【書評】『一流の習慣術』(奥村幸治)

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 お薦めの本の紹介です。
 奥村幸治さんの『一流の習慣術 イチローとマー君が実践する「自分力」の育て方 』です。



 奥村幸治(おくむら・こうじ)さんは、オリックス・ブルーウェーブでイチロー選手の専属打撃投手を務めていました。
「イチローの恋人」として一躍マスコミに紹介され、話題の人となります。
 その後、「宝塚ボーイズ」という少年野球チームを結成、自ら監督に就任し、全国トップレベルの強豪に育て上げます。
 2007年新人王を獲得した田中将大選手は教え子の一人です。

一流になれるか、なれないかは、「習慣」が決める


 奥村さんが、打撃投手として、イチロー選手に身近に接して感じたこと。
 それは、「一流になるための習慣づけ」の大切さです。

 体格面では、メジャーのライバルたちと比べて、決して恵まれているわけではないイチロー選手。
 それでもメジャーでコンスタントに結果を出している原動力は、オリックス時代も続けていた「習慣」にあります。

 奥村さんは、少年野球の監督として、日頃から中学生の子どもたちと接し、人間には生まれつきの一流もいなければ、生まれつきの二流もいないと実感しています。

 どういう目的意識で1日を過ごすのか、目的達成のためにどんな習慣を作るか、一流になるか、二流で終わるのかが決まると強調します。

 本書では、奥村さんが学んだ習慣術を普段の仕事や生活に活かせるよう解説した一冊です。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

心をぶらさない


 プロ野球のバッターでも多くは、調子が悪くなると不安になり試合後にバッティングピッチャーに投げてもらい、技術的な修正をしようとします。

 しかし、イチロー選手は違いました。

「打てなくなったらバッティングフォームを変える選手が多いですよね。でもまた打てるようになると元のフォームに戻りますよ」、あるときイチロー選手はそう言っていました。
 確かに、まわりを見回しても、思い当たるバッターが何人もいました。
 イチロー選手は、「自分が長く続けて体にしみ込んだフォームがもっともその人に合っているのだから、その形は崩さない方がいいに決まっています」とつけ加えてくれました。
 前述したように、バッターは調子が悪くなるとフォームやスイングを変えたくなります。しかし一流の選手は、普段からバットの出し方、角度、ミートポイント、タイミングをミリ単位で感じながら練習をしていて、良いときのイメージが身体にインプットされています。ですから、フォームやスイングを大胆に変えなくても、ごく微妙な修正で済んでしまうのです。
 スランプになって慌ててフォームを変える選手は普段、そこまで突き詰めて考えていない。調子を崩しても「いま何が悪いか」がわからないので、不要な練習をしたり、フォームの改造をしたりするのです。
 そして運良くヒットが出るようになると、安心して慣れ親しんだ自分のフォームに戻ってしまいます。これでは技術的な積み重ねにならず、加齢で体力が落ちるにつれてパフォーマンスも低下していきます。

 『一流の習慣術』 第一章 より  奥村幸治:著  ソフトバンククリエイティブ:刊

 イチロー選手には、日々のトレーニングで積み重ねた、自らの「技」と「体」に対する自信があります。
 なので、不調を感じたときは、「心」を見つめ直します。

 トレーニングや練習は、ただ量をこなせばいいというものではありません。
「技」と「体」をベストの状態に持っていくためにこそあるべきものです。

 何をやるにしても、「練習のための練習」にならないよう、意識したいですね。

継続を力に変える


「いままでで、これだけは誰にも負けていないと胸を張って言える練習は何かある?」

 奥村さんは、イチロー選手にそのような質問をしたことがあります。
 イチロー選手は、以下ののように答えています。

「高校のときに3年間寮に入っていて、寝る前に1日10分だけ素振りをしていました。その10分の素振りを1年365日、3年間続けました。これが誰にも負けていないと思える僕の練習です」
 もっとハードな練習について熱く語ってくれるのかと思っていたので、私は内心拍子抜けしました。それが伝わったのでしょうか、イチロー選手はその練習の意味を解説してくれました。
「たった10分です。でもその10分を続けることが大切です。それも1年ではなく3年間続けられたことが、いまの自分の力になっていると思います」
(中略)
「自分の力になっている」という言葉も、10分間の素振りでバッティングの技術が高まったという意味ではないと思います。
 毎日サボらず継続できたことが自信につながり、調子を落としたときに振り返って、「あれだけやってきたのだから大丈夫」と思える目に見えない財産のようなものが築き上げられたのでしょう。これが世間でよく言われる「継続は力なり」という言葉の本当の意味だと思います。

 『一流の習慣術』 第二章 より  奥村幸治:著  ソフトバンククリエイティブ:刊

 1日10分だけ素振りをすることは誰にでもできることです。
 しかし、それを3年間1日たりとも休まずに続けるということは、至難の業です。

 体調が悪かったり、気持ちが乗らない時には、つい、「1日ぐらい・・・」と思ってしまいがちです。
 しかし、欠かさずにやり通したという事実が、本当の自信につながります。

「継続は力なり」

 何事もサボらず、地道にコツコツと積み上げていくしかないということですね。

一歩先を読んで動く


 中学時代の田中将大投手は、飛び抜けて運動能力の高い選手ではありませんでした。
 それでもフィールディングは素晴らしく、送りバントで転がった打球を素早く処理し、セカンドやサードでランナーを刺すシーンは何回もあったそうです。

 奥村さんによると、田中投手がバント処理でランナーをアウトにできるのは、「相手の気配が読める選手だから」とのこと。

「一歩先を読んで動く」のに欠かせないのは、まわりの状況を「観る」力です。
 ただ目に映るという意味の「見る」ではなく、目に映った状況から必要な情報を取り出して整理するのが「観る」ということです。
 問題意識を持ちながら、バッターを観て、ランナーを観て、守備につくチームメートを観て、そして自分自身を観ます。バッターの様子から打つ気がないと判断したら、ストライクを積極的に取りにいくし、勝負どころだと思えば全精力を傾けたスライダーを投げ込みます。ゲーム展開によってはバックにいる選手を奮い立たせるような声を出します。調子が悪いと思えば試合のなかでフォームの微調整を行います。

『一流の習慣術』 第三章 より  奥村幸治:著  ソフトバンククリエイティブ:刊

 受身的に、ただ「見る」のではなく、積極的に情報を取り込もうとして「観る」こと。
 それが、一歩先を読んで動くために欠かせないことです。

 私たちも周りの状況をしっかり把握し、常にどんな状況にも対応できる力を普段から意識して養っておきたいですね。

誰にも負けない武器を育てる


 野茂英雄さんならフォーク、田中将大投手ならスライダー。
 誰にも負けない武器を持つことは、一流ピッチャーの必要条件です。

 しかし、これだけは誰にも負けないというレベルまで技術を高めるには、自分自身の長所と特徴を冷静に見極めたうえで、地道な努力が求められます。
 もちろん、それは容易なことでありません。

 奥村さんは、それを理解したうえで、誰にも負けない武器を育てるべきだと強調します。

 しかし、「アイツにはあれがある」と周囲が認めるレベルに達すると、プレーをする前から精神的に優位に立てます。
 何よりも自分に対する自信が深まります。「自分はできるんだ」とう自己効力感が得られて可能性が広がり、他の長所も伸ばせるようになります。それが第2、第3の武器を身につけることにもつながります。
 日本の教育は、ともすれば弱点を埋めることに目がいきがちで、長所を伸ばさない教育だと言われています。けれど、スポーツでもビジネスでも、得意分野を突き詰める努力がまずは必要だと思います。
 得意なことをするのは楽しいので、練習にも学習にも身が入ります。宝塚ボーイズにもさまざまな個性を持った選手がいます。バントが得意、スローイングが上手、いい声を出せる、スコアが正確につけられるなど、その個性を伸ばしてやることが自信を深め、野球選手としても人間としても大きく伸びる足がかりになるのです。

 『一流の習慣術』 第五章 より  奥村幸治:著  ソフトバンククリエイティブ:刊

 誰にも負けないものがしっかり確立すると、得意でない部分を見直す心のゆとりが生まれます。

 奥村さんも、弱い部分は余裕ができてからカバーしていけばいいと述べています。

 私たちも「これだけ誰にも負けない」というウイニングショットを身につけたいですね。

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 一流と呼ばれるようになった人々は、例外なく「一流の習慣術」を身につけています。
 頑張ればクリアできそうな適切な目標を設定し、それを一つ一つ達成して、一歩ずつ前に進んでいきます。

 奥村さんは、そういった小さな成功体験を積み重ねていく習慣術こそ、一流の一流たる所以だと述べています。

 人は、裏での努力を知ることなしに、表に出てくる結果だけを見て判断してしまいます。
 一流の人たちから学ぶべきことは、そこに至るまでの過程であり、努力の続け方です。

 人間は「習慣」によって作られている。
 そういっても過言ではありません。

 一流の習慣術を日々の生活に取り入れて、一流の人間に一歩でも近づきたいですね。

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