【書評】『「病気」と「健康」の法則』(ロバート・ハシンガー)

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 お薦めの本の紹介です。
 ロバート・ハシンガー先生の『「病気」と「健康」の法則』です。


 ロバート・ハシンガー先生は、医師、クラシカルホメオパス、ヘルスリサーチャーです。
 脳神経外科の研修医のご経験のほか、あらゆる補完・統合医療の治療体系、精神療法トレーニングを積まれています。

「ATP」が不足すると、人間は病気になる


 人間が病気になる原因は、さまざまです。
 遺伝子が決める面もあり、環境や生活習慣が病気の引き金となる面もあります。

 ハシンガー先生は、生体のどこかでATP(アデノシン三リン酸)というエネルギー源が不足しているから、人間は病気になると結論づけています。

 ATPは、「生体のエネルギー通貨」とも呼ばれています。
 あらゆる生物は、このATPをエネルギー源として利用しています。

 病気の症状というのは非常に合理的な現象であり、病気の症状が出ることは、人間が生き残っていくため、種が存続していくために生体に備えられた機能の一つです。
 つまり、健康とは、生体内のエネルギーバランスがきちんと保たれている状態のこと。

 本書は、統合医療の観点から「健康であるとは、どういうことなのか」を解説した一冊です。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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風邪をひいたとき、体を温めたほうがよいのはなぜ?


 人間は、寒さや冷えた環境はあまり得意ではありません。
寒くなって体温が低くなると、あらゆる化学反応の速度が急激に低下し、生命の維持すら危うい状態に陥るからです。

 冬になって寒くなると、人間の体は熱を産生するために多くのエネルギーを使うようになります。
 その結果、免疫システムが使えるエネルギーが少なくなり、免疫系がうまく機能しなくなります。

 そもそも免疫システムは、何重もの防衛ラインによって構成されています。たとえば、城を守る侍たちも敵にいきなり城の本丸に攻め込まれることのないよう、何重かの防衛ラインに分かれて城を守るはずです。免疫システムにも同じことがいえます。いきなりウイルスや細菌が体の中枢を攻撃することのないよう、何重にも防衛ラインを敷いて私たちを守っているのです。
 城の外側でつねに闘いつづけ、敵の侵入を防いでいるのが第1ラインです。第1ラインが完璧な仕事をしていれば、ウイルスや細菌が体内に入りこむことはありません。これが、免疫システムがうまく機能している状態です。
 ところが寒くなると、体温を維持するためにエネルギーを使わざるを得なくなり、その結果、エネルギーが不足し、第1ラインの防衛能力が弱まります。するとウイルスや細菌は第1ラインを突破し、城の庭に入りこむのです。その瞬間、城の中庭を守る第2ラインが働きはじめます。
 第2ラインがウイルスや細菌と闘いはじめると、たとえば鼻水が出ます。鼻水をどんどん出して、体内に入ったウイルスや細菌を排出しようとするのです。これがいわゆる風邪の状態です。つまり風邪をひくということは、免疫システムの第1ラインが突破され、第2ラインがウイルスや細菌と闘っている状態なのです。
 この状態で有効なのは体を温めることです。外出中、いきなり雨に降られて濡れてしまったり、夜になって急に気温が下がったりして、「なんとなく風邪をひきそうだな」と思った経験はありませんか。これはすでに第2ラインが働きはじめている状態です。そのときに熱いお風呂に入ったり、温かい飲み物をとったりして体を温め、そのまま早く休むと、翌朝には回復していることが少なくありません。
 これは体を温めることで、体温を上げるためのエネルギーを節約できるからです。節約した分のエネルギーは免疫システムにまわされるので、第2ラインは十分にウイルスや細菌に対処することができます。すると、ウイルスや細菌はそれ以上、体の深くには侵入できず、風邪をギリギリのところで回避できるのです。

