【書評】『ディズニーの教え方』(福島文二郎)

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 お薦めの本の紹介です。
 福島文二郎さんの『9割がバイトでも最高のスタッフに育つ ディズニーの教え方』です。

 福島文二郎(ふくしま・ぶんじろう)さんは、人材育成コンサルタントです。

最強! ディズニーのスタッフをつくった「教え方」


 “ディズニー”といえば、東京ディズニーランド(TDL)。
 いつの時代も、子供達の憧れの場所です。

 ミッキー、ミニーらと共に、まさに“夢の舞台”といえるような、別世界を味わえる。
 そんな理由で、熱心な大人のリピーターも数多くいますね。

 世代を問わず愛されているのが、強みです。

 多くのアミューズメント・パークが、この不景気等で苦戦しています。
 そんななか、TDLを運営するオリエンタルランドの2012年3月期の業績予想が過去最高となるとのこと。
 東日本大震災の影響で、GW間際まで営業再開が出来なかったにもかかわらず、です。

 毎年、1500万人以上のゲスト(お客さんのこと)が訪れるTDL。
 多くの日本人の心を掴んで離さないTDLの魅力は、どこから来るのか。

 本書は、その秘密をまとめた一冊です。

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ディズニーの組織の強みは、リーダーシップにあり!


 福島さんは、TDLが開業当時からの「キャスト」(TDLの園内で働くアルバイトと正社員)です。
 今のTDLの基礎を作った、といっても過言ではありません。
 
 その福島さんが述べる、TDLの組織としての強み。
 それは、「キャストのクォリティーとモチベーションの高さ」です。

 驚くことには、キャストの9割以上はアルバイトです。

 福島さんは、始めに、以下のように述べています。

 いったいどうして、多くのゲストが驚嘆するような高いクオリティを維持することができるのでしょうか。
(中略)
 ひと言でいえば、誰も手抜きをしないからです。社員一人ひとりが、ゲストの安全をまず第一に考え、最高のショーを提供するために働いています。それが、前述のような、多くの人の疑問や驚きにつながているのです。
では、どうして、誰も手を抜こうとしないのでしょうか。
(中略)
 それは、社員一人ひとりがリーダーシップをもっているからです。
 
  「ディズニーの教え方」  プロローグ より  福島文二郎:著  中経出版:刊

 リーダーシップというと、誰か強力な一人の指導者によって、他の人が引っ張られるイメージがあります。
 しかし、ここでいうリーダーシップは違います。
 
「一人ひとりがリーダーシップを持っている」

 つまり、一人ひとりが自発的に課題を見付け、より素晴らしいものにしてパークにしていこう、という意識を持って仕事しているということです。

 素晴らしいリーダーが一人、もしくはごく少人数の組織は、もちろん強力で、生産的な活動が可能でしょう。
 ただ、それは、そのリーダーがいる限りにおいて、です。

 少数の優秀なリーダーが率いる組織の弱点。
 それは、そのリーダーに代替えが利かないこと。

 周りが、そのリーダーを頼って受け身になり、自発的な行動が出来なくなってしまいます。
 今の日本の組織の多くは、まさにそうです。

 創業した当時は、創業者の強力なリーダーシップによって右肩上がりだった会社が、その人がいなくなったとたんに業績が悪化してしまった。
 なんていうのはざらにあります。
 
 TDLのように、何十年も創業当時の若々しさを保っている組織は、本当に稀です。

 人が入れ替わっても、その精神が次の代へ伝わっていく。
 そのためには、「一人ひとりがリーダーシップを持っている」状態が必要です。

リーダーシップの2つの要件


 ディズニーにおける、「リーダーシップ」について。

 ディズニーにおけるリーダーシップとは、どのようなものをいうのでしょうか。
 私は、ディズニーのリーダーシップとは、次の2つの要件を満たすものととらえています。
 
 リーダーシップの要件①  ホスピタリティ・マインドをもっていること
 リーダーシップの要件のひとつは、ホスピタリティ・マインドをもっていることです。「ホスピタリティ」の語源は「客を保護する」ことですが、私は「自主的・主体的に相手を思いやること」と解釈しています。
 つまり、相手を思いやるマインドを常にもっていることが、リーダーには求められるということです。
(中略)
 リーダーシップの要件② 自分が模範となること
(中略)
 たとえば、どんなによいことを言っていても、行動が伴っていなければ、
「なんだ、口だけじゃないか」
「言うこととやることが、全然違うじゃないか」
 と後輩たちの反感を買うのは目に見えています。
 言うことと行動が常に一致している、常にホスピタリティ・マインドをもって、お客様だけでなく、自分たちにも接してくれる上司・先輩であれば、後輩たちも信頼を寄せるようになります。

  「ディズニーの教え方」 チャプター2 より 福島文二郎:著  中経出版:刊

 自らが、模範を示す。
 当たり前のことですが、これが出来ていない人が多いです。

コミュニケーションに必要な「自己理解」


 他者とのコミュニケーションに必要不可欠な、「自己理解」について。

 では、職場の人間関係をよくするためには、どうしたらよいでしょうか。
(中略)
 心理学的にいうと、人の間には、「自己認識」と呼ばれる部分と「他者認識」と呼ばれる部分があります。
「自己認識」とは、
「私は、よく笑う」
「私は、野球が得意だ」
 というように、自分自身で感じている自分のことです。

「他者認識」とは、
「◯◯くんは、おしゃべりだ」
「◯◯君は、走るのが速い」
 というように、他人が知っている自分のことです。
 自己認識と他者認識が一致している部分を「自己理解」といいいます。つまり、価値観を共有している部分です。

 当然、自己理解の部分が広ければ広いほど、人間関係がうまくいっていることになります。職場の全員が、それぞれ広い自己理解の部分をもっていれば、人間関係がそれだけ良好で、いきいき仕事ができる職場といえます。

  「ディズニーの教え方」 チャプター3 より 福島文二郎:著  中経出版:刊

 周囲の人との、良い関係を保つ。
 そのためには、まず、自分がどういう人間かをオープンにすること。

 何を考えているのか分からない人には、周りの人も、警戒して近づきません。

 組織でも一緒です。
 何だか分からない怪しげな組織には、みんな寄り付かないですよね。

 自己開示する能力。
 発信する力。

 それが、コミュニケーションでは、とても重要です。

 もちろん、つねに自分が周りの人に関心を払うことも、とても大切なことですね。
 これがないと、組織ではなく、単なる“個の集まり”に過ぎません。

 業務が多様化し、専門化した、今の日本の社会。
 そのなかで、“個の集まり”に堕ちた組織が多くなりました。

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 しっかりとしたミッション・行動指針に支えられている。
 当たり前のことを、当たり前のようにこなす。

 そういう組織はやっぱり強いなぁ、と実感します。

 TDLのような組織まで持っていくのは、並大抵の努力では無理ですし、時間もかかる作業となるでしょう。
 でも、組織を構成するメンバーの意識を高めていかない限り、その組織の成長は、あり得ません。
 
 組織を立て直すには、こうした努力を諦めずに続けていくしかないです。

 続けていけば、必ず効果が出ます。
 要は、その一歩を踏み出す覚悟が、あるかどうかです。

 本書を読んで、一人でもそういう勇気のある人が出てきてくれることを願います。

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