【書評】『勉強上手』(成毛眞)

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 お薦めの本の紹介です。
 成毛眞さんの『勉強上手』です。

 成毛眞(なるけ・まこと)さんは、86年に日本マイクロソフト社に入社、91年からは同社代表取締役社長を務められています。
 2000年に退社後、投資コンサルティング会社を設立、大学の客員教授なども務めて活躍の場を広げられています。

「好きなこと」を武器にする!


 成毛さんは、これから必要になるのは、「引き算の勉強法」だと述べています。
 あれもこれも広く浅く身につけるのではなく、自分が興味や魅力を感じた一つのものを深く追求することが求められるとのこと。
 ムダだと決めつけて排除してきたことを、逆に「大きな武器」にしようという考え方です。

 本書は、得意分野を伸ばして、自分の人生に活かす「これからの時代の勉強の仕方」をまとめた一冊です。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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「芸が身を助ける」時代になった


 “神の粒子”とも呼ばれるヒッグス粒子を発見する装置、「大型ハドソン衝突型加速器(LHC)」。
 その技術開発の最前線に立っているのが、「パートタイマーのオバサン二人」。

 二人は手先の器用さをかわれてセンサーの制作を依頼されます。
 髪の毛のような細さの電線を、寸分違わず、正確に貼り付ける作業を担当しました。

 成毛さんは、この例を引き合いに出し、好きなことや得意なこと伸ばすことの必要性を訴えます。

 私は常々、自分の好きなこと、得意なことを伸ばせば日の目を見ると信じてきた。この例は、まさに私の持論の通りだ。一見ささいな能力であっても、他の人より抜きんでていれば、それは必ず自分の武器になる。
 エアギターが一時期流行ったように、何が才能になるのか分からない。それも天才のように持って生まれた特別な才能ではなく、ささいな遊びを狂ったように続けていたら、いつの間にか特技になっていたのだ。
 芸は身を助けると言われているが、芸とは好きで身につけて磨きをかけたものだ。
 今は、自分の得意分野や好きなことを武器にして活かせる時代になった。自分で撮影した動画をネットで公開すれば、瞬時に世界中で人気者になれる可能性がある。
 自分でも楽しみ、他人も楽しませることができる。そのような才能こそ、これからの時代に求められているのではないかと思う。普通の勉強をするよりも、いわゆる芸を身につけた方が、自分の能力を最大限活かせるのだ。

 『勉強上手』 第1章 より 成毛眞:著 幻冬舎:刊

 誰でも、嫌いなことや興味のないことより、好きなことや興味のあることの方が長く続けることができます。
 それに覚えるのも早く、簡単に忘れることもありません。

 誰にも負けない特技にすれば、それは、強力な「個性」であり「武器」です。

「お金にならないから」
「こんなことはやっていてもムダだ」

 そういう理由だけで諦めるのは、もったいないですね。

好きなことには誰でも120%の力を出せる


 成毛さんは、「何でもいいから、自分の好きなことを続けていればいい」と述べています。

 起業するつもりもなく、好きなことをやっている。
 そんな人でも、突き詰めてスキルを磨いていくうちに、注目を集めるかもしれません。
 それが、誰かの目にとまってビジネスに結びつくこともあります。

 今の時代、何がビジネスになるか分からない。どこかに新しいビジネスの形を考えつく人がいるかもしれない。それまでまったく接点がなかった人同士でも「面白そうだ」と興味を持てば、比較的簡単にコンタクトできるのがネットの優れているところだ。
 そのうえ、好きなことには誰でも120%の力が出せる。いくら仕事で疲れていても、好きなことなら苦にならない。
 ネットが炎上するのは、仕事や日常生活での不満をコントロールできないからではないだろうか。顔も見えない相手に感情的になるのはバカバカしいと、冷静になれば分かる。人を攻撃したり、足を引っ張るのは余裕がないからである。ただでさえ好きではない仕事をしてストレスがたまっているのに、クビを切られては困るとプライベートの時間を犠牲にして勉強していたら、心はすさんで当たり前だ。
 好きなことにのめり込んでいれば、他人はどうでもよくなる。揺るがない自分の軸ができるのだ。精神を健全に保ち、バランスよく生きる究極の健康法と言えるかもしれない。

