【書評】『マインドの創り方』(久瑠あさ美)
お薦めの本の紹介です。
久瑠あさ美先生の『マインドの創り方: 「潜在意識」で人生を好転させる』です。
久瑠あさ美(くる・あさみ)先生(@kuruasami)は、メンタルトレーナーです。
トップアスリートや各界アーティスト、企業経営者、ビジネスパーソンなど、のべ1万5千人を超えるクライアントから絶大な信頼を得るなど、多方面でご活躍中です。
「マインドを創る」ことができれば、人生が変わる!
久瑠先生は、「今の自分」を超えるために必要なのは、「マインドを創る」という概念
だと強調します。
「マインドを創る」とは、その人が潜在的に持つ心のチカラで、人生を望む方向に変えていく
こと。
この作業は、彫刻家がノミを使い、感性と技術を駆使し、素材を活かして美しいオブジェを彫っていく作業になぞられます。
私たちの脳には、「顕在意識」を司る部分と「潜在意識」を司る部分があります。
「顕在意識」は、私たちが何かを「考える」ときに働き、自分で意識できる部分
です。
「潜在意識」は、私たちが何かを「感じる」ときに働き、自分では意識できない部分
です。
日常生活で使っているのは、「考える」脳、すなわち、「顕在意識」を働かせています。
脳全体で見てみると、この「顕在意識」の領域は10%にも満たず、残りの90%以上は「潜在意識」の領域です。
この「潜在意識」をどうやって目覚めさせるか。
それが「マインドを創る」ためには、大きなカギとなります。
久瑠先生は、「潜在意識」の爆発的パワーで可能性の扉が大きく開き、望み通りの人生を創っていくことは、誰にもできる
と述べています。
「マインドを創る」ことができれば、誰でも驚くほど素晴らしい変化を起こすことができます。
本書は、「マインドの創り方」を解説し、その方法についてまとめた一冊です。
その中からいくつかピックアップしてご紹介します。
[ad#kiji-naka-1]
潜在意識は「心のカーナビゲーション・システム」
自らの内側に在る「潜在意識」にアクセスすることで、人は爆発的な力を発揮します。
そのために必要なのは、「未来、自分がどう在りたいか」というビジョンです。
自らの「在りたい姿」が明確になると、あとは、潜在意識が勝手に作動して、最短で行ける道案内をしてくれるのです。
それは、クルマのカーナビゲーションのシステムと同じです。カーナビは、目的地を入力しさえすれば、衛星との通信によってルートを表示してくれます。それに従えば、目的地に着けるようになっています。
潜在意識も同様に、目的地を明確にすれば、そこに到達するルートを自動的に検索し、示してくれるのです。衛星も、潜在意識も、目には見えません。けれど、その仕組みやシステムがどうなっているかなど知らなくとも、説明しきれないほどの情報を内在化させ、私たちに与えてくれます。それゆえ私たちを、よりよい方向へと導いてくれるのです。
[心のカーナビゲーション・システム]は、私たちの人生を快適に送るための心の武器です。それを使わないのは、まさに宝の持ちぐされといえます。
「自分がまだ知らない場所、行ったこともない場所へ行きたいとき」
「やったことがないことに挑戦したいとき」
そんなときこそ潜在意識の出番です。まだ見ぬ目的地でもはっきりと入力すれば、ルートが表示され、いつの間にか連れて行ってくれるのです。
私自身、これまで何度もそういったことを経験してきました。潜在意識にアクセスすることで、今までできなかったこと、周囲からは無理だと判断されるようなことでも、できてしまうのです。
[心のカーナビ・システム]をオンにする。すると、自然にルートやゴールへの道は、自ずと見えてくるのです。『マインドの創り方』 イントロダクション より 久瑠あさ美:著 三笠書房:刊
潜在意識には、目的地を明確にインプットすれば自然にそこに至るまでのルートを示してくれる機能があります。
私たちは自分の「在りたい姿」を想像しても、そこに至るまでの道のりの厳しさに「自分には無理だ」と思い込み、努力する前に諦めてしまいます。
「どんな方法で」や「どういう手段で」など余計なことを考え過ぎない。
まずは、自分の「在りたい姿」を潜在意識に刻みこむことが重要です。
[心のカーナビ・システム]、上手に活用したいですね。
「本気」で生きる覚悟が潜在意識を引き出す
潜在意識を日常的に働かせることを妨げているもの。
それは、自分自身の「できるはずがない」という思い込みです。
