【書評】『なぜ、あの人はいつも好かれるのか』(本田健)
お薦めの本の紹介です。
本田健さんの『なぜ、あの人はいつも好かれるのか』です。
本田健(ほんだ・けん)さんは、経営コンサルタント会社やベンチャーキャピタル会社など、複数の会社を経営する「お金の専門家」です。
今まで多くのベンチャービジネスの成功者を育ててきたことでも知られています。
誰からも好かれる人の秘訣とは?
世の中がどんなに進歩しても、「人間関係」が大きな悩みであることは変わりません。
私たちの人間関係における不満や悩みは、大きく次の二点に集約されます。
- 自分のことを理解してもらえない
- 相手のすること、考えが理解できない
一方で、こうした不満や悩みとはまったく無縁の「人から好かれる人」「信頼を集めている人」もたくさんいます。
彼らは、普段からどんな感情や考えを持ち、どんな習慣を持っているのでしょうか。
本書は、「なぜ、あの人は好かれるのか」という、生きていく上で根本的なテーマについてまとめた一冊です。
その中からいくつかピックアップしてご紹介します。
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「分け隔てのない人」のまわりに人は集まる
人に好かれる人の特徴のひとつとして、「別け隔てがない」ことがあります。
分け隔てのない人は、話をするときも、なるべく相手が共感できるポイントを意識しながら、
「この年代の人だったら、こういうことに興味があるかな」
「こういう職種の女性だったら、こんな話し方をすると響くかな」
と想像力を働かせながら、会話を進めていきます。
もちろん、彼らもはじめからそういうことができたわけではなく、いろいろな失敗を経て、そういう会話のスキルを身につけたのでしょう。
人間関係を上手に保つためには、人を理解するための努力も必要だということです。私自身も誰かと話をすることは、相手のライフスタイル、価値観、信条などを細かく想像するように気をつけています。すると、おもしろいことに、自分も「人に理解されやすくなる」ようです。
人間関係で起きる大きな問題の一つは、「聞いてもらっていない感じがする」ことです。特に、女性は、「男性に話を聞いてもらいたい」という強いニーズがあります。
男性は、人の話を物理的に聞いてあげればいいと考えがちです。しかし、女性は話を聞いてもらうだけでなく、「共感してもらいたい」のです。そして考えてみれば、共感してもらいたいのは、女性だけではありません。
どんな人も、人に聞いてもらいたい、わかってもらいたいと感じています。
つまり、誰にでも好かれる人になるための簡単な方法は、「人の話をじっくり聞いて、理解しようとする」ことなのです。
そのためには、相手をそのままで受け止めることが、大事になってきます。
どんな人とも普通に接することは、簡単なようでなかなかできません。ぜひ挑戦してみてください。『なぜ、あの人はいつも好かれるのか』 1章 より 本田健:著 三笠書房:刊
人は自分に興味を持ってくれる人に対して親しみを覚えます。
肩書や外見にとらわれず、先入観を持たずに接すること。
人の話をじっくり聞いて、理解しようとすること。
相手を理解するために、大事なことですね。
もっとダイナミックに「自分」を表現してもいい
多くの人が人間的魅力を感じるのは、自分らしく生きている人、そして感情を自由に表現できる素直さとオープンさを持つ人
です。
人前で泣いたり、笑ったり、感情を自由に表現したいと心では思っていても、実際に表現できる人は少数です。だから、それが自由にできている人を見ると、すごいなと思うし、自然と共感してしまうのです。
「この人いいな、応援したいな」と人が思うとき、外見は、あまり大きく影響していません。
歌がそれほどうまくないのに人気のある歌手、ハンサムや美人でもないのに人気が出る俳優がいますが、そういう人は間違いなくハートがオープンな人です。
「その人らしさ」が光っていて、愛がいっぱいで、感動屋で、傷つきやすい部分も隠さない―――喜怒哀楽の感情を包み隠さず語れる人というのは、やはり好かれるのです。
これは、どの世界でも一緒です。その人がアーティストであれ、ラーメン屋の主人であれ、ダイナミックに自分らしさを表現している人を人は好きになってしまうのです。
あなたが、人に好かれたいと思うなら、自分のハートをオープンにして、自分を表現することを心がけてみてください。『なぜ、あの人はいつも好かれるのか』 2章 より 本田健:著 三笠書房:刊
表情が顔にほとんど出ず、いつも無愛想にしている。
そんな人に近づきたいと思う人はいないでしょう。
感情が相手に伝えることは、相手に安心感を与えることにもなります。
「ハートをオープンにして、自分を表現すること」
つねに意識していたいですね。
「心のメカニズム」を知るほど人に優しくなれる
誰の周りにも「理解不能な人」はいるものです。
しかし、理解に苦しむ行動をとる人にも、独自の「こうするべきだ」という価値観があります。
その人が、なぜその考えに拘泥(こうでい)してしまうのか。
それを理解できたら、イライラや怒りの感情はなくなります。
今、あなたを悩ませている「その人」が、「理解できない人」から「理解できる人」になるかどうかで、少なくとも、あなたの「心の平安」のレベルはまったく違ってきます。
一番大事なのは、この人たちはあなたに危害を加えようとしているのではないと理解することです。彼らは自分の「心の痛み」に反応して、そのような態度を取っているだけなのです。
いわば、幼い頃にケガをして、そのケガがまだ治っていないのです。心に負った傷がふさがらず、まだ血がたらたらと出ているので、自分の痛みで頭がいっぱいで、他が見えなくなっているのです。そして「痛いよ、痛いよ」と訴えているのです。
「痛い!」と泣いている人に向かって、「お前なんて死んでしまえ」と思うか、「この人は、小さいときに受けた傷がいまだに癒やされないままなのか」と思うかで、接し方も変わってくるでしょう。人間関係でトラブルを起こす人は、過去に深く傷ついたことがある人です。
彼らは、自分がいかに傷ついているかを理解してもらうために、その傷がどこにあるかを「怒り」という形で表現します。たとえば、待ち合わせの時間にわざと遅れたり、お金の問題を起こしたり。それによって、その傷の存在をアピールしているのです。
それは社会的には認められない、受け入れられにくい行為かもしれません。しかし、彼らの「心のメカニズム」を知ると、彼らの態度、言葉に対する見方が変わってきます。それだけで、こちらの心がかき乱される頻度が減っていくはずです。
そして、そのような「心の器」の大きい人は、自然とまわりから信頼され、好かれるようになっているのです。『なぜ、あの人はいつも好かれるのか』 4章 より 本田健:著 三笠書房:刊
「行動」ではなく、その裏にある「心のメカニズム」に焦点を合わせることが重要です。
相手の攻撃的な態度は、彼らの「心の痛み」に反応しているだけ。
そうとらえることで、自分の感情を害することなく、相手の行動を冷静にみつめることができます。
「すべきだ」に縛られない
私たちは自分でも気づかないうちに、自分だけの「ルール」をつくっています。
本田さんは、「自分が無意識のうちにつくったルール」を破られたとき、怒りの感情が湧き出てくる
と指摘します。
怒りを鎮めるには、「自分はどういうルールを持っているのか」を思い出すことです。その上で「それは怒るほどのことなのか」と自省します。
たとえば、久しぶりに会う友だちと待ち合わせをしたら、10分遅刻してきた。それに対してイラッとするけれど、友だちと会える喜びのほうが大切なことに気づきます。すると、「何か小言を言うよりは、友情のほうを大事にしよう」と考えられるし、怒らなくてすむわけです。これは夫婦関係でも一緒です。
先の例で言えば「どうしてきちんと片づけられないの!?」という思いに駆られたときに、相手を大事にするのか、それとも自分のルールを大事にするのかを考える。そして「相手のほうが大事だ」と思えば、怒りは収まっていきます。
同じことは友人との関係でも起きます。
たとえば、映画に行く約束や旅行先を決めるとき、自分のワガママを押し通そうとする人がいます。
でも、いつも一方的に自分の希望を友人に押しつけて、相手に我慢をさせていれば、友情にヒビが入りかねません。「前回は、自分のことを聞いてもらったので、今回は、友人の望むようにしてあげる」といった気配りが友情を育てます。人間関係での感情のやりとりは、できるだけ「その日のうち」に精算しておくことです。イヤなことがあったら、相手に伝えましょう。そうやって本音でつきあうから、友情は深まっていくのです。
『なぜ、あの人はいつも好かれるのか』 5章 より 本田健:著 三笠書房:刊
怒りの感情が湧き出てくることは誰にでもありますし、仕方がないことです。
その感情を相手にぶつけてしまうか、自分の中で処理できるか。
相手との関係を保つ上で、とても重要なポイントになりますね。
自分がどういうときに怒りやすいか、しっかり把握しておくこと。
それだけで無用な人間関係のトラブルの多くを回避できます。
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☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆
誰の周りにも嫌な人、うっとうしい人はいるものです。
そのような人とは、できれば顔を合わせたくはないと思うのが人間の心理です。
とはいっても、簡単には避けることはできませんし、避けているだけでは人間関係を改善することはできないままです。
本田さんは、自分の「才能」の中に「人生の目的」が隠されているように、「人間関係」の中に、その人の「人生の課題」が全部入って
いるとおっしゃっています。
苦手な人や嫌いな人は、自分の短所を映し出してくれる“鏡”だと思えばいいのですね。
逃げずに、真正面から向き合うこと。
本書は、人間関係を改善するための力強いツールがいくつも詰まった“道具箱”です。
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