【書評】『無敵のメンタル』(岡本正善)
お薦めの本の紹介です。
岡本正善さんの『人生を思い通りにする 無敵のメンタル』です。
岡本正善(おかもと・まさよし)さんは、メンタルコーチです。
プロゴルファー、プロ野球選手、プロサッカー選手など多くのアスリートにメンタルトレーニングを指導されるなど、ご活躍中です。
「メンタルのパワー」を活用すれば、奇跡も起こせる!
岡本さんは、「メンタル」は、強弱ではかれるものではない
と強調します。
メンタルとは、全ての人に備わった「よりよく生きるための力」、ないしは「よりよく生きるためのプログラム」だから
です。
そうは言っても、現実には、プレッシャーに押しつぶされずに淡々と自分のペースを守り、目標を達成できる人もいれば、そうでない人もいます。
また、環境の変化や困難な状況にうまく対応して成功する人もいれば、変化や困難に振り回されてしまう人もいます。
では、両者の違いは、いったいどんなところにあるのでしょうか――。
それは、それぞれ自分の中のメンタルのパワーを十二分に活用できるか、その違いだけです。世の中の「成功者」といわれるような人をはじめ、自分の目標に向かって邁進できる人、たとえ時間がかかっても最後にはものごとをやり遂げられる人、どんなときにも自分を失わず、平静さを保ち、実力を発揮できるような人は、自分のメンタルを最良の状態に保ち、そのパワーを上手に活用して、自らの人生を思い通りにしていくことができる「無敵のメンタル使い」であるといえるでしょう。
しかし、今はまだその域に達していなくても、この先、そんな人になれる可能性は誰にでもあるのです。ただ単にメンタルについて正しく理解していなかったり、メンタルの力を引き出す方法やコツを知らないだけ。「メンタルトレーニング」ができていないだけにすぎません。
もし、
- 現状よりもっと上を目指したい
- 何か新しいことに挑戦したい
- 自分のペースが保てず、周りの環境や変化に振り回されがち
- 目標がなかなか達成できない
- 肝心なところで力を発揮できない
- いつもプレッシャーに負けてしまう
- 何をやっても、なんとなくうまくいかない
- 将来に希望が持てず、諦めムード
という方がいるなら、この機会にメンタルとの上手な付き合い方を学んでみませんか。
「きっとできる」「人生うまくいく」といった自信を手にし、自分本来の力、ときには持てる以上の力を発揮し、成功のチャンスをつかむことができるはず。
もしかしたら、これまでの自分では考えられない、奇跡のようなことさえ、起こせるかもしれません。『無敵のメンタル』 より 岡本正善:著 KKロングセラーズ:刊
本書は、自らが秘めた能力を存分に発揮しながら、人生の新たな扉を開くためのメンタルトレーニングを具体的にまとめた一冊です。
その中からいくつかピックアップしてご紹介します。
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本来メンタルは「プラスの方向に上昇していくもの」
メンタルのイメージを、「見える化」すると、次の4つのタイプに分けられます。
タイプ①:願望実現タイプ
タイプ②:波乱万丈タイプ
タイプ③:ノーリスク・ノーリターンタイプ
タイプ④:不安・ストレス・自滅タイプ
図1.メンタルの4つのタイプ(『無敵のメンタル』 第1章 より抜粋)
図の横軸は時間軸を表しています(上図を参照)。
では縦軸は、いったい何を表していると思いますか?
