【書評】『「めんどくさい」がなくなる本』(鶴田豊和)
お薦めの本の紹介です。
鶴田豊和さんの『「めんどくさい」がなくなる本』です。
鶴田豊和(つるた・とよかず)さんは、行動心理コンサルタントです。
世界一の情熱発見ツールと呼ばれる「パッションテスト」の日本初の指導者として知られています。
『心に響くことだけをやりなさい!』、『ブレイクスルー!』の訳者でもあります。
“第6の感情”「めんどくさい」と上手に付き合う
鶴田さんは、行動心理コンサルタントとして、今までに5000人以上の人々の悩みを解決してきました。
「悩み」といっても人それぞれに違いますが、それらの悩みに共通するキーワードが、「めんどくさい」でした。
鶴田さんは、この「めんどくさい」という感情は、喜怒哀楽、妬みに続く、人間誰もが持ち合わせている「第6の感情」
だと考えています。
この「めんどくさい」という感情がなくなれば、ストレスもない、楽しい人生を過ごすことができるわけですね。
本書は、私たちの日常について回る「めんどくさい」の感情との付き合い方をまとめた一冊です。
その中からいくつかピックアップしてご紹介します。
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「夢や目標を実現している人」の2つの共通点
鶴田さんは、「夢や目標を次々と実現している人」の共通点について以下のように述べています。
夢や目標を次々と実現している人には、2つの共通点があります。
1つは、「望む結果が明確になっている」こと。
もう1つは、「望む結果を実現できると確信している」ことです。
望む結果を明確にすることの大切さは、いろいろな本に書かれているので、あなたもこれまでよく見聞きしたことがあると思います。ですが、実際に明確になっている人はほとんどいません。
望む結果を明確にするためには、次の質問に答えてください。「何の制限もなく、すべてが実現可能だとしたら、あなたは何をしていたいですか?何を持っていたいですか? どんな人になっていたいですか?」
この答えを思いつくままに書き出してみてください。そして、その中で、特に心に響くことの実現に集中するとよいでしょう。
次に大事なことは、書き出したことが実現できるという確信を持つことです。
多くの人にとって、これは、望む結果を書き出すよりもはるかに難しいでしょう。
「自分が望んだことは何でも実現できる」という確信を持てるようになると、夢や目標が次々と実現していきます。
私自身、「自分が望んだことは、何でも実現できる」という確信を持っていますので、受験・就職・転職・独立・出版など、自分が望む結果を次々と実現してきました。確信のパワーのすごさは、いくら強調しても強調しきれません。
どうしたら、望む結果の実現を確信できるようになるのでしょうか?
そのためには、望む結果の実現を妨げるものを理解することが大切です。
望む結果の実現を妨げるものはいろいろとありますが、最大の妨げが「めんどくさい」なのです。
夢や目標を実現しようと思って、前に進もうとしたときに、一番ひんぱんに邪魔をしてくる感情、それがこの本のメインテーマである「めんどくさい」の正体なのです。『「めんどくさい」がなくなる本』 第1章 より 鶴田豊和:著 フォレスト出版:刊
夢の実現を阻んでいるのは、外部の要因ではなく、じつは自分自身であることは多いです。
「自分には能力がないからできない」
「自分にはお金(時間)がないからできない」
そのような思い込みが強力なブレーキとなり、「めんどくさい」という感情として現れるのですね。
「めんどくさい」と思ったことを紙に書く
「行動するのが、めんどくさい」と感じるときには、必ず以下のような思考パターンをたどります。
「やらなきゃ」と思う → いろいろ考えてしまう →「めんどくさい」と感じる
鶴田さんは、これを「めんどくさい発生のメカニズム」と呼んでいます。
「めんどくさい」をなくすための方法が、以下の『4つの原則』です。
- 第1の原則:「やらなきゃいけないこと」を減らす
- 第2の原則:「やらなきゃ」と思わないようにする
- 第3の原則:「やらなきゃ」と思っても、いろいろ考えない
- 第4の原則:工夫して、とにかく行動する
