本一冊丸かじり! おいしい書評ブログ

本を読むことは、心と体に栄養を与えること。読むと元気が出る、そして役に立つ、ビタミンたっぷりの“おいしい”本をご紹介していきます。

【書評】『ポジティブの教科書』(武田双雲)

 お薦めの本の紹介です。
 武田双雲さんの『ポジティブの教科書―自分も周りの人も幸運体質になる3つの基本と11の法則』です。


 武田双雲さん(@souuntakeda)は、大学卒業後、大手通信会社に三年間勤務後、書道家として独立されています。
 音楽家、彫刻家などさまざまなアーティストとのコラボレーション、斬新な個展など、独自の創作活動で注目を集める若手のお一人です。

幸せになる三つの簡単な基本

 双雲さんは、ご縁のあった人によく、「会って幸運体質になれた」「仕事が上昇気流に乗った」と言われるほどの“スーパーポジティブ”思考の持ち主です。
 
 スピリチュアルとも宗教とも無縁。
 それでも、どんどん幸福度が増していく人生を歩んでいる双雲さん。

 それにはちゃんと理由があり、中心になるのが以下の「幸せになる三つの簡単な基本」です。

  • 一、幸せを与えること。
  • 一、幸せであることに「気づくこと」。
  • 一、幸せな言葉を発し、幸せな態度をとること。

 双雲さん自身、この三つに気づき、実践するようになってから僕の人生はガラリと音をたてて変わったと述べています。

 双雲さんは、幼い頃から、他人と比べること、競うこと、勝つことに興味がわかない性格で、勝ち負けの概念がゼロのまま生きてきた、と述べています。
 それでも人を喜ばせたい、感動してもらいたいという欲求だけは人より強く、それが、自分の推進エネルギーにもなっているそうです。
 
「他人と比べることなく、競うこともなく、毎日を楽しく、幸せに生きること」

 双雲さんは、考え方を変えるだけで、そのような生活を手に入れることができることを自らの生き方で示しています。

 本書は、「幸せになる三つの簡単な基本」の実践するため方法をわかりやすく解説した一冊です。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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感謝してもしすぎることはない

 武田さんは、自分の誕生日を「世界感謝デー」にするプロジェクトを立ち上げるほど、自他ともに認める“感謝オタク”です。

 そんな武田さんは、「感謝する」コツについて以下のように述べています。

 感謝って言うとなんだかマジメでかたいイメージがありますが、僕や子どもたちはゲームのように感謝することを楽しんでいます。例えば、さて今日は何に集中して感謝しよっかなと考えます。ふと、子供が目の前にあったタオルを手にして「タオルは?」と言いました。そして、いつもお世話になっているタオルやバスタオルに集中感謝するのです。何であんなに気持ちいい感触をつくれるんだろう。心地よく水分を吸収してくれるんだろうか。タオルを作ってくれている企業、その生地や加工に必要な機械を作る業者や関わる人々など、どんどん想像を膨らませて感謝を楽しみます。パソコンで「タオル」って検索したら、想像以上の情報にありつけ、更に感謝の幅が広がります。
 アメリカには「感謝してもしすぎることはない」という諺(ことわざ)があります。
 よくないことが続くと感謝よりも不安や妬みの感情のほうが大きくなりますよね。そんな人にぜひやってほしいのが、今、僕らが生きているこの世の中に「感謝しまくる」ことです。例えば、僕の場合です。
 おい! 誰だ、こんな素晴らしい世の中をつくったやつ! 数えきれんくらいの多様性に富んだ生命体を生みだしやがって! どえらい綺麗な夕日なんかをつくりやがってこのやろう! 清々しい朝日まで出しやがって! 感動しすぎてびっくりするじゃねーか! おい! あんまりやりすぎっと感謝すっぞ! このやろー、感謝がとまらねーぞ!
 あ、やり方は人それぞれ、ということで(笑)。こんな泉谷しげるさんみたいな言い方でなくても、「はぁ、ありがてーなー」って感じでせめて一日1%くらいは感謝思考でいませんか。パーセンテージが上がる度に素晴らしいことに出会う回数も増えていきますよ。

