【書評】『「砂糖」をやめれば10歳若返る!』(白澤卓二)

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 お薦めの本の紹介です。
 白澤卓二先生の『「砂糖」をやめれば10歳若返る!』です。

 白澤卓二(しらさわ・たくじ)先生は、分子遺伝学、分子生物学がご専門の医師です。
 日本抗加齢医学会の理事を務められ、健康番組でのわかりやすい老化防止解説などでも定評があります。

「砂糖」や「白米」に潜む麻薬性が体を老化させる


 第二次大戦後、日本では伝統的な和食スタイルの食事がどんどん縮小されました。
 そして、米国スタイルの食事が占める割合は拡大の一途をたどります。
 多くの学者が、日本人の戦後の急激な食生活の変化が病気のリスクを高めたことを指摘します。

 とくに問題なのは、『砂糖や塩などの調味料や白米などの精製食品、それにジャンクフードに潜んでいる麻薬性(常習性)』です。 

 白澤先生は、砂糖や油、塩は、濃度と量が度を超えると、麻薬のような常習性を脳に引き起こすと指摘します。
 実際に、動物実験では、コカイン中毒で観察されるような変化が起こっています。

 本書は、白米などに潜む麻薬性(常習性)を解説し、それらから逃れるための食習慣についてまとめた一冊です。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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「白米好き」「砂糖好き」は中毒患者!? 


 身近な食材でも常習性をもたらす食べ物があります。
 その代表が、「砂糖」や「白米」です。

 白澤先生は、これらを「マイルドドラッグ」と呼び、“砂糖好き”や“白米好き”を「中毒」と言い切ります。

 砂糖をはじめ、マイルドドラッグについては、一般の人は「ドラッグ(麻薬)」だという認識がありません。
 だから、好きなだけ食べて、気がつかないうちに中毒に陥ってしまいます。

「イライラしたときに甘いものが食べたくなります」
「チョコレートを食べると落ち着くので、つい手が伸びてしまいます」
「ケーキが食べたいと思ってがまんできなくなり、買いに走ってしまいました」
「仕事帰りにはコンビニエンスストアでスイーツを買って帰ります」

 こうした行動は、たくさんの人が思い当たるのではないでしょうか。
 これこそが砂糖中毒に陥っているサインです。

 例えば、コカインなどの麻薬は摂取した薬物が体内から減ってしまうと、イライラしたり、感情のコントロールができなくなったり、怒りっぽくなったり、さまざまな不快な症状が起こります。これらの症状を禁断症状といいます。
 禁断症状を避けるためにさらなる薬物を摂取し、それを繰り返すことで薬物なしでは生きていけなくなってしまうのが麻薬中毒です。
 アルコールやニコチンも同様で、体内にその成分がなくなるとイライラして、それを補充するためにコンビニエンスストアやスーパーに行って、タバコやお酒を買います。これは禁断症状による行動です。禁断症状が出ているのですから、アルコールやニコチンも麻薬と同じようなものです。
 さらに甘いものを食べていないとイライラする、落ち着かないという行動パターンも禁断症状の一種です。中毒となっている、ケーキやチョコレートなどの甘いものを買わずにいられないのは、麻薬中毒患者とほとんどいっしょではないでしょうか。

 『「砂糖」をやめれば10歳若返る!』 導入 より 白澤卓二:著 KKベストセラーズ:刊

 イライラしたときや、気持ちを落ち着かせたいときに、コンビニエンスストアや洋菓子店でケーキやチョコレートを買って食べるという行動は、麻薬中毒患者がドラッグを求めている行動と同じです。

 ビタミンやミネラル、食物繊維が豊富に含まれている雑穀や玄米の方が、栄養バランス的に見るといいことは明らかです。
 それでも「白米のほうがおいしい」という理由で白米を食べ続ける人は、たしかにドラッグ中毒患者と言えるかもしれませんね。

飽食の現代の食事は、中毒性が高すぎる!


