【書評】『なぜ、「おなかをすかせる」と病気にならないのか?』(石原結實)

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 お薦めの本の紹介です。
 石原結實先生の『なぜ、「おなかをすかせる」と病気にならないのか?』です。

 石原結實(いしはら・ゆうみ)先生は、血液内科がご専門の医師です。
 現在は、漢方薬処方をするクリニックを開く傍ら、健康増進を目的とする保養所などを運営されています。

「体のサイン」に耳を傾けることが健康の第一歩


 日々進歩を遂げている現代医学。
 にもかかわらず、ガンによる死亡数や心筋梗塞などの心疾患の患者数は増加の一途をたどっています。
 また、多くの人が高血圧や糖尿病などの生活習慣病にかかっています。

 石原先生は、その理由について、現代医学の主流である西洋医学的な予防法や治療法がどこかでボタンを掛け違えているからだと警鐘を鳴らします。

 食事から時間が経つとお腹がすく。
 風邪をひくと熱が出る。
 こうした現象は本能によるサインで、一つ一つに深い理由があります。これらのサインに耳を傾け、従うことが何よりもまず大事なのです。

 今日、一般的に言われている「塩分を控えなさい」「水をたくさん飲みなさい」「朝食は必ず食べなさい」といった提言は、数百年の歴史しかない科学としての医学や栄養学のアプローチです。
 これらを鵜呑みにすることが、どれほどあなたを健康から遠ざけていることか。

 『なぜ、「おなかをすかせる」と病気にならないのか?』 はじめに より 石原結實:著 プレジデント社:刊

 自分の体の健康は、自分の体に直接聞くのが一番、ということです。

 石原先生の提案する健康法はすべて、人間が本来持っている機能を十分に活かすことを狙いとしています。

 本書は、人間の本能の声に耳を傾ける『石原流健康法』を、わかりやすく解説した一冊です。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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「朝食はしっかり」って、本当に正しいの?


 現代の日本人を悩ませている生活習慣病は、高脂血症、高血糖(糖尿病)など、すべて「高」がつく病気。
 つまり、「食べすぎ病」です。

 石原先生は、「食べすぎ病」にかかっている人たちが、「朝から食べたくない」というサインを出しているのに、無理して朝食を食べることは、病気を悪くすることはあっても、よくすることはあり得ないと述べています。

 朝食は、英語でbreakfast。これは「fast(断食)をbreak(やめる)して食べる食事」という意味である。前日の夕食後、特に睡眠中は誰でも何も食べずに断食(fast)している。
 数日ないし一週間程度の「水断食」や「ジュース断食」をしたことのある方はご存知のはずだが、断食中には濃い尿や黒い便など、人間の体が本来持つ旺盛な排泄現象にびっくりさせられる。
 人間の生理には「吸収は排泄を阻害する」という鉄則がある。逆もまた真なりで「吸収(食べること)」をしないと、「排泄が促進される」のである。
 排泄物のうち、大便以外はすべて(汗や小便、発疹など)、血液の汚れが、開口部を通して出てきていると考えられる。つまり、こうした排泄物が旺盛に出てくることは、汚れた血液をきれいにし、病気の予防や治療を促していることを意味しているのだ。
 断食したような空腹な状態は血液をきれいにし、病気を予防し治すうえで、大変有効な手段なのである。何も本格的な断食をしなくても、我われは誰でも、毎日ミニ断食をしている。前日の夕食から次の朝まで、食事をしない時間がそれに当たる。

 一般に本格的な断食の後は、1日目は重湯と味噌汁の汁、梅干し、大根おろし程度の食事に、2日目にはお粥と1日目と同様の副食に湯豆腐程度の食事にして、徐々に普通食に戻していく(これを「補食」いう)。
 断食後、急に普通食を食べたりすると、激しい下痢や嘔吐、腹痛に見舞われることもある。これまで、2、3日〜1週間も休んでいた胃腸にとって、普通食はキツすぎるからだ。
 同様に、毎日の朝食は、ミニ断食後の1食目なのだから、ごく軽い物にするほうがよい。食べたくない人は食べる必要はない。もし食べたくても、高脂血症、高血糖、高尿酸血症、高体重といった「食べすぎ病」で悩んでいる人は、食べる必要はない。