  『ポジティブの教科書』 第一章 より  武田双雲:著  主婦の友社:刊

 幸せは、出来ごとそのものではなく、出来事に対する「感じ方」の中にあります。
 幸せをより多く感じるためには、何気ない日々の生活での出来ごとに対して感謝する気持ちをどれだけ持つことができるかです。

 この世の中に「感謝しまくる」こと。ぜひ、習慣にしたいですね。

出会いを大切にする

 双雲さんは、作家の田口ランディさんから聞いた話として、人と人との出会いには「集まる」「寄る」がある、と述べています。

 両者の違いとは、「集まる」は、意識、意思を持って集まる。「寄る」は、自然と集まってくる、縁。とのことです。

 人との出会いの時にはいつも縁のすごさ、不思議さをヒシヒシと感じます。人との出会いって、どんなにがんばって獲得した人脈よりも、自然と寄ってきたご縁のほうが気持ちよくてスムーズな気がします。
 以前、ある有名な経営者クラブを創立した方がアトリエにお仕事のオファーでいらっしゃいました。その方はいわゆる、ビジネスの成功者たちにたくさん会ってきた人です。
 その方に質問しました。「成功者の共通点は?」。
 すると即座に答えてくれました。「出会いを大切にできる人」と。
 成功の要素というのはたくさんあるが、すべてに共通するのはそれだけだそうです。
 では実際、出会いを大切にするってどういうことなんでしょうか。僕は受け取り方にヒントと秘訣があるのではないかと思うのです。
 同じ行動されても、Aさんは「ありがたい」と思ったり、Bさんは「これは偽善だ」、Cさんは「ふーん」、Dさんは、「裏に何かあるんじゃないか」、Eさんは「素晴らしい! 何かしてあげたいな」と思ったり、人によって「受け取り方」が異なります。
 それは人だけでなく、雨が降っただけでも、「あいにくの雨」「恵みの雨」と思う人がいるように現象との出会いにおいても言うことができます。
 人やモノ、現象との出会いのときに、その対象をどう受け取るのか。
 受け取った気持ちが、自分のその対象に対する行動に伝達されます。
 つまり、受け取り方を上達させればさせるほど、行動がより美しくなり、出会いを大切にできることになります。
 もう一度、今まで自分の受け取ってきたやり方を疑ってみませんか。

  『ポジティブの教科書』 第二章 より  武田双雲:著  主婦の友社:刊

 人と人との出会いには、それがどんな小さなものでも必ずそれなりの理由があります。
 それが「縁」という考え方ですね。

 縁を生かすも殺すも、その人の受け取り方次第。
 すべての出会いに意味を見出し、感謝できる「出会いを大切にできる人」を目指したいですね。

「書き出すこと」の持つパワー

 

 双雲さんは、「不安」を膨らまさない方法として効果的なのは「書き出す」ことだと述べています。

 漠然とした不安も、言葉で具体的に視覚化することで整理できます。
「書き出す」ことは、習慣を変えるパワーがあります。

「何かをやめよう」としても難しい。人間の意志の力は案外弱いものです。だから習慣をやめるじゃなく、「新しい習慣を始める」とするのです。新しい行動習慣を始める、としたら、うまくシフトできることが体験上、多いです。「恋人と別れる」じゃなく「新しい恋を始める」(笑)のです。
「書き出すこと」は、僕は書道家だけに、筆で書いて毎日見える場所に貼っておくことをおすすめしたいです。つまり、マニフェスト宣言です。これだけは必ずやり遂げるというマニフェストを一つだけ、一年間は貼り出しておきましょう。
 え? それだけ? うそー、って思われた方も多いと思いますが、書くだけで、人生が変わることも多くの人が体験していると思います。
 例えば、ロンドン五輪ボクシング金メダリストの村田諒太選手が自宅の冷蔵庫に「金メダルを取りました。ありがとうございました」と貼っていたのは有名な話ですよね。「◯◯したい」よりも「◯◯しました」と実現したことをイメージしているのがまたすごい。更に、「ありがとうございました」と先に感謝しているのも最上級。まさに金メダル級の「書き出す」ことの体現者と言えます。
 過去の偉人たち、例えば鑑真和上(がんじんおしょう)も一遍上人(いっぺんしょうにん)も空海も徳川家康も書く力を存分に知っていました。書くということは人類の叡智(えいち)である「言葉」をこの世に具現化することです。ものすごい言葉の力を最大限に引き出すものだと僕は確信しています。
 だから僕は書道家をやめられないのかもしれません。