 白澤先生は、「マイルドドラッグ」が学校給食などに与える影響についても警鐘を鳴らしています。

 管理栄養士であり、フーズ&ヘルス研究所代表である幕内秀夫さんの意見を引用し、以下のように指摘しています。

 幕内さんは、現代は砂糖と油脂の洪水時代であり、食パン、コッペパン、ラーメンなどのカタカナ主食、清涼飲料水、炭酸飲料水、乳酸菌飲料、スポーツ飲料、ジャムやドレッシング、ケチャップ、ベーコン、ウインナーソーセージなど砂糖がたくさん入っているもの、スナック菓子などは、子供の健康を損なう危険な食べ物としています。
 幕内さんによると、どんな動物でも、砂糖、油、旨みの3つは、ある一定の濃度を超えるものを食べ続けていると習慣性が出てくるそうです。
 例えば、スナック菓子に含まれている脂質の含有量は30.7パーセントです。脂がたっぷりのったトロは27.5パーセントですから、スナック菓子に含まれる油がいかに多いかがわかります。
 いくらトロが好きでも、毎日食べていると体は「もう飽きた」と信号を送ってくると思います。
 スナック菓子を毎日食べている人は、毎日トロを食べている人よりも高濃度の脂肪をたくさんとっていることになります。
 そして、揚げ物など油料理に使われる植物油やラードの脂質は100パーセントです。脂っこい料理が中毒性が高いのもしかたがないことかもしれません。
 炭水化物(糖質)でみてみると、精製された白砂糖は99.2パーセント、なんと100パーセント近くを占めています。冒頭で砂糖中毒の恐ろしさが気になると申し上げましたが、やはり砂糖の精製度を知ると、その中毒性が非常に高いことも納得できます。
 マイルドドラッグであっても、濃度が高ければ高いほど中毒性が激しくなるわけですから、砂糖や油がたくさん入っているスナック菓子やファストフード、甘い菓子は、中毒を引き起こすリスクがそれだけ高くなります。

 『「砂糖」をやめれば10歳若返る!』 第2章 より 白澤卓二:著 KKベストセラーズ:刊

 中毒は、摂取した期間が長くなれば長くなるほど、若い時から摂り始めれば摂り始めるほど、健康に深刻な打撃を与えます。

 子供たちが毎日のように食べる学校の給食。
 極力、体に害のない食材を使ってあげたいですね。

ブドウ糖が枯渇すると「ケトン体回路」が起動する


 一般的に、人間は炭水化物からアデノシン三リン酸(ATP)というエネルギーをつくり出す「解糖系」のエネルギー産生に頼っています。
 解糖系のベースになるのは、炭水化物など糖質が分解されてできる「ブドウ糖」です。

 ブドウ糖は体内のすべての細胞内に存在するミトコンドリアという器官のなかでATPに作り替えられています。
 ミトコンドリア内でATPをつくり出す一連の流れをクエン酸回路(TCA回路)と呼びます。

 血液中のブドウ糖がなんらかの原因で不足したとき。
 まず肝臓に蓄えられているグリコーゲンが分解されてブドウ糖として血液中に送られます。

 肝臓に蓄えられているグリコーゲンを使い果たすと、筋肉などに含まれるタンパク質が分解されてエネルギーとして利用されます(糖新生)。

 さらにブドウ糖が不足すると、脂肪酸がミトコンドリア内に送られ、クエン酸回路に入り、エネルギーが産生されます。

 砂糖を摂らずに血液中のブドウ糖が枯渇しても、栄養が脳に行き渡らなくなる心配はありません。
 グリコーゲンが枯渇して4〜5時間経つと「ケトン体回路」と呼ばれるエネルギー産生システムが起動するからです。

 ケトン体回路は、血液中のブドウ糖や、肝臓にため込まれているグリコーゲンを使い果たしていなければ、スイッチが入りません。
 逆をいえば、空腹感を覚えたときに、炭水化物をとらずに2〜3時間待っていれば、肝臓で糖新生が行われ、自分自身がブドウ糖をつくります。さらに、脂肪酸からケトン体がつくられるので、脳には十分にエネルギー源が送られ、おなかが減ったと感じたり、イライラしたりしたとき、炭水化物をポンと入れてしまうと、そちらを使ってしまうので、ケトン体回路はシャットダウンされてしまうわけです。
 血糖値が下がっても1時間とか90分程度は待っていられるのですが、それを過ぎるとインスリンが反応してきて、イライラして待てなくなっていしまうのです。本来はそのまま待っていればいいのですが、現代人のほとんどは、砂糖中毒に陥っているので待てません。
 ただし、中毒は意志の力でコントロールすることも可能なので、食事の内容を変えることで、一般の人もケトン体回路のスイッチが入りやすくなり、ケトン体の合成を促すことは可能です。
 積極的にケトン体を合成するための食事は「ケトン食」と呼ばれています。脂肪酸を多く含むたんぱく質は、ケトン体合成を促すので高ケトン物質であり、糖質はブドウ糖の回路に促すので反ケトン物質です。
 要するに、糖質を食べると、ケトン体回路は止まってしまうということです。もちろん、肝臓で行われている糖新生の回路も、糖質をとった時点で止まってしまいます。
 おそらく、ケトン体回路が動いているときには、ブドウ糖回路はシャットダウンされ、片方が動くと片方がシャットダウンしていると考えられています。
 生物学的に考えても両方が動くことは無駄ですから、グリコーゲンが枯渇したあとでケトン体回路が動くようになっているのでしょう。