つまり、自分自身で潜在意識へアクセスすることにブロックをかけているということ。
潜在意識のブロックを取り除くためには、「失敗を恐れずに、挑戦し続けること」が必要です。
にもかかわらず、多くの人が挑戦をためらうのは、「失敗するかもしれない」という恐れからです。
では、「失敗を恐れず、諦めない力」は、どこから湧いてくるのでしょう。
それは、自分で「やりたい」と思い、自分で「やる」と決めること。
その主体的な生き方こそが、思い通りに人生を切り拓いていくパワーを生むのです。
誰かに言われたから、世間体がいいから、というような理由では、パワーは湧いてきません。湧いてきたとしても、それでは長続きしないのです。
人は、自分で決めたことなら、たとえ失敗したとしても決して誰かのせいにしたり、言い訳をしたりしません。果敢に挑み続けることができるのです。
反対に、人に言われて決めたことだと、失敗したとき、それを人のせいにしたり、言い訳をしたりしがちです。それでは、乗り越える力が出ないのです。
大切なのは、自分で「やる」と決めること。
つねに自分で意思決定をすること。
そして、目の前のことに「本気」で向き合うことです。
あなたが「本気」で生きると覚悟を決めたとき、眠っていた残り90%以上の潜在意識にアクセスできます。そのときにこそ、あなたは爆発的なパワーを発揮するのです。多少の失敗や挫折などものともせずに乗り越えていける、本物のエネルギーが体の内側から無限に溢れ出してくるのです。『マインドの創り方』 1章 より 久瑠あさ美:著 三笠書房:刊
他の誰かではなく、自分で自発的に「やる」と決める。
そうすれば、失敗しても他人のせいにすることはできません。
「すべては自分の責任」
そういう状況に追い込まれると、誰でも全力を尽くすようになります。
やる前から言い訳を考えないこと。
退路を断って、目の前のことに「本気」で向き合うこと。
それが、潜在意識のブロックを取り除く秘訣です。
「感じる」ことが、潜在意識につながるカギ
潜在意識につながるには、「考える」ことをせずに「感じる」ことができるかが重要です。
「感じる」ということは、「考える」ということよりもずっと人間にとって本能的なもの
です。
言い換えれば、「感じる」ことは、人間の心の深く根源的なものと結びついているということ。
自分が今、何を感じているのか。どう感じているのか。それを大切にすることで、潜在意識にアクセスできるようになります。自分の中に眠っている能力を最大限に活かす生き方へとつながるのです。
反対に、自分の感覚に鈍感で、自分が今、何をどう感じているのかを無視して生きてしまうことで、潜在意識への回路は閉ざされます。それでは自分の持つ無限の能力を発揮することができないまま、人生を送ることになってしまいます。多くの人は「考える」ことに慣れています。学校教育でも家庭でも、幼少期からずっと、「考える」練習ばかりを続けてきたからです。
だからこそ一度、「考える」ことをやめてください。「感じる心」を取り戻すのです。「自分が本当はどう生きたいのか」ということを、ただ「感じて」みる。
「感じる」ということは、「心が動く」ということ。考えたら、人間は動けなくなるのです。
心は、使っていないと錆びついて動かなくなってきます。「何を見ても何も感じない」、そんな生き方になっていきます。今の日本にはそういった「感受性微弱症候群」と呼ぶに値する人が多いのです。いかにも心が動いたように語る人はいます。けれど実際には心を使わず、情報だけ、知識だけで話してしまう。何かを見たとき、聞いたとき、自分の心がどう動くのか。
その動きに対して、いつも敏感になってください。大切なのは自分自身のマインドにフォーカスすること。潜在意識にアクセスするためには、目の前の対象に対して、自らの心を動かすこと。それによって、目に見えない情報さえもキャッチできるようになります。それが、ひいては人生を豊かにすることへとつながっていくのです。『マインドの創り方』 2章 より 久瑠あさ美:著 三笠書房:刊
どんなに価値のある役立つ機械でも、使わずいたら錆びついて動かなくなります。
それは人間の「心」についても同様です。
いくら考えても、心を使ったことにはなりません。
「感じる」ということは、「心が動く」ということ。
つねに五感をフルに活用して、そのとき自分がどう「感じる」のか。
心の動きに敏感でありたいですね。
「自分は勝つ」と決められる人が勝利を手にする!
