本一冊丸かじり! おいしい書評ブログ

本を読むことは、心と体に栄養を与えること。読むと元気が出る、そして役に立つ、ビタミンたっぷりの“おいしい”本をご紹介していきます。

【書評】『「空腹で歩く」と病気にならない』(石原結實)

 お薦めの本の紹介です。
 石原結實先生の『「空腹で歩く」と病気にならない』です。

 石原結實(いしはら・ゆうみ)先生は、血液内科がご専門の医師です。
 東洋医学を取り入れた独自の食事療法、運動療法を実践され、多くのクライアントから厚い信頼を寄せられています。
 現在話題を呼んでいる「少食」「断食」健康法のパイオニアとしても有名な方です。

「空腹で歩く」と、健康になる!

 内臓の疲労や、運動不足による筋肉の衰え。
 それらの原因により、体温が低下している人が増えています。

 低体温の人の体内には、老廃物や毒素が蓄積されています。
 それらを解消し、心身ともに充実した毎日を過ごすための効果的な方法。

 それが、「空腹で歩く」ことです。

 若さと健康は、下半身強化によって保たれる。
 多くの専門家が指摘することですが、「空腹で歩く」ことで、その効果は飛躍的に高まります。

 本書は、「空腹で歩く」ことがなぜ健康にいいのか、そのメカニズムを解説し、具体的な健康法や食べ物についてまとめた一冊です。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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「血液の汚れ」がすべての病気の源

 まず、少食のメリットを「血液の汚れ」という観点から見てみます。
 例えば、朝食を摂らないことによって、血液浄化作用を継続することができるといいます。

 血液浄化作用には、現代人の大敵である生活習慣病など、あらゆる病気の元となる「冷え」を改善できる効果も期待できます。

 この考え方の根本は、「あらゆる病気の症状は血液の汚れを浄化するための体の反応」だという東洋医学にあります。

 東洋医学では「食が血になり、血が肉となる」という考え方をします。食物は胃腸で消化・吸収され、タンパク質、脂肪、糖、ビタミン、ミネラルという5大栄養素となり、血液内に入り、そこから全身に送られます。
 この5大栄養素ばかりではありません。水分、肺から吸収された酸素、内分泌臓器で産出・分泌されたホルモン、骨髄でつくられた赤血球、白血球、血小板なども血液を通じて、体中の隅々まで運ばれます。各器官に、活動するためのあらゆる成分が供給されるのです。
 さらに血液は、各器官から代謝老廃物を受け取り、腎臓や肺を通じて、尿や呼気として体外に排泄もしているのです。
 これらの役割を考えれば、血液がいかに重要か、おわかりになるでしょう。その血液が汚れて状態が悪くなっていれば体中の器官が悲鳴を上げ、変調(病気の発症)をきたすわけです。ゆえに、血液の汚れは万病の元なのです。
(中略)
 汚れた血液が滞った状態を「瘀血(おけつ)」といいます。一般の人たちには聞き慣れない言葉ですが、東洋医学の分野ではとても重要なキーワードです。この世にはさまざまな病気が存在しますが、その元をただせば、原因は一つのところに帰着します。それが血液の汚れである悪血であり、瘀血なのです。

 『「空腹で歩く」と病気にならない』 第1章 より  石原結實:著  ソフトバンク クリエイティブ:刊

 血液の汚れをもたらす最大の要因は、食べ過ぎ、飲み過ぎです。
 なかでも、「動物性タンパク質の過剰摂取」は、非常に大きな問題です。

 動物性タンパク質は、腸内に腐敗菌を増殖させて有害物質を生成し、血液中に取り込まれ血液を汚染します。
 また、血液中に乳酸や尿酸などの老廃物を増やし、通風や動脈硬化、腎障害の一因となります。

筋肉の70%は「下半身」にある

 多くの専門家は、定期的な運動、とくに「ウォーキング」を勧めています。
 もっとも大きな理由の一つに、「足腰の筋力アップ」が健康に直結するこということが挙げられます。

 石原先生は、下半身の衰えは全身の衰えでもあると指摘します。
 下半身の衰えは、高血圧や心臓病、糖尿病、肥満、高脂血症、さらにはガンなど、さまざまな生活習慣病が差し迫ってくるサインでもあります。

 私はいつも不思議に思うのですが、筋肉の衰えは、「歳だから・・・・」とあきらめる人が多い反面、心臓や胃腸などの内臓や脳の変調を放っておく人はあまりいません。
 しかし、人間の体で最も大きな割合を占めているのがほかならぬ筋肉です。男性では体重の約45%、女性は約36%を占めます。一番重い臓器である肝臓でさえ、体重の60分の1しかありません。また、全身の産熱量の40%を筋肉がつくっています。
 もちろん、大きいだけではありません。筋肉は数百~数千本の筋繊維という細胞によって構成され、1本、1本の筋繊維の周囲には数本の毛細血管が付着し、筋繊維に酸素や栄養素を供給しています。いわば、筋肉と血管は一体となり、大量の血液を循環させているのです。
 しかも下半身には全身の筋肉の70%が集まっています。下半身の衰えと並行して毛細血管も減少してくると、あなたの知らない、思わぬところにも暗い影を落とすことになるのです。
 下半身の筋肉は、その大量の血液の流れで下半身を温めるという重要な役割も果たしています。若い頃は筋肉量の多さから血流量も血行も良く、上半身よりも温かく、いわゆる良好な健康状態を保てる「頭寒足熱」の状態となっています。
 しかし、加齢とともに筋肉量が落ち、徐々に下半身の熱量は低下、下半身が冷え、頭寒足熱が「頭熱足寒」になると同時に、下半身に存在する臓器の血流も悪化します。その結果、腎臓、副腎、前立腺、子宮、卵巣などの下半身にある臓器の機能が低下し、さまざまな不調に陥ると考えられるのです。

