本一冊丸かじり! おいしい書評ブログ

本を読むことは、心と体に栄養を与えること。読むと元気が出る、そして役に立つ、ビタミンたっぷりの“おいしい”本をご紹介していきます。

【書評】『「人間的魅力」のつくり方』(川北義則)

 お薦めの本の紹介です。
 川北義則さんの『「人間的魅力」のつくり方』です。

 川北義則(かわきた・よしのり)さんは、著名な出版プロデューサーです。
 生活経済評論家として、新聞、雑誌などに執筆されるなど、多方面でご活躍されています。

「魅力」があれば、他に何もいらない!

 川北さんは、「人間的魅力」とは、磁石のようなものだと述べています。

 直接、目には見えないけれど、人を惹きつける力。
 それが人間的魅力です。
 
 人間的魅力は、「外面的魅力」「内面的魅力」に大別されます。

 外面的魅力とは、容姿、ファッション、笑顔、姿勢、マナー、しぐさなど。
 つまり、「外見」のことですね。

 一方、内面的魅力とは、気配り、思いやり、優しさ、謙虚さ、素直さ、力強さなど。
 内部からにじみ出る言動のことです。

 外面的魅力は、内面的魅力が目に見える形で現れたものともいえます。
 どちらも大切ですし、相関関係にあることは間違いありません。

 自分の欠点や短所は一切気にせず、長所のみをクローズアップして生きること。
 それが魅力的な人間になるきっかけになります。

「魅力があれば他に何もいらない。魅力がないなら、他に何があろうと役に立たない」

 イギリスの劇作家、ジェームス・バリーの言葉です。

 本書は、「人間的魅力」を身につけて、“華のある男”、“華のある女”になるための秘訣をまとめた一冊です。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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「理解を示す」だけで人はついてくる

 誰でも、自分のことを理解してもらえるとうれしいものです。
 また、理解してくれた人には、好感を抱きます。

 川北さんは、好感度を高めるには、相手に理解を示すことに専念することだと述べています。

 人は、理解してくれたようで、なかなか理解してくれないものである。自分に好ましいことはすぐに理解するが、不都合、不愉快なことはほとんど理解しない。それでも私たちが多くの人たちとつきあっていられるのは、「理解したふり」ができるからだ。
 一方で、これといった魅力もないのに、なぜかモテモテの人がいる。その秘密は「相手に理解を示す」ことに優れているのかもしれない。他人の愚痴を根気よく聞いてやり「わかる、わかる」と同調してくれる人。あなたも、そういう人になればいい。
 人には、他人に踏み込んでもらいたくない領域が必ずある。そこへずかずか踏み込んでいくと拒否される。だが、一方でそうした領域を抱える自分を「理解してほしい」という気持ちもある。このあたりが人間の心の矛盾したところだ。
 たとえば、介護で人一倍苦労している人は、個々の事実はあまり話したくはないが、苦労そのものは認めてもらいたい。そういうときに「大変でしょう。よくわかりますよ」といってくれる人がいれば、間違いなくその人に好感を抱くようになる。
 好感を持てば、その人の魅力に気づくようになる。大した努力も才能もいらない魅力のつくり方は、他人に「理解を示す」ということなのだ。

 『「人間的魅力」のつくり方』 1章 より 川北義則:著 三笠書房:刊

 世の中、人の話は聞かず、自分の話だけをしゃべり続ける人であふれています。
 それだけ、人間はしゃべりたがりな生き物だということです。

 聞き役に徹して、相手に理解を示す。
 逆にいうと、それができれば、自分の存在価値を高めることにつながります。

「聞く力」は、自分の魅力を高めるためにも、ぜひ身につけたいですね。

過去にこだわらない

 川北さんは、人生、それなりにカッコよく生きたいと思うなら、過去になどこだわらないことだと指摘しています。

 よかろうと悪かろうと、過去は過去。
 自分の記憶の中にしか存在しません。

 私たちが生きているのは、「今」この瞬間です。
 今を精いっぱい生きればいいということ。

 ろくでもない過去に縛られて抜け出せない。

 川北さんは、その処方箋(せん)として、「自分の身に起きることは、いかなる事柄であっても、自分にとって必要・必然・ベストである」と考えることを挙げます。

 つらいこと、悲しいこと、憎らしいこと、恨みに思うことが身に起きたとき、感情に相談してはいけない。
 感情は意地悪なので、いつもご主人様の味方をしてくれるとはかぎらない。そういうときは感情から「解放される」必要がある。
 この処方箋はそれを可能にする。
 どんなにつらいことでも「必要・必然・ベスト」と受け入れれば、感情に相談する必要がない。もし恨んでも恨みきれないような事態に遭遇し、感情の赴(おもむ)くままにしていたら――想像するのも恐ろしいことになりそうだ。

