【書評】『30代でチームリーダーになったら最初に読む本』(岡村衡一郎)

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 お薦めの本の紹介です。
 岡村衡一郎さんの『30代でチームリーダーになったら最初に読む本』です。

 岡村衡一郎(おかむら・こういちろう)さんは、企業コンサルタント・プロセスデザイナーです。
 さまざまな業種の企業の「変革リーダー」の支援を続けられ、その数は1000人を超えています。

チームリーダーになって最初にすべきことは?


 岡村さんは、変革は、簡単ではないし、努力なくして実現しないけれど、自らを成長させ、未来の当事者となる取組みであると述べています。

 自己犠牲が伴う取組みでは、続けるのは難しいです。
 そのため、会社のため、自分のため、お客のため、この三位一体の努力で、会社を良くする行動を継続できる変革の手法が必要とのこと。

 本書は、「会社を変えよう」と思った人が取り組むべき「変革のヒント」になる手法を、具体的な事例を交えてまとめた一冊です。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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自分の持ち味で、「首尾一貫」を見せる


 岡村さんは、リーダーはリードする行き先があるからリーダーなのだと述べています。

 メンバーが、一緒に「やってみたい」と思わせるような、将来の「めざす姿」を提示できるか。
 それが成功のカギとなります。

 その際に気をつけなければならないのは、「理想のリーダー像」にこだわり過ぎないことです。

 偉大なリーダー像を真似してうまくいかず苦しむよりも、自分の得意なことをフルに発揮して、メンバーをリードする。たとえば、部下の背中を押すことや脇で支えることが得意であれば、「いつでも後押しする姿勢」を見せてリードする。戦略を描くことが得意なら、「競合他社の一歩先行く打ち手」をアドバイスしていく、といった感じです。
 極端に言えば、メンバーから見て、リーダーがなぜ怒っているのか、なぜ喜んでいるのか、わかってしまうくらいが丁度いいのです。
 一見、リーダーの好みに合わせることにつながるようにも思えますが、そうではありません。「リーダーの意図がわからない」という状況につながってしまいます。
 リーダーが何に対していちばん頼りになる存在なのかが伝わることで、メンバーは安心感を持ち、リーダーの強みを上手に利用して、考え、判断し、行動することができるのです。

 『30代でチームリーダーになったら最初に読む本』 第1章 より  岡村衡一郎:著  東洋経済新報社:刊

「リーダー」と一口に言っても、千差万別で、いろいろな形があります。
「こうでなければならない」といったものもありません。

 組織を目指すべき方向へ進めるために、どのような方法で導くのが一番適切なのか。
 それをよく考えて、それを周りが理解できるように発信し続けることが大事です。

一律一斉発想はぐっと我慢。できるところから始める。


 リーダーが新しいやり方を働きかける対象は、属している組織の多数の人々です。
 岡村さんは、その際、主語を「みんな」として働きかけると働きかけの対象が見えなくなってしまうことが多いと指摘します。

 新しいやり方は、新しい考え方で進められます。でも、新しい考え方を会社全体が同じベースで身につけていくことは難しいものです。やれるところから、「変わりたい」という意思のあるところから始め、少しずつめざす状態をつくり込んでいくことが成功の秘訣です。部分から全体へ、変化の波を広げていきましょう。
 現状に対して問題認識が強ければ強いほど、全員一律に変えていくことを選択しがちですが、「みんな一緒に変わる、一斉に変える」やり方は成功確率がとても低いのです。日常業務を進めていく既存の仕組みは、当然ながらよく考えてつくられており、新たに変化を起こしていく活動になじみにくいことが多々あります。いきなり現状をすべて変えようとしても、大きな抵抗にも遭ってしまうでしょう。
(中略)
「やれるところから、やれる人からやって、『みんな』が変化をつくってゴールをめざす」のか、「最初から、『みんな』でやることを大事とする」のか。どちらが正解ということはありません。新たに行動を起こしていくとき、その事柄と状況に応じてどちらのほうがめざす姿へ近づいていきやすいのかを基準に選択すればいいのです。

