【書評】『仕事は5年でやめなさい。』(松田公太)

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 お薦めの本の紹介です。
 松田公太さんの『仕事は5年でやめなさい。』です。

 松田公太(まつだ・こうた)さんは、起業家です。
 大学卒業後、大手銀行に就職するも数年後に退行し、「タリーズコーヒージャパン」を立ち上げ、日本でも有数のコーヒーチェーン店まで育て上げられました。

「やめる」と決めれば、成長は加速する


 松田さんは、タリーズの入社式のあいさつで新入社員に向かって、「5年後には全員やめてもらいたいと思っている」と述べています。

 その言葉には、人生設計を5年という期間に区切って考えてもらいたいという真意が込められています。

 自分のそれまでの5年間のやり方を変え、考え方を変え、バージョンアップしながら5年単位で成長し、本当の実力をつけていくことが必要だからです。

 5年間だけと決めてしまえば、大抵のつらいことには耐えられます。

 また、5年しかないと思えば、どんな小さな仕事でもおろそかにはできません。
 できる限りのことを吸収してやろうと、何事にも必死に食らいつきます。

 日本では、とかく、何かひとつのことをエンドレスに続けることを美徳としがちです。
 期間ごとに全く違うことをするということに馴染みがない人が多いでしょう。

 しかし、松田さんは、個人の成長を考える場合、あえて「やめる」という視点を持つことの大切さを感じると述べています。

 この本では私自身が使っている「5年」を推奨していますが、大切なのは「期限を設定する」ということです。
 時間が流れる感覚は人によって、そして時期によってそれぞれだと思います。たとえば、小学校のころ「1年」という期間がどれほど長く感じられたか、誰もが覚えていることでしょう。中学生や高校生にとっては3ヶ月も「集中して懸命にやる」期間としては程よいのかもしれません。
 つまり、人によっては私の推奨する5年ではなく、3年で今後設定していこうと思うかもしれません。ぜひそれは柔軟に考えてもらえばと思います。
 繰り返しになりますが、大切なのは、「期限を設定する」ということ。「やめる」という期限を決めれば、人はぐっとその成長速度を上げるのです。
 期間を明確にし、その時々の目標に向かって精一杯取り組んでいれば、成長は加速し、のちの大きな糧となり、人生の目的に近づくことになるのです。

 『仕事は5年でやめなさい。』 1章 より  松田公太:著  サンマーク出版:刊

 期間を決めるということは、ある意味“退路を断つ”ということです。

「ここまでに、これをやらなければいけない」

 それが決まると、集中力が高まり、自分の想像している以上の力が出せます。

 本書は、松田さんが5年区切りの人生設計を自ら実践されている中で心がけていること、気づいたことなどがまとめられた一冊です。
 その中からいくつかご紹介します。

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失敗する人ほど成功の確率が高まるワケ


 人は、誰でも「失敗」します。

 失敗なくして、成功はあり得ません。
 松田さんも例外ではなく、いくつもの失敗を経験しています。

 今でこそ、規模が大きくなり、順調な経営を続けるタリーズ。
 しかし、1号店を開店した当初は、失敗の連続で、大幅な赤字の月が続きました。

 赤字をはじき出していた3ヶ月のあいだであきらめて、簡単にやめてしまっていたら、それは「3ヶ月の失敗」ではなく、「事業の失敗」になってしまいます。
 そこで持ちこたえたから、「失敗」は、その後のタリーズを発展させるうえでの基礎、授業料となったのです。
 人は英語学習や資格を取るためにはいくらでも授業料を出すものですが、仕事の失敗となると、不思議とそれを挽回して次ぎに生かそうとはせず、他人にも自分にも隠してしまう傾向があります。時間や金銭という授業料を出すのをなんとなく惜しんでしまいがちです。
 成功が、誰もがおいしいと感じるわかりやすい食べ物だとしたら、失敗は栄養のある野菜にたとえらえるかもしれません。
 多少は苦くても、それを身体に入れなければ、事業は衰退してしまうと言ってもいい。成長過程での失敗は、人や企業が大きく育つための必要な栄養ととらえ、それを成長のためにどう生かすかを考えてみるのです。