これは、メンタルが向かう目標――つまり、目標に近づけば近づくほどプラス〈上〉方向にいくと考えてください。
図から分かるように、メンタルは、時間経過のなかで常に山・谷を描いて波打つという特徴を持っています。この山谷の波は一定のスパンで繰り返し訪れます。
これがメンタルの「リズム」です。
メンタルの山谷のスパンや、一つのスパンの中での山の高さ、谷の深さは人によって異なります。十人いれば、十通りの「自分のリズム」があるということです。
ここではタイプ別に大きく四つに分けましたが、タイプ①では、山の頂点、谷の底辺が時間経過につれ、少しずつ高くなり、全体的に右肩上がりの波線を描いています。
これがメンタルの基本形であり、理想形なので、まずはよく覚えておいてください。
メンタルは、本来的には上向き、つまり「プラス」の方向に向かうものだということです。
タイプ①の状態にあるときには、この山谷のリズムの波に乗りながら、自らのメンタルの力を上手に引き出したり、活用することができます。常に自分らしく自らの目標に向かっていける人は、この状態にあるといえるでしょう。
一方、タイプ④は、メンタルが下降方向、「マイナス」の方向に向かっている状態です。このような状態では、メンタルの力を良い方向に引き出し、活用することができず、「自滅」の方向に引っ張られていってしまいます。タイプ①の状態ならば理想的ですが、現代人の多くは、このタイプ④の状態にはまっているか、タイプ②の不安定な状態、タイプ③の進歩や成長のない状態に陥ってしまっているようです。
「メンタルトレーニング」は、メンタルの能力を最大限に引き出し、どんなときにもそのプログラムを確実に機能させるための実践法や発想法を身につけ、それらを磨き上げていくことにほかなりません。
要は、タイプ②や③、④の状態にある人が、タイプ①の状態に、自らのメンタルを方向づけていくためのトレーニングなのです。『無敵のメンタル』 第1章 より 岡本正善:著 KKロングセラーズ:刊
メンタルを上手に活用するためのカギとなるもの。
それは、「潜在意識」と「顕在意識(意識)」です。
顕在意識は、本人が自覚できる意識
のこと。
潜在意識は、はっきりとは自覚できない意識
のことです。
私たちの活動の多くは、潜在意識によって支えられています。
割合としては、潜在意識が90%、意識が10%といったところ
です。
岡本さんは、肝心の「メンタル」は、人間の行動の大半を司る「潜在意識」にあるもの
だと述べています。
「努力逆転」のスイッチを入れる
「意識」は、潜在意識の「窓口」でしかありません。
あくまで、「潜在意識」が先であり「主」、一方の「意識」は後づけであり「従」
です。
「何がなんでも、うまくやらなきゃいけない」
「失敗は許されない」
岡本さんは、そう思い込んでいる状態は、いわば意識がやたらと出しゃばりすぎた状態、つまり「意識過剰」になっている状態
だと述べています。
「無理が通れば道理引っ込む」ではありませんが、意識が出しゃばりすぎると、せっかくよりよい方向へ導いてくれるはずの潜在意識が、すっかりヤル気を失ってシュルシュルと萎えてしまいます。
子どもがそろそろ宿題をやろうかなと思っているときに、お母さんから「宿題は終わったの? えっ! まだやってないの? 早くしなさい! これだから、あんたはもう・・・・・」なんて言われたら、その子は意欲をなくしてヘソを曲げてしまいますよね。それと同じです。
さらにまずいことに、出しゃばりすぎた意識は、潜在意識を無理やり抑え込んだり、追いやったりすることさえあるのです。そんな自分を抑え込み、追いやろうとする意識に、あたかも反抗するかのように、潜在意識は真逆の方向に突き進み始めます。
またしても、子どもにたとえるなら「そんな乱暴な言葉を使ってはいけません!」と叱られてばかりいたり、「ここの階段は転びやすくて危ないから、気をつけて下るのよ」といつも注意されていたりすると、親の思惑とは反対に、わざと乱暴な言葉遣いをしたり、うっかり階段で転んでケガをしてしまったりして、親を困らせるのと似ています。
意識が「うまくやらなきゃだめだよ」「ミスしたらだめだよ」と強く思えば思うほど、潜在意識は無意識のうちに、「うまくやりたくないよ」「ミスしたいよ」と、意識とは逆の方向に走ってしまうのです。
そもそも「意識=意識できる」、「潜在意識=意識できない」という相反する真逆の性質である意識と潜在意識は、自然と逆のスイッチが入りやすいようです。こうしてあなたは、「うまくやりたくない」「ミスしたい」という潜在意識の望むままに、マイナス方向へとアクセルを踏んでしまうのです。
「メンタル」の“驚異的”なパワーは、「よりよく生きる」という本来の方向とは反対に向いたときにも強力に働きます。まさに“驚異的”な勢いで、自滅の道へとまっしぐら、です。
ここ一番のときに、一所懸命にうまくやろう、ミスしないように頑張ろうと努力すればするほど、むしろ努力に反比例するように逆の結果が出てしまうのは、このように意識過剰によって「努力逆転のスイッチ」が入ってしまうから。
名づけて、メンタルの“努力逆転の法則”です。『無敵のメンタル』 第1章 より 岡本正善:著 KKロングセラーズ:刊
意識の段階で、「うまくやろう」と強く念じる。
それでも、潜在意識が「そんなのできっこない」という信念で占められれば、うまくいきません。
むしろ、逆効果になるということですね。
意識と潜在意識を同調させ、「努力逆転のスイッチ」を入れないこと。
それが、うまくいくコツだということですね。
呼吸は「吐く」ことから始まる
普段は真逆の方向を向いている「意識」と「潜在意識」。
唯一の共通する接点、それは「呼吸」です。
呼吸だけが、潜在意識の中にありながら、意識的に働かせることができます。
日常生活の中で「調子がいい」と感じたり、前向きに活動しているとき。
私たちは、無意識のうちに、「プラスメンタル特有の呼吸」をしています。
岡本さんは、それを「リズム呼吸法」と呼んでいます(下の図2を参照)。
図2.リズム呼吸法トレーニング(『無敵のメンタル』 第2章 より抜粋)
岡本さんは、
たとえマイナスのまっただ中にあっても、意識的にプラスメンタルの呼吸法を行なうことによって、潜在意識にスイッチが入り、メンタルをプラスの方向に向かわせることもできると述べています。
おそらく皆さんは、プラスメンタルのときに、どんな呼吸をしているかなど、今まで意識したことがないのではないかと思います。
ここで、プラスメンタルのときの呼吸の一般的な特徴をあげると、「呼吸が深い」こと
「苦しくない長さ(リズム)」であることが挙げられます。
では、さっそく、このような「深く、ゆったりめのリズム呼吸」として、手始めに深呼吸をしてみてください。さて、深呼吸をするとき、皆さんは息を「吸う」ことから始めましたか?