 『「砂糖」をやめれば10歳若返る!』 第4章 より 白澤卓二:著 KKベストセラーズ:刊

 血液中のブドウ糖濃度が上がると、血糖値も上がります。
 それが続くと、糖尿病などのインスリンの過剰分泌による障害も起こります。

 ケトン体回路が動くまでの4〜5時間が待たずに、炭水化物を摂ってしまう。
 それは「砂糖中毒」に侵されている証拠です。

 砂糖中毒をいかに断ち切るかが、健康を維持する上で重要なポイントですね。

常習性のリスクがもっとも少ないのは「発酵食品」


 砂糖の中毒症状を抑えるためには、砂糖の摂取を止めて砂糖以外の「脳へのシグナルを刺激する強さが弱いもの」に変えていく必要があります。

 中毒にならないためには、精製されていないものを食べる習慣を身につけることが大切です。
 とくに配慮したいのが「調味料」です。

 白澤先生は、白砂糖や食塩には強い中毒性があるとのことで、自然の甘みや塩けを用いたものを選ぶことを勧めています。

 私がすすめるのは、発酵食品です。私は、精製されていない食べ物のなかでもっともバランスがいいものは発酵食品だと思っているからです。
 例えば、塩の代わりに塩麹(こうじ)、砂糖の代わりに麹、ジャムの代わりに麹ジャム。麹は甘いことをご存知でしょうか?
 麹を使った甘味料は精製されておらず、天然の菌がつくっているので、アミノ酸のバランスやブドウ糖のバランスが非常にいいのです。
 私は、これら麹を使った甘味料が、砂糖中毒の救世主になるのではないかと期待しています。昨年から塩麹がとても人気です。こうした、自然に近いものの人気が高まり、見直されて、皆さんが口にする機会が増えるのは、とても喜ばしいことです。
 そもそも、食品は人の手が入り、極端になればなるほど中毒性が強くなっていきます。逆に天然に近づけば近づくほど、中毒性は非常に低くなります。この原則は変わらないので、今後とも麹人気が続いてほしいと願っています。
 麹はでんぷんを分解してブドウ糖にします。分解するときに、ブドウ糖以外にいろいろなものができるので、中毒性の低い、自然な甘みが出てくるのです。
 ごはんをよくかんでいると甘くなります。これは唾液に含まれている酵素によって、でんぷんが分解されるからです。麹を使った甘味料は、この分解を麹菌がお手伝いしていると考えていただくといいでしょう。
(中略)
 もともと糖分というのは、単独では存在しません。
 だから、発酵が続いている状態では、発酵菌が食材の中で分解と合成を繰り返しています。人間が手を加えたものは、ほとんどが単独の化学成分を抽出したものなので、そこに決定的な違いがあるのです。
 そして、抽出しているために、精製度がどんどん高くなり、中毒性も激しくなっていってしまうのでしょう。

 『「砂糖」をやめれば10歳若返る!』 第5章 より 白澤卓二:著 KKベストセラーズ:刊

 どのような物質でも、精製すればするほど純度は増していきます。
 市販されている調味料は、どれも自然界にはありえない高純度の化学成分でつくられています。

 自然界にないからこそ、体が異常に反応して高い中毒性をもつのでしょう。
 調味料に限らず、できるだけ自然のままの食材を口にするよう努力したいですね。

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 毎日のように口にしている白米、砂糖、塩。
 それらが、『常習性や中毒性のある「マイルドドラッグ」だ』
 そういわれると、ちょっとびっくりしますね。

 ただ、どれも異常なくらい真っ白で、薬物を連想させないでもありません。
 人間も自然の一部です。
 当然、自然に存在するものを口にするようにできています。

 同じ砂糖や塩でも、精製を繰り返すと、体への影響は天と地の差ほどの差となります。
 普段の食事でも、より自然に近い食材をそのまま頂くように意識したいですね。


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