 『「人間的魅力」のつくり方』 3章 より 川北義則:著 三笠書房:刊

 過去を恨んでも、悔やんでも変えることはできません。

「覆水盆に返らず」

「今」を自由に生きるためには、「過去」から解放される必要があります。

「必要・必然・ベスト」

 その言葉を頭に刻んで、生きていきたいですね。

「知ったかぶり」はやめる

「知っているか」と聞かれて、「知らない」と答えるのをいやがる人がいます。
 いわゆる“知ったかぶり”です。

 変なプライドを持って知ったかぶる。
 それよりも、「知らなかったです。そうなんですか」といって、相手をいい気分にさせて多くの話を引き出したほうが得です。

 知ったかぶりの人はすぐにわかる。「ええ」「ええ」と知ったかふりをしていても、会話のどこかで馬脚を露(あらわ)す。そういうとき、こちらは気づかないふりをしているが、その人の人間性が読める。知ったかぶりをする人間は、わけもなくプライドが高く、器の小さい人間であることが多い。それがわかるだけでも、こちらにとってはメリットである。
 知ったかぶりをしていると、耳寄りな情報が入ってこなくなる。聞きたがらない人には、教えるほうも面白くないからだ。知ったかぶりは、知らないのに知ったふうを装うのだから、考え方が詐欺的でもある。
 現代は、次々と新しい事実が発見される時代である。学校で教わったことが「実は間違っていた」という例は枚挙にいとまがない。こんな時代に知ったかぶりをするのはバカバカしい。むしろ、何でも知りたがり屋になったほうがいい。

 『「人間的魅力」のつくり方』 5章 より 川北義則:著 三笠書房:刊

「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥」。

「知らない」と答えるより、知らないことを「知っている」と答えることの方が断然恥ずかしいです。
 本当に知っているかどうかは、聞く人が聞けば、すぐにバレます。

 知らないことは、率直に「知りません」と言える。
 そんな素直さをつねに持ち合わせていたいものです。

他人のせいにする人は見苦しい

 自分に不本意な事態が生じたとき、よく他人のせいにする人がいます。
 ただ、一般には「他人のせいにするのはよくない」と言われます。
 その理由は、人のせいにしてみたところで、いいことが一つもないからです。

 他人のせいにしていれば楽かもしれないが、それは責任逃れだから、自分が成長することもない。また、傍から見ていると潔さが感じられず、まことに見苦しい。見苦しいことをする人間に、誰も魅力を感じない。尊敬も信頼も得られない。
 他人のせいで、自分が不利益を被ることはよくある。そういうときは、どうしたらいいのだろうか。私は「腹をくくるしかない」と思っている。腹をくくるとはどういうことか。
 私はつねに、こう考えることにしている。
「よいことは他人のおかげ。悪いことは自分のせい」
 たとえば、こちらはきちんと交通法規を守って運転しているのに、向こうから突っ込んできて事故になった。その場合、事後処理の交渉事は冷静かつ合理的に行われなければならないが、心の中では「自分の側にも非があるな」と思わなくてはいけない。
 実際、自分の身に起きることで「100%、自分に非がない」と断言できることはまずないからだ。すべての出来事に、この考えで臨めば、どんなこともよい経験となって、自分が成長することができる。周りの人たちも、そんな潔い態度のあなたを評価し認めてくれるだろう。「不幸中の幸い」というのは、こういう態度の人に起きてくるものだ。

 『「人間的魅力」のつくり方』 5章 より 川北義則:著 三笠書房:刊

 自分の力だけでは、どうにもならなそうなことが起きたとき。
 どうしても他人のせいにしてしまいがちです。

 他人のせいにするのは、自分のせいではないと考えることと同じです。

 実際はどうであれ、「自分には非がない」と決めつけると、それ以上反省しません。
 得るものもありませんし、自分の成長にもつながりませんね。

「よいことは他人のおかげ。悪いことは自分のせい」

 この言葉を忘れずに持ち続けたいものです。

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「人間的魅力」は、その人の持つ素質を十分に活かし、始めて生まれるものです。

 誰にも、自分にしかない強みがあり、弱みがあります。
 いつも完璧で欠点のないように見える人が、魅力的であるとは限りません。

 欠点だらけでも、魅力十分の人もいます。
 長所と短所のギャップが、その人の魅力をつくるということもあります。

 自分の知られざる一面を探し、それらを磨き続ける。
 それが人間的魅力のつくるコツといえます。

 年を重ねていくごとに熟成していく、“上質なワイン”のような人生を送りたいですね。

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