【書評】『仮面社畜のススメ 』(小玉歩)

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 お薦めの本の紹介です。
 小玉歩さんの『仮面社畜のススメ』です。

 小玉歩(こだま・あゆむ)さん(@ayumu_kodama)は、経営者・事業家・マーケター・プロデューサーです。
 大学卒業後、大手メーカー系マーケティング会社に就職。
 インターネットを使った副業の収入が1億円を超えたことがばれて解雇されたことを機に自ら会社を立ち上げ独立。
 現在はインターネットを駆使したビジネスを展開されています。

「利用される人」と「利用する人」の違い


 会社では嫌われ者で、クビにもなってしまった小玉さん。
 それでも「会社員をやっていて良かった」と感じているそうです。
 それは、会社を徹底的に利用し、その経験が今の自分をつくってくれたと感じているから。

 【利用する人】になれるかどうかは、能力ではなくマインドの問題です。

 世の中は【利用される人】と【利用する人】に分かれてしまいます。
 そして、多くの人が【利用される人】になってしまいます。

 その理由は、日本の学校教育が教えてくれるのは「自分の意見を言わない“利用される人”になる方法」だからです。

 小玉さんは、そんな世の中だからこそ、会社を徹底的に利用しろ。社畜のふりをした【仮面社畜】になれ」と強調します。

 小玉さんの言う【利用する人】の視点とは、具体的には以下の三点です。

  • 「環境」マインド・・・・・人間関係を含むあなたを取り巻くもの
  • 「裏ワザ」マインド・・・・・仕事に関するスキルやテクニック
  • 「資源」マインド・・・・・お金と時間の使い方
 小玉さんが会社をクビになりながらも、毎年1億円以上を稼ぎ、自由な時間を満喫できるのも、この三つのマインドを持ちながら会社員をやってきたからです。

 本書は、仮面社畜となって、「人生の主導権」を取り戻すためのスキルについてまとめた一冊です。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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どれだけ指示を聞かずに成果を出すかが重要


 小玉さんは、「上司の指示をどの程度聞くかでビジネスマンの能力が測れる」と述べています。
 指示命令をよく聞くほうが能力が高いのではなく、どれだけ指示を聞かずに成果を出すかが重要です。

 指示通りに仕事をこなすと上司の評価が高まると考えているのかもしれませんが、それは「社畜」へ向かって一直線の道です。
 上司の言いなりで動き、なんでも言うことを聞く社員は、その時点で未来がないと思ってください。まして、ゴマをすって気に入られようとする行動は全く無意味です。
 あなたの上司があなたの面倒を一生見てくれると思いますか? もし、長い間会社にいるつもりでも、上司や幹部の評価ではなく、「自分が会社の業績のためにどんな働きができるのか?」それを考えて行動してください。
 もちろん最低限の礼儀は必要ですが、私は相手が上司だからと祭りあげるのではなく、職場のパートナーとして仲良くなることを心がけていました。
 上司の指示に従って動くということは、指示がないとなにもできないと言っているのと同じです。
 肝心なのは、自分でどれだけ判断し、動けるか。
 上司の言うことを聞かないということは、自分で考えて、自分の意見をちゃんと持っているということです。自分なりの指針を持っていれば、上司の指示と反することが出てきて当たり前なのです。
 念のために言っておくと、これは「上司の言うことができない」のとは訳が違いますので、勘違いしないように。
 自分が担当している仕事の目的を達成するためには、今何をすればいいか?
 仮面社畜は、場面に応じてそれが自分で判断できます。その内容が上司の指示と食い違う場合には、上司に対してはっきり自分の意見を言うこともできます。
 自分がいいと思うことをきちんと主張して、それに聞く耳すら持っていない会社や上司なら、それは論外です。
 意見を言うことであなたの立場が悪くなるとしたら、その上司は危険ですから、不健全な上司の元は去るべきでしょう。
 場合によっては、上司の意見を聞かないで実行に移してしまってもいいと思います。これが仮面社畜のやり方です。

 『仮面社畜のススメ』 PART 1 より 小玉歩:著 徳間書店:刊

 指示通りの仕事しかできない、自分の頭で考えることができない。

 そんな人をたくさん作り出してしまったしまったこと。
 それが、今の日本の教育制度の最大の過ちであるといえるでしょう。

 上司にどれだけかわいがられようと、その上司が一生面倒を見てくれるわけではありません。

 自分の価値を最大限に高めるためには、「つねに結果を出せる人間になる」こと。
 逆にいうと、たとえ上司に嫌われても、結果さえ出せば、クビを切られないということです。

