【書評】『今日から「暗示」で心がラクになる!』(内藤誼人)

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 お薦めの本の紹介です。
 内藤誼人先生の『今日から「暗示」で心がラクになる!』です。

 内藤誼人(ないとう・よしひと)先生は、社会心理学の知見をベースに、実際のビジネスへの応用を主に研究されている心理学者です。

「暗示」は、自分の心にさまざまな影響を及ぼす!


 自分に「プラスの暗示」を与える人と、「マイナスの暗示」を与える人。
 両者の間では、ふだんの考え方や振る舞いだけでなく、生き方さえも180度変わってきます。

 内藤先生は、前著『人は「暗示」で9割動く!』において、会話には多くの暗示が含まれていて、知らず知らずのうちに「相手の心」に「特定のメッセージ」を送っていることについて書かれています。

 本書は、その続編にあたり、「自分の心」に影響を及ぼす「さまざまな暗示」に焦点を当て、自分の心をもっとラクにして、より充実した人生を送る方法についてまとめた一冊です。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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自己暗示は危険なほど効いてしまう


「悪魔のことを考えていると、本当に、悪魔がやってくる」

 西洋には、このような古い言葉があります。
 悪いことを予想していると、本当に悪いことが起きるから気をつけろ、という戒めです。

 心理学では、自分が思い描いていた未来どおりになっていくことが知られています。
 これを「自己成就的予言」と呼びます。

 望ましくない予言が成就してしまうのは、自分に対して暗示がかかるからです。

 どうして望ましくない予言が成就してしまうのかと言えば、自分に対して暗示がかかるからである。
「お客にコーヒーをかけては絶対にいけない」と思うと、「コーヒーをかける」というところに意識が向いてしまい、その通りのことをしてしまうのだ。
 アイオワ州立大学のステファニー・マドン博士は、親が「うちの息子は酒を飲むだろう」と思っているほど、本当に子どもは非行をおこし、「お酒を飲む」ようになることを突き止めた。悪い予想は、つくづく当たってしまうというデータである。
 自らがかける「暗示の威力」は絶大なのだ。
「自分に自信が持てない」
「どうせ今回もムリだろう」
「大事なときに力を発揮できない」
 こんなふうにくり返し自分に悪い暗示をかけていれば、むしろそちらの方向に暗示が働いて、「自分はダメだ」という思い込みが強化されてしまうのである。

  『今日から「暗示」で心がラクになる!』 1章 より  内藤誼人:著  すばる舎:刊

「マイナスの暗示」から逃れる。
 そのための方法のひとつが、「悪いイメージが頭に浮かんだら、すぐさまその考えを叩き潰すことを習慣づけること」です。

「すぐさま」というのがポイントですね。
 放っておくと、マイナスの考えは、どんどん広がっていきます。

 内藤先生は、涌き上がってくる悪いイメージを「庭の雑草」に例えています。
 根気よく、根こそぎ引っこ抜く作業をくり返す必要があります。

未来志向になれば、イヤなことをサッサと忘れられる


 デポール大学のマーク・スペクター博士は、215名の大学生の時間に対する意識を調べる実験を行い、「過去志向」タイプの人間は、意思決定が遅く、優柔不断な人が多いことを確かめています。

 スペクター博士によると、しょっちゅう昔のことを考える人は、以前の決定の失敗にも敏感になっていて、それゆえ優柔不断になりやすいのだという。
 その点、未来志向の人は、楽観的で、あまり物事を深く考えない。だからこそ、何を決めるときにも、さっさと決めてしまう傾向がある。
 たとえ、その決定が間違えであることがが分かっても、彼らは過去思考ではないから、「まぁ、いいや」とすぐに忘れてしまうのである。
 言うまでもなく、過ぎ去った時間を戻すことはできない。だとすると、過去を嘆いたところでまったく益はない。だから、過去思考で優柔不断になるよりは、未来志向で楽観的でいた方がよいだろう。少なくとも、そちらのほうが健全だ。
 しょっちゅう同じ間違いをくり返す人もいるが、それは本人の反省が足らないというよりも、むしろ未来志向であることの証拠である。未来志向であるからこそ、失敗しても全然気にしておらず、それゆえ何度も同じ失敗をくり返すのだ。

