本一冊丸かじり! おいしい書評ブログ

本を読むことは、心と体に栄養を与えること。読むと元気が出る、そして役に立つ、ビタミンたっぷりの“おいしい”本をご紹介していきます。

【書評】『武器としての書く技術』(イケダハヤト)

 お薦めの本の紹介です。
 イケダハヤトさんの『武器としての書く技術』です。

 イケダハヤトさん(@IHayato)は、プロ・ブロガーです。
 ツイッター上での歯に衣着せない発言が物議を醸して「炎上」することもしばしばですが、若者世代のオピニオンリーダーとして注目を集めている方です。

新しい時代には新しい「書く技術」を!

 イケダさんは、ウェブで文章を発表することは「ストリートライブ」に似ていると述べています。
 自らのパフォーマンスで、偶然通りかかった人の足を止める「吸引力」が求められるからです。

 書くことに関して、新時代に求められる力は以下の4つです。

  • 「スピード感」
  • 「コピー力」
  • 「引きつけておく力」
  • 「リピートしてもらう力」

 本書は、イケダ流「新時代の書く技術」を惜しみなく披露した一冊です。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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「ニッチなテーマ」を攻めてみよう

 文章を書く題材に選ぶテーマは「ニッチ(すき間)であればあるほどいい」です。

 ニッチなことをテーマにしても、誰も読んでくれないのではないか。
 と考えてしまいますが、事実は逆です。

 通常ニッチなテーマを扱えば扱うほど、読者は獲得しやすくなるとのこと。

「自分が好きなことがとてもニッチだ・・・・」というのは、心配するどころか、むしろ喜ばしいことです。世界中の同志たちが、あなたの持っている貴重な情報にこぞってアクセスするようになるでしょう。あなたは世界の穴を埋める、貴重なプレーヤーなのです。
 逆に、自分の好きなテーマが広く知れ渡っているようなものなら、必要に応じてテーマをニッチ化した方がいいかもしれません。
 たとえば「ラーメン好きのブログ」だと競争が激しすぎるので、「つけ麺だけを毎日食べ歩くブログ」や「チャーシュー麺だけを毎日食べ歩くブログ」「ラーメン屋のサイドメニューだけを取り上げるブログ」というニッチ化を図ると、よりブログは浮き立つようになるでしょう。
 特別に刺激的な毎日を送っているわけでなくても、あなたの毎日には多くの人が興味を持つ「何か」が眠っています。「ニッチでつまらない」と勝手に判断せずにまず発表してみると思わぬ反応があるかもしれません。

 『武器としての書く技術』 1章 より イケダハヤト:著 中経出版:刊

 新聞などの大メディアが取り上げるテーマを書いても、埋もれてしまいます。

 大メディアが拾いきれない、ちょっとマニアックな分野をテーマにする。
 それがポイントです。

 例えれば、大通りの有名店ではなく、そこからひとつ入った裏通りにあるお店。
 知る人ぞ知る「通なお店」を目指したいですね。

主観と客観の行ったり来たり

 文章を書くときには、いったん引いて眺めてみる「客観性」が必要です。

 イケダさんは、自分の書いた文章を客観的に眺めるためには、「ひとりライター&編集者」にならないといけないと述べています。

 ものを書くというのは感情の発露でもあるので、主観的になることは大切です。1章でも書きましたが、他人に遠慮して、客観的になりすぎた文章というのは、無味無臭で面白くないものです。よって主観は大切です。
 一方で主観的になりすぎてもダメなのです。自分だけが面白いと思い込んで、ただただ駄文を垂れ流しても無駄です。主観的とはいえ、そこに他人が共感する部分や、反応する部分がなければただのひとりごとになってしまいます。
 つまり、面白い文章を書くというのは、この「主観と客観の行ったり来たり」が重要なのです。主観的になって熱い文章を一気に書き上げたら、いったん手を休めて編集者の視点で眺めてみます。初めてこの文章を読むつもりで読んでみるわけです。すると、いろいろなことに気づくはずなのです。ニュース性の低い記事に関しては、あえて一日寝かしてからアップロードする、というのも客観性を養う上ではアリだと思います。

