【書評】『「利他」人は人のために生きる』( 瀬戸内寂聴、稲盛和夫)

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 お薦めの本の紹介です。
 瀬戸内寂聴さんと稲盛和夫さんの『「利他」人は人のために生きる』です。

 瀬戸内寂聴(せとうち・じゃくちょう)さんは、作家、僧侶です。
 ご出家されてからは、説法を開くために日本各地を飛び回ってらっしゃいます。
 来年なんと90歳を迎えられますが、そのバイタリティ溢れる活動は衰えません。

 稲盛和夫(いなもり・かずお)さんは、日本を代表する会社経営者です。
 京セラや第二電電(現在のKDDI)を設立され、日本を代表する企業に育て上げられました。
 来年で80歳になられますが、これからの日本を背負うべき経営者の育成に心血を注ぐなど、その気力充実ぶりには驚かされます。

合わせて170歳の対談


 稲盛さんは、最初に、以下のように述べています。

 合わせて170歳に近い二人の対談ではあるが、日本の未来を担う若い人たちに、ぜひ読んでいただきたい。人間というものに対する、われわれなりの考察から語り尽くしたメッセージが、一人でも多くの読者に届き、一人ひとりの人生を、またこの社会をよりよきものにする一助となることを願ってやまない。
 
   「利他」 まえがき より  瀬戸内寂聴・稲盛和夫:共著  小学館:刊

私たちも、稲盛さんと瀬戸内さんの生き方から見習うべきところは多いです。

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JAL再建に立ち上がった理由


 稲盛さんは、経営破綻した日本航空(JAL)の再建を託され、会長就任を打診されます。
 日本経済の先行きに強い危機感を持たれていた稲盛さんは、ご自身のご高齢や周囲の反対を押し切り、迷った末にその申し出を引き受けます。

 稲盛さんは、プライドが高く傲慢なJAL幹部連中の意識を改革し、短期間で見事経営の立て直しを果たします。
 そして、倒産というどん底を味わったJALと、震災という未曾有の大災難から立ち直ろうとしている日本を重ね合わせて以下のように述べています。

 ですから、最初に申し上げましたことの繰り返しになるかもしれませんが、私は、一年前にJALが倒産してそこから這い上がっていくのと、今、震災で苦しんでおられる方たちが立ち直ろうとしているのと、その悲しみの大きさやご苦労の度合いは全然違いますけれども、再建に向けた過程は重なるのではないかと思っています。
(中略)
 JALの再建は、結果や数字ももちろん重要ですが、なによりも社員がお客様のために働くということの意味をもう一度考え直し、もう一回、自分たちでやり直そうと本気で思ったからできたことだというのが、私の一つの結論なんです。

   「利他」 第5章 より  瀬戸内寂聴・稲盛和夫:共著  小学館:刊

 まず、意識の改革が必要ということ。
 困難を乗り切るためのヒントになりますね。

「自分は生かされている」という感謝


 瀬戸内さんは、3月の大震災の頃、ちょうど腰痛を患っていて布団に寝たきりの生活を送っていました。
 その時、瀬戸内さんが強く感じたこと。
 それは、「自分は生かされている」という感謝の思いです。
 瀬戸内さんは、周りの辛い目に遭っている方々への思いやりの大切さを述べています。

 やっぱり、自分が経験していないことだから、わからないんですよ、それは。自分の腰が痛くて動けないくなって、自分でつらさを経験してみて、やっとそれがよくわかりました。ああ、自分の想像力なんか知れてるなと。
(中略)
 でも、簡単にはわからないからこそ、もっともっと想像力を使って、相手を思いやろうとしないといけないんです。「相手のつらさを全部、想像力で理解することなんてできない」自戒しながら、それでも、ちょっとずつ、そのつらさを理解しようと思うことが大事なんです。
 
   「利他」 第1章 より  瀬戸内寂聴・稲盛和夫:共著  小学館:刊

 分かるか、分からないか。
 それよりも、分かろうとする気持ちや意識を持つことの方がずっと大事だということです。

日本を変えよう、今


 そんなお二人は、今の日本の現状について、当然ながら強い危機感を抱いています。
 

 私が今、一番言いたいのは「日本を変えよう、今」という一言に尽きるんですね。
 何をどう変えるかは、このあとお話していきますが、とにかく“いつか変えよう”とか、誰がどうにかするだろう”とか、そんなのんびりしたものじゃないんです。今、自分たちが変えようと思わないと。そのぐらい、私の中には切迫感があります。
(中略)
 いや、全く同感です。日本を変えようという強い意思が必要ですね。国が自発的に変わるとは思えない。今、国民みんなで本気になってこの国を変えようと思わなかったら、日本はほんとうに駄目になる。
 
   「利他」 第4章 より 瀬戸内寂聴・稲盛和夫  共著  小学館:刊

 今、国民みんなの意識が変わらなければ、日本はダメになります。
 悠長な時間はもうありません。
 誰かがやればいい、ではありません。
 私たち一人一人が変わらなければ、日本の未来はありません。

 瀬戸内さんと稲盛さんから、後輩の私たちが学ぶべき最も大切なもの。
 それは、お二人の、その熱い気持ちですね。

「情熱」こそ、彼らの若さの秘訣です。
「情熱」を持ち続けるには利己的なだけではダメです。

「人のために何が出来るか」という意識
「利他」の精神がないと、結局は、長続きしません。

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 最後に、瀬戸内さんは、最後に、以下のように記されています。

 震災や原発の災害を、私たちは一年が過ぎようが二年が過ぎようが、決して風化させてはならない。被災地の人々が、一日も早く元のような日常生活にもどれることを祈りつづけ、そのために自分の手助けを惜しまないようにしなければならない。この本が、そういう時、少しでも読者の心にささやかな灯をともしてくれることを祈っている。
 被災者の皆々様の御健康を心よりお祈り申しあげながら。
 
   「利他」 あとがき より  瀬戸内寂聴・稲盛和夫:共著  小学館:刊

 そう、この大震災を無駄にしてはいけません。
 日本が立ち直るには、国民が助け合わなければ到底無理です。
 
「情けは人の為ならず」 
 人に対する思いやりは、結局は自分の為にもなります。
 この本を通じて、お二人のこの国を想う気持ちが、より多くの方々へ伝わることを願っています。


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