【書評】『「有名人になる」ということ』(勝間和代)
お薦めの本の紹介です。
勝間和代さんの『「有名人になる」ということ』です。
勝間和代(かつま・かずよ)さんは、経済評論家です。
情報技術(IT)を駆使した仕事の生産性向上についても、多くの著書をお書きになっています。
「有名人になる」という意味は?
勝間さん自身、最初から有名人になろうと思っていた訳ではなく、諸処の理由で、食いつないでいくためにやむを得ずならざるを得なかった
と述べています。
もともと目立つことも、人前に出るのも嫌いな“ITオタク”。
そう、自らも認める勝間さんは、以下のように述べています。
でも、何度生まれ変わるとしても、やはり、「自分がなんらかの形で、いろいろな人たちのハブとなって、いろいろな情報を集めることができ、そして、人のチャンスを広げられる仕事をしていきたい」と思います。そしてもし、「有名人になる」ことが、その一番の近道であったとしたら、きっとまたわたしは、同じビジネスを選ぶことでしょう。
つまり、有名人になるということを、「いろいろな人とつながり、その人たちと信頼関係をもつチャンスである」ととらえ直すと、有名人になることの本質が見えてくるような気がするのです。『「有名人になる」ということ』 はじめに より 勝間和代:著 ディスカヴァー・トゥエンティワン:刊
本書は、『有名人になることの本質』をまとめた一冊です。
その中からいくつかピックアップしてご紹介します。
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有名人になるメリット
勝間さんが、「これだけは代えがたいかもしれない」と思った、有名人になるメリット。
それが、人脈のひろがりによるチャンスのひろがり
です。
わたしの知名度が上がったことで、それが社会的な信用力となって、
「この相手であれば、自分の時間をある程度投資しても、なにか楽しいことがあるのではないか」
と、それなりの人たちが思ってくれた、ということではないかと思います。
人の信用を得るのはとてもたいへんなことです。しかし、有名になることによって、相手がメディアを通じてこちらの言動を見てくれて、そのなかで、「この人ならだいじょうぶ」という心証をもってくれるのなら、こんなにすばらしいことはないと思います。『「有名人になる」ということ』 第1章より 勝間和代:著 ディスカヴァー・トゥエンティワン:刊
たしかに、これは魅力的です。
いわゆる「ネームバリュー」ですね。
相手も、知らない人より、顔と名前の通った有名人の方が、情報が多いぶん、安心できます。
有名人になるデメリット
有名人になる、最大のデメリット。
それは、見知らぬ人たちから批判され攻撃されることを「日常」と考えなければいけないこと
です。
勝間さんは、以下のように述べています。
有名人になると、信頼も、善意も、批判も、悪意も同じように増幅します。それは光と影の関係で、防ぐことはできないのです。防げないものについて心を砕くのは生産的ではないので、ありのままに受け入れるしかないのです。
『「有名人になる」ということ』 第1章より 勝間和代:著 ディスカヴァー・トゥエンティワン:刊
「光と影の関係」ですか。
逆に考えると、悪意ある批判が増えることは、応援してくれる人や協賛者も増えるということです。
そう前向きに割り切るべきだ、ということです。
勝間さんも、今では、そういった批判や非難に対しては、完全に「スルー」しています。
有名人になる方法
勝間さんは、バラエティなどのロケの待ち時間にお笑い芸人の方々に、「なぜブレークする芸人さんと、そうでない人がいるのか」という質問をします。
そこまでちゃんとリサーチするところが、さすがアナリストです。
その答えは、いつも同じで、どのくらい、芸人になりたいと思っているか
です。
歌手や俳優さんも同じで、デビューして人気が出る人は見えないところで必ずなにか売りものになる「素材」を磨いている
とのこと。
タレント稼業だけでなく、すべての職業に通じることですね。
もう一つ大事なこと、それが発信し続けること
です。
さらに最近はインターネットがありますから、自分でブログやSNSで発信を続けていれば、こちらから企画を送らなくても向こうから見つけてくれる時代でもあります。
商品性を磨き続けること × その商品があるということを発信し続けること
を繰り返していれば、市場は意外と早く、あなたの価値を見つけてくれるのです。
なぜなら、市場はつねに、新しい商品を欲しているからです。『「有名人になる」ということ』 第2章より 勝間和代:著 ディスカヴァー・トゥエンティワン:刊
双方向の、高度化した情報化社会。
それは、努力した人が報われやすい環境を作り出しています。
「有名人になること」の本当の意味
勝間さんは、「有名人である」ことを、いろいろな人がその有名人ビジネスを通じて自分の目標やビジョンを達成するための「プラットフォーム」
と例えています。
有名人を経由して、多くの人が、情報を送ったり、受け取ったりできます。
また、有名人を介して、さまざまな人と人との繋がりが出来ます。
そして、その有名人自身も、周りの人から大きなエネルギーをもらいます。
勝間さんは、だからこそ、そのエネルギーの使い方を誤ってはいけないし、無駄遣いしてもいけない
と指摘します。
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☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆
勝間さんは、最後に、以下のようにおっしゃっています。
有名になることが、イコール、あなたの幸せを保証するわけではありません。
すでに書いてきたように、ひとたび有名になることで、かえってつらい人生を味わうことになってしまっている人は少なくないかもしれません。
やはり、有名になりたいということの根っこには、「人の役に立ちたい」
ということがあるのだと思います。
それがあってはじめて、わたしたちは、有名になることで幸せになれるのだと思います。『「有名人になる」ということ』 おわりに より 勝間和代:著 ディスカヴァー・トゥエンティワン:刊
「人の役に立ちたい」
そういう強い気持ちをもった人にこそ、有名になってもらいたい。
同感です。
これからビッグになって、有名になってやろう。
人の役に立ちたいけれど、有名人になるのは、絶対に嫌。
そう考えている人には、是非お読みいただきたい一冊です。
「有名人になる」ことに対する考えが変わることは、間違いありません。
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