 最大限の結果を出すためには、どうすればいいか。
 つねに自分自身で考えるくせを身につけたいですね。

仮面社畜は、ネットを徹底的に使う


 小玉さんは、インターネット依存、IT依存の弊害論の主張は、100%無意味だと断言します。

 スマートフォンやタブレットは、最速で情報が得られる素敵なツールです。
 これらを手にすることは、牢屋の奥に閉じ込められながら、穴を掘る小さなドリルを手に入れたようなものです。

 情報を制するものだけが勝者となり得るのに、ネット依存批判者の言い分に従ってその情報の出入り口を塞(ふさ)ぐことは自殺行為です。
 たとえば10代前半で、24時間ネット浸りでゲームばかりやり続け、人とまともに口が利けなくなったとか、ひきこもりになったというなら問題ですが、少なくともこの本を読んでいて会社に通勤できているあなたなら大丈夫。
 確かに、じっと動かずにPCやモバイルの液晶画面を見ているのを傍から見ると、不健康で消極的に映るのかもしれません。
 しかし、ネットサーフィンにしても、少なくとも自分から情報を取りにいっているので、ある意味では能動的な行為なのです。
 それは、制作側の意図によって編集し並べられた新聞やテレビの情報を受け取るのとはワケが違います。
 特定の番組や新聞記事だけを情報源にしていると、それぞれの媒体会社のバイアスがかかっているので、ある偏った思想や論調に染まり洗脳される危険があります。
 その点、確かにネット情報の選択眼は必要になります。ネットにアクセスするとクオリティを問わず、膨大な情報の洪水にさらされるからです。
 これからのビジネスマンに必要なのは、その大量の情報源からいかに自分に必要なものを嗅ぎ分け吸収し行動に役立てるか、という取捨選択と吸収能力です。
 スマホを体の一部のように使いこなせることが、今後のビジネスマンとしての必須スキルです。
 進化して変わりゆく時代にあって率先して変化を身につけていくことは、いい悪いの話ではなく、よりよく生きていくために当たり前のこと。
 電車という制限された空間の中で、体の一部であるスマホを使って頭脳や知識の拡大をはかる。これがビジネスマンとしての抵抗であり可能性の追求です。

 『仮面社畜のススメ』 PART 2 より 小玉歩:著 徳間書店:刊

 程度の差はあるにせよ、普段からスマホやタブレット、パソコンでインターネットにアクセスする習慣のある人は、自分の欲しい情報を自分で取りにいくという能動的な意識が働いています。
 新聞やテレビを観ているだけでは、情報をただ受け取る受け身の姿勢から抜け出せません。

 情報が洪水のようにあふれている今の時代。
 必要なのは、「取捨選択」「吸収能力」です。
 スマホを片手に、普段からこの二つを磨いていきたいですね。

仮面社畜は、仕事内容にこだわる


 日本ではいまだに、年功序列の賃金制度を採用している企業が多いです。
 必ずしも、その人の成果に応じた給与が支払われているわけではありませんね。

 小玉さんは、自分が今の会社でもらっている給与の額には、いつも疑問と検証の目を向けるべきだと述べています。

 今は安い給与でも「将来はだんだん上がっていくから我慢しよう」ともし思っているなら、即刻そのような考えは捨ててください。
 日本では、若い社員は有能であってもできるだけ低コストで使っていいという風潮があります。年功序列が生きていた時代の給与制度では20代、30代が低い給与に甘んじて、50代くらいで年収のピークを迎えるのが過去の給与体系でした。
 しかしそれは高度経済成長期で終身雇用が生きていた頃のお話で、そんな悠長な時代はとっくに終わりを告げ、今の給与のピークはだいたい42歳くらいになっています。
 そして40代〜50代のベテラン社員の年収が企業にとっては重い足かせとなっています。そのために早期退職制度をほとんどの企業で採用しているのです。
 まともな頭を持った経営陣であればこのヒズミにとっくに気づいているのですが、自分たちの既得権益を守るために思いきった改革に踏み込めません。
 そのため年功序列の待遇、給与制度がまだしぶとく残っていて、それが若い社員の給与アップの妨げになっています。
 ですから、若いうちに苦労や我慢を重ねれば年数を経ていつか報われる、なんてことはもう幻想となりつつあるのです。
 今後10年で企業の人事評価や給与制度はさらに変わっていくでしょう。実力主義は日本の風土に合わないという生ぬるい議論がされていましたが、実際にそうなれない企業は存続していけない時代に突入しています。

