本一冊丸かじり! おいしい書評ブログ

本を読むことは、心と体に栄養を与えること。読むと元気が出る、そして役に立つ、ビタミンたっぷりの“おいしい”本をご紹介していきます。

【書評】『人生を好転させる 声のみがき方』(中島由美子)

お薦めの本の紹介です。
中島由美子さんの『人生を好転させる 声のみがき方』です。

中島由美子(なかじま・ゆみこ)さんは、「フルサウンドヴォイス」「声道」の創始者で、「声診断メソッド」の開発者です。

「声」を制すると、人生が動く!

同じことを伝えているのに、スルーされてしまったりする人もいれば、その内容が心に深く刺さる人もいます。
その違いは、どこから来るのでしょうか。

中島さんは、聞く人に本当に影響を与えるのは、話し方や伝え方、言葉ではなく、その根底にある「声」そのものだと指摘します。

 もう少し詳しくいうならば、良い声、好印象な声になるといった表面的なものではなく、「声の波動」そのものが周りに影響を与え、人生そのものを作り出しているのです。
では「声の波動」とは、なんなのでしょうか?
この世界は、量子力学的にとらえると、すべて波動で構成されているとされます。私たちも例外ではなく、体も心も波動で構成されていると考えられるのです。
内面の在り方、潜在意識、顕在意識、超意識、その人の内面の覚醒度合いなど、すべて波動としてとらえることができるのです。
当然、人の声にも波動があります。内面のエネルギー(波動)が、そのまま「声」という乗り物に乗って発せられているのです。
耳に聞こえる可聴域の声の周波数は、「高い声」「低い声」といった特徴として聞こえます。しかし、意識しないと聞こえない、もしくはまったく聞こえないノンバーバルなエネルギーも、声には含まれています。すべての波長を含んで、その人の「声の波動」が構成されているのです。
だからこそ、「何を伝えるか」より、「誰がどのような内面の状態の波動で伝えるか」ということのほうが重要になってくるのです。

私はこれまで、17年で2万人以上の声の波形を取りながら、人の内面と声との関係性を紐解いてきました。どのような内面になっていくかで声の波動が変わり、その人の人生で起こることが変わっていくことも見てきました。
声はその瞬間瞬間で変わります。話すたびに内面の状態が動くのも、波形を取れば確認できます。人の心は動きますが、その動きによって、良いことも、ときには魔が差したように悪いことも起きるのが人生です。
しかし、自身の内面をコントロールできるようになること、すなわち自分の本来の声を取り戻し、その声の波動を持続できるようにすることで、人生の良くない出来事を回避し、良いことの連鎖を起こせるようになります。
それが、あらゆる波動を含む声、フルサウンドヴォイスなのです。
フルサウンドヴォイスで語りかけると、相手の心に直接響きます。
言葉にしてないことまで伝わり、そのエネルギーに相手が共鳴することで、あなたの人生に思いがけない幸運が訪れるようになります。
声を制することで、現実が動くのです。

本書ではこのことを、実際の体験者の成功事例などもご紹介しながら、多くの方にお伝えしていきたいという思いでまとめました。

『人生を好転させる 声のみがき方』 はじめに より 中島由美子:著 ビジネス社:刊

本書は、「声を制することで、人生を好転させる」という画期的なノウハウを、多くの人の体験例を交えてわかりやすくまとめた一冊です。
その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

スポンサーリンク
[ad#kiji-naka-1]

すべての人に心地良く響く「フルサウンドヴォイス」

相手の心に響く話し方か、そうでないか。
その9割以上を占めているのが、その人の「声」の魅力です。

中島さんは、それは、「声」という乗り物を通じて放たれている、その人の声のオーラ、声の波動なのではないかと指摘します。

 人は普段、「きちんと話さなくては・・・・・」気を遣いながら話をしていますが、そうした意識を超えて魂の思いが勝った瞬間、声のエネルギーが増幅します。このとき、人はフルサウンドヴォイスで話しています。
自分の奥に眠っている思いを言語化して誰かに話すことは、自分自身はもちろんのこと、周りにも良い波動の共鳴を起こしていきます。このように言葉に思いを馳せることで波動が伝播していくことを、「声の波動で人に影響を与える」というのです。これこそが、フルサウンドヴォイスの効果です。
人が話すことで喜びを感じるのは、自分の声が軽くなって自由自在に出せるようになったり、言葉が内側からあふれるように湧き上がってくるのを実感したときだと思います。
内面のスイッチを入れるだけで、自分というスピーカーから自然と音が奏でられるように話をしたり、歌ったりできる状態になっていくのです。まさに「ゾーンに入って話す、歌う」といった感覚です。
そうなるためには、自分の中にあるさまざまな制限を手放していかなければなりません。そうしてはじめて声が変わり、話し方、伝わり方が格段に進化していくのです。
つまり、余計な思考を手放せば手放すほど、声の波動があなた本来の輝きを取り戻し、その結果、声だけで人を魅了できるフルサウンドヴォイスになっていくのです。

