【書評】『7つの習慣』(スティーブン・R・コヴィー)

LINEで送る
Pocket

 お薦めの本の紹介です。
 スティーブン・R・コヴィー博士の『7つの習慣―成功には原則があった!』です。

 スティーブン・R・コヴィー博士は、米国の著名なビジネス思想家です。
 世界各国の政府や企業のリーダーに対して、広くコンサルタントとして活躍されました。

「成功」には、原則があった!


 コヴィー博士は、誠意・謙虚・誠実・勇気・正義・忍耐などが成功の条件だとする、「人格主義」の立場をとっています。

 人格主義では、「成功」する人生には、その裏付けとなる原理原則があると教えます。

 人格に基づいた個人の成長、または有意義な人間関係の育成。
 それは、「インサイド・アウト(内から外へ)」と呼ぶべきアプローチにより達成されます。

「インサイド・アウト」とは、自分自身の内面(インサイド)を変えることから始めるということであり、自分自身の根本的なパラダイム、人格、動機などを変えることから始めるということです。

 コヴィー博士は、人間の成長過程は「パラダイムの変換」を経ながら「依存」から「自立」、そして「相互依存」へと成長していくと述べています。
(パラダイムとは、世界を見る見方であり、私たちの認識、理解、解釈を決めるもの)

 成長の連続体において依存状態にいる人は、「あなた」というパラダイムを持っている。「あなた」が私の世話をする。「あなた」が結果を出してくれる。「あなた」がやってくれないとだめだ。結果が出ないのは「あなた」のせいだ、ということである。
 自立は、「私」というパラダイムである。「私」はできる。「私」の責任だ。「私」が結果を出す。「私」は選択できるということである。
 そして、相互依存は「私たち」というパラダイムである。「私たち」はできる。「私たち」は協力する。「私たち」が才能と能力を合わせれば、もっと素晴らしい結果を出すことができる、ということである。
 依存している人は、欲しい結果を得るために他人に頼らなければならない。自立している人は、自分の努力によって欲しい結果を得ることができる。そして、相互依存をしている人々は、自分の努力と他人の努力を引き合わせて最大の成果を出すのである。

 『7つの習慣』 人生の扉を開く より スティーブン・R・コヴィー著 ジェームス・スキナー、川西茂:訳 キングベアー出版:刊

 本書は、人格主義の基礎となり、永続的な成長のプロセスを導くための原理原則をまとめた一冊です。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

スポンサーリンク

人生の責任を引き受けて主体的に生きる


 すべての基礎となる「第一の習慣」は、「主体性を持つこと」です。

 主体性を持つことは、率先力を発揮するだけではなく、人間として自分の人生に対する責任をとるということです。

 人間の本来の姿は主体的なものである。だから、意識的な選択にせよ、無意識な選択にせよ、もし自分の人生が今までの条件づけや周りの状況にコントロールされているとすれば、それは、そうしたものに主導権を譲った結果にほかならない。
 自分の人生に対する責任を放棄すると、反応的になる。例えば、反応的な人の多くは周りの物的な環境に大きな影響を受ける。天気が良ければ、気分も良い。しかし、天気が悪ければ、気分も悪くなり、遂行能力も低下する。主体的な人は、自分の天気を持ち合わせている。雨が降ろうが陽が照ろうが関係ない。彼らの行動は価値観に導かれており、質の高い仕事をする価値観を持っていれば、天気がどうであろうと関係ない。
 反応的な人は社会的な環境(社会の天気)にも大きく影響される。人が親切にしてくれると気分がいい。そうでないときは、不機嫌になったり落ちこんだりする。反応的な人の精神状態は他人の行動や言葉に左右され、振り回されることになる。
「自分の価値観に基づき行動する」ことは、主体的な人の最も基本的な性質といえる。反応的な人は「その時折の感情、状況、条件づけ、環境などに左右される」が、主体的な人は深く考え、選択し、内面化した価値観に基づいて自らを支配するのだ。

 『7つの習慣』 第一の習慣 より スティーブン・R・コヴィー:著 ジェームス・スキナー、川西茂:訳 キングベアー出版:刊

 コヴィー博士は、主体性に対する自覚を高めるもうひとつの方法は、時間やエネルギーを集中させているところを観察することだと述べています。

 自分の関心のある事柄の範囲を、「関心の輪」とします。
 また、その中でコントロールできるものを、「影響の輪」とします。

 そして、この二つで、二重の輪を描きます。

 主体的な人は、努力と時間を「影響の輪」に集中させ、それを広げる積極的なエネルギーを生み出します(下図1の左を参照)。

 一方、反応的な人は、他人の欠点など「関心の輪」に関心を集中させます。
 発生するエネルギーは「影響の輪」を縮める方向に働きます(下図1の右を参照)。

主体的な生き方p104 反応的な生き方p105
図1.主体的な生き方(左)と反応的な生き方(右)
(『7つの習慣』 P104〜105 より抜粋)

