本一冊丸かじり! おいしい書評ブログ

本を読むことは、心と体に栄養を与えること。読むと元気が出る、そして役に立つ、ビタミンたっぷりの“おいしい”本をご紹介していきます。

【書評】『プロフェッショナル ミリオネア』(江上治)

 お薦めの本の紹介です。
 江上治さんの『プロフェッショナル ミリオネア― 年収1億を生む60の黄金則』です。

 江上治(えがみ・おさむ)さんは、大手損害保険会社、生命保険会社に勤務後、独立し、保険業を中心とした事務所を設立されました。
 現在は、有名プロスポーツ選手から経営者まで年収1億円超えのクライアントを50名以上抱える富裕層専門のカリスマフィナンシャルプランナーとしてご活躍中です。

「年収1億円」を生む人の共通点とは?

 世界では、経済格差が急激に進行しています。
 とてつもなく稼ぐ人と、そうでない人が分かれる「収入の二極化」が起こっています。
 もちろん、日本もその例外ではありません。

 国税庁の統計で民間の給与所得の年収を見ると、1000万円以上が変わらずに存在しているのに対し、年収300万円以下の割合は、この10年で30パーセントから41パーセントに増えています。
 じつにサラリーマンの5人に2人が、年収300万円以下という現実があります。

 個人の経済格差の拡大は、今後さらに進展すると予想されます。
 つまり、稼げる人はさらに稼ぎ、稼げない人はさらに稼げない社会になるということです。

「このまま今の会社にいても、収入が増える見込みがない」
 と独立を考えたとき、「稼げる人の仲間入りができる人」とはどんな人でしょうか。

 江上さんは、ある程度の実績やスキルがあれば、年収2000万から3000万円は稼げるようになるけれど、年収1億円を生むとなると、そこに至るまでには、いくつかの壁があると述べています。

 本書は、いま年収1億円という破格の報酬を手にしている人たちの共通点を、思考や発想、人脈などの観点から「稼ぐ人ならではの特性としての黄金則」としてまとめた一冊です。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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失敗がどれだけあるか、人生の早い段階での失敗があるか

 どんなに経験を積んだところで、ビジネスにおいて全戦全勝はありえません。

 江上さんは、失敗を成功の原点と思える人は、失敗を糧にできる人だと述べています。

 失敗は、自分が変わるためのチャンスである。これまでのやり方では越えられない壁にぶちあたり、それを乗り越えたとき、人はとてつもない成長を遂げる。
 壁を乗り越えるまでのプロセスは試行錯誤の繰り返し。つまりは失敗の積み重ねである。人が失敗からしか学べないというのは、成功とは結果にすぎず、成功までのプロセスはすべて失敗の連続だからだ。

 ところが、せっかくの失敗を生かせない人がいる。失敗から目をそらしてしまい、正面から向き合うことができないのだ。
 とくに若いときに成功を味わった人が挫折した場合、その失敗に向き合って乗り越えようとせずに、過去の栄光や実績で自分をなぐさめてしまうことがある。
 もうひとつ、失敗から学ぶために身につけておきたいものがある。それは、現状分析の習慣だ。原因を振り返ることで、失敗を教訓として生かすのだ。
 これは、結果が成功であったときでも同じだ。
「うまくいったときには窓の外を見て、失敗したときには鏡を見る」
 経営戦略の名著『ビジョナリー・カンパニー2』にある言葉だ。
 この言葉が示すのは何か。私の解釈でいえば、とてつもない報酬を得る人とは、結果に対する現状分析を欠かさない人であるということだ。

 『プロフェッショナルミリオネア』 第1章 より 江上治:著 プレジデント社:刊

 あるひとつの失敗を、単なる「失敗」ととらえてしまう人。
 逆に、「成功の原点」ととらえることができる人。

 両者の差は、時を追うごとに大きくなっていきます。

「成功とは結果にすぎず、成功までのプロセスはすべて失敗の連続」

 このような意識でいれば、失敗を恐れる気持ちも少なくなりますね。

不得意分野、弱点は人でしか補えないことを知っているか

「経営者には、バカと利口と大利口がいる」

 これは、外資系企業で40年以上にわたり社長職などを歴任した新将命さんの言葉です。

「バカ」は自分の得意、不得意を知らない人。
「利口」は自分の得意、不得意を知っている人。
 そして、「大利口」は自分の不得意を補う方法を知っている人

 経営者にかぎらず、突出した業績を残すためには「大利口」になる必要があります。

 大利口になるには、まずは自分の不得意分野を知ることだ。
 ひとつには、性格的に合わないことは、自分には不向きということがいえる。
 世の中には新規開拓が不得意な人もいれば、その逆で既存のものを守り育てるのが不得意な人もいる。保険の営業でいえば、新規開拓が不得意なタイプと、アフターフォローが不得意なタイプということになるだろう。
 たとえば、私の場合、事務所にいる時間が長くなってくると、社員たちが「社長、どこかへいってください」と言い出す。江上治に向いているのは新しいお客さまを開拓することであり、江上治がいちばん生き生きしているのは、外に出て営業をしているときであることを、社員たちが知っているからだ。その代わり、どちらかというと私が不得意なアフターフォローの部分は、新規開拓よりアフターフォローが得意なKくんが補ってくれている。
 自分の弱みを人で補うことができれば、いまもっている自分の強みもさらに生きる。得意分野に時間とエネルギーを向ければ、さらなるリターンが期待できる。その意味で、どんなタイプの人と働くかを意識することも重要というわけだ。