「良い声」「癒やされる声」「心地良い声」に憧れる人は多くいますが、では、聞く相手にとっての良い声、本当に癒やされる声とは、一体どんな声だと思いますか?
声の高さや話し方のスピード、話すテンポ、表現方法などからさまざまなノウハウがいわれます。たとえば「ファ」や「ソ」の音階で話すとか、お腹から声を出すとか、滑舌良く話すなどです。
実際、そうしたマニュアルに沿った発声にトライした経験がある方も多いと思います。その結果、良い声、伝わる話し方といったものを手に入れた方もいらっしゃるかもしれません。
人から褒められるために話すのであれば、こうした技術の習得も一つのプロセスとして必要かもしれません。
しかし、人生で望みをかなえるのに不可欠な次のステップである、「以心伝心で伝わる」「聞いた人の人生が変わるほどの影響を与える」「聞いた人が、次々と協力を申し出る」といった話し方を獲得するには、そんなマニュアルに沿った声の出し方を手放すことが必要です。
なぜなら、マニュアル通りの良い話し方、伝わる話し方をしようとした瞬間に、声の周波数が偏ってしまうからです。作り上げた声、鍛え抜いた声では、人の内面は動かせないのです。

2万人の声診断を重ねた結果、人が心地良いと感じる声は、自分に足りない周波数、もしくは自分と同じ周波数に関係していることがわかってきました。つまり、どんなに良い声、上手な話し方をトレーニングしても、相手の声からどういった印象を受けるかは、それを聞く側の声の周波数にって決まってしまうということです。
たとえば、グリーンの共感声の周波数が少ない人は、グリーンの多い声に惹かれ、イエローのカリスマ声が強い人は、補色であるマゼンダの受容力声が心地よいと感じたりします。声と声のコミュニケーションでは、声の周波数と周波数の共鳴関係において、化学反応が起きているということです。
これが、個人の声の好き嫌い、心地良さ、さらには良い人、苦手な人という、個々の判断につながっているのです。

ところが、声をフーリエ変換して音階に分類する研究を続けているうちに、実は誰が聞いても心地良いと感じる声があることがわかってきました。それがフルサウンドヴォイスの波形なのです。

フルサウンドヴォイスの特徴は、
・いつまでも聞いていられる
・相手との距離を感じさせない、壁を感じさせない
・親しみやすい
・癖がない
・聞いたあと、元気になる、癒やされる
などがあげられます。表現はさまざまですが、まとめると相手がほっとできる周波数だということです。

このフルサウンドヴォイスで話すことによって、
・伝えようとしなくても自然と伝わる
・言葉の表現が足りなくても、相手が勝手に受け取ってくれる
・伝わるだけでなく、あなたの声を通じて相手が何かに気づくことで、相手の現実にあった課題が解決してしまう
などといった不思議な現象が起きてきます。
フルサウンドヴォイスはただ心地良いだけでなく、そうした不思議な周波数を放つ声なのです。「良い声」とか「癒やされる」などといった次元を超えた声なのです。

『人生を好転させる 声のみがき方』 第1章 より 中島由美子:著 ビジネス社:刊

図1 フルサウンドヴォイスの波形 声のみがき方 第1章
図1.フルサウンドヴォイスの波形
(『人生を好転させる 声のみがき方』 第1章 より抜粋)

図2 自分に足りない声を出す人に惹かれる例 声のみがき方 第1章
図2.自分に足りない声を出す人に惹かれる例
(『人生を好転させる 声のみがき方』 第1章 より抜粋)

図3 自分に似た波形の人に惹かれる例 声のみがき方 第1章
図3.自分に似た波形の人に惹かれる例
(『人生を好転させる 声のみがき方』 第1章 より抜粋)

中島さんは、声の周波数の波形グラフを見れば、声はその人の、今この瞬間の心のエネルギーの状態として表されていると指摘します。
つまり、声の波形を見れば、自分の心の癖を見つけることができるということ。