それとも「吐く」ことから始めましたか?たぶん無意識に「吸う」ことから始めた方が少なくないと思います。
つまり、潜在意識では「吸う」ことを軸とした呼吸を行っているということです。
ですが、これは完全に真逆です。プラスメンタルの呼吸法は「吐く」ことから。
そもそも呼吸は、基本的に「吐いて」から「吸う」のが正しい順序です。
それは「呼吸」という熟語からも一目瞭然です。吐くことを意味する「呼」が先で、次に吸うことを意味する「吸」が続きます。
まず、息を吐くからこそ、酸素をたっぷりと体内に入れ込むことができるのです。『無敵のメンタル』 第2章 より 岡本正善:著 KKロングセラーズ:刊
岡本さんは、「吐く」ときに「過去の自分を受け入れている自分」を、「吸う」ときには「未来に向かって力強く生きていく自分」をイメージ
するとよいと述べています。
深く、ゆっくりと、一定のリズムで。
「吐く」が先で、「吸う」が後。
無敵のメンタルをつくる「リズム呼吸法」。
ぜひ、習慣にしたいですね。
失敗は、未来に輝く「ダイヤモンドの原石」
岡本さんは、メンタルの本質とは「失敗を修正する能力である」
と述べています。
人間には、ミスや失敗はつきものです。
初めから、完璧にこなせる人なんていません。
では、メンタルから見ると、ミスはミスではなく、失敗は失敗でないとすれば、いったい何なのでしょうか。
強いていうなら、ミスや失敗は「アクシデント」。
しかも、「将来成功していくためのアクシデント」なのです。
まずは、何はさておき、ミスや失敗経験を受け入れてください。
受け入れられれば、ミスや失敗経験は、その後、適切な修正プログラムを組んでいくために必要な「情報」や「知識」として、メンタルにインプットされます。
その知識や情報から、私たちは「気づき」を得ることができるのです。なぜ、このようなミスをおかしてしまったのか。
このようなミスをおかさないためには、どうすればよかったのか。
そして、今後どうやって修正、挽回していけばいいのか――。こうして、ミスや失敗をめぐって得た気づきが、未来に向けて活かされていきます。
メンタルには、過去の経験による知識や情報、そしてそこから得た「気づき」が常に蓄積されていきます。経験を積んでいけば積んでいくほど、また、得られた気づきが多ければ多いほど、メンタルの引き出しは際限なく増えていくのです。すると、ミスや失敗をしたときでも、数ある引き出しの中から、臨機応変に「こうすれば大丈夫」という修正法を、無意識のうちに引っ張り出すことができるようになります。
こうして、過去を踏まえて未来を修正できる能力が、バージョンアップされていくのです。
失敗は時に痛みを伴うものでもあり、少なからず歓迎できるものではないかもしれません。しかし、ダイヤモンドの原石のように、あなたのメンタルによって磨き上げられれば、いつか光り輝くときが訪れるはずです。『無敵のメンタル』 第3章 より 岡本正善:著 KKロングセラーズ:刊
ミスは、してはいけないもの。
その意識が、逆に過度な緊張を生み、ミスを呼び込む。
まさに「努力逆転の法則」の典型的な例ですね。
ミスは、将来成功していくためのアクシデント。
そう信じることが、余計な力みを取り、成功する確率を高めます。
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☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆
岡本さんは、失敗や緊張している自分を、まずは認めてあげるところからしか、メンタルトレーニングは始まらない
とおっしゃっています。
自分がなりたい「理想の自分」になる。
それは、大変な困難が伴いますから、挫折する可能性も高いです。
それよりも、まずすべきは、「自分自身を肯定する」ことです。
「自分はだめだ」
「自分には無理だ」
潜在意識が、そんな信念で占められた状態では、何をしてもだめです。
すでに述べたとおりです。
変えるべきは、自分の外側ではなく、内側から。
「リズム呼吸法」を身につけて、潜在意識を変える。
何があっても揺らがない「無敵のメンタル」を身につけたいですね。
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