【書評】『壁』(石井裕之)

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 お薦めの本の紹介です。
 石井裕之さんの『壁 ~カリスマ・セラピストが教える!どんな壁も乗り越えることができるセラピー~』です。

 石井裕之(いしい・ひろゆき)さんは、パーソナルモチベーター、セラピストです。
 催眠療法やカウセリングの施療経験をベースにした独自のセミナーを指導されるなど、幅広くご活躍されています。

『壁』は潜在意識からのメッセージ


 努力する限りにおいて、どんな人も『壁』にぶつかることがあります。

 仕事の壁、恋愛の壁、お金の壁、人間関係の壁・・・・・。
 さまざまな『壁』が存在します。

 それまでに想像もしなかったような『壁』が目の前に突如現れることもあります。
 石井さんは、『壁』にぶつかることは、単なる偶然ではなく、そこには、ある積極的な意味があると指摘しています。

 『壁』は他ならぬ自分自身の潜在意識からのメッセージであり、そのメッセージを理解できれば、壁を超えるための適切なアクションプランを立てることもできるはずです。

『壁』が語りかけていることを理解する。
 それまで『壁』は、断固として私たちの前に立ちはだかり続けます。

 本書は、『壁』を自分の力で突破するための、前向きなヒントを与えてくれる一冊です。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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「ネガティブな感情」の正体


 メンタル的な『壁』を作り出す「ネガティブな感情」の正体とは、何でしょうか?

 石井さんは、ネガティブというのは、「何か」を否定することですから、その「何か」が存在しなければネガティブそのものも存在しえないと述べています。
 言い換えると、ネガティブな感情の考えや正体は、実はポジティブな何かであるということ。

「できる」ということは、やってみせるということで証明可能です。
 しかし、「できない」ということはどうやっても証明できません。

 1000回ずっとダメだったとしても、それは、1001回目にもできないということの証明には決してならない

 のです。だから、どこまでいっても、「できない」ということは証明できないはずです。

 その意味において、「できる」と思えるあなたの自信は、その自身がどれほど根拠のない自信だったとしても、妥当だと言えます。実体があると言えます。
 しかし、「できない」というあなたの自己不信は、実体のない不信です。どこまでも証明不可能です。
 だから、

「私にはできない」ということを信じこんでいる人というのは、まったく妄信的な人

 だと私は思うのです。

 別の角度から言えば、できる可能性を信じているからこそ「できっこない」という考え方も出てくる。ほんとうにゼッタイできないことなら、「できっこない」などとわざわざ考える必要もないのです。
 同じように、「ひょっとすると、あるいはうまくいくかもしれない」という期待があるからこそ、「うまくいくはずがない」という発想も出てくる。
 私たちはよく、大切な場面で緊張してしまうことがあります。しかし、それは、「失敗するかもしれないから緊張する」のではありません。むしろ、

 成功するかもしれないから緊張する

 のです。だって、絶対に間違いなく失敗するとわかっているシチュエーションだったら、そもそもどうして緊張する必要があるのでしょう?
 それと同じことです。
 ネガティブな感情や考えも、やっぱり正体はポジティブな何かなのです。

 『壁』 第1章 より 石井裕之:著 フォレスト出版:刊

「私にはできない」という考えが私たちの思い込みや妄想である。
 それならば、すべての『壁』は発想を変えることで乗り越えることができます。

 緊張するのも、自分が成功する可能性を信じているからこそ。
『壁』のネガティブな面の裏側にある本質的なポジティブな面を見つめる習慣を身につけたいですね。

「夜明けの直前」がいちばん暗い


 石井さんは、その問題と真っ向から対峙し、その問題の中にある、ポジティブな意味を積極的に見出すことによってしか、問題は乗り越えられないと指摘します。

 このような積極的な問題解決への姿勢を「攻撃的ポジティブシンキング」と呼びます。

 攻撃的ポジティブシンキングをうまく働かせる。
 そのためには、「(顕在)意識」だけではなく「潜在意識」にも目を向ける必要があります。

「意識」と「潜在意識」の関係は、車の両輪です。
 どちらか片方だけでは進んでいけません。

 そして、潜在意識の世界と意識の世界の関係は、いわば反転しています。

 ここで私が言いたいことは、

 意識の世界で壁にぶつかってがっかりしているとき、潜在意識の世界では、その壁を超えて成長するあなたがすでに動きはじめている

 ということです。
 だから、「The night is darkest before the dawn (夜明け前の直前がいちばん暗い)」ということわざは、潜在意識的に言えば、まさに事実なのです。
 逆を言えば、意識の世界でものごとがうまく進んでいるときには、潜在意識のレベルでは困難な状況と闘っているときだとも言えます。だから、「成功しているときこそ慢心するな」という古くからの戒めも、潜在意識の世界の理にかなっているわけです。

