本一冊丸かじり! おいしい書評ブログ

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【書評】『マッキンゼーが予測する未来』(リチャード・ドップス)

 お薦めの本の紹介です。
 リチャード・ドッブスさんとジェームズ・マニーカさんとジョナサン・ウーツェルさんの『マッキンゼーが予測する未来―――近未来のビジネスは、4つの力に支配されている』です。

 リチャード・ドップス(Richard Dobbs)さん、ジェームズ・マニーカ(James Manyika)さん、ジョナサン・ウーツェル(Jonathan Woetzel)さんは、いずれも世界的戦略コンサルティング・ファーム、マッキンゼー・アンド・カンパニーの経営および世界経済研究部門である、MGI(マッキンゼー・グローバル・インスティテュート)のメンバーとしてご活躍されています。

我々は、「直観力」をリセットしなければならない

 著者は、世界は今、破壊的な力を持つ四つの根本的なトレンドによりもたらされた、劇的な変化のほぼ中途にあると述べています。
 四つの破壊的な力とは、以下のとおりです。

  • 経済の重心の移動
  • テクノロジー・インパクト
  • 地球規模の老化
  • 「流れ(フロー)」の高まり

 今やこの四つの力は、事実上のどの国の市場、そして世界経済のどの分野でも、長い間確立されてきたパターンを破壊しています。

 この四つのトレンドが同時に起こっていることは、私たちの生きている世界、すなわち私たちが生まれ育ち、安定を享受し、私たちの意思決定に最重要な直観を形成してきた世界が、劇的な変化を遂げることを意味します。

 新たな機会が多く存在するとはいえ、私たちが直面するこの新時代は、大きな動揺も与える。だからこそ、やるべきことはたくさんある。まずは私たち全員が持っている直観をリセットし、高成長する新市場に、新たにどのようにアプローチするかを考え、過去のトレンドが断絶してしまう状況に素早く対応できるようにしなくてはならない。
(中略)
 私たちは読者に、差し迫った危機の警鐘を鳴らしたり、眼前に広がる素晴らしい機会の数々を逃すなと、ただ単に提唱しているのではない。読者自身の持つナビゲーション・システムのリセットの仕方を提供しようとしているだ。
 リセットを始めるのは、即座に行っても早すぎることはない。本書で取り上げた世界経済のあらゆる分野、側面で新しい現実の数々に対応し、調整しなければならない緊急課題が存在する。ところが、人類の持つ工夫力、発明力、想像力のすべてをもってしても、変化への対応が遅くなる傾向が私たちにはある。行動経済学者は「リーセンシー・バイアス」(最近の事象を重視する傾向)や「アンカリング」(自身の経験に引きずられる)といった用語で説明し、物理学者は「慣性」の強力な力を原因に指摘する。皮肉屋の分析化であれば、「仮に病気と呼ぼう」と形容するかもしれない。それと言うのも、過去3年間についてある見方が固まれば、次の5年間も似たものに見えてくるからである。どのような名前や説明をつけるにせよ、人間には「未来は、最近の過去とほとんど変わらないものであってほしい」と考えてしまう強い傾向がある。
 こうした考えに基づいて意思決定をしたために、巨大企業という船が浅瀬で座礁し、幾度となく沈没してきた。たとえ私たちの住む世界について抱いている仮説を再検討したとしても、何の対処もしなければ、ひとたび事が起こると大きな被害を受ける脆弱な状況に置かれてしまう。変わりゆく地形、環境にどのように対応していくのかに関して、曇りのない視力を獲得することこそが、私たちを成功へと導いてくれるのだ。

『マッキンゼーが予測する未来』 イントロダクション より リチャード・ドッブス、ジェームズ・マニーカ、ジョナサン・ウーツェル:著 吉良直人:訳 ダイヤモンド社:刊

 本書は、「四つの破壊的な力」がもたらす影響について解説し、「近い未来、世界に何が起こるのか」を具体的な事実(ファクト)にもとづいて予測し、まとめた一冊です。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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世界経済の「重心」は、移動し続けてきた

 歴史を振り返ると、世界経済の重心、すなわち、地域別経済規模を比例配分した重心の位置は、移動し続けています。

 この「重心」は、西暦1年から1500年まで、中国とインドの間の国境にありました。
 その後、イギリスで始まった産業革命の影響により、西へ、そして北へと、移動します。