本書にはQRコードが付いており、そこからLINE登録すると、簡単に自分の声の波形を診断できる「声診断ソフト・ライト」を利用できます。
皆さんも、ぜひ、試してみてくださいね。

声の波形は「心のレントゲン」

中島さんは、声診断ソフトを使ってその人の声の波形を取ると、どの音階の成分を多く含んでいるか、つまり、どの色が強く表示されるかによって、その人の思考のエネルギーが強い部分がわかると述べています。

以下に、“心のレントゲン”ともいえる声診断ソフトの活用方法を紹介します。

 声の波形は、本来は12音階(12色)×8オクターブを12の心理エネルギーで表します。これを解説するととても複雑な専門書になってしまいますので、本書ではその半分の6音階×1オクターブで解説していきます。本来は12色で表す12音階を6色に分類しました(下の図4を参照)。

・レッドの声(ド)・・・・・安定したパワーのある声
・オレンジの声(レ)・・・・・感動が伝わる、人を動かす声
・イエローの声(ミ)・・・・・カリスマ性、華のある声
・グリーンの声(ファ♯)・・・・・共感力のある親しみやすい声
・ブルーの声(ソ♯)・・・・・理路整然とわかりやすく伝わる声
・マゼンダの声(シ)・・・・・受容して見守ってくれるような声

本書では、実際に声を分析して波形を取っていただきますが、このときによく起きがちなのが、「何色が出た。ヤッター!」「何色が出ていない。ダメだ」といった一喜一憂です。これはまったく意味がありません。
実際に何度も波形を取ってみればわかりますが、取るたびに波形は変わります。なぜなら、声の波形は「心のレントゲン」だからです。
人の心はそのときによって変わります。声の波形を取ると、今の自分に足りない色、課題の色がわかります。声診断はその色を把握し、その原因となっている心の癖を外すように努め、何を話してもすべての色がバランスよく出る状態まで、声を進化させるためのものです。これが心の癖、負の思考パターンと向き合っていくということです。

声の波形を取っていくと必ず聞かれるのは、
1この波形はどう読むのか?
2色の意味は?
3どうして出ない色があるのか?
ということです。
順番に説明していきましょう。

グラフに強く出ている色は、今のあなたの声に多く含まれている周波数、つまりエネルギーです。「自分自身の中には今この周波数の成分が多く含まれているのだな」と解釈してください。強く出ているエネルギーが良くて、出ていないエネルギーが悪いという意味ではありません。
毎日声の波形を確認しながら、全色バランスよく出るフルサウンドヴォイスを目指していきましょう。そのためには、自分自身の心の癖やエゴを一つずつ手放していくことが必要です。心が偏ることのないように、つねに真ん中、中庸な状態を保てるよう、不動心を目指していきましょう。声診断は、そのための指針としてとらえてください。

色と声のエネルギーの関係は、30ページの表のようになります(下の図4を参照)。
各音階のエネルギーはプラスにとらえることも、マイナスにとらえることもできます。
たとえばイエロー(ミ)の音はプラスに読めば、自信がある、個性豊か、カリスマ性ということになりますが、マイナスに読めば、マイペース、自己中心的、我が強いと表現することもできます。
そのため、声の波形のゴールは「中庸」、つまり、ある色ばかりが強く出て、出ない色があるというのではなく、すべての色が出そろうフルサウンドヴォイスということになるのです。
その場合のイエローは、ありのままの自然な自分、等身大の自分を愛するということになります。ですから、波形のいちばん強い色、弱い色に自分が次のステージに上るための鍵があると読み解くと良いです。

波形が少ない色、出ない色もあると思います。実はここがいちばんの肝です。出ないからだめなのではなくて、そこに人生で繰り返してきた無意識のパターンが隠れており、そこに気づくチャンスであるととらえてください。
今、課題や悩みがあるならば解決に向かう鍵がここにあります。あなたの中に何か思考感情の癖があり、その色を出なくさせているのです。そこに気づいて手放すことができれば、無自覚な失敗パターンを一つ解決できます(声から読み解く内面の整え方については、第3章でお話します)。
逆に、特に良い状態のときは、出ていない色はさらに上のステージに上るための入り口を示してくれています。
出ていない色は、自身の課題、負のパターンを教えてくれているわけですから、むしろ人生を開くきっかけを与えてくれているといえます。