 『プロフェッショナルミリオネア』 第2章 より 江上治:著 プレジデント社:刊

 自分の長所を知り、短所を知る。
 すると、どの部分を補うべきか、どの業務に手を出さないべきかが分かります。

 不得意分野は他の人にすべて任せて、自分は自分の得意分野に全精力を傾ける。
 そんな自己分析力と潔さを持つことができるが、高収入思考の秘訣ですね。

戦略とは、捨てると同義であることを知っているか

 やりたいことがあるなら、その実現に向けてとことんやるべきです。
 そのためにはそれ以外のことを捨てる勇気も、ときには必要です。

 そのような考え方は、“人”についても言えます。
 価値観の共有できない人や顧客、取引先は、思い切って切り捨てる覚悟も必要です。

 私はサラリーマンのころから、マイナス思考の人とはつき合わないと決めていた。
 マイナス思考の人とつき合っていると運気が逃げていく。成功する人は運をよく気にするが同感である。運は、チャレンジ精神や前向きな姿勢から呼び込まれる。
 後ろ向きの人が周りにいると運が逃げていく。だからつき合わないようにしているのである。
 以前、マイナス発言の目立つ社員に辞めてもらったことがある。私は人手不足を心配しなかった。捨てることによって、新しいものが入ってくるからだ。捨てることでおそらく、捨てた部分を埋め合わせる意識が働くのだろう。私の場合もプラス思考の新しいスタッフが入ってきた。

 古いものを捨てれば新しいものが入ってくる。逆に言えば、捨てなければ新しいものは入ってこないのである。
 捨てられない人のなかには、「サンクコストの罠」にはまってしまう人もいる。
 サンクコストとは投下した費用のこと。つまり、捨てる選択が賢いとわかっていても、投下した費用をムダにするのが惜しいという気持ちが働く、そういう罠である。経営者にとって、失敗が目に見えている事業を、大金を投じたからという理由で捨てられないのは最悪だ。
 ムダな時間と努力を費やす前に、自分がほんとうにやりたいことを思い出し、捨てる勇気をもつことだ。
 成功している経営者ほど、何を残し、何を捨てるかを徹底している。戦略とはすなわち、もてる経営資源をいかに配分するか、その加減のことだからだ。

 『プロフェッショナルミリオネア』 第5章 より 江上治:著 プレジデント社:刊

 古いものを捨てなければ、新しいものが入ってくる余地がありません。
 何かを変えたいのなら、まずはいらないものを切り捨てることから始める必要があります。

 今、そして将来に向けて本当に必要か、切り捨てるべきか。
 過去に引きずられずに、冷静に判断したいですね。

最後は「自分との闘い」と知っているか

 江上さんは、アースホールディングスの國分利治社長から受けた教えを紹介しています。

 それは、「主演=自分」の映画のシナリオを書くというものです。

 自分が映画で主演するとする。そのときに、あなたであれば、どのような役を演じたいと思うだろうか。そして、あなたがその映画のシナリオを書くとすれば、どのような舞台を選び、どのようなストーリーにするだろうか。
 私は、仕事でお金の相談に乗るときには、お金についてのアドバイスをする前に、「人生企画書」をつくるという形で、お客さまに自分の人生設計について考えてもらうようにしている。どういうものかというと、まずは自分の人生が終わる「予定日」を設定し、その日までに「残り時間」がどの程度あるかを計算してみる。そのうえで、人生の目的を書き出し、それを実現するための時間の使い方をプランニングするというものである。
 自分の人生の主役は、ほかでもない自分だ。
「主演=自分」の映画の「映画」の部分は、「人生」と置き換えることができる。「主演=自分」の映画のシナリオを書くというのは、私がすすめる「人生計画書」をつくるという考え方と同じである。

 映画のシナリオを完成させるには、当然のことながら、ストーリーのエンディングが見えていなければならない。エンディングを思い描くことで、人生の終わりは、どのような自分でありたいのかが見えてくる。死ぬまでに自分が何をしたいのか、そのためにどのような生き方をしたいのかが、はっきりするわけだ。
 3人の人間がいれば、それぞれ異なる3つの人生がある。
 ところが、人生はそれぞれであることはわかっていても、私たちはつい自分の人生と、他人の人生を比べてしまう。私の場合は、仕事で成功するために、人生での家族との時間を犠牲にすると決めた。それにもかかわらず、ほかの人が「娘の体育会に参加した」と、うれしそうに話すのを聞けば、自分もそうすべきだったのではと、後悔の念に襲われることもある。
 だが、自分の人生は自分だけのものだ。その意味では、誰に何と言われようと関係がない。けっきょく最後は、自分との闘いになるのである。

  『プロフェッショナルミリオネア』 第6章 より  江上治:著  プレジデント社:刊

 映画には、シナリオが不可欠です。
 シナリオは、まずエンディングが決まり、そこに至る詳細な筋書きが決定します。

「主演=自分」という映画で、どのような役を演じ、どのような結末を望むのか。
 それをまずしっかり考えろということですね。

 映画にも決められた時間があるように、人生の“上演時間”も定められています。
 今のうちに十分に熟慮して、ムダのない配役、時間配分を心掛けたいですね。

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☆    ★    ☆    ★    ☆    ★    ☆

 江上さんは、年収1億円以上稼ぐ方々が、富を還元する形で、世の中にどれほどの貢献をしているのかを目の当たりにしてきた、と述べられています。
 そして、それを究極の「分かち合い」の形という表現をされています。

 人間の欲がなくなることはありません。
 ただ、その性質を変えることは可能です。

 周囲に与えた分だけ、自分自身も受け取ることができる。
 自分ひとりだけの「私欲」を周囲への貢献という「分かち合う欲」へ昇華することができるか。

 それが「プロフェッショナルミリオネア」の仲間入りの条件になりますね。

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