 『仕事は5年でやめなさい。』 2章 より  松田公太:著  サンマーク出版:刊

 失敗は「避けるべきこと」ではなく、「経験すべきこと」。
 成功も失敗も、たくさん経験することが自分を大きく成長させ、ステップアップさせます。

 大事なのは、選り好みをせずにどんなことにでもチャレンジしようという意識をつねに持つことです。
 その結果がどんなものであっても、自らの血となり肉となります。

単調な仕事ほど脳を使え


 短い期間で、ものごとを吸収していこう。
 そういう意識が高まるほど、単純作業がおっくうになり、モチベーションを落とす原因になります。

 自分ひとりで単調な仕事に耐えるときには、とことん「ポジティブ」に考えることが大事です。

「一見単調に見える仕事こそ、脳を使え。」

 これが松田さんが、自身の経験の中でつかんだ真理です。

 脳を使いながら単調な動きをこなすことで、筋肉を強く、思いどおりに変えていく。
 それは今あなたがやっている単調な仕事でも同じです。
 誰にとっても、単調な仕事いうものは必ずあります。どこかうまくいかない、行き詰まりを感じるというときには、その単調な仕事を丁寧にやってみる。右から左に流れ作業のようにこなしてしまっている仕事に、あえて前のめりになってひと手間をかけ、きっちりこなす。
 すると不思議なことに、思いがけないところでブレイクスルーがある。気持ちが晴れ、別の課題に取り組もうという気持ちがわいてくる。
 単調な労働が、そのまま退屈なもので終わるか、あるいはそこから成長の種を見つけ、自分自身を変えるものになるかの分かれ道は、まさに、その仕事を始める段階で、その作業をどうとらえ、意味づけし、どんな工夫で実行していくか、という選択そのものなのです。

 『仕事は5年でやめなさい。』 3章 より  松田公太:著  サンマーク出版:刊

「面白い」「つまらない」は、自分自身が勝手に判断していることです。
 考え方次第、やり方次第で面白くもなるし、つまらなくもなるということ。

 どんな仕事でも、「ここから何かを得てやる」という積極的な姿勢で臨みたいですね。

「ペイン」よりも効果的な「ファン」


「No Fun, No Gain」
(楽しみなくして、得るものなし)


 これは、「No Pain, No Gain」(苦しみなくして、得るものなし)という米国で人気の言葉を、松田さんなりに言い換えた言葉です。

 楽しくなければ、何事も長続きしません。
 5年という短い期間でそれなりの成果を出そうと集中して取り組もうと思えば、なおさらです。

 松田さんは、楽しんで続けるための秘訣は、「自分をほめて楽しむこと」だと述べています。 

 通常なら誰にも気づかれない地味な仕事ならよけいに、自分で自分をほめながらやるといいと思います。
「みんなが嫌がるこんな仕事を楽しんでやれる俺って、すごいよな」というふうに。
 私も、サッカーの厳しい練習で、自分で自分を面白がりほめると、つらいことが楽しいことに反転しました。
 他人に対しては、できていないところはひとまず流して、いいところ、できたところを見つけ、そこを少しオーバーなくらいにほめる。
 自分に対しては、自分が頑張っていると思ったら、「俺って案外やるじゃないか。これでまた1歩成長できるな」とほめる、そして面白がる。
 これが「ペイン」(つらさ)を「ファン」(楽しみ)に変えてくれる秘訣です。
 そして楽しんでやったことこそが、自分自身を育てるのです。

 『仕事は5年でやめなさい。』 5章 より  松田公太:著  サンマーク出版:刊

「他人にほめられる」
「周りの人の評価や反応を得る」

 そんなことのために頑張るには、限界があります。
 実際に自分の期待している評価が得られなかったときのショックも大きいです。

 自分自身の頑張りや小さな成長をほめてあげること。
 その積み重ねが、モチベーションの火を絶やさないために一番必要なことです。

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 5年で一区切りをつけて、次の5年では、さらに新しいことにチャレンジしていく。
 言葉では簡単ですが、実行するには、かなりのエネルギーが必要となります。

 5年後の自分成長した姿を、どれだて具体的にイメージすることができるか。
 そして、そのイメージを持ち続けることができるかがポイントです。

 今、この瞬間の「自分を変えよう」という強い決意。
 それが「5年後の大きく成長した自分」を作ります。

 そんなことも頭に入れながら、残りの人生設計を組み立てていきたいですね。


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