 『仮面社畜のススメ』 PART 3 より 小玉歩:著 徳間書店:刊

 ただ働いているだけで、右肩上がりに給料が増えていく。
 そんなのは、すでに幻想の世界のお話ですね。

 これからは日本でも他の先進国同様、実力主義の人事評価や給与制度が普及していきます。
 そんな中を生き抜くためには、会社や上司に甘えず、とにかく「自分の実力を上げる」こと。

「結果を出せる人間になること」が自分の身を守る最善の策になります。

仮面社畜は、トイレに行くふりをして消える


 小玉さんは、仮面社畜にとって、就業時間の終了直後が一番気をつけなくてはならない魔の時間帯だと述べています。

 職場にダラダラいないように、自分を律して帰る選択をすること。
 なんとしても夜の時間を確保しなければなりません。

 私用の電話を受けたフリをして廊下に出てそのまま帰るとか、いかにも自販機でも行ったかのように、机を散らかしたまま手ぶらで外に出てそのまま帰るとか、あらゆる策を弄(ろう)して退社し、定時退社のキャラをつくってしまってください。
 あいつは要領のいい奴だという評判になると若干反感も買いますが、誘われづらくなるのでかえって好都合です。
 繰り返し言いますが、これはあくまでも社員として期待以上の成果を出していて初めてできることです。
 まだ自分が会社の職務で半人前だと思うなら、まずは短時間で人並み以上の成果を出せるようにスキルアップをしてください。
 そうなるためにも新人の頃からちゃんと自分の時間をとって勉強しておくべきなのです。パソコンスキルだってなければ早く仕事を終わらせることはできませんよね。
 そして、ダラダラ無駄な時間を過ごしている中堅社員なら、ビジネスマンとして自分は何を目指しているのか? どこに向かっているのか? それを考えてください。
 会社ではどんな働きをし、会社以外で何を為すか? これをはっきり意識していないと、会社組織に依存した人生しか歩けません。
 仮に運よく定年まで勤めたとしても、あなたが得られる収入も自由も限られたものです。そこから一歩も二歩も抜きんでるためには、自分の価値を磨いて際立つしかないのです。
 若いうちに、有意義な時間と場数をどれだけ踏めるかです。決まりきったような毎日を送っている暇はないのです。
 くだらない残業時間やパターンが同じ飲み会の時間を自分への投資に使えたなら、1年間にどれだけの時間がつくり出せるか。時間があなたにとって最大の資源です。

 『仮面社畜のススメ』 PART 3 より 小玉歩:著 徳間書店:刊

 多くの企業では、コンプライアンス(法令遵守)が厳しくなっています。
 日常茶飯事だった、サービス残業や休日出勤が自由にできなくなった人も多いでしょう。
 とはいっても、この不景気の中、「残業代を出します」という気前のいい企業は一握りです。

「時間をかけてもいいから、仕事の量をこなせばいい」
 そういう時代はすでに終わっています。

 残業代を当てにして、やることもないのに会社に居続けるというのは論外ですね。
 そんなことをしているくらいなら、さっさと帰って、将来のために自己研鑚しましょう。

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☆    ★    ☆    ★    ☆    ★    ☆

 本書には、日本の会社風土に慣れ親しんだ人には、納得できないことばかりです。
 小玉さんは、この「納得できない」という拒絶反応が起こる瞬間こそが一番大事な瞬間だとおっしゃっています。
 それは、自分のマインドに変革が起こるのは、自分の思考外の思考に触れたときだからです。

「自分が社畜である」と認識しながら働いている人とそうでない人。
 同じ社畜でも、意識の面では雲泥の差があります。

 今いる会社で、結果を出しつつ、自分自身の実力を上げるにはどうしたらいいのか。
 その考え方を学ぶにはうってつけの一冊です。

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