【書評】『特定の人としかうまく付き合えないのは、結局、あなたの心が冷めているからだ』(五百田達成、堀田秀吾)

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 お薦めの本の紹介です。
 五百田達成さんと堀田秀吾さんの『特定の人としかうまく付き合えないのは、結局、あなたの心が冷めているからだ』です。

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 五百田達成(いおた・たつなり)さん(@ebisucareer)は、キャリア・カウンセラーです。
「コミュニケーション」「恋愛・結婚・仕事」「生活者心理」などを主なテーマに執筆や講演をされています。

 堀田秀悟(ほった・しゅうご)さん(@syugo_h)は、言語学者です。
 言語学・法学・社会心理学などの様々な学問分野を融合した研究法に定評があり、熱血指導が学生に支持されている人気教授でもあります。

「冷めた心」は孤独を呼び込む


 会社でも、家庭やプライベートでも、人間関係がうまくいかない。
 その根本的な原因は、「結局、あなたの心が冷めている」ことにあります。

「心が冷める」とは、以下のような状態のことです。

  1. 人の話に興味がない
  2. 人と積極的に関わろうとしない
  3. そのため、世界がどんどん狭まっていく
「冷めた心」は、年を経るごとに、自覚症状がなくなります。

 周囲の人を自分から遠ざけ、「気づけば孤独になっている」可能性が大きいです。
 また、心が冷めていると、いつの間にか、身のまわりの人の心まで冷ましてしまいます。

 本書は、冷めてしまった、もしくは冷めかけている心を温め直すために「誰でも必ずできる、誰もができていないこと」を心理学や脳科学の知見も踏まえ、まとめた一冊です。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。
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人と関わらずには「生きていること」を実感できない


 本来、人は、人とのつながりを求めるようにできています。
 それは、人と関わらなければ、生きていることを実感できないからです。

 人が冗談を言い合ったり、話しあいができたりするのは、人間がそうしたレベルの高いコミュニケーションを通して脳を進化させてきたからです。

 たとえば、「おはようございます」と言ったときに「おはようございます」という言葉が帰ってこなければ、どうでしょうか?自分の存在が否定された気持ちになってしまうはずです。「おはよう」と言ったときに、「あっ、おはようございます」という反応が返ってくるから「自分って生きているんだなぁ」と実感ができます。
 自分の言葉や行動に誰かが反応してくれる、自分の言いたいことが伝わる・・・・などなど、人と関わったときにはじめて、人は自分の存在を実感するのです。
 人の脳はそういうふうにできています。
「自分は人を愛せない」「あの人は苦手」「人間ってこんなもんよね」というのは、ほとんどが自分自身の思い込みであり、勝手にセーブをかけていることが多いのです。自分の殻に閉じこもることなく、いろんな人と付き合っていくことで「人生って思い通りにいかないんだなぁ」「自分って思い込みが激しいなぁ」「もっと人にやさしくしないとなぁ」と、考え方に幅が出てきます。
 心の冷えは病気ではありません。温め直しができるのです。

 『特定の人としかうまく付き合えないのは、結局、あなたの心が冷めているからだ』 第1章 より 五百田達成、堀田秀悟:著 クロスメディア・パブリッシング:刊

 自分の、狭い常識の殻に閉じこもること。
 それが人とのつながりをなくし、「生きている実感」を奪います。

 そして、次第に、自分の心を冷え込ませてしまいます。

 手遅れにならないうちに、自分を縛りつける偏見や先入観をなくすこと。
 幅広い考えの人と交流できるようにしていきたいですね。

「好き」「嫌い」は簡単に変わってしまう


 相手と信頼関係を築こうとするとき、「好き嫌い」は、重要な要素です。
 相手への嫌悪感を忘れるための手段として、以下の二つの方法を挙げています。

 一つには、やはり「もっと接する」ということです。
 接する回数、声をかける回数を増やして心のバリアを取り除いていき、その人のことを理解していくことが必要でしょう。
 これは精神論ではなく「熟知性の原則」と言って、その人のことを理解していくと、より好意を持つことができると言われています。
 たとえば、その人の昔の話を聞いて「へぇ、そんなことがあったんだ」と思ったり、意外な一面を発見して「おもしろいな」と感じたりすると、相手への興味もわくし、好意を持つようにもなるはずです。
 そしてもう一つは、「自分はその人のことが好きだ」と言葉にする、心の中で思ってみるというやり方です。
 たとえ好きでなかったことでも、「実はこういうところが好きかも」「よく見るとここも好きだな」と、好きだ好きだと言いつづけることで脳からドーパミンという物質が出てきます。
 ドーパミンは快の感情と関わると言われていて、ドーパミンが出ると「楽しい」「気持ちがいい」「心地いい」といった気持ちになるのです。

