【書評】『奇跡の30秒背骨ストレッチ』(小池義孝)
お薦めの本の紹介です。
小池義孝先生の『奇跡の30秒背骨ストレッチ: 病気にならない。頭も体もスッキリ快調』です。
小池義孝(こいけ・よしたか)先生(@koikeyoshitaka)は、気功を専門とした治療師です。
現在は気功治療院の院長を務められ、どの流派にも属さず独自の道を歩み続けられています。
健康の秘訣は「背骨の使い方」にあり
「背骨」は、体全体を裏側から支え、すべての動きや姿勢の軸となる大切な骨です。
しかし、背骨についての正しい知識を身につけている人はあまりいません。
小池先生は、9割以上の人は「背骨の使い方」が間違っている
とし、そのせいで、体のあちこちに、そのひずみが不調としてあらわれている
と指摘しています。
なかなか治らない病気やとれない疲れ、運動神経の衰え、頭がボーッとするなどの不調。
それらは思わぬところに原因があり、その代表的な原因が、「背骨の間違い」です。
本書は、小池先生が、ねこ背治療をする中で発見した「背骨の真実」を解説し、健康を増進させる具体的な正しい「背骨の使い方」をまとめた一冊です。
その中からいくつかピックアップしてご紹介します。
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背骨の間違いが「酸欠状態」を招く
背骨の使い方を間違えると、さまざまな体の不調として現われます。
小池先生は、その具体的な例として原因不明の「慢性疲労」や「こり」を挙げています。
実は、「肺」は、自力で動いているわけではありません。背骨や横隔膜、肺まわりの筋肉が大きく動くことで、空気をとり入れています。ですから、背骨が間違っていれば、きちんと肺が広がらないため、深い呼吸ができません。
そうなれば、脳が酸欠になり、頭は常にぼんやり。やる気、注意力も損なわれ、仕事も勉強もはかどらないでしょう。「疲れた・・・・」が口グセの人は、例外なく背骨が間違っています。
酸欠だと、全身の筋肉もかたくなります。すると運動能力が落ちるうえ、あちこちに「こり」が生じます。肩こりはもちろん、たとえば骨盤まわりの筋肉がこりかたまれば、骨盤が引っぱられてゆがみ、太りやすくなります。目のまわりの筋肉がこれば、目のピントが合わせにくくなって視力が低下するという具合です。『奇跡の30秒背骨ストレッチ』 第1章 より 小池義孝:著 三笠書房:刊
背骨は、ただ体を支えているだけではありません。
息を吸ったり吐いたりといった、普段何気なく行なう動作にも、大きな影響を与えています。
「肩こりが治らない」
「疲れが抜けない」
そういう人は、背骨が間違っているということです。
背骨本来の正しい使い方を取り戻して、それらの不調とお別れしたいですね。
背骨は「バネ」である!
背骨の重要な役割の一つは「重い体を支えること」です。
5kgほどもある頭を支えながら、立ったり、座ったり、歩いたり様々な動きをします。
このとき背骨にかかる負担は相当なもの。
背骨は、この負担に耐えられるように、「S字カーブ」を描いています。
S字カーブは、体の動きに合わせて曲がったり伸びたりして衝撃を吸収します。
背骨は、首から腰まで上から7個の頸椎(けいつい)、12個の胸椎、5個の腰椎(ようつい)という、全部で24個の骨が1本につらなって、できています。
一つひとつの骨は、臼のような形をしており、骨と骨との間には、軟骨と繊維からできた「椎間板」というものがはさまっています。
「椎間板」は水分を大量に含んでおり、足から受ける脳への衝撃を吸収します。
椎間板は縮んだり伸びたりして、クッションの役割を果たしています。
そのつくりは、まるで、バネそっくりです。
(中略)
先ほどご説明した「S字カーブ」と、この「椎間板クッション」という、ダブルのバネのおかげで、体は前後左右になめらかにグイングインと動かせるのです。私が知ってほしかった「背骨の真実」が、ここにあります。
背骨は、バネである!
“背骨のS字カーブが、「バネのように」歩くときの衝撃を吸収する”と説明する人は、これまでにも多くいました。
ですが、ここが重要です。
あなたの体を、人生を変えるには、「背骨は、バネのようだ」ではなくて、背骨は、バネだ!
