【書評】『論理的な人の27の思考回路』(北村良子)

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 お薦めの本の紹介です。
 北村良子さんの『論理的な人の27の思考回路』です。

 北村良子(きたむら・りょうこ)さんは、パズル作家です。

「パズル」を解くことは、論理力を鍛えること


 パズル作家として、数万以上のパズルをつくってきた、北村さん。

 パズルは、身近にあるエンターテインメントでありながら、論理的思考を身につけるツールとして優れていると述べています。

 なぜなら、パズルを解く際は「理由」→「結論」という論理的なステップを踏まなければならないからです。「理由」は、今までに培ってきた知恵の中から見つけださなければならず、なおかつ論理的に矛盾がないことが必須となります。
 もちろん、これはほかのあらゆる問題を解くときと同様のステップではありますが、パズルはそれらの多くの問題がとらえやすく示されています。
 しかも、遊び感覚で挑めるので、突飛な発想へ対する心のブレーキを外しやすくなり、思考の幅は自然に広がります。
 だからこそ、パズルを解くことで論理的な思考力が高まるのです。もしわからなくても、答えを見てその論理をたどることで新たな思考回路がインプットされます。
 パズルが解けるからといって、生活やビジネスにすぐに役立つとは思えないかもしれません。しかし、パズルを解く際、私たちは自分が思う以上に脳のあちこちを活性化させ、知恵をひねっています。
 論理的思考ができるようになると、仕事の効率が上がったり、新しい発想を生み出せたり、ミスを防ぐことができたりと、身につけた人に多くの恩恵を与えます。

『論理的な人の27の思考回路』 まえがき より 北村良子:著 フォレスト出版:刊

 北村さんは、パズルとは、論理的な思考で脳の全体を指揮し、誰もが納得できる答えにたどり着く、またその過程を楽しむものだと述べています。

 本書は、論理的な思考を体感し、身につけるために役立つ、さまざまな種類のパズルの問題とその解法をわかりやすくまとめた一冊です。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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論理力と組み合わせるべき「8つの能力」


「論理力」は、ビジネスや日常の課題を克服する基盤となる力です。

 北村さんは、論理力を十分に発揮するには、それに組み合わせなけれならない能力が必要になると指摘します。
 そして、具体的な「8つの能力」を挙げています。

推理力
 推理力を発揮するには論理的に問題を分析して確実に施行を一歩一歩進めていく必要があります。推理のためには想像力や先を読む力など、総合的な能力が求められます。

問題解決力
 問題を正しく理解し、それを突破するためにはどこに注目すればいいのかを把握し、結果として得たい答えにたどり着くためにはどの方向に思考を進めればいいのかを全体を俯瞰(ふかん)して考える力が問題解決には大切です。

発想力
 論理力と発想力はよく対をなした力として表現されますが、この2つの能力は密接な関係があります。たとえば素晴らしい発想をしても、そのアイデアを実現可能な状態に構築していくのは論理力なくしては不可能です。論理的に思考を進めていく中で新たな発想が生まれるものです。

空間認識力・イメージ力
 脳の後頭葉(こうとうよう)は、目で見たものを処理し、私たちに「見る」ことを可能にしてくれます。私たちの住んでいるこの世界は3次元で、街にはさまざまな建物が密集し、脳はそれぞれの建物までの距離を大雑把に、しかし素早く把握し、大体の大きさを知ることができます。テレビ画面は平面であるにもかかわらず脳はそこに立体をつくり出します。

言語力
 私たちは常に言葉を使って考えています。何かに悩んだり、難しい問題を考えたり、楽しいアイデアを探しているときも、言葉が脳内を駆けめぐっています。人は言葉を使って思考します。文章や話から情報を得ますし、見たものを説明するときも言葉を使います。言語力は考える力に直結する大きな力なのです。

判断力
 適切な判断を下すためには、正しい情報と、それをしっかり理解する必要があります。どこを起点として思考をはじめるのか、何を重要視するのか、目的は何なのかを理解したうえで、自らの経験や直感を頼りに決定しています。視野を広く持ち、目先の情報に流されることなく最終的な目標に達することができるように考えていくことが重要です。

多角的思考力
 ビジネスや日常生活で出会う選択肢を検討するとき、私たちはさまざまな角度から考えて決断しています。たとえば、相手の目線で考えるという能力は機械にはない特殊な、そして欠かせない能力です。思考が行き詰まったら今の考えに執着せず視点を変えて、時には最初から考え直してみることも重要なときがあります。

試行錯誤力・積み上げ思考力
 試行錯誤とか、積み上げと聞くと、とても地味で効率の悪い方法のようにも感じられます。しかし一方で、確実性の高い、ものごとのすみずみまで考えが行き渡る思考でもあります。大切なのは、漏れがないように1つ1つ丁寧に、根気よく確認していくことです。メモを取りながら考えていくのも有効な方法です。

