【書評】『99%の人がしていない たった1%のリーダーのコツ』(河野英太郎)

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 お薦めの本の紹介です。
 河野英太郎さんの『99%の人がしていない たった1%のリーダーのコツ』です。

 河野英太郎(こうの・えいたろう)さん(@eitarokono)は、大手外資系ITメーカーの事業部長です。
 大企業グループなどの人事制度改革リーダーや、巨大プロジェクトのプロジェクトオフィスリーダーといった豊富な経験を通じて、企業の組織行動変革やコミュニケーション改革などに関わった経験をお持ちです。

「コツ」さえつかめば、誰でもリーダーになれる!


 世間では、一般的に、「リーダーは生まれつきの才能である」と思われています。
 河野さんは、このような考え方に異議を唱え、「リーダーはあくまでも役割」だと強調します。
 リーダーシップは、学習と実践によって備えることができるスキルとのことですが、ちょっとした「コツ」が存在します。
 逆に、この「コツ」さえつかめれば、リーダーになることは、それほど難しいことではありません。
 リーダーになるコツをマスターするために必要なことは次の2つだけです。

「(コツを)実践する素直で愚直な姿勢」「それを継続する気持ち」

 本書は、リーダーに求められる能力を身につける「コツ」を、テーマごとにまとめた一冊です。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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組織内に「異分子」を入れる


 河野さんは、リーダーは「異なる意見を持つ人」を歓迎し、それを評価すべきと指摘します。
 チーム内で反対意見が出ると、それは「議論」につながります。
 その議論が、新しい価値を生み出すきっかけになるということです。

 今、自分が正しいと考える意見を正とすると、それに反する、または異なる意見が必ずあります。
 この「正」と「反」を比べ、合意された「結論」であり、この議論という作業で導き出された結論は、もとの「正」意見や「反」意見のいいところを取り込んで、より高いレベルになっています。
 チームを組んで仕事をする醍醐味(だいごみ)はここにあります。
 チームで仕事をするとき、もし、合意された結論に対して、新たな意見が出てきたら、さらに高いレベルに届かせるための議論がはじまります。
 こうして、新しい価値をチームでつくり出していくのです。この価値をつくりだすきっかけが、メンバーによる「反対意見」の表明です。

 価値をつくる議論を生み出すためには、異なる意見をもつメンバー(異分子)をチームに迎え入れることが必要です。

 『99%の人がしていないたった1%のリーダーのコツ』 CHAPTER.1 より 河野英太郎:著 ディスカヴァー・トゥエンティワン:刊

 自分と気の合う人ばかりで周りを固めてしまう。
 すると、マンネリ化してダレた雰囲気となり、組織が停滞化してしまいます。
 自分と異なる視点からものごとを考えることができる人は大事です。
 異分子を受け入れることができる度量の広さが、リーダーには求められますね。

とにかく決める


 リーダーの究極的な仕事は、まず「決める」こと
 そして、次にその結果を「伝える」ことです。

 意思決定をきっちりやってこそのリーダー。
 しかし、日本人のリーダーはその部分を疎かにしがちです。

 かつて日本に赴任していたアメリカ人のエグゼクティブが「日本のリーダーに足りないものは?」と問われて「Decisiveness」と即答していました。これは「明白さ」「断固(確固)たること」「決意の現れ」といった意味ですが、あいまいさの逆というニュアンスでしょうか。
 調和を重んじる日本の文化にどうこう言うつもりはありませんし、合議制は意思決定の手段の1つです。でも、この文化の中にいると「決めること」を自分の仕事と認識していないリーダーがいるのも事実です。このアメリカ人エグゼクティブはそこを指摘したのでしょう。
 (中略)
 メンバーに対して何かしら方針を出せれば、メンバーは次の段階に進めます。
 もしそこに修正が必要になったらそのときすればいいのです。あなたが決めずに同じ場所をぐるぐる迷わせることが、チームが目標に近づくための最大の障害です。
「何も決めないことに劣る決断はない」と信じてください。

 『99%の人がしていないたった1%のリーダーのコツ』 CHAPTER.5 より 河野英太郎:著 ディスカヴァー・トゥエンティワン:刊

 どんな課題や問題も、最終的には誰かが決断をしなければいけません。
 それをするのが、リーダーの役割だといえます。

「何も決めないことに劣る決断はない」

 結果の責任を負うことから逃げずに、意思決定のできる。
 そんなリーダーを目指したいものです。

情報を積極的に渡す


 リーダーは、その職責上、会社やクライアントなどさまざまな方面から情報が入ります。
 河野さんは、リーダーは自分に集まってくる情報をできる限り積極的にメンバーに開示するようにと指摘します。

 いまや「いかに情報を囲うか」がリーダーの勝負どころではありません。
 そんな時代に情報を開示しないリーダーをもつと、メンバーは「よっぽど自分は信頼されていないんだ」もしくは「この人は情報を囲う以外にリーダーシップを発揮する能力がないんだ」と感じます。
 
 本来なら、当然自分がリーダーから知らされるべき情報を、万が一にも外部の人から知らされたようなものなら、モチベーションはガタ落ちです。
 もちろん、情報によって企業や個人にとって機密にあたる情報もあるため配慮は必要ですが、メンバーを信頼して極力情報は共有するようにしてください。
 情報共有はあなたからメンバーへの信頼の証でもあるのです。

 『99%の人がしていないたった1%のリーダーのコツ』 CHAPTER.6 より 河野英太郎:著 ディスカヴァー・トゥエンティワン:刊

 メールやインターネット、ソーシャル・ネットワーク・サービス(SNS)などの普及。
 それらによって、情報を隠し通すのが難しい時代になりました。
 逆に考えると、情報を共有するのにこれほど便利な社会は、かつてなかったです。
 文明の利器もうまく利用し、意思の疎通を図りながら組織をまとめあげていくこと。
 それが、これからのリーダーに求められます。

「上機嫌でいる」こと


 リーダにとって、感情(心)を整えることは、とても大きなテーマです。
 河野さんは、トップの優秀なリーダーを見ていると、100%間違いなく上機嫌な人ばかりであることに気がつくと述べています。

 上機嫌なリーダーには、自然に人や情報が集まります。
 そしてリーダーの姿勢は、チームに伝染するものです。
 リーダーがメンバーと不機嫌な態度でコミュニケーションをとっていると、それは無意識に真似され、リーダーからサブリーダー、サブリーダーからメンバーへと次々に伝染し、組織が丸ごと不機嫌になります。不機嫌なチームとビジネスをしたいクライアントはいませんから、結果的に業績に悪い影響を与えます。
 リーダーだって人間ですから、当然、仕事のプレッシャーに加え、体調やプライベートなど、不機嫌になる要素はたくさんあります。でも苦しいですが、あえて上機嫌をよそおうことがリーダーには必要なのです。
 たとえ実際には不機嫌でも、上機嫌をよそおって行動していると、少しずつ気分が晴れてくるのに気がつくはずです。

 行動と心は一対になっています。
 表情を明るく、言葉もポジティブにするだけで、気持ちが変わり、周りに与える印象は変わります。

 『99%の人がしていないたった1%のリーダーのコツ』 CHAPTER.8 より 河野英太郎:著 ディスカヴァー・トゥエンティワン:刊

 いつも機嫌の悪い人に近づこうとは誰も思いません。
 組織の人間は、つねにその組織のリーダーを意識しながら仕事をするものです。
 つらい時、大変な時、嫌なことがあった時こそ上機嫌をよそおう。
 それが求められるのが、リーダーだということですね。

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 日本では、いまだに上下関係は絶対です。
 上司が部下に理不尽を押しつける「特別な権力」を前提として成り立つ社会です。
 河野さんは、「この関係は、社会の非効率の源泉」だと指摘しています。

 たしかに、肩書や権力の力だけで組織が動く時代ではありません。
 リーダーは、すべての能力に秀でている必要はありません。
 ただ、リーダーだからこそ、必要とされる能力はあります。

 本書に書かれている「コツ」を身につけ、“スキルとしてのリーダーシップ”を持ったリーダーが多く生まれ、日本の組織が活性化することを願いたいです。


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