【書評】『自助論』(サミュエル・スマイルズ)
お薦めの本の紹介です。
サミュエル・スマイルズさんの「自助論」です。
サミュエル・スマイルズさんは、英国の作家、医者です。
天は、自ら助くるものを助く
冒頭で、いきなり出てくる格言。
「天は自ら助くるものを助く」
つまり、自分を助けるのは、自分のみ。
本書は、100%自力本願的な内容で貫かれています。
成功した人、自分の願望を成し遂げた人は、例外なく、それ相応の努力をしています。
150年もの歴史の風雪に耐え抜いた一冊です。
今読んでも、まったく色褪せていません。
内容が普遍的なものなので、時代遅れになることはありません。
これからもずっと、世界中で愛読され続けるでしょう。
大事なことは、人任せ、国任せ、会社任せ。
何ごとも自分以外に依存しがちな日本人にとっても、一読の価値がある内容です。
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「自助の精神」は、人間が成長を遂げるための礎
「天は自ら助くるものを助く」
この格言は、幾多の試練を経て現代にまで語り継がれてきた。その短い章句には、人間の数限りない経験から導き出された一つの真理がはっきりと示されている。自助の精神は、人間が成長を遂げるための礎である。自助の精神が多くの人々の生活に根付くのなら、それは活力にあふれた強い国家を築く原動力となるだろう。
外部からの援助は人間を弱くする。自分で自分を助けようとする精神こそ、その人間をいつまでも励まし元気づける。人のために良かれと思って援助の手を差し伸べても、相手はかえって自立の気持ちを失い、その必要性をも忘れるだろう。保護や抑制も度が過ぎると、役に立たない無力な人間を生み出すのがオチである。「自助論」 1章冒頭より サミュエル・スマイルズ:著 竹内均 訳 三笠書房:刊
まるで、どっかの国の未来を、予知していたかのような文章ですね。
継続して努力する習慣
スマイルズさんは、この「自助の精神」を手に入れるのにまず必要なのは、「継続して努力する習慣」だと述べています。
最大限の努力を払ってでも勤勉の習慣を身につけなければならない。それさえできれば、何ごとにおいても進歩や上達は目に見えて速くなるだろう。また「習うより慣れろ」の言葉通り、同じことを何度も反復練習する必要がある。それなしには、たとえどれほど簡単な技術だろうと、ものにはできない。逆にくりかえし訓練を積めば、どんなに困難な目標でも必ず達成できる。
「自助論」 2章 より サミュエル・スマイルズ:著 竹内均 訳 三笠書房:刊
ものごとの本質を見極める力
次に重要なのは、「観察力」、つまり、ものごとの本質を見極める力
です。
人の意見を鵜呑みにしているうちは、身につかない能力ですね。
自分自身で考え、判断することの重要性は、今も昔も、変わりません。
観察力の優劣は、人間に大きな差をつける。ロシアのことわざにあるように、注意力の散漫な人間は「森を歩いても薪を見つけられない」のである。古代イスラエルの賢王ソロモンは「賢者の目は頭の中にあり、愚者は暗闇を歩く」と語っている。
(中略)
要するに、心は目と同じくらい立派にものごとを見通せるのである。思慮の浅い人間には何も見えなくても、聡明な洞察力を身につけた人間は目の前の事物に深く立ち入り、その奥に横たわる真理にまで到達できる。「自助論」 3章 より サミュエル・スマイルズ:著 竹内均 訳 三笠書房:刊
「助けて下さい!」
という願いに、神様が、直接、応えてくれたのを、見たこともないし、聞いたこともありません。
そういう助け方は、しないということでしょう。
神様は、人間を創造したときに、地球上で受ける、困難や試練を乗り越えるための力を、すでに与えている。
だから、人間がそれを自ら探し出し、行使するのを、ただ黙って待っているのでしょう。
すべての人間が、”自分を救う力”を内に秘めている。
その「内なる力」に気付いて、解き放った人。
そんな人たちを、今、私たちが”偉人”と称し、尊敬しています。
偉業を成し遂げられるか、どうか。
それはともかく、自分を救うだけなら、決心次第で、誰でもできます。
「自分を助けられるのは自分だけ」
本人が、「この状況を変えよう! 良くしていこう!」と、本気で決意した。
そのとき、初めて、周りからの助けが入る余地が生まれます。
「もしも」という言葉は、無力と絶望のつぶやきにすぎない。それは可能性という畑の周りにかき根をめぐらし、せっかくのやる気をそいでしまう。法律家リンドハーストは次のように述べている。
「困難は乗り越えるためにある。だから、ただちに困難と取り組め。実践しているうちに、それを克服するうまい方法も見つかるはずだ。努力を繰り返せば、力と勇気が湧いてくる。精神や人格はいつの間にか完璧なまでに鍛え上げられ、潔く勇敢な態度が身につき、自分の意のままに行動できるようになるだろう。ただし、困難と真剣に闘った経験のない連中はこのことはとうてい理解できないと思うが・・・・・・・」
困難を克服しながら、われわれは学んでいく。一つの困難を克服すると、それが新たな困難に立ち向かう助けとなる。「自助論」 3章 より サミュエル・スマイルズ:著 竹内均 訳 三笠書房:刊
ありがたいことに、このご時世、困難は、いくらであります。
いらない、といっても、勝手にやってきます。
困難にぶち当たったとき、それに立ち向かうか、背を向けるか。
選択次第で、その後の人生が決まってしまいます。
日本という国全体を見ても、同様。
今、この困難から背を向けたら、後は落ちていくだけ。
ここが踏ん張りどころです。
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☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆
人間は、幸福と進歩を生み出すものに考えを向けるだけの意志力を持っている。反対に、不幸や退廃から目をそむける力もあるはずだ。他の習慣と同じように、ものごと楽天的に考える習慣もこの意志力から生まれてくる。楽天性を育て上げる教育は、知識や素養をめいっぱい詰めこむよりはるかに重要な教育といえるだろう。
どんな小さな穴からでも日の光が差しこむように、ほんのささいなことがらからでも人それぞれの人柄がはっきりと見てとれる。実際、人格の優秀というのは、ちょっとした行ないが立派にできたかどうかにかかっている。日々の生活とは、ちょうど石切場のようなものだ。そこからわれわれは習慣の土台石を切り出し、それを仕上げていくのである。「自助論」 10章 より サミュエル・スマイルズ:著 竹内均 訳 三笠書房:刊
今こそ、立ち上がれ、ニッポン!!
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