本一冊丸かじり! おいしい書評ブログ

本を読むことは、心と体に栄養を与えること。読むと元気が出る、そして役に立つ、ビタミンたっぷりの“おいしい”本をご紹介していきます。

【書評】『一生自由にいきるために30代でしておくこと、やめておくこと47』(本尾読)

 お薦めの本の紹介です。
 本尾読さんの『一生自由にいきるために30代でしておくこと、やめておくこと47』です。

 本尾読(もとお・よむ)さんは、出版プロデューサーです。
 20代をフリーターとしてさまざまな職業を経験した後、テレビプロデューサーとしてバラエティや情報のヒット番組を数多く手がけていらっしゃいます。

「30代」で何をやめ、何を捨て去っておくべきか?

 本尾さんは、30代は、一人一人の人生において最も重要な年代であると断言します。
 その理由は、30代で人の評価が定まることがほとんどであり、また30代で身につけた力や習慣がその人の一生を支配していくことになるからです。

「人生70年」とすると、ほぼ道半ばといえる30代。

 本尾さんは、人として最高の幸せである「自由に生きる」ことを実現するためには、30代で何をしておくべきか、何をやめ、捨て去っておくべきかが大切となると述べています。

 本書は、人生を自由に生きるために「やるべきことをやり、やめるべきことをやめ、捨てるべきことを捨てる」仕組み・ルールをまとめた一冊です。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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30代は、「しぶとい生き方」も求められる

 20代は、自分の可能性、向き不向きを見つけるとき。
 なので、気にくわなかったり、うまくいかなかったりしたときに、パッとその生き方や仕事をやめて、他のものに挑戦することはあっても構いません。

 しかし30代は、20代の時と違い、結果も出さければいけません。

 結果を出すには、ある程度の時間がかかる。
 全力で打ち込んで、工夫しつづけてやっと世間に認められるものが出てくる。
 よいものや本物を生み出すには、それだけの努力や犠牲がいるということだ。
 そして、その過程では必ず失敗もあるだろうし、つまづきもあるはずだ。
 そんな自分がカッコ悪いからって途中でやめてはいけない。
 あきらめてはいけない。
 失敗やつまづきがあって、次の道が見えてくるからだ。
 失敗やつまづきで悩み、苦しみ、考え抜くことで飛躍するためのチャンスが与えられることが多い。
 今やっていることの近くに必ず正解があることがほとんどである。
 ここで意地や見栄を捨てて、何としてもこの道で成果を出すという覚悟が求められるのだ。
 一人前の、一人立ち人生のための試練ということになる。
 もう少しなのだ。
 ここで自分自身に対しても、これからの人生なんとかなるとの手応えが生まれてくるのだ。
 30代の生き方、仕事においては、こうしたしぶとさがあなたの人生を左右していくことにもなる。
 あきらめたり、逃げたりすることも一つの選択肢だが、とりあえず、とことん打ち込んでみる価値があることだと思えるものならば、しぶとくくらいついていってみたい。

 『一生自由にいきるために30代でしておくこと、やめておくこと47』 第1章 より  本尾読:著  あ・うん:刊

 万が一、うまくいかないときは、他の道はないか、やり方はないかを考える必要があります。
 そんなときにも、しぶとくやったこと、とことんやったことが大いに役立ちます。

 しぶとくくらつき、何が何でも結果を出すこと。
 そして、世間の評価を手に入れるべきなのが30代です。

「あきらめず、前へ」

 どんなときも挑戦する気持ちはなくさないようにしたいですね。

30代で強い人になる。

 自分の人生を自由に、自分の思うように、なりたいように生きていく。
 そのためには、30代で「強い人」にならなければなりません。

 強い人とは、ケンカが強かったり、いかつい見かけの人ではないです。
 そういう人は、意外と内面は弱いものです。

 本当に強い人とは見かけはソフトで優しいが、自分が大切にしていることを絶対に譲らない人のことだ。
 どんなに威かくされようと、脅されようと、誘惑されようと、変わらない人のことだ。
 孟子は、こういう人のことを「浩然の気(こうぜんのき)」の人と言った。
 吉田松陰も、この教えを何とか自分のものにしようと志を立てた。
 30代で、強い人にならないと、他人に自分の人生をほんろうされるだけとなる。
 せっかくの自分の人生が自分のものではないようになる。
 だから次のようなことを心がけていきたい。
 まず自分の人生は自分のものであり、自分はこうやって生きていくというヴィジョンと目標を日々確認する。
 次に、人と群れることはやめる。いつも人とくっついているといつの間にかその空気に染まって流されやすい人になる。自分の生き方を貫けなくなりやすい。
 さらには人を見るときには、その人の人柄、人格で評価するくせをつけておきたい。
 相手の地位や肩書き、人気・権力・富の大きさなどに惑わされていると、それになびく自分を見るようになってしまう。
 たとえ自分の会社の社長であろうと、ペコペコし、お世辞など言ってはいけない。礼儀さえ守っていればいい。堂々と接するクセをつけておくべきだ。
 本当に仕事ができて会社に役立ちつづける人あるいはそこから独立、起業して成功する人というのは、自分に誇りと気概を持っている。
 決して上司や社長の前で、へいこらしない。かならず一目置かれるように接している。
 生意気な奴と言われようが、会社やトップからすると仕事ができ、自分の気概を持っている社員こそが頼りになるのはわかっているのだ。だから心配しなくてよい。

