【書評】『99%の人が知らない「内向的な自分」の磨き方』(榎本博明)

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 お薦めの本の紹介です。
 榎本博明先生の『99%の人が知らない「内向的な自分」の磨き方』です。

 榎本博明(えのもと・ひろあき)先生は、主にビジネス関係がご専門の心理学者です。
 現在は、その方面の企業研修や教育講演を行うかたわら、多くの著書を出版されています。

「内向型人間」でも、前向きになれる!


 人間は、性質的に「外向型人間」「内向型人間」に大きく分けられます。

 内向型人間は、人見知りで、慣れない場ですぐに気疲れし、人づきあいに積極になれない人が多い傾向にあります。
 変化の激しい現代社会では、新しい環境への適応に苦労する内向型人間にとって、非常に生きづらい時代といえます。

 しかし、内向型人間だからダメだということは、まったくありません。
 大事なのは、自分の性格的特徴を踏まえて、自分なりのスタイルを確立することです。

 榎本先生は、内向的な性格を自覚して、その長所を存分に生かすようにしていくことで、伸び伸びと自信を持って振る舞うことができるようなり、周囲が驚くほど前向きな人間に生まれ変わることができると述べています。

 本書は、内向型人間が、したたかに生き抜く方法や考え方をまとめた一冊です。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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「自意識の強さ」と「完全癖」が障害になる


 内向型人間の特徴に、「あれこれ考えすぎてタイミングを逸する」ことがあります。

 言うべきことは頭にあるけれど、タイミングがつかめずに、発言しないままに終わってしまう。
 そんなことも、しばしばです。

 では、なぜ発言できないのか。外向型人間からすれば、これはきわめて理解しがたい心理だろう。ここに内向性の心理的特徴が顕著にあらわれている。
 それは、自意識の強さと完全癖だ。
「くだらない発言をして場をしらけさせたくない」
「見当違いの発言やパッとしない発言をしてバカにされたくない」
 こんな心理がどこかに働いているのではないか。
 しかし、人はそれほど他人のことを気にかけてはいないものだ。だいいち会議は試行錯誤の場だ。完璧な意見などというものがあるのなら、議論する必要がなくなってしまう。
 それに、あまり鋭い発言などしたら、とっつきにくいと敬遠されてしまいかねない。ちょっと抜けているほうが人に親しみを与える。もっとも、よく観察してみると「するどい!」とうならせるような意見はめったに出るものではない。
(中略)
 したがって、立派な意見でみんなをうならせようなどと意気込む必要は毛頭ない。どんな発言をしたところで、他人の頭の中に後々まで刻みこまれるようなことはめったにない。
 言いたいことがあったら言えばよい。だが、無理して言わなくてもよい。そう考えるだけで、心が軽くならないだろうか。

 『99%の人が知らない「内向的な自分」の磨き方』 第1章 より  榎本博明:著  経済界:刊

 人は、他人の発言やふるまいを、本人が意識しているほどに、気にしていないものです。

「あのとき、あんなことを言ってしまって、相手は気にしていないだろうか」

 そんな悩みも、言われた本人は何も覚えておらず、取り越し苦労だったというのはよくある話です。

 最初から「何も発言しない」と決め込まない。
 言おうか言うまいか迷ったときに、とりあえず言ってみる。

 そんな選択肢も、頭の中にいれておくことが大事です。

自由に「空想の世界」を飛翔する能力


 国内海外を問わず、過去の偉人には、内向型人間が意外と多いです。
 その理由は、内向型人間が「豊かな内的世界」を育てることに秀でていることにあります。

 内向型人間の現実への適応の悪さがクローズアップされがちだが、その反面、内的生活は非常に豊かなものになる可能性があることを忘れてはならない。現実の諸条件に拘束されない分、自由に想像の世界に飛翔できる。これは、なにも芸術家や科学者といった特別な人間にかぎった話ではない。
 内向型人間は、世俗的な人間関係にまみれるよりも、頭のなかの論理的操作や実用性を離れた遊び心を持って、夢みることができる。
 ただし、内的世界に遊ぶあまり、現実生活がおろそかになるきらいもある。その結果、出世とか経済力の獲得とは無縁になりがちだが、そのような外的条件に振りまわされずに、自分の内的世界をふくらますことで、十分充実していける。
(中略)
 外的諸条件、つまり出世や経済力の獲得には多くの制約があるのに対して、内的世界の競合するものと争う必要もない。
 そうしてみると、外的諸条件のもとに外的人間よりも、内的世界を自由にふくらませていく内向型人間のほうが、幸せにより近い位置にあると言えるのではないか。

