【書評】『本番力』(和田裕美)
お薦めの本の紹介です。
和田裕美さんの『本番力 〜 本番に強い人が必ずやっている26の習慣』です。
和田裕美(わだ・ひろみ)さんは、コンサルタント・セミナー講師です。
現在、コミュニケーションやモチベーションアップのためのセミナーや講演等を中心に国内外で活躍されています。
『本番力』とは?
和田さんは、外資系の英語教材販売の営業で、世界でも指折りの成績を挙げた実績をもっています。
現在は、数千人の聴衆の前での講演を、苦もなくこなしています。
そんな和田さんですが、意外なことに、もともと人見知りで今でも人と関わるのが苦手だ
と告白します。
シャイでも、初対面のお客さんや大勢の人の前で、堂々とした態度を取れるのは、なぜか。
和田さんは、以下のように述べています。
一般的には、仕事で成功したり人生を充実させるには、自分の欠点を克服して、自分自身を根こそぎ変えないといけないと思っている人が多いのではないでしょうか?
けれど、私は、そうではないと思うのです。
わずか数分、あるいは1~2時間の「本番」の間だけ、いつもより力を発揮できればいいのです。自分を根本的に変える必要などないし、そんなことがそう簡単にできるはずもありません。
常に勝ち続けるのはとても難しく、日々の大変な努力を要します。でも、普段、どれだけ失敗したり負けていたとしても、「ここで勝負!」という本番でいつもより力を発揮できれば、それだけで十分に人生に活かせます。
私は、この都合のいい考え方を「本番力」と名づけました。『本番力』 はじめに より 和田裕美:著 ポプラ社:刊
わずか数分、あるいは1~2時間の「本番」の間だけ、いつもより力を発揮できればいい
。
言われてみれば、その通りです。
和田さん自身も、もともと『本番力』を持っていた訳ではありません。
さまざまな経験や失敗を重ねていくうちに自然と備わっていったものです。
和田さんは、本番力は、誰でも身につけられるシンプルなスキル
だと述べています。
本番力を語るうえで、外すことが出来ないのは、「陽転思考」の考え方です。
陽転思考とは、マイナスを受け入れて悲しみを受け入れて、そこから何かひとつでも「よかった」を見つける
考え方の習慣です。
どんな出来事も、捉え方一つでプラスにもなるし、マイナスにもなります。
厳しい営業販売の世界で身に付けた和田さんの、「生き残るための智慧」ですね。
本書は、和田さんが『本番力』を身につけるために『普段からの心掛けている習慣』と『本番に臨む上で心掛けている習慣』をまとめた一冊です。
その中からいくつかピックアップしてご紹介します。
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まずは「決意する」こと
何ごとも、まずはやっぱり「気持ち」からです。
繰り返しになりますが、「こうなったらいいな」という願望だけで結果を出した人なんていないのです。結果を出したいのなら、願望を決意に変えることからはじめなければなりません。
願望は心地よいものですが、障害に弱いのです。一方、決意には覚悟が必要ですが、障害に強いし継続されるのです。
「本番に強かったらいいなぁ」というようなあいまいな思いではなく、「必ず本番に強くなる」とここで決意してください。『本番力』 第2章 より 和田裕美:著 ポプラ社:刊
厳しい言い方かもしれませんが、和田さんの言う通りです。
強い決意をするためには、自分が何をしたいのか、明確にする必要があります。
たいしてしたいと思わないことに対して、強い決意は持つことはできません。
そうせざるを得ない状況に、自分を追い込む。
そういう手もありますね。
練習と準備で自信を得る
さらに強く自信を持つためにはどうしたらいいのでしょう?
それは自分に嘘をつかないことです。人が見ていないときの自分を好きになって褒めたくなるかどうかが重要なのです。
だから、私は「成長し続ける人生を歩むためにはどのように生きたらいいですか?」と聞かれたら、「自分に嘘をつかないことです」と答えています。「成長し続ける人は、人が見ていないところで努力しているし、自分に嘘をつけないから、そういうところで手を抜くことができないのです」と。『本番力』 第2章 より 和田裕美:著 ポプラ社:刊
スポーツの世界でも、練習で常にさぼっている人が、一流になることはありません。
普段の練習から、自らの意思で100%全力で取り組まない。
それでも、本番だけは、ベストのパフォーマンスを望む。
それは、ムシが良すますね。
他の人はともかく、自分自身は、ごまかすことはできません。
普段から、ごまかして、逃げてばかりいる。
その「甘え」の部分が、大事な場面で、プレッシャーや緊張として表れます。
「自分は運がいい」と思い込む
本番に強い人は、「運」がいいです。
いわゆる「持っている」人です。
持っているか、持っていないか。
それは、生まれつきで決まるものではありません。
「捉え方の問題」です。
運が悪いとか不幸だと思う人は、こうやって自分の持っていないことにばかり自分の意識をフォーカスしがちです。これでは、永遠に不幸です。
(中略)
何を持っているからとか、今はどういう状況だからとかで、「運がいいかどうか」は決まりません。
2人の人がいてその人たちにまったく同じことが起こっても1人はそれを「運が悪い」と思い、もう1人はそれを「運がいい」と捉えるのです。
それは人の思考パーターンの癖であり、私の言葉に置き換えて言うと、陽転思考できる人かできない人かなのです。『本番力』 第3章 より 和田裕美:著 ポプラ社:刊
運が悪い人は、「自分は運が悪い」と口にすることで、運の悪さを、自ら呼び込びます。
ものごとを前向きに捉える達人、和田さんの真骨頂といえる習慣です。
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最後に、和田さんは以下のようにおっしゃっています。
本番力を身につけるために、自分の人生に起こるさまざまなことから逃げないでほしいのです。本番力の根底にあるのは、勝っても負けても、上手くいってもいかなくても、そこに向かっていった自分を知っているかどうかなのです。
それこそが、あなたらしい本番力が発揮できるようになる秘訣です。『本番力』 終わりに より 和田裕美:著 ポプラ社:刊
「本番」とは、スポットライトを浴びる表舞台だけではありません。
日常の小さな「本番」(例えば、2~3人の前でカラオケで歌うというようなことも)で、逃げずにきたかということ。
小さな「本番」経験の積み重ね。
それが、大きな「本番」で、力を発揮するための自信になります。
「本番で力を発揮できるようになりたい」
そうお考えの方々は、本書を読んで「逃げない自分」になる決意してみてください。
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