 『武器としての書く技術』 2章 より イケダハヤト:著 中経出版:刊

 自分が「面白い」と思ったことを、どうしたら相手にも「面白い」と伝えられるか。
 とても大事です。

 自分の書きたいことをしっかり書きつつ、「読み手としての視点」も持つ。
 忘れないようにしたいですね。

人間なんてどうせ「バカ」

 ブログなどで毎日記事を書き続けるコツは、「完璧主義を捨てる」ことです。

 イケダさんは、最大限頭を働かせた末に紡ぎだされた言葉なら、どんなに中途半端で、未熟であれ、発信しておくべきだと強調します。

 人間なんてどうやったってバカで無知なんです。変に賢く取り繕うなんてありません。自分のバカさ加減を知り、高めていけばいいだけの話です。バカだと思われそうなことでも、いざ発言してみたら、意外と評価されたり、共感されたりすることもありますしね。
「完璧な文章」なんてものは、そもそもありえないのです。「今」完璧だと思えたとしても、「1年後」に見たら「何浅いこと言ってるんだ・・・・・」と思うことは、僕も頻繁にあります。だとしたら、今の完璧にこだわるのなんて、バカみたいな話です。それでは一生書くことはできません。
 完璧でなくていいのです。今、自分がたどり着ける限界点を切り出しましょう。バカにされる怖ささえ払拭(ふっしょく)すれば、執筆は自分の「現在地」を客観的に認識するすばらしい機会となるはずです。言葉を吐き続けるためには、「バカだけどバカなりに頑張っている姿を見せる」という意気込みが必要です。ぼくは「誰よりも多く恥をかく」くらいのつもりで、日々ブログを書いています。

 『武器としての書く技術』 3章 より イケダハヤト:著 中経出版:刊

「人間なんてどうやったってバカ」

 そう言いきってしまうところが、イケダさんのスゴいところですね。

 小細工なしで考えたことをそのまま文章にしている思い切りのよさ。
 イケダさんの文章に爽快感を覚える理由は、そこにあります。

 たしかに、「完璧な文章」なんてものは存在しません。
 全力を尽くして書いた文章が、今時点の自分のベストの文章です。

 とにかく、アウトプットを続けつつ、「書く技術」を高めていきたいですね。

「ウェブ」という空間が個人を最適化する

 時空に縛られないインターネットは、組織の枠を超えて人々がつながることを可能とします。

 イケダさんは、この時代背景の変化によって、私たちは今までよりも「わがまま」でいることが許されるようになったと述べています。

 こんな人間ですが、ブログは毎月30万人近くの方に読んでいただき、ツイッターでは約3万人の方にフォローしていただいています。彼らが生み出すアクセスは、僕の収益に変わります。わがままな生き方をするぼくは、無数の読者の方々によって、文字通り生かされているわけです。
 こうした生き方は、ほんの20年前にはまずもって不可能でした。
(中略)
 組織の枠を超えて人々をつなぐインターネットを用いれば、自分のわがままを許してくれる空間を、自らの手で作り出すことができます。ぼくはそうして、幸せに、反社会的に生きています。今は時代が違うのです。用意された道具を使って、わがままに生きる方法を模索していきましょう。
 自分を器用に押し殺すことができない誠実な人は、ブログを書くことが救いになります。反社会的であろうと、誰かを傷つけようと、バカだと思われようと、ぜひうちに秘めた本心を、ブログで発露してください。あなたは癒(いや)され、つながりも得ることができます。

 『武器としての書く技術』 5章 より イケダハヤト:著 中経出版:刊

 インターネットは、良くも悪くもオープンなメディアです。
 つながろうと思えば、世界中の誰とでもやりとりすることができます。

 組織の中で窮屈感を覚える人ほど、インターネットには可能性や居心地のよさを感じるでしょう。

 イケダさんが、日本国民全員がブログを書くようになれば、日本はもっと平和になり、うつ病にかかる人が減ると述べているのも、説得力はありますね。

 イケダさんを見習って、怖がらずに、自分の意見をどんどん発信していきましょう。

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☆    ★    ☆    ★    ☆    ★    ☆

 「書く」ということは、誰でも、何歳からでも、人生を好転させることができる方法です。

 情報をただ受け取る側から「発信する側」になる。
 そのことで受ける利益は、計り知れないくらい大きなものです。

 自分の考えをまとめる力がつきますし、世の中の変化への感度も間違いなく上がります。
 形ある財産として残るのもうれしいですね。

 日本ではまだまだ、ブログやソーシャルメディアを通じて自ら発信することを敬遠する人が多いです。

 30代以上は、とくにその傾向が強いですね。
 残念なことです。

 歳を重ねるほど、人生経験を多く積めば積むほど、共有する価値のある知識は蓄積されていきます。
 自分の頭の中にだけ閉じ込めておくのは、「宝の持ち腐れ」です。
 もったいないですね。

 皆さんも、少しの勇気と「武器としての書く技術」を身につけて、インターネットという刺激に満ちた“未知なる大陸”に足を踏み出してみてはいかがでしょうか。

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