本一冊丸かじり! おいしい書評ブログ

本を読むことは、心と体に栄養を与えること。読むと元気が出る、そして役に立つ、ビタミンたっぷりの“おいしい”本をご紹介していきます。

【書評】『ワン・シング 』(ゲアリー・ケラー)

 お薦めの本の紹介です。
 ゲアリー・ケラーさんとジェイ・パパザンさんの『ワン・シング 一点集中がもたらす驚きの効果』です。

 ゲアリー・ケラーさんは、ケラー・ウイリアムズ不動産の共同設立者で、同社を一代で全米最大の不動産会社にまで育て上げた輝かしい実績をお持ちです。
 現在は、同社の会長を務められるかたわら、ビジネス・コーチとしてもご活躍中です。

 ジェイ・パパザンさんは、ケラー・ウイリアムズ社出版部門の統括責任者で、ケラーさんの多くの著書に共同執筆者として関わられています。

「的をしぼる」ことが成果をあげる最大のカギ

 人は誰でも、一日に同じだけの時間を持っています。
 にもかかわらず、他の人よりずっと多くのことをこなせる人たちがいるのはなぜか。
 それは、『核心をつかむことを物事の中心に据えているから』です。

 そのためのカギは、「的をしぼる」こと。
「的をしぼる」ことは、目覚ましい成果をあげる簡単な方法であり、どんなことにでも有効です。
 その理由は、目的はただ一つ、つまり、目指すことろに到達することしかないからです。
 
 本書は、「的をしぼる」ことで、最大の収穫を得るための具体的な方法をまとめた一冊です。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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月まで届くドミノを倒せ!

「的をしぼる」ことで目覚ましい成果をあげる。
 ケラーさんは、そのイメージを「ドミノ倒し」に例えて説明しています。

 ドミノ倒しは、最初の一枚を倒すだけで、すべての後ろのドミノを倒すことがでます。
 さらには、より大きなドミノを次々と倒していくということも可能です。

 例えば、ひとつ前のものより1.5倍大きくしたドミノを後ろに次々と並べていったとします。
 最初のドミノの高さを5センチとすると、10番目のドミノの高さは2メートル近くになります。
 31番目のドミノはエヴェレスト山よりも900メートル以上高くなります。
 そして、57番目のドミノは、ついに月まで届いてしまいます。
 
 最初はほんの小さなエネルギーしか持っていなかったものが、回数を重ねていく毎に、飛躍的に大きく成長していく。
 このような強力な連鎖反応の力を「等比級数的ドミノ効果」と呼びます。

 そこで、もし、あなたが成功を考えるなら月を目指すべきだ。すべてに優先順位をつけ、最も重要なことをやりとげることに全エネルギーを注げば、月にも到達できるのだ。目覚ましい成功の成否は、このドミノ効果をつくり出せるかどうかにかかっている。
 ドミノを倒すのはごく簡単だ。ドミノを一列に並べて一つ目を倒せばいい。だが現実にはもうちょっと複雑だ。人生はすべてを一列に並べて、「さあ、ここから始めなさい」などと言ってはくれない。大きな成功を収める人々はそれがよくわかっている。だから日々、優先事項を並び換え、先頭のドミノを見きわめ、それが倒れるまで強打する。
 なぜこの方法が有効なのか? 目覚ましい成功は積み重ねの結果として生じるのであって、一朝一夕に生じるものではないからだ。まず適切なことをし、それから次の適切なことをする。すると、成功の等比級数的潜在力が発揮される。
 ドミノ効果は、仕事やビジネスのような大局的場面にも当てはまるし、日々、次に何をすべきかを決める瞬間にも当てはまる。成功は成功の上に築かれ、これが繰り返されるにつれ、最も大きな成功がいっそう近づいてくる。
 豊富な知識を持っている人がいたら、それは長い時間かけて身につけたものだ。多彩なスキルを持っている人がいたら、それは長い時間をかけて培ったものだ。多くのことを達成した人がいたら、長い時間をかけてなしとげたのだ。大きな財産を持っている人がいたら、長い時間をかけて築いたのだ。
 カギは「時間をかけて」だ。成功は積み重ねによって築かれる。そして一度にするのは一つのことだけだ。