このように毎日自分の「声」と向き合うこと、すなわち自分の「心」と向き合う習慣は、内面をより平穏に整え、人として成長し続けるための土台を作ります。

『人生を好転させる 声のみがき方』 第2章 より 中島由美子:著 ビジネス社:刊

図4 声の波長 色味表 声のみがき方 第2章
図4.声の波長 色味表
(『人生を好転させる 声のみがき方』 第2章 より抜粋)

強い・弱いに一喜一憂するのではなく、「ありのままの自然な自分」を知ることが大切です。

強く出た色は、自分の長所であり、ストロングポイントですから、それをさらに伸ばすべきです。
弱く出た色は、逆に自分弱みであり、足りない部分ですから、それを克服することで成長できます。

最終的に目指すは、すべての色がバランスよく出る「フルサウンドヴォイス」だということてすね。

ストレッチポールで「体」を緩める

声は、何層ものエネルギーが重なってできています。

中島さんは、体に共鳴する声、心に共鳴する声、魂に共鳴する声など、さまざまな周波数のエネルギーが折り重なって声の響きを作り上げていると指摘します(下の図5を参照)。

図5 声のエネルギー層 声のみがき方 第4章
図5.声のエネルギー層
(『人生を好転させる 声のみがき方』 第4章 より抜粋)

つまり、声の質を上げ、フルサウンドヴォイスを目指すには、「体・心・魂」それぞれへのアプローチが必要だということです。

まずは「体」へのアプローチから。
声を出すときは、体を緩めれば緩めるほど、声が響きやすくなります。

中島さんは、声を出すためには緊張している部分をできるだけほぐして、緩めていくことが大事だとし、以下のような方法を紹介しています。

 まずストレッチポールを用意してください。ネットで5000円くらいで買えますが、厚手のバスタオルを2枚くらいぐるぐると筒状に巻いたものでもかまいません。

ストレッチポールと背骨を合わせるように、仰向けで横になります。
体の硬い方はストレッチポールと背中の間に、手が入るような隙間ができることもあります。以前、体の硬い男性にやっていだだいたのですが、まるで冷凍まぐろがポールに乗っているような感じで、すべり落ちてしまってなかなか静止できない・・・・・なんていうこともありました。
できるだけ背中がストレッチポールにくっつくように、深呼吸をしながら力を抜いていくといいでしょう。力を抜いて緩めていくと、体幹がない方はポールからゆらゆらしてしまうかもしれません。最初は大変かもしれませんが、慣れてくると体幹がつくと同時に体の力も抜けるという、一石二鳥のトレーニングになります。
また一日の終わりにこのストレッチをするだけで熟睡できる人もいるようです。背骨には迷走神経が通っています。これは神経のバランスを整え、各細胞にもつながっているため、5分間やるだけでも体がスッキリしてきます。
体がポールにくっつくようになったら、今度はゆらゆらと体を揺らしてみましょう。
次にポールの上に横になったまま、右手と右足を上げて伸ばしてみましょう。左手と左足でも行い、さらに右手と左足、左手と右足でもやってみましょう。

次は体幹を意識して起き上がってみましょう。腹筋に力を入れるのではなく、筋肉の奥にある体幹を意識して起き上がります。肛門を締めるような感じです。
体感ができると横隔膜を意識できるようになるので、声を出すときの空気のポンプが働きやすくなります。横隔膜は肺に空気をためたり、肺から空気を押し出すときに使います。ヴォイストレーニングではよくスタッカートで声を出しながら鍛えたりしますが、そんなことをしなくても体幹を意識することで、横隔膜が自然と鍛えられます(下の図6を参照)。
実は声を出すとき、横隔膜は意識しないほうがいいのです。日頃から体幹が強くなっていると空気のポンプが楽に働きますから、声のヴォリュームが自然と大きくなります。

体を緩めると声が響きやすくなります。ストレッチポールを使った体を緩める方法について、さらにいくつかご紹介しておきます。足をほぐすことで低音の響きが変わります。胸や肩、腕をほぐすとチェストヴォイスが響きやすくなります(下の図7〜9を参照)。
時間があるときに、ぜひイラストを参考にやってみてください。