と、ハッキリ意識することが重要なのです。
ひとたび、ここをシッカリ意識すると、もう、今後の体の使い方が全然違ってきます。背骨が持つ機能を十分に使えるようになります。
運動能力もアップします。『奇跡の30秒背骨ストレッチ』 第1章 より 小池義孝:著 三笠書房:刊
固い骨が直線上に、ただ積み重なっている。
背骨は、そういうイメージでとらえられがちですが、実際には違います。
「背骨はバネ」
小池先生は、これを略して「背バネ」と呼んでいます。
背骨を弾力性のあるバネとしてイメージすること。
そして、そのようなバネのような動きを取り戻すこと。
それが正しい「背骨の使い方」を身につけるために重要です。
背骨全体をゆるめる「背バネ・ユラユラストレッチ」
小池先生は、背骨がやわらかくなれば、筋肉もしなやかになり、若さがあふれる状態
に戻ると強調します。
「背骨を動かして使う」体操のなかから、「背バネ・ユラユラストレッチ」をご紹介します。
「背バネ・ユラユラストレッチ」
(1)肩幅に足を開いて立ちます。
全身の力を抜いてリラックス。その状態から背骨がバネであることを意識し、「ビヨ~ン」といいながら何回か伸ばします。
(2)背骨を伸ばしたまま、背骨全体を左右にユラユラと揺らします。
海の中で気持ちよさそうに、ただようコンブをイメージして、「ユラユラ」「クニャクニャ」などと声にだしながら、背骨を揺らしてみましょう。実に不思議ですが、声にだすことで、本当に体がイメージどおりに動いてくれます。
頭も揺らすのがポイントです。
(中略)
30秒~2分もやれば、十分効果が感じられるはずです。
「背バネ・ユラユラ体操」は、仰向けに寝転んでもできます。
寝て行なう場合は、床に触れる肩甲骨と背中、それと尾骨を中心としたお尻を支えにして、背骨をユラユラ揺らします。
「金魚運動」と呼ばれる運動は、下半身を中心に揺らしますが、「背バネ・ユラユラストレッチ」の場合は、腰と背中を使って背骨を揺らします。朝起きてすぐ、ベッドで寝たまま行なえば、スッキリ目が覚めますし、寝る前に行なえば体の回復効果を高めます。また、仕事中に行なえば、ボーッとした頭に血液がめぐってスッキリし、すばらしいヒラメキが降ってくるかもしれません。
さあ、シッカリ揺らしたら、両手を腰にあてて背中を後ろに反らして、その効果を確認してみましょう。「背バネ・ユラユラストレッチ」をしたあとは、ふだんよりラクに後ろに反らせるようになっているはずです。
『奇跡の30秒背骨ストレッチ』 第2章 より 小池義孝:著 三笠書房:刊
「ビヨ~ン」
「ユラユラ」
「クニャクニャ」
実際に言葉に出しながら行うと頭の中でのイメージがしっかりできて、効果的です。
いつでも、短い時間でできますし、布団の中に寝たままでもできます。
正しいやり方を身につけて、習慣にしたいですね。
「背中のハリ・痛み」は、肝臓や胃が弱っている証拠
背骨を形作っている骨の一つひとつは、それぞれつながっている臓器があります。
ストレッチをするときにも、大ざっぱに該当する骨の周辺を意識する。
それだけで、十分効果がアップします。
肩甲骨の間にある「胸椎二番」は、胃と肝臓につながっています。
姿勢を正してこの周辺の筋肉をほぐしても、痛みが消えない。
そんな場合、肝臓や胃が弱っていることを疑ったほうがいいです。
肝臓が疲れているというと、多くの人が“お酒の飲みすぎ”をイメージしますが、意外にお酒が理由で肝臓が弱っている人は少ないのです。
女性はとくに、自分の肝臓が弱っていると聞くと「お酒を飲まないのに、なぜでしょう?」と不思議がります。そういう人たちの性格には、ある共通点があります。
それは、“日常的に我慢することが多い”ということ。
東洋医学では、怒りの感情やイライラをためこむと、肝臓に悪影響をおよぼすといいます。我慢しすぎて、本人も「耐えていること」を意識しなくなってしまっている場合は、とくに、痛みが続きます。
怒らないで我慢していると、本人は忘れていたとしても、怒りのエネルギーは心の中でくすぶり続けます。怒りは、押しこめても消えることはないのです。
そうして発散させずにいれば、怒りはどんどんたまっていき、勢いを増して「破壊」の衝動をもたらします。それは、「もの」を破壊するだけでなく、自分や相手を傷つけ、「人間関係」をも破壊します。
お姑さんとの問題に悩んでいた女性は、別居するようになったらウソのように痛みがなくなり、でかけるのが楽しくなったといいます。
背中の痛みが治らないときは、何か我慢していることがないか振り返ってみましょう。そして、カラオケやスポーツなどで、上手にストレスを発散するのがおすすめです。もっと手近な方法としては、枕を叩いたり、腹が立つことを書いた紙をビリビリに破ったりしても、十分に怒りを消化することができます。『奇跡の30秒背骨ストレッチ』 第4章 より 小池義孝:著 三笠書房:刊
心と体は、密接につながっています。
「怒り」や「イライラ」などの感情と、「背骨」の痛み。
両者は、何のつながりもないようにみえますが、大きな因果関係があります。
背骨の痛みやハリから、内臓の不調も知ることができます。
逆に、背骨の痛みやハリをとることで、内臓の不調を解消することもできます。
正しい知識を身につけておくに越したことはありませんね。
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☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆
私たちの周りにも、いつもエネルギッシュで、健康的に人生を楽しんでいる人たちがいます。
その人たちを見ていると、例外なく姿勢がいいことに気づきます。
背筋がピンと真っ直ぐに伸びていて、視線もまっすぐ前を見据えています。
正しい「背骨の使い方」をしているからなのでしょう。
健康は、「背骨」から。
正しい「背骨の使い方」をマスターし、いつまでも若々しく、健康的な生活を送りたいですね。
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