【書評】『体を壊す13の医薬品・生活用品・化粧品』(渡辺雄二)

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 お薦めの本の紹介です。
 渡辺雄二さんの『体を壊す13の医薬品・生活用品・化粧品』です。

 渡辺雄二(わたなべ・ゆうじ)さんは、フリーの科学ジャーナリストです。
 雑誌や新聞などに食品、環境、医療、バイオテクノロジーなどの諸問題を提起する記事を数多く執筆されています。

当たり前の習慣が不調の原因になっている


 渡辺さんは、歯を磨く、うがいをする、体を洗う、髪を洗う、風邪をひいたら風邪薬を飲むなどの当たり前になっている習慣が、体のさまざまな不調の原因になっていることがあると指摘しています。
 なぜなら、その際に使っている生活用品や医薬品、化粧品などが、体の機能を低下させたり、皮膚や毛髪、胃腸、肝臓などにダメージを与えたりするケースがあるからです。

「快適に暮らしたい」「健康でいたい」とは、すべての人の願いです。
 渡辺さんは、健康的な生活を守るためには、市場に氾濫している製品について、その内容や安全性を、きちんと見極め、本当に必要で安全なものを選んでいくことが不可欠だと強調します。

 本書は、日常的に使っている“不必要で安全性の疑わしい”13の医薬品・生活用品・化粧品”の危険性について、具体的なデータを元に検証し、体の不調の原因となる理由を解説した一冊です。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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「ヨードうがい薬」が風邪の発症率を高める


 冬場に風邪の予防として励行されるのが、「うがい」です。
 ただの水でも、効果のあるうがいですが、さらにウイルスや殺菌を退治するために、ヨードうがい薬を入れてうがいをする人も多いですね。
 しかし、渡辺さんは、ヨードうがい薬を使用はまったく無駄であるどころか、かえって風邪をひきやすくしてしまうと指摘しています。

 京都大学保健管理センター(現・健康科学センター)の河村孝教授の研究グループは、ボランティア387名を「ヨード液うがい群」「水うがい群」「特にうがいをしない群」の三群に分けました。
 そして、それぞれのうがい行動を2ヶ月間行なってもらい、風邪の発症率を調べました。
 その結果は「ヨード液うがい群」は風邪の発症率が「特にうがいをしない群」の約1.4倍も高く、「特にうがいをしない群」とほとんど変わらないというものでした。

 渡辺さんは、このような実験結果になった理由について、以下のように説明しています。

 のどの粘膜にはもともとさまざまな種類の細菌が棲みついていて(これを常在細菌という)、いわば人間との共生関係の状態にあります。ですから、それらの常在菌は通常、病気を起こすことはありません。むしろ、風邪の原因ウイルスや病原菌などの侵入を防いでいるのです。それらの侵入を許すということは、自分たちの生存が脅かされることになるので、それらを駆逐しようとするのです。いわば微生物同士の勢力争いです。
 ところが、ヨードなど殺菌力のあるものが作用すると、それらの常在菌が減ってしまいます。そこに、風邪の原因ウイルスが侵入してくれば、それだけ感染しやすくなってしまうわけです。その結果、風邪をひきやすくなるというわけです。
 また、ヨードは諸刃の剣で、ウイルスや細菌を殺しますが、細胞にも障害をもたらします。そのため、粘膜が荒れてしまい、風邪ウイルスの侵入を容易にしていることが考えられるというわけです。
 一方、「水うがい群」が風邪を予防する効果が高かったことについて、川村教授は、「水の乱流によって、ウイルスそのものか、ほこりの中にあってウイルスにかかりやすくするプロテアーゼという物質が洗い流されること、また、水道水に含まれる塩素がなんらかの効果を発揮したことなどが考えられる」と答えました。
 水道水の場合、細菌などの増殖を防ぐために、塩素が含まれています。それは、蛇口から出た水に0.1ppm(ppmは100万分の1を表す濃度の単位)以上含まれていなければなりません。塩素は殺菌力が強く、細菌ばかりではなく、ウイルスにも作用して、その活動を抑制するのかもしれません。その結果、風邪ウイルスの感染が起こりにくくなった可能性が考えられるというわけです。
 この調査結果を知って、これまでヨードうがい薬で熱心にうがいをしていた人は、さぞかしショックを受けたことでしょう。しかし、これが現実なのです。
 今後は、ヨードうがい薬をわざわざ買うことはやめにして、水道水でうがいをするようにしてください。

 『体を壊す13の医薬品・生活用品・化粧品』 NG その1 より 渡辺雄二:著 幻冬舎:刊

 風邪をひかないようにと買ったうがい薬。
 それが、逆に風邪をおびき寄せていたというのは皮肉な結果ですね。

 強い殺菌作用を持つ薬はどれも、人体にとっては「諸刃の剣」です。
 使用する際には、細心の注意を払いたいものです。

「ボディソープ」には台所用洗剤と同じ成分が含まれている


 肌のかゆみや発疹などの肌トラブルを抱えている人は少なくありません。
 その原因は毎日使っているボディソープの可能性があります。

 ボディソープの中には、刺激性の化学合成物質がいくつも入っているものもあります。
 それらが皮膚の細胞を刺激して、肌トラブルを引き起こしている可能性もあるとのこと。

 ボディソープに使われている、刺激性の化学合成物質の代表が、石油製品を原料とした「合成界面活性剤」です。

 ところで、みなさんはもし、「ボディソープには台所用洗剤と同じ洗浄成分が入っている」といわれたら、今まで通り、それを使う気になるでしょうか?
 台所用洗剤を素手で使えば、だいたい手荒れを起こします。洗浄成分の合成界面活性剤が、皮膚を刺激するからです。ところが、ボディソープにも、これと同じ合成界面活性剤配合されている場合が多いのです。
 市販のポピュラーなボディソープには、「ラウレス硫酸Na」という成分が配合されています。これが、体の汚れを落とす主成分です。聞きなれない言葉だと思いますが、代表的な合成界面活性剤です。これは化粧品業界で使われている略称、あるいは慣用語で、正式な名称はポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムです。
 やたらと長たらしい名前ですが、メーカー側は「長すぎる」ということで、略称の「ラウレス硫酸Na」を使っているようです。
 ところが、ここに大きなカラクリがあるのです。実は、ラウレス硫酸Na(ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム)は合成界面活性剤のAES(アルキルエーテル硫酸エステルナトリウム)の一種なのです。それが、ラウレス硫酸Naという言葉によって隠されているのです。
 AESは、歯磨き粉に使われているAS(アルキル硫酸エステルナトリウム)、洗濯用洗剤の主成分となっているLAS(直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム)と並ぶ、代表的な合成界面活性剤です。そして、市販の台所用洗剤の主成分なのです。
 つまりボディソープには、台所用洗剤の成分が配合されているということなのです。

 『体を壊す13の医薬品・生活用品・化粧品』 NG その3 より 渡辺雄二:著 幻冬舎:刊

 合成洗剤は、石油を原料とした人工物がベースで、皮膚への刺激はかなり大きいです。

 一方、昔ながらの石けんは、植物油にNa(ナトリウム)を結合させて作られます。
 脂肪酸ナトリウムも、人間のつくりだしたものには変わりありません。
 しかし、自然界にあるものを単に結合させただけなので、より天然物質に近いものです。
 皮膚に対する刺激性も少ないです。

 ボディソープと石けん。
 使う用途は同じでも、原料や肌への影響はまったく違うことは、頭に入れておきたいですね。

「除菌製品」で免疫力が低下する可能性あり


 最近よく売られている生活用品に、家の中の居間や寝室、玄関などを除菌する製品があります。
 それらを床やテーブルなどに置くことで、徐々に殺菌成分が放出されて拡散し、空気中の細菌やカビ、さらにはウイルスまでも駆除するというものです。

 渡辺さんは、こんな製品は本来必要ありませんし、使い続けていると、そこで生活している人間の免疫力が低下して、かえって病気になりやすくなる可能性があると指摘しています。

 細菌やウイルスを駆除する力があるということは、見方を変えれば、強い毒性があるということです。
 その毒性は細菌やウイルスだけでなく、人間にも作用することになります。

 市販されているこの種の除菌製品は、「二酸化塩素」という化学物質を放出するタイプです。
 二酸化塩素は、常温では黄色いガスで、刺激臭があります。
 二酸化塩素の毒性は強烈で、猛毒ガスとして知られている塩素ガスよりも毒性が強く、その強さは約4倍に達するとのこと。

 こうした毒性物質を、微量とはいえ毎日吸い続けた場合、どんな影響が出るのかについて、詳しいことはわかっていません。しかし、人体にとってはストレスになる可能性はあるでしょう。
 また、そもそもこうした除菌製品を使う必要はないといえます。
 なぜなら、家庭内の生活空間に浮遊している細菌やカビ、ウイルスはほとんど人間にとって無害だからです。もしそうでなかったら、人間はみんな病気になってしまうはずです。
 私たちの周辺には、目には見えませんが細菌やカビ、ウイルスなどが生息しています。そして、人間の体はそれらと常に接することで、免疫力を維持しているのです。
 つまり、これらの微生物は通常人間に病気を起こすことはありませんが、それらが人間の体と触れ合うことで、それが一つの刺激となって、免疫力が維持されているのです。
 ちなみに、細菌やカビ、ウイルスは、私たちの体の中にも、たくさん生息しています。大腸には、大腸菌やビフィズス菌などの腸内細菌が約100種類、約100兆個生息しているといわれています。また、皮膚には表皮ブドウ球菌などが、そして口内にもさまざまな細菌が生息しています。ですから人間の体は微生物の巣窟のようなものなのです。そして体の免疫が、それらが異常に増殖しないようにコントロールしているのです。
 つまり、体の免疫は、体内の微生物、さらに周辺の微生物の勢力と拮抗関係を保ちながら、その力を維持しているのです。仮に、免疫力が失われたら、体はそれらの微生物によって占領されてしまい、滅びることになるでしょう。
 ですから、免疫力を維持することは、人間が生きていくために不可欠なのです。
 ところが、除菌製品によって、室内の細菌やカビ、ウイルスを排除してしまうと、それらが体内に侵入してくる心配がなくなることになります。つまり、それらの刺激がなくなってしまうのです。すると、侵入を防ごうとして機能していた免疫が必要なくなります。その結果、免疫力は低下することになってしまうのです。