第1の原則の『「やらなきゃいけないこと」を減らす』ための具体的な方法の最初のステップは『何かが「めんどくさい」と思ったら、それを紙に書く』ことです。
まず、何かが「めんどくさい」と思ったら、それを紙に書くようにしてください。
たとえば、「運動するのがめんどくさい」と思ったとしましょう。
そうしたら、まず紙に「運動するのがめんどくさい」と書いてください。
慣れてきたら、紙に書かずに、頭の中でやってもいいですが、最初のうちは練習のために、紙に書くことをお勧めします。
一般的に、自分の考えを紙に書くと、その考えが頭に浮かびにくくなるので、頭の中がすっきりします。ですから、ネガティブな考えが浮かんできたときほど、紙に書くといいです。
逆に、
「『運動するのがめんどくさい』だなんて、なんてことを自分は考えているんだろう。自分はなんて意志の弱い人間なんだ。こうしたことは考えるべきではない」
と思って、ネガティブな考えにふたをしようとすると、しょっちゅう、そうした考えが頭に浮かぶようになります。
ネガティブな考えは、注目してほしいという特徴を持っているので、はっきりと認めてあげないと、自分の中でどんどん膨らんでいきます。
逆に、その存在を認めてあげると、必要以上に大きくなることはなく、不要になれば、自然と消えていきます。『「めんどくさい」がなくなる本』 第2章 より 鶴田豊和:著 フォレスト出版:刊
やろうとしていることができない。
そのようなとき、自分でもその原因に気づけていないものです。
紙に書いて可視化しすることで、行動を阻んでいる「真の感情」が見えてくるのですね。
自分に質問をする
『「やらなきゃいけないこと」を減らす』ための2つ目のステップは、『自分に質問をする』です。
たとえば、「運動するのがめんどくさい」と書いたあと、次のように、自分に質問をしてください。
「自分は本当にこれをする必要があるのだろうか」
世間一般には、健康的な生活をおくるためには、運動が必須であり、多くの成功者は運動している。だから、成功したかったら、定期的に運動すべきだという考えが流布(るふ)しています。
これは、あなたにとって本当に真実でしょうか?
世間がどうとか、他人がどうとかではなく、あなたにとってどうでしょうか?
私の場合、やはり世間からインプットした情報を元に、「幸せに成功するためには、運動すべきだ」とずっと考えていました。そして、何度、運動しようとしても、その度に挫折し、続きませんでした。その精神的ストレスは、とても大きかったのです。
「〜すべき」とか「〜やらなきゃ」と思って、できていないと、それは大きなストレスになります。
その後、私は世界一の情熱発見ツールと呼ばれる「パッションテスト」を受けてから、運動すること自体は自分のパッション(情熱)にはまったく入っていないことがわかりました。
(パッションテストを受けると、自分が何に対して情熱を持っているかが明確になります。具体的なやり方は、私の訳書である『心に響くことだけをやりなさい!』に書かれています。また、パッションテスト日本公式サイトhttp://thepassiontest.jp/ にて無料でパッション診断を受けることができます)
一方、私にとって大切なパッションの1つに、「人前で講演する」というものがあります。そのために必要な体力を維持するために、なるべく車や自転車を使うことなく、歩くようになりました。
つまり、私にとって運動とは、他のパッションを満たすための手段であり、他のパッションを満たすことに集中していれば、そのために必要な分の運動は自然と行なうようになるということです。
その結果、以前よりもずっと健康になりました。体の健康も大事ですが、心の健康も大切です。自分のパッションに沿って行動していれば、ストレスは少なく、自然と健康になります。
もちろん、パッションは変わっていくので、今後、私はもっと多くの運動をすることになるかもしれません。ですが、今の私にはこれで十分です。
世間がどうか、他人がどうか、成功者がどうかはいっさい関係がありません。自分の生き方を決めるのは、他人ではなく、あなたです。
そして、私の経験上、自分のパッションに沿っているかどうかで選択すると、幸せでいられます。パッションは自分のハート(心)が教えてくれます。
ですから、自分のハートに聴いてみてください。