 人間の60兆個の細胞のうち、96%は糖分だけをエネルギー源にして生きている。よって、朝食を食べたい人は糖分を補ってあげればよいのだ。胃腸に負担(本格的な消化活動)を強いるような食事をすると、排泄がピタリと止まってしまい、せっかくの「朝の血液浄化の作用」をストップさせることになる。寝起きの断食状態に近い胃腸に負担をかけずに、糖分(ついでに水分とビタミン類も)補うことが理想である。
 そう考えれば、朝食はたとえば、黒砂糖やハチミツ入りの紅茶、というように飲み物だけでも十分である。また、疲れが抜けにくい人や、体のあちこちに不調がある人は、ニンジン2本とリンゴ1個をジューサーでしぼって作るニンジン・リンゴジュースなどを飲むと、さらによい。

 『なぜ、「おなかをすかせる」と病気にならないのか?』 第1章 より 石原結實:著 プレジデント社:刊

 生活習慣病は、私たちが食べたものが消化しきれずに体の中に溢れ出た結果、引き起こされる病気です。

 体調は、「食べること」ではなく、「食べないこと」で整える。
 これからの時代の新しいスタンダードになりそうですね。

体力のない人が無理に食べると「枯れる」?


 病気にかかった時、「早く元気になるためには、無理してでもしっかり食べたほうがいい」とよく言われますね。
 石原先生によれば、この常識は間違いです。

 種々の病気にかかったとき、食欲不振に陥るのは、食をストップさせて胃腸に使われるエネルギーを病気の治療のほうにまわそうとする本能が働くからである。また、食物をとらないでいると、血液中の白血球も空腹になり、体内の老廃物や病原菌、ガン細胞をたくさん食べるようになる。つまり、免疫力が上がるのである。
 つまり、「体力のない虚弱な人」や「老人」は、少しでも元気になろうとして、食欲を落としているわけだ。
 体力がないのに胃腸だけは旺盛な力(消化力)がある、ということは考えにくい。胃腸も体の一部なのだから。

 逆に、虚弱な人や食欲のない老人に食を無理強(じ)いすると、胃腸をこわし全身がさらに弱ってくる。人間の胃腸は、植物の根にあたる。植物は栄養を吸収する根がダメになると、その全体がダメになる。人間にしても同じことである。

 植物が弱ったときには、高栄養の肥料を与えると枯れるので、まず水を与える。また、その水も冬場のように植物がそれほど必要としないときに与えたり、やりすぎたりすると根腐れして枯れることがある。同様に、虚弱な人や病人や老人で食欲のない人には食を無理強いせず、むしろ、温かい水分と、できれば60兆個の細胞のエネルギー源となる糖分を与えるとよい。胃腸に消化の負担をかけずに吸収させるには、やはり黒砂糖やハチミツ入りの生姜湯や生姜紅茶が最適だろう。
 胃腸病をわずらっていて弱っている人には、梅醤(ばいしょう)番茶がよい。
 食欲が旺盛な人は、元気である。それは「食欲があり、たくさん食べるから元気」なのではなく「元気なので、食べられる」ということなのである。

《梅醤番茶の作り方》
①湯飲み茶碗に梅干しを入れ、箸でつついて果肉を残し、種子を取り出す。
②①にすりおろし生姜汁5〜10滴、醤油小さじ(または大さじ)1杯を加え、そこに熱い番茶を注いで一杯にする。
③1日に2〜3杯飲むと、食欲不振、胃腸の痛み、便秘、下痢、腹鳴(腹がゴロゴロ鳴る)、冷え症、風邪などに著効を呈する。

 『なぜ、「おなかをすかせる」と病気にならないのか?』 第2章 より 石原結實:著 プレジデント社:刊

 体調が悪い時に食欲がなくなることは、健康を回復するために理にかなったこと。
 免疫力を上げるために、人間にもともと備わっている知恵です。

 食欲があるということは、健康である証拠。
 かといって、食べ過ぎは禁物です。
 普段から、胃腸をいたわる少食を実践したいですね。

血液の流れが悪い「瘀血」とは?


