本一冊丸かじり! おいしい書評ブログ

本を読むことは、心と体に栄養を与えること。読むと元気が出る、そして役に立つ、ビタミンたっぷりの“おいしい”本をご紹介していきます。

【書評】『脳を最高に活かせる人の朝時間』(茂木健一郎)

 お薦めの本の紹介です。
 茂木健一郎先生の『脳を最高に活かせる人の朝時間 頭も心もポジティブに』です。

 茂木健一郎(もぎ・けんいちろう)先生(@kenichiromogi)は、脳科学者です。
 ご自身のご専門に留まらず、幅広い分野で活躍されています。

パワフルで前向きな1日は「朝活」から始まる

 その分野を極めた、いわゆる、一流の人たちは「朝型」の生活習慣を持つ人が多いです。

 朝起きたばかりの脳は、前日までの記憶が整理されフレッシュな状態にあります。
 そのため、昼間や夜の疲れた脳と比べ、はるかに高いパフォーマンスを発揮できます。

「朝時間」を上手に活用すれば、前向きな気持ちで、創造力にあふれた質の高い仕事ができます。
 茂木先生自身、「朝型」の生活習慣を続けて、1日をパワフルに過ごしている一人です。

 本書は、最高に脳を活かすための「朝時間の使い方」をまとめた一冊です。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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「目覚めから3時間」は脳活のゴールデンタイム

 人間の脳にも、「ゴールデンタイム」は存在します。
 一般的には、「朝目覚めてからの3時間」の脳の働きが効率よく、最も活発に働く時間帯のことを指します。

 茂木先生は、もっと厳密に、以下のように定義づけます。

「誰にも邪魔されない時間=家を出るまでの時間=ゴールデンタイム」

 つまり、朝起きてから「社会に接続されるまでの時間」になります。

 ここで朝イチバンの脳の状態に触れておきましょう。
 私たちが普段起きて生活しながら、目や耳を通じて外部から入ってきた1日の情報は、いったん『海馬(かいば)』という場所に集まります。そして、一時的に「短期記憶」として脳に保管されます。その後、この海馬を経て、大脳皮質にある側頭葉の『側頭連合野』へと運び込まれるわけですが、この段階では、記憶はただ蓄積されている状態です。
 それが、睡眠中にきれいに整理されることで「長期記憶」へと変わります。
 このように朝イチバンの脳の状態は、入手した記憶が一度リセットされ、新たな情報を受け入れる準備もできているので、朝目覚めてからの3時間は、何か新しいことを始めるうえでは最適な時間帯だと言えるわけです。
 また、朝イチバンの脳の状態は、「前日の疲労やストレスがきれいに“クリーニング”された状態にある」とも言えます。ゆえに、朝の脳に良い刺激を与えることで、フレッシュな気持ちで仕事や勉強に打ち込めるのです。結果、1日の効率を何倍もアップさせることも可能になります。

 『脳を最高に活かせる人の朝時間』 第1講 より 茂木健一郎:著 すばる舎:刊

 朝イチバンに脳に良い刺激を与える。
 それが、脳自体の活動を活発化させ気持ちを前向きに保つことにもつながる。
 それは、脳科学の理論からも立証されています。

 朝型の生活習慣を身につけ、「ゴールデンタイム」を有効に活用したいですね。

「ポジティブミーティング」でパワフルな1日を!

 茂木先生は、「朝活」のひとつとして、毎朝、自分の周りの大切な人や仕事のチームのメンバーと「ポジティブワード」を交換することを勧めています。

 仕事前にポジティブな言葉を掛け合うことで、意識も高まり、パワフルな1日がスタートできます。

 私たち人間の脳は、拒絶されたり、否定されると、それを受け入れることを拒み、反発します。対照的に受容する言葉や感謝の言葉を投げ掛けられると、それらを素直に受け止めます。人のモチベーションは、他人から褒められたり、認められるといったポジティブなことからしか生まれません。

「いつもありがとう! あなたのおかげです」
「本当によく頑張りましたね」
「結果なんて気にしないで、この調子で次も頼むよ」
 
 お互いに期待する言葉や長所を褒め合う言葉、背中を押す言葉などを、恥ずかしがらずにどんどん掛け合ってみてください。
 ポジティブワードが頻繁に飛び交うコミュニケーションを実践する――
 すると・・・・お互いの信頼が増し、行動する勇気がわき出て、気分も明るくなります。
 行動を起こした結果、大きな成果と報酬を得ることができれば最高です。脳はますますポジティブになり、さらなる行動を求めるようになるでしょう。

 『脳を最高に活かせる人の朝時間』 第3講 より 茂木健一郎:著 すばる舎:刊

 自分が成し遂げたいことをミーティングの場で公言することも効果が大きいです。
 ツイッターやフェイスブックなどのソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)が普及し、遠くの人とも簡単に言葉のやり取りをすることができるようになりました。
 発達し続ける情報技術の恩恵も、「朝活」に上手に活用したいですね。

『ベストエフォート方式』ならば、“再起動”もOK!