 『ワン・シング』 02 月まで届く驚異のドミノ効果 より ゲアリー・ケラー、ジェイ・パパザン:著 門田美鈴:訳 SBクリエイティブ:刊

 努力による成果は、直線的ではなく等比級数的に増えていきます。
 結果が出ないからといって、すぐに諦めてはいけないということ。

「先頭のドミノ」を見きわめること。
 そして、それが倒れるまで強打し続けること。
 その意識を持ち続けたいですね。

「規律正しい生活が必要」という嘘

 一般に、成功する人は「規律正しい生活」を送る「規律正しい人」だと、広く信じられています。
 ケラーさんはこれを否定し、私たちが身につけている以上の規律は必要なく、もう少しうまく方向づけをし、コントロールすればいいだけだと述べています。

 ほとんどの人が思っているのとは反対に、成功はひたすら規律がある行動を取りつづける長距離走ではない。成功は実は短距離走であって、地を蹴って前進することを繰り返すための規律さえあればいい。
 やらなければならないとはわかっているが、実際にはできていないことがあるとき、よく「もうちょっと規律が必要だ」と言われる。しかし実は、必要なのは実行する習慣であり、その習慣を身につけるのに十分な規律さえあればいいのだ。
「規律」は「習慣」と強く結びつき、成功の土台になる。自分を律するというのは、特定の行動が取れるよう自分を訓練することだ。それをつづければ、やがて日課に、つまり習慣になる。
 だから、「規律正しく」見える人がいたら、本当はその人は日常生活でいくつかの習慣を身につけた人なのだ。そうした習慣によって、実際はそうではなくても「規律正しく」見える。本当に規律正しい人などいない。
 そもそも、そうなりたい人などいるのだろうか? あらゆる行動を型にはめ込み、訓練によってそれを維持するということは、とうてい不可能であり、また、ひどく退屈にも思える。
 成功するために規律正しい人間になる必要はない。事実、一般的に考えられているほどすべてに規律正しくなくても、成功することはできる。理由は単純だ。成功するためには正しいことを行う必要があるが、すべてを正しく行う必要はないからだ。
 成功の秘訣は、正しい習慣を見きわめ、訓練してそれを自分のものにすることだ。それだけだ。その習慣が生活の一部になれば、規律ある人に見えるようになるが、本当にそうなるわけではない。
 目指すべきは規律正しい人ではなく、日常で役立つものを身につけた人であり、それは日常的にそれに取り組むことで獲得できる。有用な規律を選んで実践し、効果的な習慣を身につけるのだ。

 『ワン・シング』 06 規律正しい生活が必要 より ゲアリー・ケラー、ジェイ・パパザン:著 門田美鈴:訳 SBクリエイティブ:刊

 人間は機械ではないので、プログラムを正確に繰り返すことはできませんが、そのような規律正しさは無用です。
 必要なのは、目標達成のためのいくつかの重要な習慣を実行する「規律」だけです。

「すべて」をこなそうとするのではなく、的をしぼった「ひとつ」を継続すること。
 それに全精力を注ぎ込みましょう。

人生は「問い」である

 成功する秘訣は、まず始めること。始めるための秘訣は、複雑で大変な仕事を扱いやすいように小分けにし、それから最初の一つに取りかかること

 ケラーさんは、マーク・トウェインのこの言葉を引用し、的をしぼって「最初の一つ」に注力することの重要性を強調します。

「最初の一つ」を見つけるには、「的をしぼり込む質問」をすることです。

 非凡な人生を夢見る人は誰でも、そのためには非凡な方法を探し求めるしかないと気が付つく。「的をしぼり込む質問」は、その非凡な方法なのだ。

 それをすることで
 他のすべてがもっと容易になるか 
 不必要になるような
 私ができる「ひとつのこと」は何か?