『論理的な人の27の思考回路』 第ⅰ部 より 北村良子:著 フォレスト出版:刊

 北村さんは、論理的な考え方ができるようになれば、問題点を見つける力も、問題を解決する力も上がり、今まで気がつかなかったことに目が行くようになると述べています。

 パズルは、この「8つの能力」を鍛え、論理的な考え方を身につけるのに、最適なツールだということです。

自分の中の「天秤」の精度を上げる


 一見、込み入って複雑そうに見える問題。
 それらも、順序立てて、段階を踏みながら考えることで、突破口が開ける場合があります。

 以下に示す「天秤パズル」は、その典型的な例といえます。

図1 天秤パズル 初級 27の思考回路 第ⅱ部
図1.天秤パズル(初級)
(『論理的な人の27の思考回路』 第ⅱ部 より抜粋)

 4種類のおもりを、重さが軽い順に並べてください(上の図1を参照)。

 このタイプの天秤問題は、1つ1つの天秤の状態から情報を確実に読み取っていくことで、必ず答えにたどり着ける問題です。苦手な人はDの天秤を見ただけで頭が痛くなるかもしれません。もちろん、出題者の意図はそこにあります。冷静に■と×、どちらが重いかを見破ってください。
 難易度の高い天秤問題も次節以降に用意していますので、この問題で頭を慣らしていただけたらと思います。


 1つ1つの天秤から情報を読み取ります。
 重りの重さはAの天秤から、●<■(■のほうが重い)とわかります。Bの天秤から■<☆、Cの天秤から×<☆です。Dの天秤では、■3個と、×2個が釣り合っているので、×のほうが重いことがわかります。(■<×)。この4つを整理すると、軽いほうから、●、■、×、☆となります。
 どの天秤から考えはじめても、それほど苦労せずに答えにたどり着けるでしょう。じつはこの問題の場合、Bの天秤はなくても解くことができるのですが、気がつきましたか?

「2つ以上のものを比較する」という作業は、毎日私たちが経験する身近なものです。たとえば、今日の服装はどちらにしようか?食事は何を食べようか? 休日は家にいるか外出するか?
 天秤問題では、4つのおもりを比較しました。この問題は重さというたった1つの判断材料で答えを出すことができます。
 実際の日常生活やビジネスでは複数の判断材料が存在することが多いので、判断が難しくなりますが、1つ1つのポイントを分けて感変えれば天秤問題のように比較ができる場合が多いでしょう。

『論理的な人の27の思考回路』 第ⅱ部 より 北村良子:著 フォレスト出版:刊

図2 天秤パズルの思考回路 27の思考回路 第ⅱ部
図2.「天秤パズル」の思考回路
(『論理的な人の27の思考回路』 第ⅱ部 より抜粋)

「2つ以上のものを比較して、判断を下す」

 そんな作業は、毎日私たちが経験する身近なものです。

 天秤問題では、「重さ」という一つの判断材料をキーにして、答えを出すことができます。

 北村さんは、実際の日常生活やビジネスでは複数の判断材料が存在することが多いので、判断が難しくなりますが、1つ1つのポイントを分けて考えれば天秤問題のように比較ができる場合が多いと述べています。

観察眼を鍛える「間違い探し」


 相手の表情の微妙な変化に気づく、鋭い「観察力」
 それも、ビジネスでは欠かせない能力です。

 観察力を高めるのに、最適なパズルが「間違い探し」です。

図3 間違い探し 初級 27の思考回路 第ⅱ部
図3.間違い探し(初級)
(『論理的な人の27の思考回路』 第ⅱ部 より抜粋)

4つの絵のうち、1つだけ他と違う絵があります(上の図2を参照)。
それはどれですか。

 今回は、同じパズルが2つ続きます。難易度の差と、その理由について解説をしていきたいと思います。
 直感力が高ければぱっと見てすぐ答えがわかるかもしれませんが、そうではない人のほうか多いでしょう。しかし、選択肢の中に必ず答えが入っている問題ですので、消去法を使うのが有効です。
 左右に回転する絵を見て、他とは違う絵を探すパズルです。頭の中で図形を回転する空間認識力、それぞれの絵を比較する観察眼が問われます。
 たとえば形や大きさの違い、色の違い、絵の重なりの違い、絵の中にある個々の形ごとの距離の違いなどが主なチェックポイントになります。

