【書評】『勉強の結果は「机に向かう前」に決まる』(池田潤)

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 お薦めの本の紹介です。
 池田潤さんの『勉強の結果は「机に向かう前」に決まる』です。

 池田潤(いけだ・じゅん)さんは、有名な受験コーチです。
 大学在学中に立ち上げた受験勉強法を書いたブログが、一日1万アクセスを超える人気となります。

「勉強で結果を出す」ことは、簡単だ!


 池田さんは、多くの人が「勉強したフリ」をしているだけで、実は「全く勉強をしていない」と指摘します。

 勉強で重要なのは、「何時間机に向かった」とかいう「形」の部分ではありません。
 あくまで、「何を理解することができたのか」「どれだけ知識を頭に残したのか」「どんな問題が解けるようになったのか」という「中身」です。
 
 勉強で本当に大事なことは、ノウハウでも方法論でもなく、「自分自身が変わること」

 池田さんは、あなたの意識、考え方、生き方を変えることこそが、勉強で結果を出すために、人生を変えるために必要なことだと強調しています。

 本書は、小手先のテクニックではない、結果を出すための本質的な勉強法をまとめた一冊です。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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同じ問題は二度と出ないと思え!


 池田さんは、今目の前にある問題が解けることが大事なのではなく、今目の前にある問題から、他の問題にも通用する原理原則を学ぶことが重要なのだと述べています。

 一つの問題から他の問題にも応用できることを見つけ出すこと。
 この作業を「抽象化」といいます。

 池田さんは、「抽象化」してあらゆる問題に対応するための方法として、「同じ問題は二度と出ない」というマインドセット(考え方)で勉強するということを挙げています。

 同じ問題が出ると思って勉強すると、「記憶量」は増えるかもしれません。
 しかし、そういう意識で勉強すればするほど、思考することを忘れていきます。
 思考することを忘れて勉強をしていくと、初見の問題や、自分で考えさせられるような問題は解けない頭になってしまうのです。覚えさえすればいいんだ、と思うと、思考もせずにそれを頭に詰め込もうとしてしまうからです。
 そうなると、どんどん「形式」だけの勉強になってしまう。

 逆に「同じ問題は二度と出ない」と思って勉強をするとどうなるか。
 自然にそこから原理原則を学ぼうとします。
 他の問題にも通用する、抽象的な解法を学ぼうとするのです。
 例えば、数学で「場合分け」が必要な問題が出たとします。通常は、「なるほど“この問題では”場合分けが必要なんだ」という理解の仕方をします。
 しかし、同じ問題が二度と出ないと思っていると、「場合分けっていうのは、“どういうときに”必要なんだろう?」という思考になります。
 なぜなら、同じ問題はもう二度と出ないとすれば、その問題だけ通用する解法を学んだところで全く意味はないからです。
 自然に、他の問題にも応用できるような本質的な部分を学ぼうとします。
 すると、場合分けが必要な問題全般に通じる力が身についていく。「場合分け」に強くなるということです。
 だから、試験本番で、やったことのある問題と全く同じものが出題されなかったとしても、場合分けが必要な問題であれば、対応することができる。
 しかし、個別具体的な部分しか見ていない人は、やったことのある、まさに同じその問題が出されなければ、対応できないのです。

 『勉強の結果は「机に向かう前」に決まる』 第2章 より 池田潤:著 サンマーク出版:刊

 
 問題の解き方の表面的な部分をまる覚えするのではなく、解き方の「原理原則」をしっかり理解することが大切だということ。

 意識を変えるだけで、一つの問題の解き方を覚えることで、その何十倍もの問題の解き方を覚えたのと同じ効果を生み出します。

「学びフィルター」で考え方は大きく変わる


 勉強を続けるために「やる気」は欠かせない要素です。
 やる気を出すためには、「願望」「肉体」「人間関係」「考え方」の四つが必要です。

 例えば、「考え方」について。
 人の行動は感情によって大きく左右されます。

 ネガティブに考えたり、感情が乱れないようにする。
 そのために、まずは「全ては解釈次第」と考える必要があります。

 池田さんは、その意識を植えつけるために「学びフィルター」を取り入れることを勧めています。
 学びフィルターとは、「そこから何を学べるのか?」という視点で出来事を見ることです。

 出来事が起こったときに、そこから学べたことにフォーカスしてみるということ。
 このフィルターを通して出来事を見ることで、出来事の良い面に自然に目が行くようになります。
 もしくは、「この出来事を通じて得られたことは何?」というフィルターでも良い。
 多くの人は、失ったもののほうに目を向けます。しかし、失うばかりの出来事というのは存在せず、そこには必ず得られるものがあるはず。
 悪いと判断してしまうのは、出来事の悪い面ばかりを見てしまうからです。
 そう考えていくと、出来事によって自分の感情を乱されることが減っていきます。出来事の悪い面ばかりを見る癖がついているから、感情が乱されてしまうだけです。
 そもそも、「良い」「悪い」という判断も、周りの環境や時代、人々の考え方によって変わっていきます。
 昔は良かったものが、今では悪いと判断されることもたくさんあります。
 例えば、昔は大企業に勤めることが良いとされていました。
 しかし、今ではどうでしょうか? 大企業であっても、いつ倒産するか分かりません。逆に大企業の場合、時代の変化について生きない、ということも起こっています。大企業に勤めることが必ずしも良いことばかりではない、という風に考えられるようになってきたのです。
 時代の変化によって、良い悪いの判断が逆転しています。良い悪いの判断は、所詮(しょせん)はその程度のものなのです。だったら、いちいち出来事を「悪い」と判断してネガティブになることはありません。
 行動は感情から生まれます。ネガティブな感情を持ってしまうと、行動がストップしてしまう。
 だからこそ、フィルターを変えることが重要になってくるのです。