 『「病気」と「健康」の法則』 第1章 より ロバート・ハシンガー:著 サンマーク出版:刊

 鼻水や熱の症状は、体力が弱って免疫力システムの第1ラインが突破された証拠です。
 同時に、第2ラインが正常に働いている証拠でもあります。

 風邪をこじらせるないためには、普段から体を冷やさないこと。
 そして、寒気を感じたらすぐに体を温めてゆっくり休むこと。

 昔から言われていることですが、結局それが一番効果的です。

生体のどこかでATPが不足すると病気になる


 ハシンガー先生は、人間が病気になるのは、生体のエネルギーバランスが崩れたときだと指摘しています。

 ここでいうエネルギーとは物理的なエネルギーであり、精神的なエネルギーではありません。物質として存在し、生体が化学的、生理学的に利用できるエネルギーのことを、私はエネルギーと呼んでいるのです。
 そして、人間をはじめとする生物が直接的に利用するのがATP(アデノシン三リン酸)というエネルギー源です。ATPは生体のエネルギー通貨と呼ばれるほど重要なもので、消化吸収された食物は全身の細胞に運ばれ、最終的にATPとなります。取りこんだ食物がATPに変わることではじめて、生体は食物のエネルギーをさまざまな活動に使えるようになるのです。ですから、細胞内のATPがたくさんあるほど、すぐに使えるエネルギーが多いということになるでしょう。
 私たちが病気になるのはこのATPの需給バランスが崩れたとき、つまり生体内のどこかでATPが不足したときです。たとえば寒いときは体温を上げるために多くのATPを使ってしまい、免疫システムが使えるATPが不足します。風邪をひくのはそのためでしょう。
 鉄分の不足による鉄欠乏性貧血もATPの不足が原因です。鉄は重い物質なので輸送に多くのエネルギーを要しますが、鉄ほど酸素と反応しやすい物質はありません。そして酸素はATPを産生するプロセスに不可欠であり、生体にとって非常に大切なものです。だから生体はあえて鉄を主成分としたヘモグロビンで酸素を運搬します。
 鉄は腸のなかにある特別な分子により、ATPを使って体内に取りこまれます。そして体内に取りこまれた鉄はヘモグロビンとして合成され、酸素の運搬を担うのです。ところがATPが不足すると鉄が取りこまれなくなり、生体の鉄量が不足します。その結果、合成されるヘモグロビンの量が減少し、運搬される酸素の量も減ってATPが十分に産生できなくなります。するとさらに鉄が取りこめなくなり、悪循環に陥るのです。この状態を放っておくと、貧血で死ぬ可能性もあるでしょう。

 『「病気」と「健康」の法則』 第2章 より ロバート・ハシンガー:著 サンマーク出版:刊

 機関車における「石炭」のような存在。
 それが、生体における「ATP」の役割です。

 日常的な体の不調は、すべてこのATPの不足によってもたらされるとのこと。
 体の中にATPをより多く取り込むことが、健康を維持するポイントとなります。

「瞑想」をすることで、ATPが増える!


 生体は「酸素」を使い、食物を消化吸収して得た栄養成分を燃焼させ、ATPを産生します。

 この原理は、木や石油を燃やしてエネルギーをつくるのと同じです。
 つまり、生体が食物を燃焼させATPを取り出すためには酸素が必要です。

 血液中の酸素量を決定しているのは、「呼吸」です。
 意識的に呼吸をコントロールするときにもっとも効果的なのは、「瞑想を行うこと」です。

 ハシンガー先生は、瞑想には二つの特徴があるとして以下のように説明しています。

 一つは生体の活動量が低下することです。瞑想はただ座って目を閉じたり、壁を見たりしているだけなので、肉体的に何もしていない状態です。外からの刺激がないので、脳の働きも低下していくことでしょう。すると生体のエネルギーの使用量は減少します。
 もう一つの特徴は、呼吸量が増加することです。呼吸量が増加するメカニズムは、瞑想のしかたによって違うでしょう。ヨガのように特殊なテクニックを使ったり、あるいは自分の意識を呼吸に向けることで呼吸をコントロールしたり、呼吸を増やす方法はさまざまです。
 そして瞑想によって活動量が低下し、呼吸量が増加した結果、私たちは多くの余剰エネルギーを手に入れることができます。これはたんに呼吸量を増やすよりも、生体に対してポジティブな影響を与えます。余剰エネルギーができると、生体はデトックスを行うことができるからです。
 生体内にはつねに毒素があふれていますが、日常生活のなかでふつうに活動しているときに、それらをデトックスすることはできません。レストランのキッチンで一人のシェフがいろいろな料理をつくりながらお皿を洗うことができないのと同じで、生体は二つの作業を同時進行させることは苦手なのです。
 そこで生体はレストランの営業時間が終わってから、つまり体が眠ってからデトックスを行ないます。ふつうの生活を送っていると、生体がデトックスを行うチャンスは睡眠中しかないのです。朝、起きたときは気分がよく、エネルギーに満ちあふれているのに、夕方になると疲れてくるのは、日中の活動で生じた毒素がデトックスされないまま、体内に蓄積されるからです。
 ところが瞑想を行うと、覚醒していても、体は眠っているような状態になります。しかもたくさんの余剰エネルギーができるので、生体は体内の毒素を掃除しはじめるわけです。
 しかも、瞑想中は、体よりも脳でデトックスが盛んに行われます。そのため、瞑想すると脳にかかわる中枢神経系の病気や感情の病気によい影響を及ぼします。たとえばうつ病とか不安神経症などの病気に、瞑想は効果的に働くのです。

 『「病気」と「健康」の法則』 第3章 より ロバート・ハシンガー:著 サンマーク出版:刊

 瞑想には、「ATPの産生量を増やす効果」と「ATPの消費量を減らす効果」の両方があります。
 それによって多くの余剰エネルギーを得ることができます。

 ATPを増やして、体内をデトックス。
 1日1回の瞑想を習慣づけたいですね。

健康的な人は、ロウソクの炎が消えるように死んでいく


 人生のビークは20代であり、その後はずっと下り坂、50代以降は枯れた人生。
 そういう考え方を持つ人がいますが、それは間違いです。

 健康的な人であれば年齢を重ねてからも、エネルギーは低下するどころか、むしろ上がっていきます。たしかに性的なエネルギーだけを見れば、18〜21歳くらいがピークということもできますが、それは年齢が若いほど細胞が傷ついておらず、生殖に適した細胞をつくることができるという生物学的な理由からです。
 そして、人間は成長とともに、若いときの性的なエネルギーをほかのかたちに転換していくことができます。自分がしなければいけないこと、自分がしたいことをするためのエネルギーに変えていくことで、年齢を重ねてもエネルギーレベルを上げることができるのです。たとえばローリング・ストーンズのミック・ジャガーは70歳を迎えた今でも120分間、ステージで歌い、動きつづけることができます。彼は70歳を過ぎてもエネルギーがあふれていて、20歳の若者でもなかなか追いつくことはできません。そんなお年寄りは世の中にたくさんいます。年齢とエネルギーとはまったく関係がないのです。
 それにもかかわらず、多くの人が年をとったらエネルギーが落ちると思い込んでいるのは、定年退職制度のような社会システムのせいでしょう。定年退職というのは本当にばかげた制度です。年をとった人ほど、エネルギーも経験もノウハウもたくさんもっているのに、若い人材を登用するだけのために彼らを切り捨ててしまうのは、会社が貴重な財産をみずから捨てているのと同じことでしょう。
 それに定年退職をする人にとっても、仕事のまったくない新しい環境に1日で適応しなくてはならないというのは残酷な話です。多くの人はその突然の変化に適応できず、退職したとたんにエネルギーが低下して元気がなくなったり、病気になったりするのです。
 本来なら仕事がある環境からゆっくりと移行するべきでしょう。フルタイムで働いていたところを半分の時間にするとか、休日の割合を増やすとかしながら第二の人生に適応していけば、それまで仕事に向けていたエネルギーをほかのかたちに転換することができます。その結果、さらにエネルギーレベルがアップし、健康で活動的な余生が送れるのです。

 『「病気」と「健康」の法則』 第4章 より ロバート・ハシンガー:著 サンマーク出版:刊

「歳をとると、エネルギーが低下して元気がなくなる」
 そういった思い込みが老化を早めます。

 自分がしたいことをするためのエネルギーに変えていく。
 そうすることで、年齢を重ねてもエネルギーレベルを上げることができます。

 定年後も、仕事の代わりに自分のやりたいことを見つけ、それにエネルギーを注ぎ込む。
 それがいつまでも健康で活動的な人生を送る秘訣ですね。

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「体の中からエネルギーが不足すると、病気になる」
 ハシンガー先生は、そんな抽象的な事実を、ATPという具体的な化学物質をキーワードに見事に説明されています。

 西洋医学の知識はもちろん、サイコセラピストの資格を持ち、鍼(はり)治療などの東洋医学に造詣が深く、ホメオパシー治療の権威でもあるハシンガー先生ならではの理論です。

 病気は「悪」でやっつけるべきもの。
 病気になったら薬を飲めばいい。

 そんな考えに洗脳されている現代人には、まさに「目からウロコが落ちる」というべき内容。
 タイトルの通り、「病気」と「健康」についての新しい定義をもたらす一冊です。



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