【書評】『時間に支配されない人生』(ジョン・キム)

LINEで送る
Pocket

 お薦めの本の紹介です。
 ジョン・キム先生の『時間に支配されない人生』です。

 ジョン・キム先生(@kim_passy)は、作家です。
 韓国生まれで、アジア、アメリカ、ヨーロッパ等3大陸5カ国を渡り歩いた経歴の持ち主です。
 独自の人生哲学を展開され、若い世代で大きな支持を集める、注目の思想家の一人です。

「時間」を使うとは「命」を削ること


 人生は、日常生活の小さな瞬間を積み重ねた時間で構成されています。

 キム先生は、自分がどのような意識でその小さな瞬間を生き、どんな結果を積み重ねたかで、人生の価値は決まると断言しています。

 自分が、幸福に向けてできる、最大のこと。
 それは、自分に残されている「命=時間」を、どんな活動にどう配分するかを考えることです。

 キム先生は、まず、自分が時間の主人であることを明確に認識すること、そして、どこにどれだけ時間を配分するかという選択において、自分の意志を介在させることが、出発点として重要だと述べています。

 本書は、時間をコントロールすることで、人生をより豊かで幸せにする方法や考え方をまとめた一冊です。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

スポンサーリンク

未熟さを知ることが成熟への第一歩


 キム先生は、集中力のことを、「すべての細胞に意識の光を当てる」作業ととらえます。

 自分の内部の悪い習慣をなくし、逆に良い習慣で埋め尽くす。
 すると、自分の意志が細胞に伝わる精度が高まります。

 そして、すべての細胞が自分の意志に沿って行動するようになります。

 そのためにはまず、自分のなかにあるたくさんの悪い習慣に気づかなくてはならない。これは未熟な自分に向き合うことと言ってもよい。
 未熟な自分と向き合うのは、苦しい、孤独な作業である。
「無知の知」という言葉がある。自分が知らないという事実を知らなければ、知ることは決してできない。これと同様に、自分の未熟さに気づかなければ、成熟することはできない。
 自分の未熟さや弱点に気づくことは、成長のための第一歩である。それを改善する行動を起こす。さらに、それを反復する。この三段階を踏むことが、人間としての成長につながる。そう考えれば、未熟さに向き合うことに、喜びを見出せる。

  『時間に支配されない人生』 序章 より  ジョン・キム著  幻冬舎:刊

 日々の時間の使い方は、習慣に左右される部分が大きいです。
 多くはルーティン化され、日常生活で意識されることなく、続いています。

 自分自身を振り返り、悪い部分に気づく。
 そうしない限り、成長することもないということです。

「自分の未熟さや弱点に気づくことは、成長のための第一歩」

 未熟な自分から目を逸(そ)らさず、向き合う勇気。

 つねに持っていたいですね。

「非難」は、他者にとっても自分にとっても無益


 キム先生は、人間関係でぶつかったならば、自分に包容力が足りないのだと反省し、怒りを覚えたら、相手のせいではなく、自分の責任だと考えるようにしているとのこと。

 怒りも非難も、自分に何のプラスももたらさない。助言や代案をしっかり提示できなければ、相手にとっても何の意味もなさない。ある案に対してこういう価値を加えたらどうかという提案ができて、それは初めて批判たりえる。そうでない論評など、一切しないほうがいい。
 相手の落ち度が明らかな場合もある。それでも、いきりたって非難する前に振り返れば、自分も過去に同じようなミスをしているはずだ。これからする可能性も十分にある。他人の欠点や短所が、その人だけのものであることはない。

 他人の失敗も、その抽象度を高めて考えれば、必ず自分の失敗を振り返る契機となる。
 そのような想像力を働かせれば、安易に他者を非難することなどできない。

 『時間に支配されない人生』 第2章 より ジョン・キム著 幻冬舎:刊

 相手の失敗や欠点を非難しあうだけでは、建設的な議論にはなりません。
 そこから生まれることも、何もありません。

 まさに、「時間のムダ」です。

 相手を非難するのは、結局、その人と同じ意識の高さであることを示しています。
 より高い視点から、物ごとを眺められるようにしたいですね。

現実の理不尽さにまみれつつ穏やかでいる


「時間に支配されない」ことは、「感情に支配されない」ということでもあります。

 キム先生は、感情の中でも、「穏やかさ」を最も重視します。

 心の穏やかさとは、自分を取り巻く社会・環境やその変化を受け入れる心があるということだ。それを可能にするのは、自分が人生で最善を尽くしているという自信や自負である。