 『勉強上手』 第2章 より 成毛眞:著 幻冬舎:刊

 インターネットの普及で、同じ趣味の人や、自分のやっていることに興味を持った人と、つながりを作りやすくなっています。

 疲れていても苦にならず、自分の力のすべてを出しきれる。
 それが「好きなこと」です。

 ストレスの多い現代社会。
 だからこそ、無理に時間をつくってでも「好きなこと」に熱中する時間を確保したいですね。

過去の「勉強法」は娯楽ジャンルだと思え


 成毛さんは「勉強法は、一種の娯楽ジャンルだ」と言い切ります。
 ゴルフやガーデニングのノウハウ本と大差ないという感覚が大事とのことです。

 自分の時間をすべて勉強に捧(ささ)げて、趣味や友人とのつきあいも我慢する人生を送るなど、つまらないではないか。若いときには、若いときにしか送れない人生がある。人生80年と言われているが、50歳を過ぎると、人生はあっという間なのだとより実感する。年を重ねると、若い頃のように無茶はできなくなる。
 周りを見ていても思うのは、若い頃から遊びを知っている人間は、むしろバランス感覚がいい。歳をとってからいまさら会社のお金を着服しようとか、セクハラをするようなよからぬことに手を染める人間にはならない。天下りをして悠々自適の生活を送ることほど、つまらない人生はないということも分かっている。
 若い頃に自由な時間を犠牲にして勉強した人は、どこかで元を取ろうと極端な方向に走ってしまうのかもしれない。
 勉強も、しょせん遊びである。そう考えれば、適度に勉強するバランス感覚を身につけられるだろう。勉強に自分の時間を支配されてはならない。自分が勉強をコントロールするのだ。

 『勉強上手』 第3章 より 成毛眞:著 幻冬舎:刊

「勉強もしょせん遊び」

 ならば、「遊ぶ」ことと「勉強する」ことの区別は、つける必要はありません。

 興味あることをとことん追求し、好奇心を持って学び続ける。
 それが“究極の勉強法”なのでしょう。

本の内容は忘れていい


 読書家として知られる成毛さんは、「読書は質より量だ」と、多読を勧めています。

 受験勉強ではないのだから、本の内容をすべて覚える必要はない。
 とくに多読の人は、読む量が多いので、常に頭の中が上書きされている状態である。下手をすれば1週間前に読んだ本の内容を忘れている場合もある。だとすると、その程度の本だったのだから、忘れてもいいのだ。
 それどころか本の内容そのものは二の次だ。
 その情報に触れたとき、自分がどう思うか、どう感じるかという感性や思考が大切なのだ。今までAという考えしか持っていなかった人が、Bという情報を本から仕入れてCという考えを持つようになる。
 そのように、自分の思考の幅を広げて、変質させるための手段が読書なのである。だから、読んでも思考は何も変わらず、何も感動を得なかったのなら、その時間はムダになるのだ。
 私自身は、書評を書いた本の内容は覚えているが、それ以外の本はほとんど覚えていない。だから、同じ本をまた買ってくることもある。パラパラ読むうちに、「あれ、この本読んだな」と記憶がよみがえってくるのだ。

 『勉強上手』 第4章 より 成毛眞:著 幻冬舎:刊

 読書は、知識を詰め込むために行なうのではありません。
 あくまで、自分の思考の幅を広げて、変質させるための手段です。

「役に立つ」とか「役に立たない」とかを考えない。
 自分の興味の持った本にたくさん触れる。

 それが知識を身につける秘訣ということですね。

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☆    ★    ☆    ★    ☆    ★    ☆

 今の世の中は、インターネットの普及によって、自分の興味のあることに関する知識が、検索一回で手に入れることができる恵まれた時代です。
 そのような時代だからこそ、自ら積極的に知りたい情報を取りにいく姿勢が最も大切になります。

「勉強上手」な人は、自分の興味があることや好きなことを、自力で掘り下げて学べる人です。
 社会人になっても、いや、社会人になったからこそ、本当の意味での勉強が必要です。

 いくつになっても、好奇心や向上心を忘れない「勉強上手」でありたいですね。


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