【書評】『伝え方が9割 』( 佐々木圭一)

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 お薦めの本の紹介です。
 佐々木圭一さんの『伝え方が9割』です。

 佐々木圭一(ささき・けいいち)さん(@keiichisasaki)は、コピーライターです。
 国内のみならず、海外でも数々の賞を獲得されるなど、多方面でご活躍されています。

「感動的なコトバ」はつくることができる!


 膨大な量の名作のコトバを見て、考え、試行錯誤を続けた佐々木さん。
 そのなかで、以下の二つのことを発見します。

  • 「伝え方にはシンプルな技術がある」
  • 「感動的なコトバは、つくることができる」
 人生の道のりでは、就職や昇進などで合否がわかれる場面がいくつもあります。
 佐々木さんは、「イエス」と「ノー」を分ける要因の9割をしめるのが「伝え方」だと考えています。

「伝え方」を変えれば、これからの人生の岐路において、多くの「ノー」を「イエス」に変えることもできます。

 本書は、佐々木さん自身が長年かけて学んだ「人の心に届く伝え方」を、誰でもコトバをつくれるよう体系化した一冊です。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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伝え方には技術がある!


 佐々木さんは、詩集、書籍、名作コピー集を読みあさり、心を打つコトバ、感動的なコトバに出会うたびにノートに書き写しました。
 そして、心を動かす文章は、コトバの構造が似ていることに気づきます。

「そこには何らかの法則がある」と考えます。

 例えば、わたしの心を動かしたコトバで
「考えるな、感じろ」 燃えよドラゴン
「死ぬことに意味を持つな。生きるんだ!」 3年B組金八先生
「ちっちゃな本が、でかいこと言うじゃないか」 講談社文庫の広告
「別れることがなければ、めぐり逢うこともできない」 西洋のことわざ
「マフィアが少年聖歌隊に見えるほどの巨悪組織」 ピーター・セラーズ(ピンクパンサー)
「事件は会議室で起きてるんじゃない! 現場で起きてるんだ!!」 踊る大捜査線

 は似ているなと感じたのです。一見、まったく違いますよね。単語はひとつも同じではありません。だけど、構造が似ていると感じたのです。どれも、正反対のコトバを使っている。

  考える← →感じる
  死ぬ← →生きる
  ちっちゃな← →でかい
  別れる← →めぐり逢う
  マフィア← →少年聖歌隊
  会議室← →現場


 はじめ、気のせいかなと思っていました。しかし、ただ偶然の一致にしては、見事にそろいすぎている。その奥に、明らかに何かがあるという宝物のにおいのようなものをビンビンに感じていました。すべてが正反対のコトバを偶然ではなく、あえて使っているのではないか?

 『伝え方が9割』 第1章 より  佐々木圭一:著  ダイヤモンド社:刊

「正反対のコトバ」を効果的に使えば、心を動かす言葉になる。
 佐々木さんは、このことに気づき、「心を動かす言葉には、法則がある」ことを確信します。

 たしかに、正反対のコトバを使うことで、言いたいことをより強調して伝えられます。
 記憶に残る名言の多くも、そんな風に「つくられたコトバ」だったのですね。

「相手の好きなこと」を切り口にする


 佐々木さんは、コトバは「思いつく」のではなく「つくる」ものだ、と述べています。

「ノー」を「イエス」に変える技術として、以下の三つのステップを踏む方法を紹介しています。

  • ステップ1 自分の頭の中をそのままコトバにしない
  • ステップ2 相手の頭の中を想像する
  • ステップ3 相手のメリットと一致するお願いをつくる
 佐々木さんは、ステップ2「相手の頭の中を想像する」ときの切り口の一つとして「相手の好きなこと」を選択することを挙げて、以下のような具体例を述べています。

 こんなことがありました。仕事で移動中、手軽に食事をとりたかったときのこと。ファストフードをみつけた私は、早さ優先で入りました。ですが、私の注文したフィッシュバーガーは、どうやら時間がかかるよう。「それじゃ、出ようかな」と思ったところに、この店員さんのコトバでした。
 「できたてをご用意いたします。4分ほどお待ちいただけますか?」
 そのコトバで、私は待つことに決めました。できたてなら美味しいし、いいかと。でも、考えてみると、できたてなのは当たり前です。これからつくるのですから。待った上に、できたてでないということはありえません。この店員さんのコトバは、切り口「好きなこと」を突いていて、私はそのコトバに動かされました。
 もし、これがただ
「4分ほどお待ちいただけますか?」
 というお店都合のお願いだったら、私はお店を出ていました。早さ優先で入ったので。でも 「できたてをご用意いたします。4分ほどお待ちいただけますか?」
 のように私の好きなこと、メリットから話したことで結果を変えました。実はどちらも同じ、「4分待って」という内容だし、出すフィレオフィッシュも一緒です。ストレートにお願いをするのではなく、相手の「好きなこと」を使うことにより、結果を変えることができたのです。「ノー」を「イエス」に変えられたのです。

 『伝え方が9割』 第2章 より  佐々木圭一:著  ダイヤモンド社:刊

 言いたいことを伝える。
 その前に、たった一言、相手の好きなことや相手のメリットになりそうなことを添える。

 それだけで、「イエス」と言ってもらえる確率が格段に上がります。
 是非とも、普段の生活の中での会話で、実践したいですね。

集中力のスイッチを入れるコトバ


 佐々木さんは、「感動」もつくることができると考えています。

 美味しいラーメン屋さんのラーメンは、何度食べても同じく美味しいものです。
 それは、そのラーメンにレシピがあり、その通りにつくっているからです。

 コトバも同じように、感動を生み出すための“レシピ”があります。

 感動させるコトバ、強いコトバをつくる、佐々木流「黄金のレシピ」。
 そのなかから、「クライマックス法」を紹介します。

 クライマックス法は、伝えたいと思っている相手に「これから重要な話が始まるんだ、聞いておかなくては!」と思わせて、集中力を自分の方に向かせる技術です。

 このクライマックス法は、ロケット発射直前の「3、2、1」と同じです。そのアナウンスがあるといやが上にも期待が高まりますよね。カウントダウンが聞こえたとして、その方向を向かないでいられる人は、非常に数少ないはずです。今までは、ロケット(伝えたい話)をカウントダウンなしに打ち上げていた方も多いと思います。相手とするなら、知らない間、他のことを考えている間にロケットが飛んでいたということもあるでしょう。事前にカウントダウンを伝えてあげることで、あなたの伝えたいことが的確に集中力をもって聞いてもらえるようになります。
 この他にも、クライマックスをつくるのには以下のようなコトバがあります。

「これだけは覚えてほしいのですが、~」
「ここだけの話ですが、~」
「他では話さないのですが、~」
「誰にも言わないでくださいね、~」
「これだけは、忘れないでください、~」
「一言だけつけくわえますと、~」
「ワンポイント・アドバイスですが、~」
「三つのコツがあります、一つ目が~」


 などです。

 『伝え方が9割』 第3章 より  佐々木圭一:著  ダイヤモンド社:刊

 コトバには、エネルギーがあります。

「クライマックスワード」を頭にくっつける。
 そうすることで、次に続く「本当に伝えたい話」のエネルギーがアップします

ここぞ、という場面で使いたいテクニックです。

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 他より人気のあるモノ、感動するモノ、記憶に残るモノ。
 それらには、必ずそれなりの理由があるものです。

「コトバ」も、例外ではありません。

 佐々木さんは、「コトバって、ひらめくのではなく、つくれるんだ」と、技術としてのコトバの使い方の重要性を、重ねて強調されています。

 ソーシャルメディアが急速に普及し、「これからは、個人メディアの時代」とも言われます。
 世の中に情報があふれ、個人が情報を発信していくことも、当たり前の社会。
 その流れは、これからさらに加速するでしょう。

「伝えるための技術」は、社会という大きな流れに浮かぶ小さなボートである私たちが、「情報」という激流をかいくぐって力強く進むための「櫂(オール)」となります。
 是非、身につけて未来を切り開く大きな武器にしたいですね。


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