【書評】『望んでいるものが手に入らない本当の理由』(心屋仁之助)
お薦めの本の紹介です。
心屋仁之助さんの『望んでいるものが手に入らない本当の理由』です。
心屋仁之助(こころや・じんのすけ)さん(@kokoroya)は、著名なセラピストです。
心理療法・NLP(神経言語プログラミング)を取り入れた独自手法でのセラピーを展開されています。
「欲しいものを手に入れるために、いちばん効果的な方法」とは?
欲しがっても手に入らないという「もがき」を繰り返す。
そんな体験を続けた心屋さん。
今までの努力は、欲しいものを手に入れないために、いちばん効果的な方法
だと気づきます。
それまでの努力と逆の方法、「欲しいものを手に入れるために、いちばん効果的な方法」を試み始めると、効果はてきめんに表れ、「欲しい」と思っていたものが、次々と手に入るようになります。
心屋さんは、この体験を踏まえて、「何かがうまくいっていない」「何かが手に入っていない」としたら、そのためにやっている努力はすべて「逆なのだ」
と強調します。
本書は、欲しいものを手に入れるためにいちばん効果的な方法、『「いままでと逆」をする方法』をまとめた一冊です。
その中からいくつかピックアップしてご紹介します。
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片方を拒否すると、片方も逃げていく
心屋さんは、◉「欲しいもの」と▲「欲しくないもの」のリストを書き出しすることを勧めています。
このリストの◉と▲はセットです。
例えば、
◉仕事をもっと楽にしたい ↔ ▲人に仕事を頼むのはイヤ
◉自分をもっと認めて欲しい ↔ ▲他人のことを認めるのはイヤ
◉「すごい!」と言われたい ↔ ▲失敗して、大したことがないと言われるのがイヤ
というような具合です。
ここから、自分の「欲しいもの」の対極に「欲しくないもの」があることに気がつきます。
じつは、この対極にある「欲しいもの」と「欲しくないもの」は切り離せないもの。
例えると、「コインの表裏」です。
「欲しいもの」が手に入らないのは、対極にある「欲しくないもの」を嫌っているから。
心屋さんは、その「欲しくないもの」を「受け入れる」覚悟をした瞬間に、欲しいものが手に入る
と指摘します。
理屈では理解できたからといって、すぐには納得いかないのも当然ですよね。
いままでイヤだからこそ、避けてきた。
なのに、それを受け入れましょう。それをやりましょう、と言われても、そう簡単にはできないのもわかります。
また、「受け入れる」ってどういうことなのかも、まだピンとこないと思います。
僕の例で言うと――▲人に仕事を頼むのがイヤ
→ 人に仕事を頼んでみた。つまり、自分が「できない」という弱みを見せた。▲他人を認めたくない
→ 自分が嫉妬しているということを、本人に告白してみた。▲誤解されることがイヤ
→ 誤解されたことを理解してもらおうとせず、誤解されたままにしてみた。▲根掘り葉掘り聞かれるのはイヤ
→ 自分の失敗や恥ずかしいことを人に話すようにしてみた。▲大したことがない、と言われるのがイヤ
→ 「じつは大したことないんです」「すごいと思われたいんです」と告白してみた。という感じです。
いかがでしょうか。
「簡単じゃないですか」と言われる方もおられるかもしれませんし、「なんだ、大したことないじゃないか」と感じるかもしれませんね。
でもこれは、僕にとってはいちばんの「欲しくないもの」を受けとった、瞬間でした。『望んでいるものが手に入らない本当の理由』 第1章 より 心屋仁之助:著 ぱる出版:刊
「欲しいもの」が手に入らない本当の理由。
それは「欲しいもの」と対極にある「欲しくないもの」を遠ざけようとしてているから。
無意識のうちに避けている「いちばんイヤなこと」は何なのか。
それを探し出すことが「欲しいもの」を手に入れる最初のステップになります。
人生は、損をしたって構わない
欲しくないものを「受け取る」。
言葉では簡単ですが、実行するのはなかなか難しいものです。
上手に「受けとる」ための秘訣は、『損をしても構わない』と覚悟を決める
ことです。
拒否しないで受けとるということは、それをわざわざ手に入れるということではなく、ただそれを否定しないということです。
「そうなってもしょうがないか」
「損しちゃってもしかたないか」
そう思ってしまうこと。
何かにぶつかったときに、そんなふうに考えてみたり、自分の心にちょっと言い聞かせてみるだけでも、あなたの中の流れは変化していくはずです。
だから、僕はいつも言っています。「損しよう」
このひと言につきるのです。
出会いがない人は別れを。出会いが悪い出会いであるかもしれないことも受けとる。
成功したい人は失敗することを。失敗して恥をかくことや、家族に迷惑をかけることも大歓迎だと思えるくらいに覚悟をする。そして実際にやってみる。
そう思えるようになったら、結果として欲しいものが手に入ります。
損すること、傷つくことも大歓迎。心配されること、異論を唱えること。できないやつが近くにいること。自分がケチであること。ネガティブな言葉やグチ。
全部ウェルカム。よっしゃオッケー!