潜在意識を活性化させ「マインドを創る」。
そのためには、自分の中に眠る「〜したい」という想い、すなわち、『[want]を探すこと』が重要です。
[want]の力を現実世界して形にして成功を収めている人。
その代表が、トップアスリートたちです。
トップアスリートは、強烈な[want]が根源に在るがゆえに、勝負の瞬間に「無心」になれる人たちなのです。頭の中に在るのは、「パフォーマンスを向上させるために何ができるか」ということだけです。もし、トップアスリートが、たとえば引退後のことを考えるようになったとしたら、その時点でトップの資格を失います。
パフォーマンスの向上以外のことを考えてしまっているときは、
「成績が残せなかったらどうしよう」
「結果は残せないに違いない」
といった、「何ができるか」ではなく「何ができないのか」を探し始めているのです。
「いい成績が残せないかもしれない」。そう思うことで「残せない」という可能性が意識化されます。「残せるに違いない」と無条件に思う選手と比べたら、その可能性の2分の1が「残せないに違いない」となってしまうのです。
迷いが生じたとき、「逃げるか、立ち向かうか」、二つに一つです。
立ち向かう人が、勝利を手にします。自らの未来を決められる人間が、また一つ階段を上るのです。「勝ちたい」と思う選手が勝つのです。そこに必要なのは、いわゆる「自信」ではありません。勇気です。「自分は勝てる」と信じる勇気。そうすれば、勝つためのエネルギーが湧いてきます。
「勝ちたい」という想い。これこそがトップアスリートにとっての[want]なのです。「勝つ」こと、それは自分との闘いでもあるのです。「勝ちたい」と願い、勇気を持って「勝ち」を信じる。その強い想いが、「勝つ」という結果を呼び寄せます。
どんなときも、その確率は2分の1ずつ。それなら「勝てるかもしれない」に賭けてみる。そうした想いが潜在意識を揺り動かすのです。『マインドの創り方』 3章 より 久瑠あさ美:著 三笠書房:刊
困難に立ち向かう人が、勝利を手にします。
必要なのは、「絶対に勝てる!」と信じる勇気。
何ごともやってみなければ、結果は分からないものです。
どうせなら信じるなら、「自分はできない」ではなく「自分はできる!」。
私たちもトップアスリートを見習い、ポジティブな信念を持ち続けたいですね。
[ad#kiji-shita-1]
☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆
久瑠先生は、人間の力は、限界でこそ試される。その限界の壁を超えるために私たちの人生は在り、そして、一人一人の潜在能力は在る
とおっしゃっています。
自分の「在りたい姿」になることを妨げているもの。
それは、生まれてから今まで周囲から与えられてきた常識や価値基準です。
限界の壁をぶち破るには、まず自分自身の価値観で自発的に生きることが必要です。
本来の自分にとって価値あることは何か。何をしたいのか。
もう一度、それを「感じる」ことができるようになることが、夢に近づく第一歩です。
潜在意識を利用して、自分の「在りたい姿」を実現していきたいですね。
【書評】『アレルギーの9割は腸で治る!』(藤田紘一郎) 【書評】『私は負けない 』(村木厚子)