 世俗とのかかわりを絶って手に入れるものとは違う。乱暴な言い方ではあるが、宗教のような隔離されたシステムのもとに自分を置いて修行すれば、穏やかさを手に入れるのは比較的簡単である。本当に大変なのは、現実の理不尽な世界にかかわりながらも、穏やかさを維持することである。
 煩悩を捨てて静かな心を持つという穏やかさではなく、自分を侵害する存在に取り囲まれながら、決してそれに振り回されたり、腹を立てたりしない穏やかさ。私が求めるのはそのような境地である。

 人間は必ず死ぬ。だからこそ命の続くかぎり最善を尽くす。発生する事態や結果についてはコントロールできない不可抗力な部分があると割りきり、すべてを受け入れる。選択はつねに主体的に行い、結果に対する責任を負う。望んだ結果でなくても、自分の成長につながっているという喜びを見出す。
 このような考え方が身につけば、自分、他者、社会、未来の、あらゆることを穏やかに眺めていけるはずだ。

 『時間に支配されない人生』 第5章 より ジョン・キム著 幻冬舎:刊

 世の中には、自分の力では、どうしようもないことばかりです。
 いちいち、そのことに心を奪われて、感情を乱すのはもったいないです。

 その時、その時で最善を尽くす。
 そして、起こった結果は、淡々と受け入れるのみ。

 それが、本当の「穏やかさ」であり、もっとも充実した生き方です。

逆境を喜ぶとともに選びとる 


 数々の困難を乗り越え、自らの力に変えてきたキム先生。
「逆境」について、以下のように述べています。

 天は、その人の許容量を判断し、その器の大きさに応じた厳しさを与えている。大きな苦難は、自分はそれを乗り越えられる人間であるゆえに、与えられたものである。そう考えれば、苦難を喜んで引き受けようという気合いが生まれてくる。

 逆境には三つのとらえ方がある。
 ある人は、逆境が訪れたら不安になり、落ち込んだり、泣いたりしてしまう。
 ある人は、逆境が訪れたら感謝し、成長のチャンスだと思って頑張る。
 ある人は、自分の人生の目的は成長することであり、そのためには逆境を乗り越えることが不可欠な要素だと思っている。厳しい逆境であればあるほど成長の度合いが大きいと知っているため、自ら逆境を選択する。
 厳しい山に挑む冒険家は、スリルを味わいたいからではなく、生きている意味を深く実感するために、危険な挑戦を繰り返すのではないだろうか。挑戦を乗り越えて成長する自分を、つねに追いかけているのではないだろうか。
 成長の喜びを知っている人間は、自ら進んで逆境を選びとることができる。私も、そんな人生の冒険家でありたいと思う。

 『時間に支配されない人生』 第7章 より ジョン・キム著 幻冬舎:刊

 時間に逆らって、自らの力で前に進む。
 そのためには、激流をものともしない、強い推進力が必要となります。

 逆境は、まさに、その力を育むものです。

 時間をより濃密なものとし、深く生きることを実感する。
 そのためには、逆境は不可欠です。

 逆境を自ら追い求め、挑戦する“人生の冒険家”でありたいですね。

スポンサーリンク

☆    ★    ☆    ★    ☆    ★    ☆

「時間」は、目に見えない、とらえどころのないものです。

 1日に24時間、誰にでも同じだけ与えられてはいます。
 しかし、その密度は、意識次第で、大きくもなり小さくもなります。

 大切なものほど、なくなったときに、その本当のありがたみに気づくもの。
 時間は、そのようなものの代表的な存在といえます。

 一瞬一瞬を大切に生きること。
 時間のありがたみをしっかり噛みしめ、充実した人生を送りたいものです。


にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ(←気に入ってもらえたら、左のボタンを押して頂けると嬉しいです)

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 15

フォローする

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA