【書評】『金持ち脳と貧乏脳』(茂木健一郎)

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 お薦めの本の紹介です。
 茂木健一郎先生の『金持ち脳と貧乏脳』です。

 茂木健一郎(もぎ・けんいちろう)先生(@kenichiromogi)は、脳科学者です。
ご自身のご専門に留まらず幅広い分野で活躍されています。

「脳」と「お金」の深い関係


 私たちの「脳」と「お金に関する行動」は、とても深い関係にあります。

 例えば、「貯蓄」について。
 貯蓄とは、脳が人間の行動に影響を及ぼすことによって生まれる典型的な行動パターンの一つです。

 人が貯蓄するという行動は、「未来に投資する」という意味合いが強く、「自分の未来は明るいものだ」と思っている証拠です。
 たしかに、自分の将来に悲観的で「どうでもいいや」と思っている人は、わざわざお金を貯めるとは考えにくいですね。

 その一方で、貯蓄には「不確実性」に対する備えという意味合いもあります。
 脳には、不測の事態に備えて自分の身を守ろうとするとする性質もあります。

 貯蓄が「安全基地」の一つとなることで、より積極的な行動がとれるようにもなるわけですね。
 茂木先生は、私たちが普段何気なく行なっているお金に関する行動のほぼすべてを脳が操っていることを知ってほしい、と強調します。

 本書は、脳科学の見地から、「どのような脳の使い方をすれば貧乏脳から脱出し、金持ち脳の持ち主になれるのか」をまとめた一冊です。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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金持ち脳と貧乏脳の決定的な違い


 茂木先生は、簡単にいってしまえば、金持ち脳とは、お金を増やすことを考えている脳であり、貧乏脳とはただお金を使うことだけしか考えていない脳だと述べています。

 私がこれまでたくさんのお金持ちと出会い、学んできたことで、まず皆さんにお伝えしたいのは、「お金持ちの多くは最初からお金持ちだったわけではない」ということです。
 お金持ちになった人は、自分の成長のための自己投資を怠らずに、10年、20年先を見据えて普通の人よりも必死で努力してきた人たちです。
 お金がお金を生み出す仕組みを知るために本を読みあさり、先人の成功者のセミナーや講演会に積極的に参加し、勇気を持って人脈をつくり、それらを参考に自分の能力をアップさせ、自分の価値と評価を高め、お金を生み出せる自分磨きに邁進(まいしん)した人たちがお金持ちになっているのです。
 
 その一方で、「自分には特別な才能はない」と最初から諦めて、ただ単にお金を稼ぐために仕事をしている人というのは貧乏脳の典型的なパターンだといえます。
 やりたくもない仕事を我慢しながら嫌々こなしている。そのような人は本気になって何かに打ち込んだ経験がない人でしょう。
 しかし、金持ち脳を持っている人というのは、夢中になれる好きなことを仕事にしているので、たとえ辛い場面に遭遇しても我慢という感覚がないのです。

 『金持ち脳と貧乏脳』 第1章 より 茂木健一郎:著 総合法令出版:刊

 自分の可能性を信じ、自分の好きなことを仕事にするために日々努力すること。
 それがお金持ちになるための唯一の方法だということですね。
 偶然だけでは、本当のお金持ちにもなれないし、成功者にもなれないということ。

 同じ努力ならば、つまらないことや嫌いなことをする時間にではなく、好きなことをとことん追求する時間に費やしたいもの。
 そのほうが、長続きするし、上達するのも早いです。
 短時間でお金を得るだけの実力も身につけられますね。

それでもなぜ、人はお金を追い続けるのか?


 日々の研究で「幸福とは何か」というテーマを扱っている茂木先生。
 お金ばかりを追求している人というのは、生活の幸福度や満足度が低いことが多いと指摘します。
 だからこそ、多くの人が宮﨑駿監督やイチロー選手のような生き方に憧れるのだと。

 芸術家やアスリートというのは、お金が目的ではないということがなんとなく理解できるはずです。
 絵コンテを描いている時間というのは、それが楽しい、うれしいということであって、その結果として宮崎さんの場合であれば映画が成功してご自身も経済的な見返りがあると思うのですが、そこでは、お金を追うことが本筋ではないということです。
 また、イチロー選手が1本ヒットを打てば、いくらの儲けという意識で打席に立っているとは思えません。
 お金自体を目的にするということは、お金を儲けるということにおいて役立つこともあるかもしれませんが、クオリティ・オブ・ライフ、あるいはどれくらい幸せかということこそが、お金と幸せのバランスを考える上での重要なポイントなのです。
 人間には所有欲というものがあり、お金があれば物やサービス、あるいは時間を買ったりできる。そのためにいかにお金を稼ぐか、お金を貯めるかということを考えるものだと思います。
 しかし、お金自体を目的にしてしまうと、人間の脳が本来最も喜びや幸せを感じる「生きる手段」からずれていってしまうと思います。

 『金持ち脳と貧乏脳』 第2章 より 茂木健一郎:著 総合法令出版:刊

 人生は、お金だけではありません。
 お金は、あくまでも幸せになるための「手段」です。
 お金自体を「目的」にしても、けっして幸せにはなれません。

「どうしたらお金が稼げるか」を考えることも、もちろん大事です。
 しかし、それ以上に大切なのは「生きたお金の使い方」をすることです。

 お金を追求するのではなく、楽しさや幸せを追求すること。
 それが、結局、お金持ちになるための近道になります。

「お金持ち」に共通する脳の使い方


 茂木先生が、これまでお金持ちの人を見てきて思うこと。
 それは、皆、お金に対する出し入れの基準をしっかりと持っていることです。

 つまり、「本当に出すに値するお金なのか、それとも無駄なお金なのかという見極めがしっかりしている」ということ。

 その秘密は、お金を出すか出さないかというときに、その相手を徹底的に観察する点にあります。

 お金持ちの人たちは、そのほとんどが人間関係、もっといえば信頼関係で成り立っている部分が大きいものです。
 皆、「この人間は信用できる」、あるいは「この人がいっていることだったら大丈夫」という、人間に対する判断力が長けており、お金を出すか出さないかの判断基準が明確になっています。
 これは、私たち科学者の世界でも同じことがいえます。
 例えば、この研究室から出ているデータは信頼できるけど、ここのデータはちょっとどうかな、ということがあります。そのような場合のリスクテイクというのは非常に難しいところでもあります。

 誰でもそうですが、海でいきなり泳げば溺れてしまいます。そのリスクを回避するためには安全な場所で泳ぐ練習をしてから海に行くはずです。
 お金にしてもリスクに向き合う脳の感覚を使っていかなければいけません。

 世の中で成功してきた実業家や経営者というのは、これまで下してきた判断が正しく、その結果成功して、お金持ちになったというプロセスがあります。
 彼らには、「動かざること山のごとし」という言葉がしっくり当てはまるのです。
 投資や経営判断で失敗してしまう人というのは、小手先だけの判断で行動してしまいがちです。ところが、お金持ちや成功者というのは、簡単には動かないというのが基本です。そして、いざというときにあ「これだ!」と迷うことなく動くのです。
 まさに、ライオンやトラがハンティングするようなイメージです。

 『金持ち脳と貧乏脳』 第5章 より 茂木健一郎:著 総合法令出版:刊

 お金は、人とのつながりから巡ってくるもの。
 成功してきた実業家は、信用がお金を生み出すことを身をもって経験しています。

 人や情報の真偽を瞬時に判断する嗅覚を研ぎ澄ます。
 その訓練を積んで、厳しいビジネス社会を乗り切ってきたのでしょう。

 自分自身で判断する能力は、経験を積まないと高められないものです。
 日常の些細なことから、人任せにせず、自分で判断することを心掛けたいですね。

「フィジカルストレングス」を高めよう!


 大きな資産を築いた成功者の共通点に、「フィジカルストレングス(身体的な強さ)」があります。

 茂木先生は、お金を稼げば稼ぐほど、その職責やプレッシャーも大きくなるわけですが、それに耐える心の強さを支えているのが強靭(きょうじん)な体であると指摘しています。

 脳科学的な知見から述べれば、運動やトレーニングは脳に良い刺激を与え、神経伝達物質のバランスを整えてくれます。
 体が常に健康であることで得られるメリットには、次のようなものが挙げられます。

  • 沈着冷静で平常心を保つことによって論理的思考力が身につく
  • いざというときの選択や決断を誤らない判断力が身につく
  • 自分の体験やイメージを正確に蓄えることができる記憶力が養われる
  • 自分が逆境の立場に置かれても粘り強く前向きに考えるポジティブ思考が身につく
  • エネルギッシュでアクティブな行動力が芽生える
 これらの特性をひと言でいえば、「脳のセルフコントロール力が高まる」ということです。

 運動やトレーニングの効果はこれだけではありません。
 脳の注意システムが活性化することによって、ストレスから解放され、やる気と集中力を高めてくれるのです。

 『金持ち脳と貧乏脳』 第6章 より 茂木健一郎:著 総合法令出版:刊

 茂木先生自身、できる限り毎朝ジョギングをするように心がけているとのこと。

 心身の健康があって、はじめてお金を稼ぐことができる。
 当たり前のことですが、つい忘れてしまいがちです。

 大切なものほど、普段その存在に気づかず、なくしたときにそのありがたさを実感します。
「健康」ももちろん、そのうちのひとつです。
 普段からしっかり体を鍛える習慣を身につけたいですね。

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「人は自分が考えた通りの人間になる」とは、よく言われる言葉です。

 お金持ちにはお金持ちなりの、貧乏人には貧乏人なりの考え方があります。
 誰もが、無意識のうちにそれを日々同じように繰り返しています。

 お金持ちになりたいなら、根本になる脳の中の「思考パターン」を変える必要があります。
 自分の周りの世界を変えることはできません。
 しかし、自分の体の中の「脳」を変えることはできます。

 自分の頭にイノベーションを起こし、創造力あふれる「金持ち脳」を身につけたいですね。


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