 まずはサッとA〜Dをチェックしていきます。その時点で違いに気がつくことができれば数秒で解くことができる問題です。しかし、毎回すぐに気がつくわけではありません。すぐに気がつかなければ、AとB、AとCと、2つずつ見比べていくか、1カ所に注目点を絞ってA〜Dの4つの絵を見比べていきます。
 色やその濃淡、面積、形の違い、それぞれの図形の重なり方の差など、細部を見ていくと、違いが見えてきます。
 2つの絵を見比べるために、絵を一瞬記憶して隣の絵と比べますから、注意力を保っておかないとできないのです。さらに、絵がすべて左右に回転していますから、脳内で向きを修正していかないといけません。空間認識力はここで必要となる能力です。
 このような、複数の絵を比べるパズルに最も必要なのが観察眼です。
 観察眼は日常生活においても非常に大切です。普段との違いに気がついたり、新たな発見をしたり、物を探すときや季節の変化を感じるときにも観察眼を使っています。

『論理的な人の27の思考回路』 第ⅱ部 より 北村良子:著 フォレスト出版:刊

図4 間違い探しの思考回路 27の思考回路 第ⅱ部
図4.「間違い探し」の思考回路
(『論理的な人の27の思考回路』 第ⅱ部 より抜粋)

 私たちは、五感から数多くの情報を受け取っています。
 その中でも、もっとも多くの情報を占めるのが、「視覚」です。

 鋭い観察眼を持つ人は、相手の視線や手振り身振り、声色などから情報を読み取れます。

 北村さんは、結果として、相手の意図を正確につかめるため、良好な人間関係を築きやすいと指摘します。

「思考のループ」から脱出する知恵


「電車の切符に印字されている4つの数を使って、10をつくる」

 子どもの頃、そんな遊びをした人は多いでしょう。

 この遊びは、単純なようでいて、割りと論理的な能力を要求されます。
 ここでは、少し難度の高い問題が取り上げられています。

 切符に印字されている4つの数を使って10をつくる遊びをしたことがある人は多いでしょう。この4つの数で10をつくる遊びは、単純なようでいて結構頭を使います。少し難易度の高い問題をやってみましょう。

  次の4つの数を使って、10をつくってください。使っていい記号は、+、−、×、÷、()、=です。

   9999

 計算で10をつくるという単純なルールですが、4つの数を組み合わせた計算式はとてもたくさんあります。ピンとひらめくのはなかなか難しいので、可能性を探すために脳内で次々と計算をしていくことになります。
 近道は10にするために使えそうな数を目指して計算をしていくことです。たとえば、5は2を掛ければ10になりますし、6があるなら4や16ができないかを探すことができます。
 常に10への近道がないかを考えながら、多くのパターンを計算してみましょう。

 9が4つなので、そう多くのパターンは考えられません。
 9を2つ使ってつくれる数は、9÷9=1か、9×9=81、9−9=0をつくってしまうと、残るのは同じく9が2つなので、10をつくることはできないと判断できます。
 9が3つであれば、9÷9=1に9を足して簡単に10になるのですが、9が4つとなると、そうはいきません。9+9=18は、9ではなく8という、9だけでつくるには難しい新たな数字が登場していまいます。こんなふうに、さまざまなパターンを頭の中でめぐらせていきます。思考はあちこちに飛んでいき、とめどなく動き回るでしょう。
 このように発想の転換を用いて、たくさんのパターンを考えていくのがこの問題を解くカギです。
 しかし注意したいのは、同じことを何度も考えてしまうループにはまってしまうと、考えが先に進んでいきません。脳は知っていることを何度もリピートしてしまうものです。そうならないためには、メモをしながら解き進める方法や、「+」から順番にグループ分けをしながら考えていく方法があります。

『論理的な人の27の思考回路』 第ⅱ部 より 北村良子:著 フォレスト出版:刊

図5 4つの数字の思考回路 27の思考回路 第ⅱ部
図5.「4つの数字」の思考回路
(『論理的な人の27の思考回路』 第ⅱ部 より抜粋)

 単純に、組み合わせだけを考えると、膨大な数のパターンが存在します。

 いかに、可能性がないものを排除し、範囲を狭めることができるか。
 この種類の問題を解くためのポイントです。

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 自分がやりたいときに、いつでも気軽に楽しめる。
 自分の好みに合わせて、種類や難度を自由に選べる。

 それが、パズルの魅力です。

 さらには、ビジネスで求められる論理的な思考力まで得られる。
 となれば、試してみない手はありませんね。

 本書には、本職のパズル作家、北村さんが厳選した、色とりどりのパズルが取り揃えられています。
 もちろん、難易度も初級レベルから上級レベルまであるので、段階的に進めることができます。

 楽しみながら、脳をトレーニングする。
 皆さんも、ぜひ、一石二鳥の思考力強化法を試してみてください。

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