事ぶりや生き方に当てはまるものではないでしょうか。
(中略)
 しかし人生で重要なのは、決して勝つことではありません。「勝てない場合があっても人生はそれでいいんじゃないか」と、そう思えるような闘い(挑戦)をしたかどうかが、本当に充実した人生になるかどうかの最大のポイントなのです。世の中、何かにつけて「勝ち組・負け組」と一面的な勝敗を煽る傾向があります。しかし安易な勝ち負け論に屈しない強い心を持つことこそ、私の言う「闘う力」の神髄と言えます。

 『竹中式 イノベーション仕事術』  まえがきより   竹中平蔵:著    幻冬舎:刊

「勝てない場合があっても人生はそれでいいんじゃないか」と、そう思えるような闘い(挑戦)をしたかどうか

 それが人生でもっとも重要です。
 そのためには、人生を悔いなく、常にベストを尽くす必要があります。
 
 本書は、仕事や人生において闘う(挑戦する)うえでの重要なポイントが、テーマごとにまとめられた一冊です。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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「熱心力」・・・熱い心で「思い込め」!

 自分の目標に取りつかれて、それに“打ち込む”こと・・・・・これは当たり前のことではありますが、私はそれを「熱心力」と表現したいと思います。
つまり打ち込むためには、熱い心で思い込むことが大事だと考えるのです。そもそも熱い心がなければ人生つまらないと思いませんか? 私はそう思います。よく「~バカ」という表現を使います。たとえば野球バカとか柔道バカとか、そういうふうに使います。これはすごくいいことだと思うのです。
「あの人は、これを語りだすと止まらないんだよね」というようにみんなが苦笑するくらいに何かこだわりみたいなものを持つ人間になると、これは実は自分自身を相手に印象づけるということにもなります。結果的に「この問題なら一度あいつの意見を聞いてみるか」ということにもなります。
 そういう人は実に愛すべき人だと思います。

 『竹中式 イノベーション仕事術』  2章 より   竹中平蔵:著    幻冬舎:刊

 自分が好きなこと、やりたいこと。
 そんなことに「~バカ」と言われるくらい、一心に“打ち込む”こと。

 何よりも重要なことです。

「どうせ、自分なんか、世の中なんか・・・」

 そんな冷めた気持ちで生きていても、まったくつまらないです。

 竹中先生は、「熱心力」を高めるためには、「積極性」ととともに「辛抱強さ」が大事だと述べています。

「基本力」・・・「B to B」を繰り返せ!

 今さら基本の重要性について語る必要はないかもしれません。それでも私はあえてB to B(Back to Basics)、つまり常に基本に立ち返って判断をチェックすることの重要性についてみなさんに伝えたいのです。
 Back to Basicsというのは言い換えれば、「飽きない力に目覚めよ」ということになります。基本を繰り返す、何度も繰り返す、そのためには飽きない力がとても重要になります。そしてベーシックスを身につけることで、実はブレない力になりうるのです。
 私が仕えた小泉元総理は常に「王道の政策をやれ」「基本方針通りにやれ」「基本がブレるな」と言っていくれました。
(中略)
 このように小泉さんは、政策の基本をわかりやすく一言で表現したからこそ、多くの人に受け入れられたのでしょう。「改革なくして成長なし」「自民党をぶっ壊す」など、基本概念を繰り返し語ることは、ともすれば単純すぎるととられかねません。しかし、それを恐れずに繰り返し語るということは、その人の強さでもあります。
 基本なくして達成できることなど、何もないのです。

 『竹中式 イノベーション仕事術』  3章 より   竹中平蔵:著    幻冬舎:刊

 ブレない方針で、ものごとを進める。
 それには、常に基本に立ち返って判断をチェックすることが重要です。

 逆に言うと、自分の中に「要石」となる、しっかりした思想や指針が必要だということです。
 ここがいい加減ですぐに揺らぐと、すぐにブレてしまいます。

 つねに首尾一貫した言動を取れる。
 そんな人は、小泉元首相に限らず、人々に信頼されます。

「徹底力」・・・妥協しない力、敵ができても恐れるな!

 人生の中では、困難な交渉事や徹底した競争など、厳しい状況の下で仕事をしなければならない場合があります。自分の進路など、ぎりぎりの選択をしなければならないこともあるでしょう。また周りの激しい反対を押して、何かを決定し実行しなければならないような場合もあるかもしれません。
 このような状況下では、決して順調に、楽にものごとをなそうとはせずに、まさに腹をくくってことに当たらねばなりません。
(中略)
 徹底するということは、妥協しないということでもあります。そこでまず大事なのは、敵を恐れないということです。何かに挑戦しようとするときには、必ず敵対する勢力が現れることを覚悟しておきましょう。
(中略)
 この覚悟ができないために、きちんとした意志決定や行動がとれないケースが、現実の社会では随分あるのです。敵ができることを覚悟したうえで、「敵ができれば必ず味方もできる」ということを理解してもらいたいと思います。

 『竹中式 イノベーション仕事術』  8章 より   竹中平蔵:著    幻冬舎:刊

 無理矢理、敵を作れ、という訳ではありません。
 相手に取り入るために、自分の主義・主張を変えるな、ということです。

 何をやるにしても、「抵抗勢力」はいるし、敵対する勢力は、必ず現れます。
 しかし、「敵ができれば必ず味方もできる」のも、また事実です。

 主義・主張に正当性があるのなら、必ず同調者や協力者は現れます。
 逆に言うと、敵対する勢力が大きいほど、自分の主張が目立ち、協力者を集めやすいということです。

 日頃から恐れずに、自分の考えを言えるよう、習慣付けたいですね。

日本人は劣化していない

 竹中先生は、がんばって豊かになる自由もありますが、なんにも興味を持たずに普通に生きて貧しくなる自由もあると述べています。

 日本の経済、政治、社会は確かに劣化しましたが、しかし日本人そのものは決して劣化していないと思います。

 日本の経済、政治、社会は大きな問題を抱えたまま、改善の兆しが見られません。
 しかし、日本人、とりわけ若い世代の人たちには大きな未来があります。
 本当に厳しい時代です。だからこそ、自分のやりたいことに挑戦し、自分の生きたい人生を生きる・・・・果敢に夢にチャレンジし、堂々と闘ってほしいと思います。

 『竹中式 イノベーション仕事術』  終章より   竹中平蔵:著    幻冬舎:刊

  
 日本人そのものは、劣化していない。
 つまり、考え方や意識を変えることができれば、まだまだ日本は立ち直るれるということ。

 自信をもっていきたいですね。

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 日本という大きな船が、どのような「自由」を目指して進むにしても、結局は、一人一人の活力が推進力となります。
 竹中先生を見習って、堂々と自分のやりたいことに挑戦し、「イノベーティブ」な人生を送りたいですね。

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