『体を壊す13の医薬品・生活用品・化粧品』 NG その7 より 渡辺雄二:著 幻冬舎:刊

 メディアの影響もあり、「細菌やウイルスは悪者」というイメージが一般的に定着しています。
 人間の体内にもたくさんの細菌やウイルスがいて、その働きによって生体活動が維持されています。
 それを考えると「無菌の状態がいい」という考え方には、やはり危ういものを感じます。
 無害なものを、有害なもので駆逐しているのだとしたら、本末転倒ですね。

「風邪薬」に風邪を治す力はない


 風邪薬を飲んだものの、症状が完全になくなるまで、1週間以上もかかることもよくあります。
 それは、風邪薬に風邪を治す力はなく、一時的に症状を楽にするという効果しかないからです。

 風邪を治すためには、風邪の諸症状を引き起こすウイルスを退治しなければなりません。
 市販の風邪薬には、発熱や頭痛、咳(せき)などの症状を抑える効果はあります
 しかし、ウイルスそのものを退治する効果はありません。

 では、風邪を根本から治すためには、どのような方法が有効なのでしょうか。

 ひとたび風邪をひくと、免疫力が十分に高まるまで時間がかかるのか、なかなか治りません。熱が出て、のどが痛くなり、たんや花水が出て、体がだるくなって、辛い状態が続きます。こうなると持久戦を覚悟しなければならなくなります。
 風邪を治すうえでもっとも重要なことは、免疫力を高くしてウィルスを撃退する態勢を作ることです。そのためには、栄養を十分にとって、体温を高く維持することです。
 また、ビタミンCをとるのも有効です。これまでの研究で、ビタミンCが風邪の回復を早めることが確認されているからです。
 私の場合、とにかく栄養をとるようにしています。卵や牛乳、肉類など栄養価の高いものを食べるようにして、野菜ジュースを飲んでビタミンやミネラルも多くとります。
 また、のどが痛むときには、ハチミツを舐めています。昔から、ハチミツはのどの荒れによいとされ、実際に粘膜が潤って、荒れた状態が改善されるからです。
 それから、漢方薬の「葛根湯(かっこんとう」を飲みます。「葛根湯」は、ひき始めの風邪に効果があるとされていますが、これは免疫力を高める手助けとなり、風邪ウイルスの撃退に力添えをするからです。私の場合、ひき始めだけでなく、ずっと飲み続けます。飲むと体が楽になって、効いているのを実感することができるのです。
 ちなみに、「葛根湯」は各製薬会社から出ていますが、私が利用しているのは、[カンポウ専科葛根湯](クラシエ薬品)という顆粒(かりゅう)の製品です。これまでいろいろな「葛根湯」を試してきましたが、この製品が一番効果を感じられたからです。
「葛根湯」も風邪薬の一つですが、漢方薬と現代薬(西洋薬)とでは、病気に対する考え方が根本的に違います。現代薬は、風邪薬でもよくわかるように、症状を抑えようというものです。したがって、一時的に辛い症状改善されるので、効果が現れたように感じられますが、根本的な治療にはなっていないのです。

 『体を壊す13の医薬品・生活用品・化粧品』 NG その12 より 渡辺雄二:著 幻冬舎:刊

 漢方薬は、人間の免疫力や治癒力を高めて病気を根本的に治すのが目的です。
 一方、現代薬(西洋薬)は、病気による辛い症状を抑えるのが目的です。

 同じ「風邪薬」でも、漢方薬と西洋薬では、アプローチの仕方も効果の表れ方もまったく違います。
 用途によって、きっちり使い分けたいですね。

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☆    ★    ☆    ★    ☆    ★    ☆

 科学技術の進歩や医学研究の成果によって、便利で快適な世の中になっています。
 快適や健康を提供する製品も、世の中に氾濫しています。

 しかし、本当に効果があるのか疑わしいものも、少なからず紛れているのも事実です。
 採算性などの企業側の都合により、人体への影響が二の次にされているケースさえあります。
 
「便利そうだから」
「健康に良さそうだから」

 そんな曖昧な理由で、テレビのCMに促されるまま使ってしまうことが、どれだけ危険なことか、本書を読むとよくわかります。

 イメージに流されず、本当に必要のある安全なものしか買わない。
 健康的な生活を維持していくためには重要なことです。
 普段の生活から、心がけたいものですね。


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