【書評】『日本人が世界に誇れる33のこと』(ルース・ジャーマン・白石)

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 お薦めの本の紹介です。
 ルース・ジャーマン・白石さんの『日本人が世界に誇れる33のこと』です。

 ルース・ジャーマン・白石さんは、ハワイ出身のアメリカ人です。
 ボストンの大学に進学しましたが、常夏のハワイから寒い東海岸の気候や風土に馴染めず、一転、日本語を勉強するために日本に留学することを思い立ちます。
 ホームステイの受け入れ先の心遣いに感動したルースさんは、日本の大手出版社に就職しています。
 以後、24年に渡り日本の文化や風習を肌で学ぶよう心掛けてきました。

日本には、大事な「オンリーワン」がある!


 白石さんは、新興国の台頭や、日本自体が不景気や震災の影響で自信を失っているため、世界の中で相対的に地位が低下しつつある日本を憂いつつも、日本人には自分達では気付かない長所がたくさんあると力説します。

 わたしが言いたいのは、以前と変わらず、日本にはとても大事なオンリーワンが健在だということです。
 そのオンリーワンは、日本人にとってはあまりにも当たり前な部分で、日本人自身が海外に長期的に居住することでもなければ気づかないものです。
 だからわたしは、日本人と深い絆のあるハワイ出身、24年の日本滞在、日本企業のみの勤務という経験をもつ自分だからこそ見えてくる日本人のオンリーワンを、日本人の皆さんにお知らせすることを考えたのです。
 日本には、決して捨ててはならないもの、と言うよりむしろ、海外に広げるべきノウハウやベストプラクティスがあります。
世界は大きく変わりつつあります。そのなかで自らの強みを自覚し、自信をもち、グローバル化に堂々と取り組んでいただきたいと、心より願います。

  「日本人が世界に誇れる33のこと」  はじめにより  ルース・ジャーマン・白石:著  あさ出版:刊

 
 本書は、日本人が持っている、捨ててはいけない「海外に広げるべきノウハウやベストプラクティス」をまとめた一冊です。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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「感謝の言葉」が豊かな日本人


 白石さんが日本の文化で一番尊敬していること。
 それは、感謝の気持ちを表す表現が豊かであることです。

 実にさまざまな、感謝を表すことばがあるのです。
「すみません」
「ありがとう」
「恐縮です」
「おそれいります」
「助かりました」
「お世話になりました」
「ご馳走様でした」
「お疲れさまでした」
 長年日本にいても、その場その場で使い分けられる「感謝の表現」の複雑なニュアンスに戸惑うことがあります。
(中略)
 日本人の社会では、ビジネスでもプライベートでも、感謝の気持ちを表すことが基本的な習慣となっています。
「お礼の気持ち」をどのように表すべきかという「課題」を、無意識のうちにこなしてしまっているのです。

  「日本人が世界に誇れる33のこと」 PART1 より ルース・ジャーマン・白石:著  あさ出版:刊

 
 なるほど、そう言われてみればその通りですね。
 日本語で感謝を表す言葉は、とても多いです。

 裏を返せば、「お礼の気持ち」を表す状況やシチュエーションが多いということ。

 感謝の言葉を掛けられて、嫌な気持ちになる人はいません。
 それは外国人にとっても同じです。

 彼らが日本に来て感じる居心地の良さは、日本人の礼儀正しさから来るものなのでしょう。

クラクションの鳴らない日本


 白石さんは、日本では、車がクラクションをほとんど鳴らさないことに驚かされたといいます。

 アメリカでは、前の車が自分が正しいと思うようなタイミングで走り出さなければ、クラクションを大きく鳴らすのが普通です。

 クラクションが少ないのは、日本人が、独特の想像力を備えているからだと思います。
 まず人に迷惑をかけないようにと考える。そして、何が人の迷惑になるか、それをしないためにはどんな振る舞いがよいかを、それぞれが想像するーーこれが日本人のルールです。
 人に迷惑をかけないためには、我慢(他人への忍耐)強さも必要となります。この我慢強さを通して、日本は集団的調和が実にとりやすい環境となり、独特の団結力が維持できているのでしょう。
(中略)
 しかし日本人は、まわりに対しての影響をいったん考えます。
「今クラクションを鳴らすと、歩行者がビックリするかもしれない」
「前の車は高齢者かもしれない」
 そんなふうに、相手や状況に対してイマジネーションを働かせ、ちょっと様子を見る習慣があるのです。
 この習慣が、転職の際に慎重なシミュレーションをしたり、仕事ではクライアントの利益を考えたり、部下の仕事量を考慮したりするなど、さまざまな面で役立っているようです。

  「日本人が世界に誇れる33のこと」 PART1 より ルース・ジャーマン・白石:著  あさ出版:刊

  
「忍耐強さ」と「集団的調和」。
 それに「おもいやり」。

 昔から、日本人の美徳とされている部分ですね。
 失くしてはいけません。

簡単に「Yes」を出さない日本人


 日本人の多くは、大変慎重なので、決断に時間がかかります。
 しかし、白石さんは、それも逆に日本人の良さなのだと指摘します。

 けれど、日本のビジネスマンは、「やる」と言ったことは必ずやってくれます。そこに、安心感が生まれます。
 ビジネスの場で一番気持ちがいいのは、“安心感”です。つまり、ケアフル・シンキングの日本流ビジネススタイルの流儀こそ重要なのだと、わたしは思います。
(中略)
 日本の会社には、「報・連・相」という言葉があります。話をよく聞き、上司や同僚に報告・連絡・相談を徹底的に行い、責任ある答えを出す。
 時間はかかるかもしれませんが、今のビジネス界の早すぎる変化や動きに、確実性をもたらす貴重な効果があるのではないでしょうか。

  「日本人が世界に誇れる33のこと」 PART1 より ルース・ジャーマン・白石:著  あさ出版:刊

  
 せっかちな外国人から見ると、「優柔不断」と取られかねない、決断の遅さ。
 それも、逆に「安心感」「確実性」と、好意的に受け止めてもらえる場合もあるということです。

 まさに、長所と短所は紙一重、ですね。

日本人は売り込まないのに、なぜ信頼されるのか


 相手の話をじっくり聞き、ニーズを探りながら最善の方法を提案しようという日本のビジネススタイルは、一見地味に感じられます。積極的に自己アピールし、ダイレクトな交渉で仕事を獲得するようなスタイルからすると目立ちません
 だから、海外で「わたしたちのほうが圧倒的に優れていますよ。値段も10%安くしますよ!」などという押しの強い営業を展開している企業を見ると、自分たちも同じようにやらないと負けてしまうのでは、と不安になるかもしれません。
 日本人自身は自覚していないかもしれませんが、その、相手の立場に立って話を聞き、信頼を獲得したうえで、相手のニーズに合った提案を構築する手法は、戦略として非常にすぐれているのです。

  「日本人が世界に誇れる33のこと」 PART2より ルース・ジャーマン・白石:著  あさ出版:刊

  
 これも、日本人自身は、なかなか気がつかない長所ですね。
 日本人は、まず「相手の話を聞く」ことから始める人が多いです。

 外国、とくに欧米では、自分の主義・主張を前面に押し出す人が多いですね。

 日本の製品がなぜ、世界中で売れているのか。
 それを考えてみると、もちろん、「品質が良いから」という理由もあります。

 加えて、まず売る相手のニーズを徹底的に調べて、それに合った製品を作った、ことも大きいです。
 これはビジネス上も、大きな武器になりますね。

「みんなで達成する」チームワークこそ日本人の強さ


 白石さんは、日本の強さは「チームワーク」だと強調します。

 この日本人のチームの連携力は、お互いを信頼していることから生まれているのでしょう。そしてその信頼感は、受けた仕事に対する責任感から生まれているのだと思います。
(中略)
 そして日本では、「あなたが頑張れば、何でもできます」と言うより、「われわれが頑張ればなんでもできます」と言ったほうがよく通じます。実際に、チームが結果を出すためには、それが現実的な考え方なのです。
 一人で抱えて悩むのではなく、報・連・相を通じて先輩や他のチームメンバーと一緒に軌道修正をしながら、課題を着実に解決していく。
(中略)
 たった一人で達成するのではなく、チーム全員で達成したほうがいい。この考え方を潜在的に身につけていることこそ、日本人の強さだと思います。

  「日本人が世界に誇れる33のこと」 PART2 より ルース・ジャーマン・白石:著  あさ出版:刊

  
 震災後の被災地の復旧作業。
 電力不足への対応。

 そんなところでも、日本人の「チームワーク」の良さが、真価を発揮しています。
 海外でも大きく取り上げられ、驚きと尊敬をもって受け入れられました。

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☆    ★    ☆    ★    ☆    ★    ☆

 長引く不況、高齢化社会への対応などで、これからは扉を開き世界を受け入れ、逆に飛び出さなければならなくなる日本。

 しかし、グローバル化とは、決して他の国と同じやり方、考え方をすることではありません。
 あくまで、共通のルールの中で、それぞれの国の良さを出し合って一体感を持つことです。
 
 いかに日本の良さをアピールして、世界に伝えていけるか、それがポイントになります。
 本書を読むと、日本人は自分たちの長所を、短所だと思い込んで捨ててしまおうという風潮が強まり過ぎているのでは、と心配になりました。

 長所と短所は、紙一重です。
 そして、どんな短所も、ちょっとした努力で長所となり得ます。

 日本人も、自信を持って「オンリーワン」を磨き、世界で通用する「ジャパン・ブランド」を築いていきたいですね。

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