 漢方(東洋医学)には、「万病一元、血液の汚れから生ず」という言葉があります。
 すべての病気は、血液中の糖や脂肪などの種々の成分が多すぎたり、少なすぎたりすることから起こるという意味です。

 こうした血液中の成分の過不足や老廃物の増加を、漢方では「瘀血(おけつ)」という概念でとらえています。

「瘀」とは「滞る」という意味である。したがって「瘀血」とは、「血液の流れが悪い」状態を表している。血液は流れが悪くなると、汚れてくる。「瘀血」は「汚血」=「血が汚れている」という意味もあわせもっている。

「瘀血」が生じると、体に種々なサインが出てくる。
 たとえば、体の表面の血管に血液が滞って血行が悪くなるので、紫がかった赤色になってくる(赤ら顔、手掌紅斑(しゅしょうこうはん)、静脈瘤(じょうみゃくりゅう))。ちょっとした刺激(打撲や圧迫など)で、血液が滞っている血管からは出血しやすくなる(鼻血、歯茎の出血、青アザ)。
 こうした他人が見てわかる他覚症状と同時に、いろいろな自覚症状も出てくる。
 血液の流れがよいときは「頭寒足熱」の状態であるが、逆に流れが悪い(瘀血)ときは心臓から遠い下半身の血行が悪くなって下半身が冷える。すると、下半身に存在していた「血、熱、気」が下半身に存在できなくなり、上に向かって上昇してくる。いわば「頭熱足寒」の状態となる。

 こうなると、心臓や肺が下から突き上げられてドキドキしたり、息苦しくなったり、咳が出たりという症状が表れてくる。
 さらに熱が上昇していくと、顔に発赤(ほっせき)や発疹(ほっしん)が出てくる。頭まで昇ってくるとイライラ、不安、不眠、焦燥感なども生じてくるのだ。そして、ささいなことでカーッとなって、発汗したりもする。

 このように、あらゆる症状が上に向かって出現する状態を「昇症」という。そうなると、下へ向かう症状(降症)の力が弱くなり、便秘、乏尿(尿が出にくい)、生理が止まるという症状が出てくるのである。
 こうした「瘀血」の状態では、西洋医学的なX線検査やCT検査、血液検査では異常が現れてこないことも多い。
 しかし、これを放っておくと、西洋医学でも病名がつく病気につながっていく。
 したがって、「瘀血」の症状が出たときには、休息をとったり、食事を減らしたり、軽い運動をしたり、入浴をしたりして、本格的な病気になる前にそれなりの対応をすることが必要になる。
 これが漢方でいう「未病」を治すということである。

『なぜ、「おなかをすかせる」と病気にならないのか?』 第3章 より 石原結實:著 プレジデント社:刊

 血液は、体を構成するすべての細胞に、生きていくために必要な栄養素などを送り込み、不必要になった老廃物を回収する大切な役割を持っています。

 体で消化しきれなかった余分なもの、糖や脂肪などはすべて、血液中に放り出されます。
 あたかも、川の水がゴミで埋め尽くされたような状態。
 体内の血の巡りが悪くなるのは当然です。

 健康を、血液の状態から判断する東洋医学の視点。
 是非、日々の生活に活かしたいですね。

食欲がなければ朝食は食べず、「黒砂糖入り紅茶」を!


