【書評】『「3つの体液」を流せば健康になる!』(片平悦子)

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 お薦めの本の紹介です。
 片平悦子先生の『「3つの体液」を流せば健康になる! ──血液・リンパ液・脳脊髄液のしくみと流しかた』です。

 片平悦子(かたひら・えつこ)先生は、鍼灸師・あん摩マッサージ師です。
 25年間で5万人を超える治療経験を持つベテランで、現在は、治療家への技術指導の他、さまざまなセミナーを開催されるなど幅広くご活躍中です。

「体液」を知るだけで健康になる!


 人間の身体の60〜70%を占める「水」。
 身体の中の水には、いろいろな種類があります。

 血液、リンパ液、唾液、涙、鼻水など、それらをひっくるめて「体液」といいます。
 中でも重要なのは、「血液」「リンパ液」「脳脊髄液(のうせきずいえき)」の3つです。

 片平先生は、この3つの体液の循環を良くすると、身体は自然治癒力が増し、疲れ知らずの健康な身体を手に入れることができると述べています。

 体液は、骨や内蔵、それに筋肉が必要としているものを届け、いらないものを持ち去る役目を引き受けてくれている、生きるためには不可欠な存在。
 人間の身体は例えると、水風船の中に骨・筋肉・内蔵・などがプカプカ浮いている状態です。

 私たちが“健康な水風船”でいるための条件は以下の2つです。

  1. 必要十分な体液が確保できていること。(シワシワにならないために)
  2. 必要十分な体液がさらさらと流れていること。(苦痛が生じないために)
 体液が少ないとシワシワの老いた身体になり、体液が流れないと「こり」や「重だるさ・痛み・苦痛」などの症状を生じさせます。

 本書は、「体液」をいい状態で生産、循環させて健康体で過ごせるための方法をまとめた一冊です。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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「脳脊髄液」って、いったい何?


 3つの体液のうち、血液とリンパ液に比べると知られていないのが「脳脊髄液」です。

 脳脊髄液とは、「頭蓋骨と脊柱(=背骨)の中にあって、脳と脊髄を守る液体」のこと。

 脳脊髄液は、リンパ液のように無色透明です。弱アルカリ性で、わずかに細胞(白血球)やタンパク質、糖を含んでいますが、その濃度は薄く、細胞は約5個/mm3以下、80mg/dlと血漿(けっしょう)中のタンパク質濃度の200分の1程度、糖も50〜80mg/dlで3分の1程度、糖も50〜80mg/mm3で血糖の3分の2程度となっています。
 脳脊髄液は一日当たり500ml程度がつくられ、脳の中を循環しています。この液が入っているところの容積は全部で約120〜150mlなので、一日で3〜4回入れ変わる計算になります。
 脳脊髄液は、脳や脊髄を刺激から守り形を保つため、脳の保護や栄養供給などを行っています。
 このため血液・リンパに次ぐ第三循環と呼ばれています。

 脳脊髄液の役割は、「パックに入った豆腐」だとイメージすると、わかりやすくなるかもしれません。
 豆腐のパックを壁にぶつけても、中に水があるおかげで、豆腐そのものかすぐにつぶれてしまうことはありませんよね。
 これと同様に、よろけて頭を強く打ち付けた時、頭蓋骨には大きな衝撃がかかりますが、柔らかい脳が崩れてしまわないのは「脳脊髄液」が緩衝材の役割を果たしているからです。ものすごく大事な体液なんです。

 『「3つの体液」を流せば健康になる!』 第1章 より 片平悦子:著 自由国民社:刊

「水頭症(すいとうしょう)」は、何らかの理由で脳脊髄液の循環が悪くなり脳内に溜まってしまい、脳が圧迫されて、頭痛や吐き気などさまざまな症状を引き起こす病気です。
 ほんの少し脳脊髄液が増えたり減ったりしても、大変な事態になるほど重要です。

姿勢の悪さによる「よどみ」が腰痛の原因に!


 腰痛は「足の付け根」の部分で体液がよどむことで引き起こされる場合が多いです。
 そのときに必ず固くなっているのが、「脚の内転筋群」(下図1を参照)です。

 足の付け根の鼠径(そけい)リンパ節というところでリンパの流れが悪くなっている場合、そのサインを見つけるポイントは、今申し上げた、太ももの内側にある内転筋群(ないてんきんぐん)です。
 診断ポイント→大腿骨内転筋群。この筋肉は太ももの内側がカチカチになっているときは、大抵、腰が重かったり生理痛があったりします。もちろんぎっくり腰の時は、バッチリしこりになるほど固まったいます。

 ここは家族同士で、足を踏むと効果的です。
 横向きに寝たご主人の前から足の裏で内ももをゆっくり踏んであげましょう。コツは前から踏むことです。そうすることで、姿勢の悪さでねじれた内転筋群がスッキリもとの位置に戻るのです(下図2を参照)。

 この内転筋群は、普段意識しないとまったく使われない筋肉です。特に姿勢が悪く背中を丸めている方、ひざの間がだらしなく広がった姿勢でいる方はほとんど使われていません。また、高齢になるほど使われない傾向が高まります。
 あなたがこの筋肉を使えているかどうかは、「片脚立ち」でバランスをとって立つことができなければ、この筋肉を正常に使えていないことになります。

 ともすれば、セルライト(皮下脂肪)が付く外側の筋肉につい目がいく方が多いと思いますが、実はこの内転筋群を上手にゆるめられると、骨盤周りの血行やリンパの流れが良くなり、腰痛が劇的に軽くなります。

 『「3つの体液」を流せば健康になる!』 第2章 より 片平悦子:著 自由国民社:刊

大腿骨内転筋群①P68  大腿骨内転筋群②P69
図1.大腿骨内転筋群     図2.内転筋群の足踏みマッサージ
(『「3つの体液」を流せば健康になる!』 第2章 より抜粋)

 腰に痛みを抱えている人は、是非、お試しください。

「モゾモゾ体操」で脳脊髄液のケアを!