  『ポジティブの教科書』 第四章 より  武田双雲:著  主婦の友社:刊

 書道家である双雲さんらしい方法ですね。
 頭の中にだけにあるものを文字という具体的なかたちにすることで、よりイメージしやすくなります。

 目にする場所に貼っておけば、絶対に忘れてしまうことはありません。
 ぜひ、試してみたい方法ですね。

先ずは一歩を踏み出す

 双雲さんは、「努力すべきとか、しないでいいとか、才能があるかないかなんて考える暇があったら、とにかく一歩、一歩、足を前に出し続けること。それしかない」という友人の言葉に、とても共感を覚えたと述べています。

 僕も書道教室でよく生徒さんに伝えるのが、「ずっと考えていても、発想は生まれません。まずは、何でもいいから、一本の線を書いてみることです」と。一本の線を書けば、二本目の選択肢がいくつも生まれ、二本目を書くと、また、あらゆる可能性がひらいていきます。これは、人生でも同じで、家でずっと考えてても、答えは出にくいのです。まずは一歩、踏み出してみる。もし、うまくいかなければ違う一歩に切り替える。そうやって、人生はひらいていくものです。
 よくノウハウ本や自己啓発書を読んでも「効果がない」という人がいます。危険なのは読んでわかったつもりになることです。実践しないと効果はありません。実践しなければ読んだことにはなりません。僕はそういう本を読むと、たとえ共感できなくてもできるかぎり実践します。「トイレを掃除してみよう」と書かれていたら、すぐトイレ掃除をやります。実践を繰り返していれば、効果が出ます。「紙に書き出そう」とあったら、すぐに書き出してみる。自分がいい! と思ったものを続けてみるのです。習慣にする。本を鵜呑みにする。大事です。鵜呑みにした後に、自分なりに創意工夫すればいいのです。
「勇気がないから一歩を踏み出さない」という人がいますが、僕は逆です。「勇気がないからこそ一歩を踏み出す」です。一歩を踏み出さない怖さを知っているからです。
 同じ場所にとどまっていることを恐ろしいと思うからこそ、一歩を踏み出します。しかもリスクの高い一歩なんて踏み出しません。気楽にできる小さな小さな一歩を何回も、いや何百回も踏み出すのです。

  『ポジティブの教科書』 第六章 より  武田双雲:著  主婦の友社:刊

 多くの人は「できない理由」を考えてしまい、そこで立ち止まってしまいます。
 どんな道のりでも、歩き出さなければ決して目的地にたどり着くことはありません。

「勇気がないからこそ一歩を踏み出す」

 この言葉を頭に刻み、できることをコツコツと身につくまで繰り返したいですね。

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 ポジティブというと「後ろは見ないで、前を向いていこう」みたいなイメージを持つ人は多いのではないでしょうか。

 双雲さんは、安定した質の高いポジティブのためには、前だけを見るのではなく、様々な面を見ながら、受け入れたり、受け流しながら、豊かな精神をもって前に進んでいく力が必要だとおっしゃっています。

「ポジティブであること」の本当の意味は、目標に向かって一直線に進む強引さではありません。
 障害物を交わし、ときには回り道をしながらでも道を探し出すことができるしなやかさ、したたかさのことです。

 ポジティブは、生まれもっての性格ではなく「スキル」。
 普段の生活から、感謝と幸せを「感じる」ための技術がポジティブです。

 私たちも、本書を“教科書”にして、真の「ポジティブ人間」を目指していきたいですね。

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