 『今日から「暗示」で心がラクになる!』 2章 より  内藤誼人:著  すばる舎:刊

「忘れっぽい」ということは、あまりよくない特性の一つと言われることが多いです。
 しかし、決してそんなことはありません。
 楽天的で、未来志向の考えの持ち主であることの裏返しとも言えます。

 過去のことがなかなか忘れられずに、嫌な思いをしている。
 そんな人は、忘れっぽい人の考え方を見習って取り入れたほうが上手くいくかもしれません。

「公表効果」の影響力は絶大


 自分の欠点を口にしていると、いつまでもその欠点を改めることができなくなる傾向があります。
 それを「公表効果」といいます。

 公表効果は、ネガティブなものだけではありません。
 使い道によっては、「プラスの暗示」をかける、素晴らしい道具になります。

「私は文章を書くのが苦手だ」という欠点を暴露するだけでなく、
「だから、名文を書くのではなく、わかりやすい文章を書けるようになりたいですね」と自分の前向きな意志を伝えるようにしよう。
 前向きなことを公表したからには、その通りにしないといけないな、という気持ちになり、やる気を高めることができる。
 時間までも含めて公表すれば、その日時までに達成しないと、笑いものになってしまう。そうやって、自分のやる気を高めるために公表効果を利用するといいだろう。
 成功者には、大ボラ吹きが多い。彼らは、知ってか知らずか、公表効果をつかうことで、自分へのやる気を高めているのだろう。
 イチローは中学時代、ある同級生から、「20歳になったら、またみんなで集まろう」と提案されたとき、「僕はダメだ。その頃にはプロで活躍しているから」と答えて笑われたという逸話がある。イチローは、その頃からプロになるということを公表していたのである。
 自分をすぐに甘やかしてしまう人は、「こうありたい」という願望を周囲の人たちに語るとよい。“オオカミ少年”だと思われるのがイヤで、これ以上ないくらい発奮して努力できるに違いない。

 『今日から「暗示」で心がラクになる!』 4章 より  内藤誼人:著  すばる舎:刊

「自分は将来こうなりたい」

 そう公言し続けることは、自分自身に対してこれ以上にないプレッシャーになります。
「アイツは口だけだ」と思われたくないから、必死に努力せざるを得なくなります。

 公言しつづけているうちに、その言葉が自己暗示になり、いつの間にか実現しているのでしょう。

歩くときは大空を見上げよう


 内藤先生は、毎日を楽しく、陽気に暮らしている人は、遠くを見ながら暮らしていると述べています。
 これは比喩ではなく、本当にそうなのだとのこと。

 みなさんは、いつも無限に広がる大空を見ながら歩いているだろうか。
 夜空の星の輝きを楽しんでいるだろうか。
 それとも、足元に転がるゴミくずを見ながら、ため息をついて歩いているだろうか。
 日頃から、遠くを見るクセをつけよう。真下ばかりでなく、地平線より上を意識して見るようにするのだ。
 そうすれば、みるみる幸せになれることを私は保証する。ハッピーな人間に変われると確約してもいい。
 幸せな人は、不満屋に比べると、視野が実際に広いというデータの裏付けもある。
 ペンシルベニア州立大学のカレン・ガスパー博士が調べたところ、ハッピーな人のほうが、不満ばかり口にする人に比べて、約1.7倍も視野が広かったというのだ。
 不満屋の視野が狭いのに対して、毎日を楽しく暮らす人は、目の前に広がる180度の視野全部を見ていると言ってよいだろう。

 『今日から「暗示」で心がラクになる!』 5章 より  内藤誼人:著  すばる舎:刊

 気持ちが後ろ向きになると、つい下を向いて、視野も狭くなりがちです。
 そういうときこそ、背筋をピンと伸ばし胸を張って、視線を上向きにするということ。

 心の状態は、歩いている姿勢にも表れます。
 逆に、歩く姿勢をしゃんとすることで気持ちも正され、前向きな状態にすることができます。

 これも一種の「自己暗示」ですね。

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 人間の無意識に働きかける「暗示」というテクニックは、他人とのコミュニケーションに、とても有効です。
 しかし、一番効果のある相手は「自分」です。

 というのも、普段の何気ない口グセや行動が、そのまま「暗示」として働いているからです。

 いかに「マイナスの暗示」を与えずに、「プラスの暗示」を与え続けることができるか。
 そんな視点から、自分の口グセや考え方のクセを改めて見直してみることは大事です。

 本書は、そのための指針を示してくれる一冊といえます。


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