『人生を好転させる 声のみがき方』 第4章 より 中島由美子:著 ビジネス社:刊

図6 ストレッチポールで体を緩めて体幹を鍛える 声のみがき方 第4章
図6.ストレッチポールで体を緩めて体幹を鍛える
図7 ストレッチポールで脚をほぐす① 声のみがき方 第4章
図7.ストレッチポールで脚をほぐす①
図8 ストレッチポールで脚をほぐす② 声のみがき方 第4章
図8.ストレッチポールで脚をほぐす②
図9 ストレッチポールで腕をほぐす 声のみがき方 第4章
図9.ストレッチポールで腕をほぐす
(『人生を好転させる 声のみがき方』 第4章 より抜粋)

デスクワークなどで座っている時間が長い人は、背中、とくに肩甲骨の周りが固まりがちです。
自分では気がつかないうちに、呼吸が浅くなり、声の響きもなくなっているかもしれません。

ストレッチポールを使って、誰でも簡単にできる体の緩め方。
ぜひ、試してみたいですね。

「ソフトパレット」を開くには?

楽器は、すべて「振動体」と「共鳴器」から成り立っています。
例えば、ギターでは「弦」が振動体で「ボディ」が共鳴器です。

もちろん、人間の体も例外ではなく、声帯が振動体で体が共鳴器になります。

ただ、人間には振動体、共鳴器だけではなく、他の楽器にはないものが存在しています。
それが「ソフトパレット」です。

図10 声の質を決めるソフトパレット 声のみがき方 第4章
図10.声の質を決めるソフトパレット
(『人生を好転させる 声のみがき方』 第4章 より抜粋)

 声はソフトパレットで作られます。振動体である声帯が音を発生させ、ソフトパレットの形によって音の共鳴する箇所が変わり、それが声の質になっていくのです。

舌で口の中をたどっていくと、歯の裏側に硬い部分があります。ここをハードパレット(硬口蓋〔こうこうがい〕)と呼び、そこから喉のほうにいくと、舌の届かない柔らかい部分があります。これがソフトパレットです。別名「Singer’s Mouth」といわれるほどに、声の音色を作るうえで鍵となる部分でもあります。言葉の子音は口の前方で発声されますが、母音が形成されるのがこのソフトパレットなのです。
そして注目すべきことは、このソフトパレットは心と関係しているということです。ソフトパレットをいくら「開こう」「緩めよう」と意識してもなかなか簡単にはいきません。なぜなら、ソフトパレットは心に連動しているからです。
ソフトパレットを開くということは、すなわちオープンマインドになるということ。何も引っかかることがない心、つまり、心の癖を手放したクリアな状態になれば、ソフトパレットが緩んで開きます。しかし、心に制約があったり、頑張って声を出そうとしているうちは、なかなかソフトパレットがオープンになりません。

心の癖がソフトパレットの形を作り、その心の癖を手放していくことで、ソフトパレットを柔らかく自由自在に、丸く形作ることができるようになります。そうしてはじめて、本来の自分という楽器のポテンシャルを発揮することができます。これがフルサウンドヴォイスです。

声帯は振動する速さによって、音の高低をコントロールします。そして、ソフトパレットの形は共鳴する位置に影響し、その結果、声の音色、質、周波数に影響します。
よく「喉を開ける」「喉を開く」といいますが、これは簡単ではありません。本人は開けているつもりでも本当は開いていなかったり、開いてはいるもののソフトパレットが少し緊張して固くなっていたり・・・・・。ちょっとしたことで声の音色や質は微妙に変化します。
耳を鍛えていないとわからないくらいの微差ではありますが、その微差が波動としては大きな差となってしまいます。体感的には「なんとなく違う」「言葉とは裏腹に妙な感じがした」といった程度ですが、このわずかな波動の差が、相手の内面には大きく伝わってしまうのです。

このように目には見えないけれど相手に伝わるエネルギーを、ノンバーバールエネルギーといいます。
中でも、声に含まれるノンバーバルエネルギーは、その微差が現実世界では大きな違いを生みます。あの人なら何を言われても嫌な気持ちがしない、あの人が言うだけで周りが率先して動く、あの人に「ありがとう」と言われただけで涙が止まらなかった・・・・・こうしたことは、しばしば起こります。これは声に含まれるノンバーバルエネルギーによるものです。そして、この声の波動を作り出すのがソフトパレットなのです。

ソフトパレットはマインドが影響し、思うことでコントロールできる。

チェザリー氏は、著書の中でこのように述べています。私は声診断ソフトでたくさんのひとの声の波形を取りながら、このことを検証してきました。
確かに心の状態が良いとソフトパレットが開きやすくなり、声の波形がまん丸、フルサウンドヴォイスの形を示します。その反対に、緊張したり、ナーバスになったりすると、とたんにソフトパレットが狭くなり、よくいわれる「喉を締めながら話す」といった感じになるのです。人の心の状態がソフトパレットに影響を与え、そのソフトパレットの形が、声の波形に反映することを実感しました。