 『一生自由にいきるために30代でしておくこと、やめておくこと47』 第2章 より  本尾読:著  あ・うん:刊

 誰に対しても卑屈にならずに、一目置かれる存在となる。
 そのためには、「礼儀をわきまえること」と「仕事がしっかりできること」は、最低条件です。

 いくつになっても謙虚に、自己研鑽を積み重ねていく。
 それが大切です。

「浩然の気」の人になれるよう、努力したいですね。

「勝負どきの集中力の必要性」と「継続は力なり」の二つを知る。

 30代は私生活では、結婚して子育てなどに追われるようになる人も多いです。
 また、組織の中でもそれなりの地位に上がり、それにつれて大きな役割が与えられます。
 公私ともに、忙しい日々を送る人がほとんどです。

 人生の勝負どきでもある30代は、いかに「集中力が発揮できるか」が問われます。

 本尾さんは、一心不乱に集中し、全身全霊で仕事に打ち込むべきで、こうしたときに、人としての器も、仕事の力も大きなものとなっていくと述べています。

 この30代の勝負どきに、失敗を恐れ、責任を逃れ、健康を害する心配ばかりでは、話にならない。
 大きく飛躍するチャンスを失うことになる。
 とくに30代の前半は、何が何でも結果を出してやるとの覚悟で取り組んでほしいものだ。
 少々の徹夜ぐらい平気なはずで、まさに寝食忘れるくらいの仕事を何度かやってみるべきだ。
 こうして一定の成果が出ると、人はあなたを「できる人間」と評価する。
 こうなればしめたものである。
 次にやるべきことは、30代の体力は30代の体力は10代20代のものではなくなっていることを悟り、「継続は力なり」の原則のとおりの仕事にしていくように工夫することである。
 一時的な仕事の成果ではなく、真の大きな仕事の成果というのは、こうした毎日の継続した意味ある仕事の連続で生まれる。
 ただし、注意しなくてないけないのは、考え抜くこと、工夫しつづけることを決して忘れないことである。
 ただ漫然と同じ仕事をし、それでいいんだという人間になると、もはや使えない人間と成り下がっていく。こういう人も実に多いのだ。とくに大きな組織では、必ずといってよいほど怠慢人間、化石化人間が生まれてくる。
 毎日の仕事を誠実にこなしていく中で、より売れる商品、より喜ばれる商品、サービス、より効果の出る仕事の仕組みを考え、工夫していかなければならない。

 『一生自由にいきるために30代でしておくこと、やめておくこと47』 第3章 より  本尾読:著  あ・うん:刊

 周囲の人が注目するほどの大きな仕事を成し遂げた人。
 そのほとんどが、30代で集中して結果を出し、その後も、工夫と革新を続け、よい仕事の継続をしています。

 多少無理をしてでも、30代でしっかりとした仕事の仕方や考え方を身につけておくこと。
 それが何よりも大切です。

「勇気の人」となる。

 本尾さんは、「勇気は習慣である」と述べています。
 自由で幸せな人生を送るためには、「勇気」を持つことは必要不可欠です。

 勇気とは、正しいと思うこと、今やらなければ後悔すると思うことに完全と挑戦することである。
 勇気ある行動をとる人は、人生に後悔しなくなる。
 勇気がなくなると、いつも人生を後悔してしまう人となる。
 時代の変化は激しい。
 変わる勇気がないと、時代の動きにも対応できなくなる。
 だから仕事においても、勇気がないとよい仕事は続けられなくなる。
 勇気の人となるには30代から心がけなくてはいけない。
 小さなことから始めてみよう。
 まず自分の生活の中で、これは変えるべきだと思うことがあればやってみる。
 たとえば朝目が覚めたらパッと起きるようにする。これだけで生き方が変わる(好転する)と主張した偉人もいるくらいだ(森信三や安岡正篤など)。
(中略)
 こうした小さな挑戦から勇気を鍛えていると、ここぞというときに必要な勇気も生まれ出てくる。
 たとえば会社が社会にとってよくないことをやっているのを知れば、その改善や中止を求めていける(不当表示や、やらせ問題など)。
 また、会社の将来に大きな貢献を果たすであろう新企画の提案なども積極的に堂々とやれるようになる。
 会社に十分な貢献をしたうえで、自分で新しいことに挑戦したければ、転職、独立する勇気もよいだろう。

 『一生自由にいきるために30代でしておくこと、やめておくこと47』 第5章 より  本尾読:著  あ・うん:刊

 本尾さんは、元英国首相のチャーチルの次のような言葉を書き記しています。

「金を失うことは小さく失うことである。名誉を失うことは大きく失うことである。しかし、勇気を失うことはすべてを失うことである」

 人生の自由を失わないためには、「勇気の人」になる必要があります。
 このチャーチルの言葉は、肝に銘じたいですね。

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 30代は社会でも経験を積み、体力が十分にあり、比較的柔軟な考え方ができる年代です。

 この10年間をどのように過ごすか。
 それが人生の後半戦を生きるうえで、どんなに大切かを、思い知らせてくれる一冊です。

 何かと忙しく、疾風怒濤で時間が過ぎていく30代。
 だからこそ、やるべきこと、やめるべきことをしっかり見極めて、充実した生活を送りたいですね。

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