誠実さを示して「信頼残高」を増やす


 コヴィー博士は、個人的な誠実さが信頼を築き、様々な預け入れの基礎になると述べています。

 お金は、銀行口座に預け入れることができ、必要に応じてそこから引き出せます。
「信頼残高」も同様に、信頼のレベルを表すことができます。

 礼儀正しい行動、親切、正直、約束を守るなどの行動。
 それらを通して、信頼残高をつくるほどに、“蓄え“ができます。

 そして、必要とあらば、何度でもその信頼を頼りにできます。
 また、些細(ささい)な間違いを犯しても、それを補うこともできます。

 相互依存状態おいて誠実さとは、簡単に言ってしまえば、すべての人々に対して平等に同じ原則に沿って接することである。それを続けることで、人々はあなたを信頼するようになる。誠実さゆえに衝突や摩擦が起こることもあるだろう。最初はそれに反発する人もいるだろう。相手に対して正直にぶつかることは、大変勇気のいることである。そのために多くの人々は最も抵抗の少ない道を選び、人の陰口を言い、秘密を漏らし、他人の噂話に興じる。しかし、長期においては、正直かつオープンに人に接することの方が、人から信頼され、尊敬されるようになる。相手と対立するだけ相手のことを思っているということである。信頼されることは、愛されることよりも偉大である。そして長期においては、信頼されれば愛されるようになると、私は確信している。

 『7つの習慣』 第三の習慣 より スティーブン・R・コヴィー:著 ジェームス・スキナー、川西茂:訳 キングベアー出版:刊

 公的な成功を収めるには、周りの人と良い関係を築くことが不可欠です。
「信頼」も、お金と同様、普段の使い方が重要だということ。

 ムダ使いが多いと、貯まらないどころか、借金生活に苦しむことになります。
 いざという時のためにも、「信頼残高」を積み立てる習慣を怠らないようにしたいですね。

「豊かさマインド」で「Win-Winの関係」を構築する


 周囲の人とのコミュニケーションの中で成功する。
 そのためには、相手との交渉でリーダーシップを発揮し、「相互依存の関係」を作ることです。

 具体的には、自分と相手の双方に利益を生み出す原則、「Win−Winの原則」に従うこと。

 必要となるのは、「豊かさマインド」です。

 コヴィー博士は、ほとんどの人は「欠乏マインド」、つまり、人生をゼロ・サムゲーム(一方のプラスが他方のマイナスになり、両方の得点の総和が必ずゼロになるゲーム)とみるパラダイムにいると指摘します。

「欠乏マインド」を持つ人は、チーム・プレーヤーになることは難しい。お互いの相違点や意見の違いを、相手の反抗や反発と捉えてしまうからだ。
 一方、「豊かさマインド」は、深い内的価値や安定、自尊心から生まれるものである。すべての人を十分に、あるいはそれ以上に満足させることが可能である、というパラダイムである。「豊かさマインド」を持つ人は、その結果、威信、名誉、利益、権限などを、容易に人と分かち合うことができる。「豊かさマインド」を持つ人は、ほかの人と接しながら、無限の可能性があることを認め、新しい創造的な代替案や第三案をつくり出すものである。代替案をつくり出し、選択肢を広げ、想像力を発揮するのである。
「公的成功」とは、他人を負かすという意味ではない。それは関係づくりに成功することであり、かかわっているすべての人が相互利益を獲得することである。公的成功は、一緒に働く、コミュニケーションを図り、お互いが理解をし、成果を一緒に生み出すことである。それは、各自ばらばらの、独立したパラダイムからは達成できない結果に至ることなのだ。公的成功は、「豊かさマインド」のパラダイムから自然に発生する結果である。

 『7つの習慣』 第四の習慣 より スティーブン・R・コヴィー:著 ジェームス・スキナー、川西茂:訳 キングベアー出版:刊

 コヴィー博士は、「Win−Winを求める人は、高い勇気と思いやりを持っている人である」と指摘します(下図2を参照)。

 どんな資源にも限りがあります。

「奪い合えば足りなくなり、分かち合えば足りる」

 この真理は、すべてに通じます。

「所有すること」から「共有すること(シェアすること)」へ。

 価値観が大きく変化しつつあるこれからの時代。
「豊かさマインド」はますます重要になりそうですね。

勇気と思いやりのバランスp322
 図2.勇気と思いやりのバランス (『7つの習慣』 P322 より抜粋)

スポンサーリンク

☆    ★    ☆    ★    ☆    ★    ☆

 本書は、刊行されてから30年近くの間に世界44ヶ国語に翻訳され、3000万部を超える記録的な売り上げを達成している歴史的名著です。
 以降に出版された成功に関するビジネス書は、多かれ少なかれ、本書の影響を受けていると言っても過言ではありません。

 大きく立派な建物を建てるには、強固な土台が必要です。
「成功」についていえば、本書にある「7つの習慣」は、その土台になる部分に相当します。

「7つの習慣」を意識して生活するか、しないか。
 数年後、人生において、とてつもない大きな差を生み出します。

 しっかりと身につくまで、手元に置いて繰り返し読みたくなる、そんな一冊です。


にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ(←気に入ってもらえたら、左のボタンを押して頂けると嬉しいです)

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 15

フォローする

コメント

  1. […] 。  アドラーは「自己啓発の父」とも呼ばれています。  スティーブン・コヴィーの『7つの習慣』など、現在出版されているビジネス書の源流ともいうべき古典も、アドラー心理学に […]

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA