【書評】『トヨタの片づけ』(OJTソリューションズ)

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 お薦めの本の紹介です。
 OJTソリューションズの『トヨタの片づけ』です。


  OJTソリューションズは、トヨタ自動車とリクルートグループによって設立されたコンサルティング会社です。
 トヨタ在籍40年以上のベテラン技術者が「トレーナー」となり、豊富な経験を生かして(OJT:On the Job Training)により、変化に強い現場づくりを支援しています。

片づけをすれば生産性がアップする


 日本を代表する世界的な自動車メーカーのトヨタには、片づけの文化が浸透しています。
 トヨタには「何事も5Sから」という言葉があります。
「5S」とは、次の活動の頭文字をとった言葉で、職場環境を維持・改善するうえで用いられるスローガンです。

  • 整理(Seiri)
  • 整頓(Seiton)
  • 清掃(Seisou)
  • 清潔(Seiketu)
  • しつけ(Shitsuke)
 5Sは、効果的な改善手法として、日本だけでなく、世界の企業から注目を集め、採用されています。
 どんな職場でも仕事でも応用できる考え方です。
「片づけができていない」という状況は、5Sでほぼ100%解消されます。
 その理由は、以下の通りです。

 なぜなら、5Sは仕事そのものだからです。
「整理・整頓は、仕事と別もの」ととらえている人も多いかもしれません。「職場や机まわりをキレイにするのが整理・整頓だから、仕事の合間にやれば十分」と。
 しかし、トヨタでは、5S、すなわち片づけは仕事の一部ととらえています。普段から習慣的にやるのが当たり前なのです。
 本書は5Sの専門書ではないので詳細ははぶきますが、5Sを実施すれば、安全の確保、原価低減、品質の安定、従業員のマネジメントなど、企業が抱えるさまざまな問題が改善していきます。5Sに取り組めば、それだけで生産性がアップするともいわれるほどです。
 「経営のすべての道は5Sに通じる」といっても過言ではありません。

 『トヨタの片づけ』 CHAPTER1 より  OJTソリューションズ:著  中経出版:刊

 工場とオフィスにおける片づけの重要性には、まったく違いがありません。
 オフィスでもトヨタ流の片づけを実践すれば、必ずムダがなくなり、効率が上がります。
 著者は、工場の片づけが生産の効率や成果にプラスの影響をもたらすのと同じように、オフィスのデスクまわりの片づけも、仕事の効率や成果に直結していると述べています。

 本書は、トヨタの工場や開発などものづくりの現場で活躍していた元トヨタマンのトレーナーたちの「片づけ」に関する知恵やノウハウを一冊にまとめたものです。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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「いつか」には、「いつまでに」と期限をもうける


 目の前にあるモノが「いるもの」なのか、「いらないもの」なのか。
 トヨタでは、その判断を「時間」を基準にして区切り、大きく以下の3つに分けています。

 ①いま使うもの
 ②いつか使うもの
 ③いつまでたっても使わないもの


 整理のポイントは、2つ目の「いつか使うもの」にどう向き合うかです。

「いつか使うもの」に対しては、必ず「いつまでに使うか」を問わなければなりません。つまり、期限をもうけるということです。
 どんなモノであるかによって、その期限はさまざま。それでも、1週間後、1ヶ月後、3ヶ月後、半年後・・・・というように、モノや仕事の種類によって期限を決める必要があります。
 ひとたび期限をもうけたら、その期限が「いるもの」と「いらないもの」を分ける判断基準となります。
 たとえば、誰からモノをあずかったとします。
「とりあえずここに置かせてください」
 そうした場合、私たちトヨタの人間が必ず相手に聞き返す言葉があります。それは、「いつまでに使いますか」ということ。いつまで保管しておけばよいのか、期限を明確にするのです。
 そして、期限がやって来て、相手から何の連絡も来なかったとしたら、それは、「いらないもの」として自動的に処分します。

「いつか使うもの」に対しては必ず期限をもうける。それを過ぎても使われることがなかったら、3つ目の「③いつまでたっても使わないもの」へと格下げする。そして捨ててしまう。これが原則です。

 『トヨタの片づけ』 CHAPTER2 より  OJTソリューションズ:著  中経出版:刊

 重要なのは、「いつまでに」の期間を短くし、できるだけ間近なところに設定することです。
「いつか使うかもしれない・・・・」
 そんな未練はキッパリ絶ち、決めた基準通りに粛々と行なうこと。
 身の回りを綺麗に保つコツですね。