「朝活」を続けようと思っても、短期間しか続かない。
 いわゆる、“三日坊主”になって挫折してしまう人も多いです。

 茂木先生は、この“三日坊主”という言葉のポジティブな側面、「少なくとも3日は続いた」という部分を大切にしたいと述べています。

 朝時間での活動も、連続記録にこだわらず、「少しずつでも続けていこう」と考えることで、脳のスイッチを切り替える『ベストエフォート方式』を提唱します。

 誰でも一度や二度は、やるべきことをサボってしまい、自己嫌悪に陥った経験があると思います。そんなときに「なぜ、あのとき、もっと自分に厳しくなれなかったのだろう」「取り返しのつかないことをしてしまった・・・・」などとクヨクヨしていると、脳は強いストレスを感じてしまいます。そうなると深みにはまる一方です。
 過ぎ去った時間は取り戻せないのに、切り替えが上手くできず、未来の時間まで非生産的になっては非常にもったいないとは思いませんか。
 皆さんも朝時間を有効に活用するメリットは十分に実感しているはずです。
 とはいえ、1日の始まりは何かと慌ただしく、やろうと思っていたことが全然できなくて、落ち込むときもあるでしょう。
 そんなときこそ、ベストエフォート方式を意識してください。限られた状況下で、短時間で集中し、最大の成果を得るための努力をすれば良いのです。限られた朝時間でやれることはたくさんあります。
 3日続けてできたことは、一度休みを挟んだとしても、またできるようになる。いつからでも再起動して、ベストを尽くす以外に道はない――。
 ベストエフォート方式で、「再起動しても大丈夫!」と視点を変えることで、脳の切り替えも驚くほどスムーズに行えるようになるでしょう。

 『脳を最高に活かせる人の朝時間』 第5講 より 茂木健一郎:著 すばる舎:刊

「朝活」に限らず、今までなかった生活習慣を身につけるのは難しいことです。
 最初は、うまくいかなくて当たり前ですね。

 普段、走る習慣のなかった人が、いきなりフルマラソンを走るのと一緒です。
 できる頻度、できる距離から始めて、徐々に負荷を上げていく必要があります。

 大事なことは、少しずつでも続けていくこと。
「継続は力なり」です。

『タイムプレッシャー』を設定して自分を追い込む

 脳は、つねに新しい変化や刺激を求めています。
 越えるハードルが高いほど、乗り越えられたときの快感も大きくなります。

 自ら進んで強い負荷を掛けて、乗り越えることで成功体験が得られる。
 すると、さらなる高いハードルに挑む意欲も湧いてきます。

 その好サイクルをつくることが、脳を成長させるポイントとなります。

 自らに強い負荷を掛ける方法として、『タイムプレッシャー』があります。
 タイムプレッシャーは、いかなる場面や状況においても、自分の行動や作業に、自分自身で「制限時間」を設ける方法です。

 タイムプレッシャーの前提条件は、やる気(意欲)――。
 これを持ち得ていない状態では意味がありません。
 では、どのように設定すべきか、この点について触れておきましょう。
 基本的には、仕事や勉強をスタートするときに、
「何がなんでも30分以内に、ここまで完了させる」
「この時間内で、ここまでの量を絶対にこなす」
 などといった具合に、小さな目標を設定してください。
 ポイントは、「今の自分にとっては達成できるかどうか少し難しいかも・・・・」くらいの目標がベストです。あとは達成に向けて全力投球するのみ。

 タイムプレッシャーを設定することで得られるメリットは多々あります。
 まず、どれくらいで自分が目の前のテーマができるのかを把握する「メタ認知」の能力が発達することです。これは、短時間で一つのテーマを終わらせて、次のテーマに向かっていく習慣を身につけることで、1日の生活時間の多様性が増していきます。
 さらに、何事にも集中して取り組めるようになり、脳を一瞬でフロー状態に導くことも可能になるのです。タイムプレッシャーが習慣化されれば、朝時間であろうが、隙間時間であろうが、クオリティを下げずに仕事や勉強に励むことができます。

 『脳を最高に活かせる人の朝時間』 第6講 より 茂木健一郎:著 すばる舎:刊

 大切なのは、「制限時間を設定するのはあくまでも自分自身であって、他人から強制されてはいけない」ということ。

「制限時間」をクリアできなくても、何かあるわけではありません。
 しかし、思っている以上にプレッシャーに感じます。

 実際に、仕事の作業効率は格段に上がります。
 ゲーム感覚で、上手に取り入れていきたいですね。

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 脳は「やらされている」感があると喜びません。
 なので、何ごとも「積極的にやっている」という意識をもたせるひと工夫が必要です。

「朝活」も同様で、イヤイヤ早起きしても、続くはずがありません。

「朝早起きして、これをしたい!」

 そういうことを見つけることが「朝型」生活習慣を身につける最初のステップになります。
「朝時間」を最大限に活かして、毎日を最高のスタートダッシュから始められるようにしたいですね。

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