【書評】『負けない自分になるための32のリーダーの習慣』(澤穂希)
お薦めの本の紹介です。
澤穂希さんの『負けない自分になるための32のリーダーの習慣』です。
澤穂希(さわ・ほまれ)さんは、プロサッカー選手です。
日本をW杯優勝に導いたリーダーシップ
2011年の夏、遠く欧州のドイツの地から、日本中が歓喜に湧く快挙がもたらされました。
女子サッカー日本代表「なでしこジャパン」のW杯優勝です。
東日本大震災で大きなダメージを受け、沈み込んでいた日本全体に、大きな希望と勇気を与えました。
困難に立ち向かい、決して諦めない姿。
それを身をもって示し、全世界に日本人の底力を見せつけた、まさに“歴史的快挙”でした。
澤さんは、その大会の得点王とMVPを獲得し、大黒柱としてチームをまとめ上げました。
澤さんの存在なしに、なでしこの快挙は、有り得なかったといってもいいでしょう。
本書は、7月のドイツW杯が終わった後に書かれたものなので、W杯の裏話もふんだんに盛り込まれています。
延長後半が終わって、PK戦に入る前に円陣を組んだ、なでしこの選手達が笑っていた理由。
澤さんがPKを蹴らなかった理由。
本書には、そんなサッカーファンが知りたかった内容も、多くまとめられています。
その中からいくつかピックアップしてご紹介します。
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夢や目標は積極的に口にする
澤さんは、自分の発する言葉を、とても大切にします。
発言に説得力があるのは、そのためでしょう。
わたしは昔から「有言実行」のタイプで、夢や目標は積極的に口にするほうでしたが、最近では、「言霊(ことだま)」って本当にあるのかな、と思うようになりました。
言葉には魂がある。だからこそ、それが力になるし、同時に責任も生まれます。
思っていただけでは、後で「そう思っていた」と言っても説得力はありません。
言葉にすることで自分の中でもイメージがしやすくなり、そのイメージがより鮮明になります。イメージしたことを実現するために努力ができます。そして、それが実現したときのことを思うと楽しくなります。口に出すことで自分が想像している以上の力が出せることだってあるかもしれません。
(中略)
みなさんも、夢や目標を叶えたい時は、なんでもまずは、口にしてみることをお勧めします!
「負けない自分になるための32のリーダーの習慣」 第1章 より 澤穂希:著 幻冬舎:刊
夢や目標を口に出し、言葉にして公表すること。
あえて自分にプレッシャーを掛ける。
そうすることで、よりモチベーションを上げられるし、頭にも残るものです。
男子サッカー日本代表の本田選手も、同じですね。
口から発した言葉には、私たちの想像を超えた何かが働きます。
「言霊」の力ですね。
プレッシャーを楽しむ
日本の女子サッカーは、今でこそ、各メディアで持ち上げられています。
しかし、ちょっと前までは、見向きもされていませんでした。
日本代表選手でも、アルバイトをしながら練習へ、という人もいたくらいです。
澤さんも、当然、そんな「冬の時代」を経験しています。
だからこそ、「自分が大好きなサッカーに専念できる環境にあるというのは、恵まれている」ということが身に沁みています。
サッカーがやりたくてもやれない人がいる。自分の本当に好きなサッカーがやれていることに感謝しなくちゃいけないと思います。大好きなサッカーを、こんな大舞台でやれるなんて、そんな考え方をしたからこそ、優勝もできたのかもしれません。
きっと、みなさんも、お仕事やプライベートで、緊張するような大きな舞台に立つこともあると思いますが、その人はそこに立つべく選ばれた人なんです。
だから、楽しまなくちゃ!
「負けない自分になるための32のリーダーの習慣」 第1章 より 澤穂希:著 幻冬舎:刊
サッカーができる幸せ。
それに比べれば、試合でのプレッシャーなど、彼女にとって小さなものです。
自分の置かれている環境に不平を言ってしまいがちな私たちも、見習うべきですね。
失敗を恐れない前向きさを持つ
澤さんは、失敗を恐れません。
大きなことを成し遂げる人は、例外なくそうです。
だから、行動を起こすことに、躊躇しません。
試合での決定力の高さも、うなずけます。
チャンスはいつも突然やってきます。しかも、大きなチャンスはピンチと同時にやってくることも少なくありません。
大事なのは、チャンスをかぎわける力です。
誰にだってチャンスは訪れるものだと思います。でも、人生でそんなにしょっちゅうくるものではありません。だからこそ、その波に乗れるかどうか・・・・。それが大きな差を生むのではないでしょうか。
(中略)
目の前にチャンスの波があるのならば、乗らないで後悔するより、乗って失敗したほうが、まだいいと思います。大なり小なり、毎日はそういうことの繰り返しのような気がするんです。
(中略)
やりたいけどどうしようと迷ったときは、やらずに後悔するより、やって失敗しても、またやり直せばいいのです。
その先に何かが待っているのなら、不安を恐れて安全な場所にいるよりは、波に乗って生まれる新しい世界にわたしはかけたいと思います。
「負けない自分になるための32のリーダーの習慣」 第1章 より 澤穂希:著 幻冬舎:刊
やらずに後悔する。
それより、やって失敗したほうがいい。
失敗したら、またやり直せばいい。
まったくその通りです。
そして、そういう選手の前にチャンスボールが転がってくるものです。
いつでもシュートを打てる準備をしておくことが大事ですね。
自分の価値観をしっかり持っている
これも、多くの日本人に足りない部分ですね。
人と一緒だから間違いない、安心できるという心理がそうさせるのかもしれませんが、それは単に、人と一緒じゃないといけないという考えに縛られているだけなのでないでしょうか。
人と一緒でないと不安を覚えるということは、人と自分を比べているということの証拠です。
たとえば、仕事でも、自分がどうあるべきかを考える前に、人と比べるから、必要のないことで焦ったり、妬んだりする。本来やるべきことに注力する以前に、そこに神経をすり減らしてしまって、精神的にも不安になったりすることがある。だから、本来の問題解決より、そちらに気持ちが行ってしまうのではないでしょうか。
「負けない自分になるための32のリーダーの習慣」 第1章 より 澤穂希:著 幻冬舎:刊
わたしは、本当に自分のことをわかってくれる人にわかってもらえればいいし、みんなから好かれようとも思っていないし、媚(こび)を売るつもりもありません。
だから、堂々としていればいい。人と比べる必要はありません。自分がいいと思うものを選び、自分がやりたいと思った道を信じればいい。その分、その選択には責任を持てばいいのです。
そうでなければ、自分の人生なのに他の人に決められた人生を生きているようになってしまいます。自分の人生なのだから、自分が何をしたいか、何が好きか、自分は何を選びたいか。
まずはそれが大事なのではないでしょうか。「負けない自分になるための32のリーダーの習慣」 第4章 より 澤穂希:著 幻冬舎:刊
自分自身の考えを持ち、自身の価値観に従う。
そういう人たちは、みな、魅力的です。
自分の人生に責任感を持っている緊張感が、彼ら彼女らを磨くのでしょう。
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☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆
最後に、澤さんは、ロンドン五輪後について、以下のようにおっしゃっています。
人の限界はそれぞれです。特に年齢や、前例があるかないかで物事を区切るのが、わたしは嫌なんです。
(中略)
「もう何歳だからこうしなくちゃいけない」「もう何歳だから、無理だ」
よくそんなセリフを聞きます。でもそれはあくまで、他人の決めた価値観です。
(中略)
自分はもう何歳だから、今さらこんなことをしても、とか、そんなふうに思う必要はまったくないと思うんです。人それぞれに、人生のスピードやタイミングは違うものなのではないでしょうか。
年を重ねたからできることだってあるし、経験を積まないとわからないことだってたくさんあります。
周りの人からどう見えるかはわかりませんが、わたしは、本当にサッカーの面白さが分かってきたのはようやくここ3、4年のことなので、まだまだこれから成長する自分のイメージのほうが強いんです。
(中略)
先のことばかり計算しているよりも、そのときを一生懸命やり切ることに集中したいと思っています。「負けない自分になるための32のリーダーの習慣」 第4章 より 澤穂希:著 幻冬舎:刊
先入観にとらわれては、いけません。
性別も、年齢も、関係ありません。
ようは、本人の意識の持ち様次第です。
その時、その時を一生懸命やりきること。
見習いたいですね。
まだまだ自分は成長中。
そんな意識を持ち続けている限り、澤さんの進化は止まりません。
いずれ、日本サッカー界のレジェンド(伝説)になるのは間違いないでしょう。
サッカーを続ける意欲がある限り、ピッチの上を走り続けてほしいです。
今の日本に澤さんのような人は、絶対に必要です。
同世代の代表としても、応援しています。
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