 壁にぶつかったとあなたが感じているその瞬間には、あなたの潜在意識はすでにその壁を超えはじめています。だから、
 
 あなたが「壁にぶつかった」と感じているという事実そのもののなかに、その壁を超えるあなたを見ることができる
 
 と言えるのです。
 意識のレベルで信じようが信じまいが、「壁に直面した」と思った時点で、あなたの潜在意識は、すでにその壁を超える準備ができつつあります。

  『壁』 第1章 より  石井裕之:著  フォレスト出版:刊

 石井さんは、意識と潜在意識の関係は、時計の長針と短針の関係に似ているとも述べています。
 潜在意識の動きは、時計の短針のようにゆるやかです。

 努力をしてうまくいかない。
 そんなときは、潜在意識に時間を与えるために「待つ」ことも大事です。

 潜在意識の力を信じて、じっくりと焦らずに、着実に進むことが重要ですね。

「いままでの自分を捨てろ」というメッセージ


『壁』の意味は、「ここであなたの力はもう限界だ」ということではありません。

 石井さんは、『壁』とは、あなたが、いまのあなたの力を最大限に、フルに、マックスまで出しきったということに感動し、褒め、労ってくれている潜在意識の声だと指摘します。

 どんなにポジティブに考えるといっても、「練習用の安い楽器でストラディヴァリウスの音が出せる」などと期待するのだとしたら、それは現実逃避的な発想です。
 練習用の安い楽器のもてる可能性を最大限にまで引き出すことができたのだとしたら、それ以上に素晴らしいことがあるでしょうか? それがストラディヴァリウスの音である必要なんかないはずです。
 ポテンシャルを出しきったと思えたなら、さらにその先に進むために、「よりグレードの高い楽器」に買い換えようという気持ちにもなれます。
 壁にぶつかったとき、「ああ、ダメだ」と考えるのではなくて、「これは、私が自分のもてる力をフルに出しきったという証だ。私が全力を尽くしたという証拠なのだ」と、むしろ感動してほしいのです。あなた自身を誇りに思ってほしいのです。
 そして、それができたときにはじめて、

 ここまで私は自分のポテンシャルを120パーセント出しきったのだ。だから、いままでの私を捨て、新しい私として生まれ変わるときがきたのだ
 
 というふうに心から納得できる。いままでの自分にしがみつくことをやめることができる。いままで使ってきた「練習用の安い楽器」を、「これまでフルにがんばってきてくれてありがとう」という感謝の気持ちをこめて引退をさせてあげることができるはずです。
 そして、新しい自分へと生まれ変わることができるのです。

 『壁』 第2章 より 石井裕之:著 フォレスト出版:刊

『壁』は、行き止まりや最終目標ではありません。
 そこから新しい道が始まる「出発点」です。

 これまでの方法ややり方をし尽くすと、どんなことでもやがて行き詰まります。
『壁』にぶち当たるわけですね。

『壁』は、「他のやり方でさらに前に進みなさい」という潜在意識からのメッセージ。
 自分が成長している証です。
 逃げずに積極的に受け入れたいですね。

「潜在意識」の特徴を生かした勉強法とは?


 子宮の中の胎児は、人間の進化の過程を再現して姿を変えていき、人間の格好になります。
 魚のようなカタチから両生類、爬虫類・・・・というふうにですね。

 石井さんは、「潜在意識も人間の胎児と同じような成長の仕方をする」と指摘します。
 そして、「潜在意識の特徴を生かした勉強法」を以下のように説明しています。

 初日に1ページ目を勉強したのだから、次の日は2ページ目からやればいいようなものだけれども、1ページ目をもう一度繰り返してから2ページ目に入る。あえて「進化」の過程を再現するかのように。

 いったんゼロに戻って、いままでやってきたことを再現してから、それからその上に新しいことを付け加える。出来上がったものをいったん壊して、もう一度同じことをやってから、その上に新しいプラスアルファの要素を乗せていく。こんなふうに、建設と破壊を繰り返しながら、そのたびにすこしずつ何か新しいものを加えていくのです。
 意識の世界の常識で考えると、これは、とても効率の悪いやり方のように思えますが、これが、潜在意識の世界での成長の仕方なのです。

 だから、こういう勉強法を続けていくと、いわばそのリズムに共鳴するように、潜在意識が活発に動いてくれるようになる。
 
 私も、受験生に勉強を教えることがあるのですが、そのときにも、必ずこの流儀に則って指導しています。第一日目のところまでいったん戻って、いままでの経過のすべてをざっと復習してから、今日の新しい分に取りかかるようにする。
 こんなふうに、土台を繰り返し繰り返し固めながら、その上に載っかるように日々の新しい要素を加えていくことで、学びは、骨にまで達するといいますか、より心の深くまで浸透するのです。

 『壁』 第3章 より 石井裕之:著 フォレスト出版:刊

 潜在意識には潜在意識なりの、独特の「リズム」があります。

 これまでにやったことを繰り返しなぞりながら、徐々に上積みを増やしていく。
 そのような勉強の仕方が、潜在意識のリズムに則ったものです。

 一流のスポーツ選手ほど、基本的な動きを何度も繰り返す練習をする。
 それも潜在意識に浸透させて、体で反応できるようにするためなのでしょう。

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『壁』というと、自分以外のところから、予期せずに突然やってくるもの。
 そういうイメージがありますが、実際にはそうではありません。

 壁とは、潜在意識からの、あなたへのメッセージです。
 新しい自分に生まれ変われる準備が、あなたにはもう出来ているのだと教えてくれています。

『壁』にぶち当たると、頑なにこれまでの方法を押し通そうとする人がいます。
 しかしそれではうまくいかないどころか、逆にますます状況が悪くなります。

「最大のピンチは、最大のチャンス」

『壁』は、生まれ変わるチャンスでもあり、新しい考えを身につけて成長するチャンスでもあります。
 ひるまずに、目の前の『壁』に向かっていく。
 そんなチャレンジ精神をつねに持ち続けたいものですね。


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