 片平先生が、脳脊髄液の調整を自分で行えるようにと考えだしたのが、「モゾモゾ体操」です。
 この体操を行う上で、次の2点が重要です。

  1. 順番を守ること
  2. 豆腐をつぶさない程度の優しい力で行うこと
 具体的なやり方は以下のとおりです。

①仙骨を動かして脳脊髄液を循環させる「足の押し出し」
 あおむけに寝てください。全身をリラックスさせて、腸骨を手の平で包みほんの少しだけ(1センチ程度)恥骨の方に押します。力は小さいほど効果的。赤ちゃんの頬を触るくらいの圧と思ってください(下図3の左を参照)。
 体の力を抜いた状態のまま、左右交互にカカトを2センチほど押し出します。カカトを直角にする必要はなくリラックスした状態で行ないましょう。5〜10回、気持ち良いくらいの回数繰り返します。

 これで脳脊髄液の流れがよくなりました。
 流れが良くなると頭蓋骨と第一頸椎(けいつい)の間に負荷がかかるので、その負荷を解放するために次の操作を行ないます。
②クビのつまりをとって脳脊髄液の循環促進「顎(あご)出し」
 奥歯の下の下顎角といわれる出っ張ったところに、拇指球(ぼしきゅう、手の親指の付け根のふくらみ)を当てて、軽くアゴを出します(下図3の中を参照)。

 これで、頭蓋骨と第一頸椎の負荷が解放されました。
 負荷がなくなったところで、もう一度①の「足の押し出し」をして再び脳脊髄液の循環を誘導しましょう。流れが良くなったところで、次は脳脊髄液を量産しましょう。

③仙骨を動かして脳脊髄液の生産を促す「ワイパー運動」
 ①と同じように軽く腸骨をそっと包みます。くれぐれも力加減を強くしないように、気をつけてください。赤ちゃんのほっぺを包むくらいの力で行ってくださいね。
 両脚を同時に左右にゆっくり動かします。仙骨が動かないとこのワイパー運動はやりにくいと思います。でも、無理をして大きく動かすだけでも十分効果がありますので、安心して行ってください(下図3の右を参照)。

④生産した脳脊髄液を流して終了
 最後にもう一度、①の足の押し出しを5〜10回行って循環を良くしてあげましょう。
 そのまま寝れば、脳脊髄液が良い状態で疲労回復効果がぐんと高まるでしょう。

 『「3つの体液」を流せば健康になる!』 第3章 より 片平悦子:著 自由国民社:刊

モゾモゾ体操①P133  モゾモゾ体操②P135  モゾモゾ体操③P136
図3.モゾモゾ体操のやり方(『「3つの体液」を流せば健康になる!』 第2章 より抜粋)

マッサージより効く「つまみ上げ」


 強い力でマッサージをすると、体が防衛反応を起こし、逆にその部分が固くなります。

 背中が固い、肩こりがひどいときには、そこを押すよりも「つまむ」方が効果的。
 片平先生が勧める方法は、以下のとおりです。

 マッサージに行かなくても、家族同士で改善する方法があります。
 うつぶせに寝て、手のひらに入る量の背中の筋肉を根こそぎつまんで、天井に引っ張り上げます。すると硬くなった筋肉は悲鳴を上げるほど痛いはずです。
 背中全体を同様に何ヶ所もつまみ上げて、皮膚が赤くなるまで行ってみましょう。

 皮膚が発赤(ほっせき)してくるときは、毛細血管からにじみ出てきているときです。つまんで引っ張り上げることで毛細血管からにじみ出た血液が再吸収されなかった老廃物が、徐々に吸収されてなくなっていきます。
 これは「つまみ上げる」という行為そのものが毛細血管をダイレクトに刺激して再吸収を強制的に起こす方法です。

 つまみ上げることで、静脈への再吸収を促したりリンパの流れを促進すれば、全身の体液の流れが改善されていきます。これは、体を固めてしまうことなく、素人の方がやってもよい結果が出る安心・安全な方法です。
 ただし、老廃物が溜まっている方ほど、涙が出るくらい痛いです。それでも一週間から10日間繰り返していると痛みがどんどん少なくなり、快適になってくるから不思議です。

 『「3つの体液」を流せば健康になる!』 第4章 より 片平悦子:著 自由国民社:刊

 この方法は「結合組織マッサージ」と呼ばれています。

 旧ソ連に抑留(よくりゅう)された兵士達が暖房のないところでお互いに体をこのようにマッサージして体を温め、寒さをしのぐために開発したマッサージ法
 是非、試してみたい方法ですね。

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 私たちは、体に違和感や痛みがあった場合、その部分だけの問題だと考えてしまいがちですが、そう単純ではないことが、本書を読むとよく分かります。

 肩こりは、肩に疲労物質が溜まって引き起こされます。
 肩に負担を強いる姿勢を長時間とっていることも、もちろん大きな原因のひとつです。
 しかし、それ以上に疲労物質の循環がスムーズに行われていないことのほうが問題です。

 体液がしっかり流れる環境を作って、いつまでも若々しく健康でいたいですね。

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