「自分は本当にこれをする必要があるのだろうか」と。
ポイントは、頭ではなく、ハートに聴くことです。自分が幸せになるにはどうしたら良いかは、ハートが一番よく知っています。頭に聴いても、世間体や損得などで、考えが揺れてしまいます。『「めんどくさい」がなくなる本』 第2章 より 鶴田豊和:著 フォレスト出版:刊
頭の中で「大事なことだ」とか「すべきことだ」と考えているのに、続かない。
それは、本心では「やりたくない」と感じているからです。
自分はどんなことに興味があり、感情が動くのか。
それをしっかり把握することが、「めんどくさい」をなくすためのコツです。
「頭ではなく、ハートに聴くこと」
つねに、忘れないようにしたいですね。
「自分はやらない」という選択をする
どうしてもやりたいことが見つかると、「やらなくていいこと」も見えてきます。
「やらなきゃいけないこと」を減らすための3つ目のステップは、『「自分はやらない」という選択をする』です。
最初は「やらなきゃ」と思ったことでも、よくよく考えた結果、自分がやらなくてもいいと思えた場合は、やらないという選択をしてください。
私は、複数の事業を経営していますが、自分がやらなくてもいいと思った事業を手放したら、経営業況が改善しただけでなく、たくさんの自由な時間が生まれ、心も軽くなりました。
「自分がやらなくてもいい」と思ったことは、人にお願いしてやってもらうという選択肢もありますし、機械にやってもらうという手もあります。
たとえば、私は以前、自分でホームページを作成していましたが、今は人にお願いしてリーズナブルな価格で作ってもらっています。そのほうが質のいいホームページができますし、私の時間も有効活用でき、ストレスもありません。
自分のパッションや望む結果が明確になっていると、それ以外のことに対して、自然と「NO」と言えるようになります。
誰かに何か頼まれ事をされた場合、以前であれば、相手から嫌われないために、気が進まなくても引き受けていたことがあったかもしれません。しかし、これからは勇気を出して、丁寧に「NO」と言ってください。
それでもどう思うかは相手の問題であって、あなたの問題ではありません。
すべての人から好かれようと思って、自分の心を抑えるよりも、ありのままの自分を表現して、気に入ってくれる人とは密に付き合い、そうでない人とはそれなりの付き合いをするほうが、結局うまくいきます。このようにすると、やらなきゃいけないことはどんどん減っていきます。私もいつの間にか、事業が整理されていました。今まで売上の中心だった事業が、自然と縮小しました。自分がその事業に関しては、パッション(情熱)を全然持っていないということに気づいたのです。全然ワクワクしなかったから、自然と減ったのだな、と思います。一方、自分がワクワクする事業の売上が大幅に増え、トータルでは以前よりも増えています。
ぜひ、やらなくてもいいことは、やらないという選択をしてください。長期的にはそのほうがうまくいきます。『「めんどくさい」がなくなる本』 第2章 より 鶴田豊和:著 フォレスト出版:刊
時間は限られた資源です。誰でも一日に24時間が与えられています。
「ワクワクすること」をやる時間を増やすには、それ以外の時間を減らさなければなりません。
つまり、『「自分はやらない」と選択する』ことです。
損得勘定ではなく、自分の感情に素直に従うこと。
それが人生をシンプルにし、スムーズに生きるための秘訣ということですね。
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行動しようと思ってもなかなかできない。続けようと思っても続けられない。
その理由のほとんどは、外的要因ではなく内的要因、つまり、自分の「心」のなかの問題です。
「めんどくさい」という感情とうまく付き合えるようになると、心と体がラクになります。
鶴田さんは、自分が本当に好きなこと、本当にやりたいことが自然と見えてくるようになる
とおっしゃっています。
「めんどくさい」は、行動を変えることを促す、自分自身の心からメッセージです。
上手に受け取って、なりたい自分になるための一步を踏み出したいですね。
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