「的をしぼり込む質問」は一見とても単純そうに思われ、その力は軽視されがちだ。だが、それは間違っている。
「的をしぼり込む質問」は、「大きな展望」の質問(私はどこへ行くのか? どんな目的を目指すべきか?)だけではなく、「小さな的」の質問(大きな展望にいたる道をたどるには、いま何をしなければならないのか? 何処に焦点をあてるべきか?)にも答えられるよう導いてくれる。それは大きな展望のための地図であると同時に、最も小さな次の一手のための羅針盤でもあるのだ。
 目覚ましい成果が偶然に得られることはまずない。それは私たちの選択と行動から生まれるのだ。「的をしぼり込む質問」をすることで成功するために不可欠な決断をし、最高の選択と行動ができるようになる。しかも、それはありきたりの決断ではなく最善の決断をするように後押しし、私たちを最初のドミノへと導いてくれる。
「的をしぼり込む質問」を何度も繰り返しつづければ、自然に仕事が重要な順に並ぶことになる。常に次の優先事項が見えてくるわけだ。最初に正しい仕事をすれば、正しい心構え、正しいスキル、正しい人間関係が得られる。こうして、ドミノ効果の威力を実感できるのだ。

 『ワン・シング』 10 的をしぼり込む質問 より ゲアリー・ケラー、ジェイ・パパザン:著 門田美鈴:訳 SBクリエイティブ:刊 

 やるべきことは、たった一つ。
 だからこそ、その「一つ」をきめることはとても重要です。

 行動を起こすときには、必ず「的をしぼり込む質問」をすること。
「最初のドミノ」を何にするのか、しっかり見定める習慣を身につけたいですね。

「いま」に向けた目標設定

 ケラーさんは、将来、目覚ましい成果をあげる秘訣は、効果的な瞬間を一つずつつなぎ合わせることにあり、それが成功の実態だと述べています。

 過去はかつての「いま」。
 未来はこれから起こりうる「いま」。
 つまり、唯一の現実は、「いま」この瞬間だけ。

 ケラーさんは、すべての時点での「いま」という視点から優先事項を考え出す方法を「『いま』に向けた目標設定」と呼びます。
 つまり、「現在のいま」とすべての「未来のいま」は、そのときに拠りどころとする優先事項によって決定されなければならないということです。

 何を優先するかを判断する際の決め手は、現在の自分と未来の自分との戦いにどちらが勝つかということだ。
 もし今日の100ドルと来年の300ドルのどちらかを選ぶかと言われたら、あなたはどちらを選ぶだろうか?当然、300ドル? あなたの目標ができるだけ多くのお金を手に入れることであれば、そうするだろう。しかし不思議なことに、おおかたの人が異なる選択をする。
 人は、“将来”の報酬より“いま”の報酬を好む。将来の報酬のほうがはるかに大きい場合でもそうだ。だから、正しい優先事項を設定し、目標へと近づくためのシンプルな考え方が必要になる。「『いま』に向けた目標設定」がそこに導いてくれるはずだ。将来の目標を設定し、そこから、順々に逆算して、いま現在、何をすべきかにたどり着くようにするのだ。
 これはロシアのマトリョーシカ人形にちょっと似ている。「いま現在」の「一つのこと」が今日の「一つのこと」の中に入っていて、その外側に今週の「一つのこと」、そのさらに外側に今月の・・・・というように、入れ子の状態でつづいていく。こうして小さいものから大きいものを築きあげることができる。
 あなたはいま、あなたのドミノを並べているのだ。

  『ワン・シング』 14 優先事項に従って生きる より ゲアリー・ケラー、ジェイ・パパザン:著 門田美鈴:訳 SBクリエイティブ:刊 

 どんなに遠い目的地でも、一歩一歩の積み重ねでしか到達することができません。
 さらに重要なのは、その一歩一歩が、目標を見据えた上でのものであるということです。

「今日はあっちの方角、明日はあっちの方角」
 と進むべき方向性がブレてしまっては、いつまで経っても目的地にたどり着けませんね。

 倒すべき「最後のドミノ」が決まったら、そこに至るまでのドミノの列を並べる。
 そして「最初のドミノ」を倒すことに専念する。

 その繰り返しが、大きな成果を生みます。

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 一人の人間の能力には限界があり、使える時間も限られています。
「あれもこれも」と同時にいくつもやろうとして収拾がつかなくなり、結局、どれもうまくいかなかった・・・・。
 そんな経験は、誰にでもあるでしょう。

「二兎を追う者は一兎をも得ず」ということわざもあります。
 一つずつ着実に、集中して片付けることが最も効率的で、生産性が上がる方法だと改めて気づかされます。

 唯一の現実は、いまこの瞬間だけ。
 集中して取り組めるのも一つのことだけです。

 あれこれ考えずに「最初のドミノ」を倒すことに専念すること。
 そんな「いま」を全力で生きる人生を歩んでいきたいですね。

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