音色を作るソフトパレットが心と直結しているということは、良い声を出す前に、まずは心の状態を良くしていくことが、ヴォイストレーニングで効果を上げるためには必須といえます。
たとえば「自分の声を嫌う」という現象の奥には、「ジャッジする」という心の癖があります。何かにつけて正しいかどうか? 理にかなっているかどうか? とジャッジしがちな心の癖がソフトパレットを締め、ある周波数が鳴りません。すると余計に自分の声が嫌いになるという負のスパイラルに陥ることになります。
「高音が出にくい」という現象の奥には、「こうあるべきだ、こうでなければならない」という心の癖があります。自分に限界を作り、自分を守りたいという思いが、ソフトパレットの開きに限界を作ってしまうのです。もっと自由に伸び伸びと生きたいけれどそれできないといったジレンマから、もっと開けるはずのソフトパレットがなかなか開かなくなるのです。

そんなときはコツコツとソフトパレットの筋トレをしながら、自分の心の癖を手放していくことが、声の質を良くしていくための近道です。
つまり、心の癖を手放していくことがソフトパレットを制することになり、それが声を制することになるのです。
これができてはじめてフルサウンドヴォイスとなり、その声の波動が周りに影響を与え、より望ましい現実を作り上げていくことになります。

声を出しながらメンタルの課題をチェックすることで、ソフトパレットを鍛えるトレーニング方法を紹介します。

①スケールを歌う

1 ピアノなど音階の出せる楽器を用意します。最近は無料のピアノアプリがあるので、それでも結構です。
2 まずは「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ド」と鍵盤で音を出しながら、それに合わせて、「アー」と声を出してみます。下の「ド」から上の「ド」まで上がったら、今度は上の「ド」から下の「ド」まで下がっていきます。
3 出しづらい音階や、声が詰まったり、かすれたり、裏返ったりするところがあったかをチェックします。
4 出しにくい音階があれば、第3章を参考にしてメンタルチェックをしてみてください。もしかすると、その音階に関するメンタルの課題があるのかもしれません。
5 今度はソフトパレットに丸いボールが入っているようなイメージで「アー」と声を出しながら、もう一度スケール、「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ド」と声を出してみます。ソフトパレットを今できる最大限に開いて声を出してみます。

最大限にソフトパレットが開いている状態は「あくび」の状態になります。開いているのかよくわからないときは、あくびをしてソフトパレットの開き具合をチェックしてください。
これはソフトパレットの筋トレ兼ストレッチだと思ってトレーニングしてみてください。

②ソフトパレットが開いている人と一緒に声を出す

パレットが開いている人の音声に合わせてモノマネのように声を出すことで、自身のソフトパレットも開こうとする現象が起こります。モノマネをするには、音声を聞き分ける耳を鍛えることが大切です(事項参照)。

『人生を好転させる 声のみがき方』 第4章 より 中島由美子:著 ビジネス社:刊

声の状態は「心」の状態と直接結びついています。
そして、心の状態が最も影響する器官の一つが「ソフトパレット」です。

心が自由に伸び伸びとすると、ソフトパレットも柔らかく自由自在に動くようになる。
そうすると、声自体が柔らかくて伸び伸びとしたものになります。

トレーニングを習慣にして、最高に自由な声を目指しましょう。

スポンサーリンク
[ad#kiji-shita-1]
☆    ★    ☆    ★    ☆    ★    ☆

本書から利用することが可能な「声診断ソフト」は、性格診断が目的ではなく、自分自身で最高のマインドセットができるようになるためのツールです。

中島さんは、日々体重をチェックするように、毎日声の波形を取ることによって、今の自分の心の在り方、内面の状態をチェックし、いつも内面が良い状態でいられるように、自らの心を整えることに活用してほしいとおっしゃっています。

今どんな声なのかは、問題ではありません。
これからどんな声を目指していくのか、それが重要です。

声は、心の状態をダイレクトに反映します。
声が変われば、心が変わり、人生が変わります。

声という切り口から人生を変える、これまであまりなかったユニークな自己啓発本。
皆さんも、ぜひ試してみてください。

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ(←気に入ってもらえたら、左のボタンを押して頂けると嬉しいです)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です