 『特定の人としかうまく付き合えないのは、結局、あなたの心が冷めているからだ』 第2章 より 五百田達成、堀田秀悟:著 クロスメディア・パブリッシング:刊

 差し出された好意を拒むのは、難しいです。

 人は、受けた好意を、好意で返したくなるもの。
 それを、心理学の用語で「好意の返報性」といいます。

 著者は、好き嫌いで付き合う人を選ぶのではなく、誰にでも好意で接してみる。それが信頼関係をつくるための秘訣だと指摘します。

会話を「記憶ゲーム」だと思ってみる


「人見知り」や「空気を読めない」ことは、対人関係において、大きな悩みです。
 この悩みを解消するには、「とにかく慣れること」です。

 著者は、具体的な克服方法として、会話を「記憶ゲーム」だと思ってみることをすすめます。

「自分はどう思われているだろうか?」「変なふうに思われていないだろか?」ということに意識を向けず、相手の話出てきた情報を全部覚えるようにします。
「名前」「趣味」「出身地」「子供の名前」「奥さんと結婚して何年目か」などなど、個人情報の記憶を目的に会話をしてみるのです。
 すると、相手が誰であれその人の話を集中して聴くことができます。
 そして、次に会ったときに「あっ、そういえば今日、〇〇君(子供の名前)の誕生日じゃないですか?」などと言えると最高です。
 これは、実は「空気を読む」ときも同じです。
 空気を読んだ立ち居振る舞いが苦手な人は、「何を言ったらいいんだ?」「空気を読むにはどうすれば?」と考えると余計に緊張してしまうので、相手の話をただ集中して聞く(場合によってはメモを取るなど)ことを意識してみてください。
 それだけですが、「そうかそうか、この人は自分に興味を持ってくれているのか、嬉しいな」と思ってもらえるのです。
「空気が読めていない」とは、言い換えれば「その言動は(自分の思うアクションと)違う」ということ。
 もっと言えば、「自分のことばっかしゃべろうとしないで話聞けよ」とかいう意味になります。
 だから、とにかく人の話を集中して聞く、ということが大事なのです。

 『特定の人としかうまく付き合えないのは、結局、あなたの心が冷めているからだ』 第3章 より 五百田達成、堀田秀悟:著 クロスメディア・パブリッシング:刊

 見知らぬ人と、臆せずに話せるようになる。

 そのためには、「とにかく慣れること」
 場数を踏むことです。

 会話の基本は、「聞くこと」。
 まずは、相手の話に集中し、しっかり聞いて覚えることから始めたいですね。

「あなたにしかできないこと」を探さない


 自分と似た人(趣味嗜好(しこう)、仕事、性格、容姿など)にコンプレックスを感じる。
「なんか嫌だなぁ・・・・」と思う心の働きを、「同族嫌悪」と呼びます。

「同族嫌悪」は、自分の嫌いなところを、相手に重ねることで起きる嫌悪感。
「自己嫌悪」の一種です。

 自己嫌悪は、「自我」が強すぎることが原因で起こります。
 嫌悪感というのは、「自分は、本当はこれだけできるはずだ」という理想と現実とのギャップに納得できないことから生まれるもの。

 同族嫌悪や自己嫌悪をなくすには、「まずは理想のハードルを下げてみる」ことが有効です。

 たとえば、最初から「自分にしかでいないこと」を探す必要はなくて、「自分にもできること」を探すことの方がよっぽど大切です。
「自分には仕事で結果を出すしか能がない」のではなく、「意外と恋愛もいけるんだ」「洗濯も意外とうまいじゃん」という別の方向で自信をつけてみるのです。
 心理学では「般化(はんか)」と言うのですが、最初からベストを目指さず、どこかで得たポジティブな気持ちを他の行動にどんどん応用させていきます。
 サッカーやバスケをしているとき、たとえ大量得点で負けていても、「まず一本」の気持ちを持つことです。
 卑屈にならず、他人を攻撃したりせず、現実の自分を認めて、ハードルを少しずつ高くしてみてください。
 誰かに褒(ほ)められる、認められるではなく、自分で自分を褒めまくることが大切です。すると、その姿勢にまわりの人も「すごいなぁ」と共感するようになります。

 『特定の人としかうまく付き合えないのは、結局、あなたの心が冷めているからだ』 第5章 より 五百田達成、堀田秀悟:著 クロスメディア・パブリッシング:刊

 現実の自分の実力を正確に把握する。
 そして、確実に超えられるハードルをひとつずつこなしていく。

 それが大事です。

 自信を深めて、達成感を感じつつ、徐々にハードルの高さを上げていく。
 何事も「まず一本」の気持ち。

 あきらめることなく続けていきたいですね。

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☆    ★    ☆    ★    ☆    ★    ☆

 厳しい不景気が長引き、どことなく殺伐(さつばつ)とした空気が漂う日本。
 人間関係が希薄になり、以前より人びとの「心が冷めた」ことも、大きな原因のひとつにあるのかもしれません。

 人間の心は、「ナマモノ」です。
 放っておくと、周囲の温度につられて、冷めてしまいます。

 結局、人の心を温めるものは、「人の心」以外にはありません。
 人と人との関わりを大切にし、「温かい心」を忘れず、充実した人生を歩んでいきたいものです。


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