「使う頻度」で置き場を決める


 必要なものを必要なときに、すぐに取り出せるようにするのが「整頓」です。
 スペースには限りがあります。
「必要なもの」を、「頻度」という基準にしたがって分類して、それぞれの置き場を考える。
 それが、トヨタ流の整頓です。
 具体的な方法は、以下のようなやり方です。

 ①毎日使うのか
 ②2~3日おきに使うのか
 ③1週間おきに使うのか

 これらをまとめ、その頻度順にモノを手元の近い場所に置いていくのです。
 これは、家庭のキッチンでも同じです。
 包丁など普段使うものは、すぐ手にとれる場所にありますね。一方で、あまり使わないものは、棚の上のほうに置いているはずです。
 それから「よく使う」「あまり使わない」も季節によって変わってくるはず。土鍋などは秋冬の寒い時期しか使いません。そうしたものは、夏の間は棚の奥のほうに収め、秋冬になると手前の棚に収納しているはずです。
 頻度順にモノを置いていくとは、そういう感覚です。

 それは仕事でも同じです。

 ①よく使うものは、デスクの引き出しや近くの棚に置く
 ②1週間に1度、1ヶ月に1度であれば、少し離れた棚に置く
 ③半年に1度、1年に1度であれば、別室の資料室や倉庫に置く

 ということです。

 『トヨタの片づけ』 CHAPTER3 より  OJTソリューションズ:著  中経出版:刊

 書類に関しても、この考え方が応用できます。
 時系列順、つまり年度別・月別にのボックスに入れて順番に並べるというやり方が有効です。
 保管期限を予め決めておいて、その保管期限が過ぎたものから順にボックスごと「いらないもの」として廃棄していけばいいわけです。
 いろいろ応用が効きそうなアイデアですね。
 手始めに、自分のデスクの中身から「整頓」してみましょう。

「清掃は点検なり」の意味


「整理」「整頓」により、オフィスや工場は片づいてキレイになっていきます。
 5Sの残り3つ「清掃」「清潔」「しつけ」は、その状態を維持していくための日々の活動です。
 トヨタには、「清掃は点検なり」という言葉があります。
 工場で清掃することのメリットは、キレイになった状態を維持するということ以外に、「発生するゴミや小さな汚れのなかから異常を発見する」こともあります。

 たとえば清掃していて、床面にボルトが1つ落ちていたとします。それは一体、どこから落ちたのか。上を見て、左を見て、右を見ている。設備のどこかが老朽化していて、そこからボルトが外れたのであれば、一大事となります。
 ゴムのカスなどが落ちていたら、どう考えればいいでしょうか。設備のどこかのベルトが摩耗して劣化している可能性もあります。それにいちはやく気づき、摩耗したベルトの交換などの処置を早急に行えれば、設備の故障を未然に防ぐことができます。

 これは工場にかぎったことではありません。日常的にオフィスやデスク周りの片づけやそうじをすることで、「提出し忘れた書類」「処理していない仕事」が見つかることがあります。たとえば、パソコンの中身の片づけをすれば、「メールの返信忘れ」「締め切りが迫った書類作成」などに気づき、ミスやトラブルを未然に防ぐ事ができます。

 『トヨタの片づけ』 CHAPTER4 より  OJTソリューションズ:著  中経出版:刊

 清掃は、いつもと違った状況に気づき、問題を発見するチャンスとなります。
「いつもと違った状況」に気づく。
 そのためには、「いつもの状況」つまり、「整理」「整頓」された状態がキープされている必要があります。
 要らないものや用の済んだものは、そのまま放っておかないこと。
 気づいた時点で元の位置に戻すという習慣を身につけたいですね。

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「カンバン」や「カイゼン」という言葉とともに、世界中に広く知られているトヨタ流生産方式。
 トヨタを一流のグローバル企業にまで成長させた要因のひとつに、「現場レベルでの改善活動の徹底」があります。
「効率を上げることはできないか」
「簡略化できることはないか」
 現場の作業員やオペレーターひとりひとりが、つねに意識を高く作業しています。
 そこから生まれた改善のアイデアから、毎年巨額の合理化効果を生み出し、製造コスト削減に大きく寄与しています。
 このことは「5S」の考えに象徴される「トヨタの片づけ」の意義が会社全体に浸透していることと大きく関わっているのは間違いありませんね。

「何事も5Sから」
 私たちも、スッキリした仕事環境を自分でつくり出し、効率的な仕事を目指したいものですね。

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