 『「空腹で歩く」と病気にならない』 第3章 より  石原結實:著  ソフトバンク クリエイティブ:刊

 米国のバッフェンバーガー教授の年齢別の体活動量と死亡率の関係についての研究によると、運動によって週に2000キロカロリー以上の消費している人たちは、それ以下の人とたちに比べて死亡率が低く、心筋梗塞や狭心症などの心臓疾患を起こすリスクも非常に低いことが突き止められています。

 週に2000キロカロリーということは、1日に換算すれば約300キロカロリーです。
 これをウォーキングで消費するとすると、1日に1万歩以上歩けばいい計算になります。

 歩くスピードは、自分で“少し早いかな”と思うスピードを目安としましょう。

「空腹ウォーキング」の驚くべき効果

 健康増進にとても効果のある「ウォーキング」。
 それに、「空腹」というシチュエーションが加わると、効果は最大になります。

 石原先生は、「朝の空腹時に行うウォーキングを行うこと」が最も効果的だと述べています。

「腹が減っては戦はできぬ」

 そんな格言があるように、空腹時よりもしっかりご飯を食べた後の方が力が出るような気がします。
 しかし、石原先生は、それを否定します。

 実際に行ってみるとわかりますが、ウォーキングをすると空腹をそれほど感じなくなります。それは次のようなメカニズムによっています。
 セロトニンという神経伝達物質があります。リラックスしているときに分泌されるホルモンで、セロトニンが多く分泌されていると心に安定感があり、逆に不足するとイライラしたり切れやすくなり、うつなどの精神疾患にもなりやすいといわれています。また、セロトニンは満腹中枢を刺激する役割も担っており、セロトニンが多いと満腹感を感じ、少ないと空腹感を感じます。
 お腹が空くとイライラするというのは、このセロトニンのためです。
 セロトニンは脳内にも存在しますが、実はその約90%は腸に含まれており、ウォーキングをすることで腸が温まると、セロトニンの働きが活性化します。つまり、ウォーキングはセロトニンの働きを高め、空腹感を抑制する効果もあるのです。
 また、起きたばかりは胃の活動が休止状態なので、血液は全身に十分に行きわたっています。そのため、各器官は活力があり手足も軽く感じます。ですから、力士の朝稽古は理にかなっているのです。まさに朝飯前のひと仕事です。

 『「空腹で歩く」と病気にならない』 第3章 より  石原結實:著  ソフトバンク クリエイティブ:刊

 歩くこと自体が、空腹感を抑制になるということですね。

 空腹時は、消化するものがないため胃や腸への血流が少なくなります。
 その分、肝臓や腎臓など他の臓器への血流が多くなり、機能が活性化されます。
 もちろん、脳への血流も増えて頭がクリアになります。

 朝は一日で最も頭が冴える時間帯であるという理由は、このようなところにあります。

空腹時のウォーキングは、「ダイエット」に効果あり!

 空腹時にウォーキングをすると、ダイエットにも大きな効果があります。

 空腹時にウォーキングをするのは、さらに大きなメリットがあります。それは体内に蓄えているグリコーゲンや脂肪をエネルギーに変えて消費してくれることです。力士が朝起きてすぐに何時間も激しい稽古ができるのも同じ理由です。
 つまり、空腹時の運動は、脂肪燃焼を促進してくれるのです。
「空腹ウォーキング」は、計り知れないダイエット効果が期待できるというわけです。
 ただし、体が慣れていないうちに無理をし過ぎると、まれに低血糖状態に陥り、目の前が暗くなり、手足の震えや動悸が起きることがあります。マラソン選手が走っている最中、急にフラフラして倒れてしまうのと同じ症状です。原因は体内の糖分不足です。
 朝のウォーキングではそこまではならないと思いますが、念のために黒砂糖やチョコレート、アメ玉をポケットに入れて、空腹を感じたらすぐに口に入れてください。糖分で血糖値を上げれば、1分もすれば空腹感は治まるはずです。

 『「空腹で歩く」と病気にならない』 第3章 より  石原結實:著  ソフトバンク クリエイティブ:刊

 低血糖状態に気をつけなければいけませんが、空腹で歩くことに体が慣れていくほど、体内での脂肪燃焼はスムーズになっていき、よりやせやすくなります。

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「空腹」と「ウォーキング」。

 どちらも健康によい、とされていることです。
 その二つを組み合わせることで、大きな相乗効果が得られる理由が、本書を読むと理解できます。

 普段から少食を心掛けることで食費を減らすことができます。
 それにタクシーやバスなどの公共機関をできるだけ頼らずに歩くことを心掛ければ、交通費も浮きます。

 空腹で歩くことは、健康にも家計にも優しい、「一石二鳥」の健康法です。
 ぜひ、一度試してみたいですね。

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