そんなふうに思い切れたら、そしてやってみると、反対側はもれなくついてくる。
もれなく。
ワンセットなので、もれなくなんです。『望んでいるものが手に入らない本当の理由』 第3章 より 心屋仁之助:著 ぱる出版:刊
「損をしたくない」、つまり、「リスクを負いたくない」ということ。
どんなことを始めるにしても、リスクはつきものです。
お金も名声も信頼も愛情も、失うことを覚悟して初めて手に入ります。
「失敗しちゃいけない、損しちゃいけない」
そう思っていると、身動きが取れなくなってしまいます。
「損しちゃってもしかたないか」
それくらいの楽な気持ちで色々なことにチャレンジしたいですね。
過去の自分を拒否しないこと
「いまの自分から変わりたい」
そう願う人には、強く願うほどおちいってしまう思考パターンがあります。
それは、いまの自分を否定することで、未来の自分をつくろうとする
ことです。
過去を否定すればするほど、望む未来は手に入りません。
本当に欲しいものは、拒んだものといっしょに逃げていってしまうからです。
過去はダメな自分。
未来は「できる」自分。
これがうまくいかない思考パターンなんですね。ダメな自分を否定すればするほど、対極にある、できる自分も打ち消すことになる。
「私、仕事できないんです」
「私、ミスばっかりなんです」
「私、勇気ありません」
「私、仕事をまかせてもらえません」
そんな過去の自分を「ダメな自分」として否定してしまうから、仕事のできる自分も、ミスしない自分も、勇気のある自分も、信頼される自分も遠のいていくんです。そこに気づいて欲しいんです。何やっても叱られてばかり?
だったらまずは、ダメはダメで受けとる。だってダメなんですもの。それをダメじゃないようにしようとするから無理が出て苦しい。
じつはダメでも人は認めてくれるし、ダメでもここにいていい。
ダメでも人はちゃんと愛してくれるかも、ということを、一回信じてみてください。
ダメをダメだと言っているのは自分だけだったりするのです。受け取りにくかった悪口もほめ言葉も、結局それは過去の自分なんです。
過去を受け止めることでしか未来に進むことはできません。
過去の自分も、いまの自分だって、けっこうがんばってる。そんな自分でいい。
そう信じてみてください。『望んでいるものが手に入らない本当の理由』 第6章 より 心屋仁之助:著 ぱる出版:刊
「ダメな自分」と「できる自分」も、コインの裏表。
長所と短所は、どちらかだけを認めようと思っても無理があります。
どんなに頑張っても、自分以外の人間になれるわけではありません。
過去の「ダメな自分」も今の自分の一部です。
それを認めない限り、「できる自分」に気つくことはできません。
内向きの関心を捨てて、傲慢になってみる
自信をもつためには、「強さ」を身につけなければならないと考えている人が多いです。
逆に「不安」「失敗」「力不足」など、先にあなたの中の弱い部分を受けとることがいちばん大切
です。
その人はなぜ、自信を持てないのか。
それは、自信を持つことに、恐れを感じているからなんです。
自信が崩れるのが怖い。失敗して自信を失うのが怖い。口ほどでもない、と人に思われるのが怖い。
そういった恐れが先に立っている状態なんですね。
そして、自信が勝ち過ぎて、傲慢だと思われることすら恐れの対象になってしまっている。
それは「そうするな」と言われてきたから。「いけない」と言われてきたから。
だから、自信を持ちたいと思ったら、自分が傲慢になることを受けとってみる。
それが特効薬になるんです。傲慢を受け取っても、あなたは絶対に傲慢になりません。
強過ぎた恐れが中和されて、プラスマイナスゼロになるだけ。
だから、もしあなたが自身を欲しいなら、安心して、どんどん傲慢になってください。
一度、傲慢にふるまってみるだけでも、心は何かを感じとってくれると思いますよ。
傲慢にひたりながら、「自信を持ってもいいんだ」と、自分を感じてみてください。『望んでいるものが手に入らない本当の理由』 第7章 より 心屋仁之助:著 ぱる出版:刊
謙虚であることと、卑屈になることは違います。
実力があるのに自信を持てない人は、自分を卑下し過ぎているということ。
自信を持ちたいけれどそれ以上に、自信を失うのが怖いという状態です。
「傲慢にふるまっても、プラスマイナスゼロになるだけ」
頭の片隅に入れておきたいですね。
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☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆
本書は、「受けとる」ということがテーマです。
いいことを受け取りたかったら、悪いことも同時に受け入れる覚悟が必要です。
いいことと悪いこと、欲しいものと欲しくないもの。
それらは表裏一体の関係。
どちらか一方だけを受けとることはできません。
「受け入れる」ということは、悪いことも含めて、全部まとめてです。
自分が望むような人生を手に入れるために、普段から意識していきたいですね。
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