 『99%の人が知らない「内向的な自分」の磨き方』 第2章 より  榎本博明:著  経済界:刊

 内向的思考の持ち主は、自分の関心が、外ではなく、自分自身に向いています。

 偉大な科学者であるアインシュタインも、子どもの頃からとても無口で空想にふけっていることが多かったです。
 その空想好きな性格から、偉大な科学的発見が生まれたのだから、内向的性格が悪いとはいえません。

 性格も、使い方次第だということです。

「外向型」は他人と闘い、「内向型」は自分と闘う


 今の世の中、「弱肉強食」の競争社会で、外向型人間的思考が優位を占めています。

 いかに競争相手を出し抜くか、つねに、相手との闘いを強いられる。
 内向型人間にとっては、そんな環境もストレスの要因になります。

 客観的事実に強い関心を持つ外向的人間なら、出世・昇進や他人を動かすことそのものに価値をおく人がいてもおかしくない。しかし、自分の主観的世界に重きをおく内向型人間であれば、単なる結果としての外的事実にまどわされることなく、自分の内面にもっと目を向けるべきではないか。
 社会で目立つ人に外向型人間が多いため、内向型人間までが外向的価値にまどわされ、本来興味がない他人との駆け引きに巻き込まれているようだ。苦手な領域で勝負するから失敗し、挫折感を味わう。
 内向型人間には、やはり自分との闘いに生きることが向いているはずだ。自分の成長を志す自分と、くじけそうになる自分との闘いを通して自分をふくらませていく。真に自分のための闘いに適している内向的な性格こそ、ぜいたくな性格と言えるのではないか。

 『99%の人が知らない「内向的な自分」の磨き方』 第3章 より  榎本博明:著  経済界:刊

 あえて相手の土俵で闘わない。
 周りを気にせずに、「自分は自分」の道を行く。

 それが、内向型人間のとるべきベストな作戦です。

 仕事でも、何か得意な分野を見つけて、とことん究めてみるのもいいかもれません。

自分の弱点を笑いとばしてみよう


 内向型人間にとって、「自意識過剰」の克服が大きな課題となります。

「周りからどう思われるか」

 それを必要以上に考え、自分の思う通りの行動や発言をできない人が多いです。

 自意識過剰の治療法として有効な方法として、「失敗や自分自身の短所を笑ってしまうこと」があります。

 失敗した自分やみっともない自分を笑いとばすのは、心の余裕のあらわれです。
 失敗した自分を、一定の距離をおいて眺めることが前提となるからです。

 太っていることを苦にしており、周囲の人たちから見ても体型やファッションに関する話題はタブーとされていた人がいたが、自分に合う服を探すのにいかに苦労するかという話をユーモラスに語るようになってから、ずいぶん明るい性格に変わっていったと言う。
 太っている自分に巻き込まれすぎてると、そうした話題に触れられるのはもちろんのこと、自分自身でも身体的自己像とまともに向き合うことができない。弱点を抱える自分というものを切り離すことで、コンプレックスから解放される。
 笑えない弱点や失敗がコンプレックスを形成していく。コンプレックスとなっていると、真正面から見つめることができない。当然、弱点や失敗を認めたがらないし、笑いとばす余裕もない。
 弱点も失敗も含めて、あるがままの自分を受け入れることができると、自然体で楽に生きられるようになる。
 社交が苦手な自分、きまじめでおもしろ味に欠ける自分、要領の悪い自分、出世で同僚に差をつけられている自分など、あまりカッコイイとはいえない自分を思いっきり笑いとばせるようになる。

  『99%の人が知らない「内向的な自分」の磨き方』 第9章 より  榎本博明:著  経済界:刊

 弱点も失敗も含めて、「あるがままの自分」を受け入れること。
 すべてのカギは、そにあります。

「他人は他人、自分は自分、気にすることはない」

 その意識をどこまで持てるか、です。

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 どんな人にも悩みはあります。
 内向型人間がつらいのは、悩みの原因をすべて自分自身に向けてしまうからです。
 自分の内面に目がいくために、自分の嫌なところがたくさん見えるので、余計にそうなります。

 しかし、本書を読むと、内向的思考にも、長所はたくさんあることがわかります。
 ちょっとした発想の転換で短所も長所に転換することができます。

 問題は、内向的な性格それ自体ではなく、それをネガティブに捉える意識にあります。
 内向的、外向的に関わらず、自分の性格の特徴をよく理解して、よりよい人生を送りたいですね。


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