 『30代でチームリーダーになったら最初に読む本』 第2章 より  岡村衡一郎:著  東洋経済新報社:刊

 新しいやり方を導入する時に、強引に全員一律に一斉に適用すると、予想外の強烈な抵抗に遭う恐れがあります。

 革新的なものほど、慎重に少しずつ、できる範囲から進めることが望ましいです。

 もし、新しい方法が既存の方法よりも大きく優れているのならば、そのあとは割と自然に切り替わっていくものなのでしょう。

 焦らずにじっくりと腰を据えて、改革に取り組む。
 その姿勢が、リーダーには求められるということです。

「かくあるべき」を隠して、まず形にする


 どんな組織でも、変革を行おうとすると、反対勢力や抵抗勢力が出てくるものです。

 岡村さんは、「とくに強い反対をしていた人ほど、後で強い味方になってくれた」と語る変革リーダーが多かったと指摘します。

 会社には、さまざまな考え方を持つ人がいます。変革に賛成する人もいれば、反対する人ももちろんいます。変革リーダーには、いろいろな声が聞こえてくるでしょう。
 もっと変革仲間を増やしたい。その気持ちはわかります。でも、新たに加わる仲間は最初からは見えていません。だからこそ、「かくあるべき」では戦わないほうがいい。なぜなら、反対している人や無関心な人は、「今は反対」ということ。その人が未来においても反対の立場でいるかどうかは、わからないからです。事例では、新たな仕事においても反対の立場でいるかどうかは、わからないからです。
(中略)
実行する前に、なんとかわかってもらおう、承認をもらおうと努力するよりも、「やりたい」という思いを共有し共に動く仲間を見つけ、「まず、できることから形にしてみる」ことに注力することです。その結果出てきた事実で、理解を求めていけばいいのです。
 初めて取り組むことに対し、実行する前から的確なリスクヘッジや評価をするのは、誰もし、考えうるリスクが自分たちの責任の範囲で対応できるものであれば、「良き確信犯」として、まずやってみることをおすすめします。

 『30代でチームリーダーになったら最初に読む本』 第3章 より  岡村衡一郎:著  東洋経済新報社:刊

 強引に、自分の意見を100%取り入れた変革を進める。
 それよりも、反対者の立場も考慮した活動から始めた方が、結局は上手くいく確率が高いです。

 協力者なくして変革の成功はありません。
 また、反対者をできるだけ作らないことも同様に重要です。

 リーダーは、自らの主張することも大切です。
 しかし、それよりも組織の中の様々な意見に耳を傾けて、取り入れていくことが大切です。

競合他社分析は、「変えないもの」を決めた後


 業界の動向を押さえ、競合他社の戦略を分析し、流行を取り入れた売上対策を打ち出す。
 その際に大切なことは、会社の「未来のビジョン」に沿ったものであるかどうかです。

 短期的に流行を取り入れた戦略を打つときには、お客様と直接関わる最前線で仕事をするメンバーたちが自社の強み・持ち味がわからなくならないように、短期的戦略の意図を伝えることが重要です。

「自分たちは将来どうありたいのか」「何にこだわるのか」をしっかり話し合い、判断基準となる変革コンセプトを定める。そして、「変えるもの」「変えないもの」を決め、お客様の声を知り、競合他社や業界動向と比較し、分析するのです。「分析から入らない」という順番が重要なのです。意志を持たない分析は、分析結果にふりまわされ、単なる情報の整理に終わってしまいがちだからです。
 判断基準をぶらさずに戦略を打ち出していくのは、リーダーの大事な仕事です。戦略とは、お客様に喜んでいたただく理由づくりですから。

  『30代でチームリーダーになったら最初に読む本』 第4章 より  岡村衡一郎:著  東洋経済新報社:刊

「ブレない判断基準」は、やはりリーダーには必須です。
 リーダーの判断・方向付けの積み重ねが、その組織の特色となり、強みとなります。

 多少の困難では曲げることのない、しっかりとしたビジョンと方向性を打ちたてること。
 それが、リーダーの重要な任務の一つです。

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 30代になると、ある程度経験も積み、昇進もします。
 会社などの組織でも、チームやグループのリーダーに抜擢されることも少なくありません。

 いざ、リーダーになってみたはいいけれど、何から手をつけていいのか分からない。
 そんな状況に陥らないためにも、事前の準備は、しておくことに越したことはありません。

 本書は、「組織を変革できるリーダー」になるためには、どうすればいいかが丁寧に書いてあります。
 “未来のリーダー”のための入門書として最適な一冊といえますね。


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