 病気を防ぎ、健康を増進するために最も大切なことの一つが、「体を温める」ことです。

 朝から食欲があり、何の持病もなく、元気そのものの人が、朝食をとることに反対する理由はまったくない。しかし、朝から食欲がある人でも、高脂血症、高血糖(糖尿病)、高尿酸血症(痛風)、高塩分血症(高血圧)、高体重(肥満)など、「高」のつく「栄養過剰病=生活習慣病」をわずらっている人は、むしろ食べる必要はない。なにしろ体内には消費すべき栄養が十分に余っているのだから。
 このほか、胃潰瘍やクローン病、潰瘍性大腸炎、肝臓病、すい臓病などの消化器病をわずらっている人も、たとえ食欲があっても食べる必要はない。「消化器病」は、すべて自分自身の消化器(胃腸、肝臓、すい臓)の能力以上に飲食物をとったため、消化器が披露して起こった病気だからである。

 こうした「高」のつく病気や消化器病に限らず、何らかの病気をわずらっている人で、朝から食欲がない人は、体の本能が食欲をなくすことで空腹の時間をつくり、白血球の力=免疫力を上げようとしているのだから、やはり食べる必要はないのである。
 ただし、人間の60兆個の細胞のほとんどがそのエネルギー源を糖分に頼って生きているのたから、糖分と水分だけは適正に補うとよいだろう。胃腸に負担をかけず、ということは排泄を促し、血液の浄化をしようとする朝の生理現象を阻害しないような方法で、糖分と水分を補うようにすればよい。
 私がすすめるのは「紅茶に黒砂糖を入れて飲む」ことである。黒砂糖は種々のビタミン、ミネラルをもバランスよく含んでいる。その点では、ハチミツでもよいが、黒砂糖はハチミツより体を温める作用が強い。したがって、黒砂糖のほうがおすすめである。

 近年、緑茶のカテキンが注目されている。そのカテキンが集まって作られるのが紅茶のテアフラビンである。テアフラビンはカテキンと同様、活性酸素を除去し、種々の病気を予防してくれる。病原菌やインフルエンザ菌の殺菌作用があることも知られている。なんといっても色の濃い紅茶は体を温めてくれる。
 黒砂糖には、糖分を体内で利用・燃焼するのに必要なビタミンB1やB2、さらにミネラルのカリウム、鉄、亜鉛、なども存分に含まれている。特にカルシウムの含有量は約300mg(100g中)と白砂糖の150倍もあるので、黒砂糖の摂取は骨・歯を強くする。また、亜鉛は強壮作用もある。黒砂糖は血糖を下げる「黒糖オリゴ」を含み、糖尿病の予防・改善にむしろ効果的であることも、最近の研究で明らかにされている。
 この黒砂糖入り紅茶に、すりおろし生姜(しょうが)を適量入れると、さらに健康効果が高まる。
 生姜には、体温を上げ、気力を高める作用がある。さらに、血圧を下げる、血栓を溶かす、うつ状態を改善する、胃腸の働きをよくするなどの素晴らしい作用がある。医療用漢方薬約200種類の70%に生姜が含まれており、「生姜なしに漢方は成り立たない」とさえいわれている優れ物なのである。

『なぜ、「おなかをすかせる」と病気にならないのか?』 第4章 より 石原結實:著 プレジデント社:刊

 朝、食欲のない人は無理して食べずに、一杯の黒砂糖入り紅茶を飲む。
 誰にでも、すぐにできる健康法ですね。

「朝から元気が出ない」
「いつも疲れ気味だ」

 そんな人には、是非試してほしい方法です。

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 石原先生は、西洋医学の医師でありながら、漢方薬などの東洋医学の造詣も深い方です。

「朝食を抜くと健康に悪い」
「水はたくさん飲んだほうがいい」

 このような世の中の誤った常識を論理的に指摘できるのは、西洋医学、東洋医学、2つの視点を持つ石原先生だからこそです。

 世の中に健康法は、それこそ星の数ほど存在します。
 そのどれもが自分にとって効果のあるものであるはずがありませんね。
 結局、自分のことを一番よくわかっているのは、自分自身です。

 自分の体の声に耳をすませること。
 そして、自分の体が本当に望んでいることを知り、その通りにしてあげること。
 私たちも、誰にでも簡単にできる「石原流健康法」を実践し、健康的な毎日を過ごしたいですね。


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