 『勉強の結果は「机に向かう前」に決まる』 第4章 より 池田潤:著 サンマーク出版:刊

 起こっている事象はひとつです。
 しかし、それをどう受けとるかは、人によってさまざまです。

「どんな出来事からも学んでやろう」

 そういう意識を持つことが気持ちを前向きに保つ秘訣です。

脳の異なる部分を使う作業をローテーションする


 効率的な勉強には「集中力」も欠かせません。
 池田さんは、集中力は以下の公式から求められるとしています。

 「集中力 = 環境 × 肉体 × 技術 × 感情」

 集中できない大きな原因の一つが、「飽き」です。
 好きなことでも、長時間同じことをやり続けると、だんだんと惰性になります。

 池田さんは、「勉強のなかで自分に刺激を与える」とよいと述べています。

 自分に刺激を与えるとは、「脳の異なる部分を使う作業をローテーションする」ことです。

 ローテーションするとはどういうことかというと、まずは文章を「書く」ことをやって、次に本を「読む」ことをやり、その次にカメラに向かって「話す」ということをやる・・・・。
 つまり、「書く」「読む」「話す」ということをローテーションさせているのです。
 そうやってそれぞれ脳の違う部分を刺激しながら、仕事をすることを意識しているのです。
 そうすることで、飽きが来ません。
 同じ作業を続けるのではなく、脳の同じ部分を使うような作業を続けるのでもなく、新しい刺激を与えるような作業を行なうようにしているということです。
(中略)
 書いたら、次は話す。話したら、次は読む。または、人に会う。同じ活動を続けるのではなく、本質的に異なる活動をする。
 そうすることで、無駄な時間を過ごすことなく、高い集中力を維持することができるのです。
 英語の勉強をするなら、まずは音読をしてみる。飽きたら、英作文を書いてみる。次はリスニング・・・・・と、脳の異なる部分を刺激するような順番を意識してみる。
 ぜひ、試してみてください。

 『勉強の結果は「机に向かう前」に決まる』 第4章 より 池田潤:著 サンマーク出版:刊

 誰でも、同じ作業を長時間やり続けると、集中力が切れるものです。
 気分転換の意味も込め、まったく違う作業をローテーションさせることが大切です。

 朝から晩まで、机にかじりついて参考書や問題集と格闘する。
 それは、メンタルな面からもあまりよろしくないようです。

 集中力を保てるように、工夫したスケジューリングを心掛けたいですね。

「時間を超スモールステップ化」して自分を乗せる


 勉強を継続させるには、とにかく「心理的なハードルを取り除く」こと。

「やりたくないなあ」
「気が重いなあ」

 そういう気持ちを起こさせないことが重要です。

 そのための方法のひとつが、「超スモールステップ法」です。
 とにかく、こなしたいと思う行動を超スモールステップにする(小さいステップに分ける)という方法です。

 繰り返しますが、継続するときに大事なのは、とにかく心理的なハードルを下げることです。
 だから、まとまった時間を取ろうとするのではなく、10分でいいんだ、と思うようにする。そうすると、「10分でいいなら」ということで、とりあえずスタートを切ることができるようになります。
 人間には「作業興奮」という脳の働きがあります。何かの作業を開始すると、だんだんと気持ちが乗ってきて、やる気も高まっていくのです。
 勉強を始めることさえできれば、ある程度「乗って」きて、勉強を続けることができます。
 つまり、実は一番厄介なのは、「勉強への取っかかり」。
 最初の取っかかりさえ上手くいってしまえば、後はスムーズに勉強に向かっていくことができます。
 だからこそ、最初からまとまった時間、勉強しようとしない。「10分でいい」と思って始める。もし10分やってもまだやる気になれなかったら、本当に一回勉強を中断してもいいのです。
 そして、また同じことをする。また10分だけやってみる。乗ってきたら、続ける。乗らなかったら、やめる。
 そうすると、だんだんと勉強に対する抵抗は減っていきます。

 『勉強の結果は「机に向かう前」に決まる』 第5章 より 池田潤:著 サンマーク出版:刊

 どんな作業であれ、もっともエネルギーを使うのは「始めること」。
 一度軌道に乗ってしまえば、少しの力でも前に進むことができます。

 いかに、動き始めるまでの障害や抵抗を少なくするかが大きなポイントです。

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「勉強」というと、どうしても、丸暗記のイメージがあります。
 とにかく詰め込まなければいけないものだ、という先入観を持つ人も多いと思います。

 しかし、勉強の本質は「覚えること」ではなく「理解すること」です。

 実際に社会で求められる能力も知識そのものではありません。
 知識を使い、どうやって個々の問題に対応するかの「応用力」です。

 インターネットが発達した現代社会。
 必要な知識が必要なときに、いくらでも引き出せるようになりました。

 だからこそ、本書の「問題の原理原則を学び、ものごとの本質をとらえる力」は、ますます必要とされるのは間違いありません。


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