 北西に向かっていた「重心」の移動トレンドが、方向転換したのは、第2次大戦後。
 日本や韓国の高度経済成長により、徐々に、東に向かって戻り始めます。

 東への経済の振り子の戻りを決定的にしたのが、世界の人口規模最大の2国、中国とインドの経済改革です。

 中国は、経済の自由化を1978年に始め、以来、素晴らしい成長を30年間享受してきた。インドはグローバル市場への進出・統合を始め、とくに急速に成長するIT産業分野にけん引されて、90年代には成長ペースをいっそう速めた。90年代の終わりまでは、世界の工業分野では先進国がまだ優位を保っていた。アメリカは世界最大の工業生産を誇っており、アメリカと日本および西欧諸国が、製造工業企業の世界ランキングで上位を占めていた。2000年までに、世界人口のわずか4%のアメリカが世界経済の3分の1を占め、世界中の株式時価総額の50%を占めていた。だが、こうした数値は、内なる力をためつつあった巨大な変化の方向を見誤らせてしまうものであった。
 1990年から2010年の間に起きた世界経済の重心位置の移動は、歴史上過去のどの時期と比較しても例のない速さで進んだ。それは、08年のリーマンショックとその結果起こったグローバルな経済停滞の時期も含めて、新興経済地域へ向かう経済活動の移動の勢いが止まらなかったからである。ヨーロッパが不況にもがき、日本が失われた10年から抜け出そうと苦闘し、アメリカが低成長に足を取られている間に、新興国が世界経済のリーダー役が身につけるマントを拾い、確実に自分のものにしていたのである。2013年の世界経済活動の規模、1兆8千億ドルの中で、中国だけで1兆ドル、すなわち60%を占めていた。今や中国こそが、世界最大の製造工業国なのである。
 中国ばかりではない。インド、インドネシア、ロシア、それにブラジルといった新興諸国が、今や世界の主要製造工業国となっている。世界の製造業による付加価値額は、1990年から今日までに、実質価値で5兆ドルから10兆ドルへと2倍になり、巨大新興諸国による付加価値の占める比率は、過去10年間に21%から39%へと、ほぼ2倍近くになった。世界の海外直接投資のうち、新興国から、新興国への移行途上にある諸国への直接投資の比率は、07年に34%だったものが10年には50%、そして13年には60%を超えている。
 だが、こうした国々の経済成長はまだ、これから起きる変化の前触れでしかない。現在から2025年までのあいだに、こうした地域を総合すると先進工業国よりも成長率は75%高く、新興国の年間消費額は30兆ドルに達し、世界経済合計消費のほぼ半分を占めるまでに増加する。そして25年までに世界経済の重心は中央アジアに戻り、西暦1年に存在していた重心の位置の、ちょうど真北の位置になると予測されている。
 この変化に加わる力のスピード規模は、まさに驚嘆に値する。イギリスが人口1人当たりの生産量を2倍にするのには154年かかったのだが、それは人口900万人(開始当時)の規模だった時代のことである。アメリカが同じ偉業を達成するには53年かかり、人口1千万人(開始当時)の時代であった。ところが、それと同じことを中国とインドは、それぞれ12年と16年で達成し、しかもそれぞれの国がおよそ100倍の人口を抱えて達成したのである。言い換えれば、両国の経済規模の拡大は、イギリスの産業革命がきっかけとなった経済発展のスピードよりも10倍に加速され、しかもその規模は300倍で、経済発展の力は実に3000倍ということになる。

『マッキンゼーが予測する未来』 第1章 より リチャード・ドッブス、ジェームズ・マニーカ、ジョナサン・ウーツェル:著 吉良直人:訳 ダイヤモンド社:刊

図1 世界の経済的重心の進化 第1章P35
図1.世界の経済的重心の進化
(『マッキンゼーが予測する未来』 第1章 より抜粋)

 これまで、人類が2000年かけて進めてきた、「経済の重心」。
 それをわずか25年で揺り戻そうというのですから、中国とインドなどの新興国の潜在力の高さは、私たちの想像を絶します。

消費者余剰の一部を、消費者に負担させる

 インターネットの普及や、情報の処理速度の向上によって進む「デジタル化」。
 デジタル化の流れは、製品やサービスへのアクセス、発見、流通のプロセスにかかるコストを著しく削減します。

 最も大きな恩恵を得ているのは、私たち消費者です。
 インターネット上にある多くのサービスを無料、もしくは、驚くほどの低価格で利用することができるようになりました。

 一方、サービスを提供する企業側は、利用者からお金を支払ってもらう仕組みを構築する必要があります。

 インターネット上で提供されるサービスにより創造された総価値、すなわち消費者が支払ってもよいと考える金額から、財に対して実際に支払われた価格を差し引いた部分は、経済学で消費者余剰と呼ばれ、それまでに支払っていた価格からの低下分、より良い製品となった価値の上昇分、生活の質の改善による便益といったものの合計に相当する。そして、この消費者余剰、つまり消費者にとり「お得」となった部分は、インターネットにより新たに創造された総価値の実に3分の2にも及ぶのである。そこで、企業にとっての課題は、消費者が享受するビデオ、コンテンツ、ゲーム、コンテンツを保持しておくストレージ、メールサービス、利便性といった、提供される素晴らしいものの対価をどうやって消費者に負担してもらい、支払ってもらうのか、つまりサービスの有料化という点にある。
 これまでのところ、利便性の対価を企業に移動する手法、つまり企業の現金収入化の方法として効果的と証明されたものは、ごくわずかしかない。その一つが広告収入であり、フェイスブックやグーグルといったハイテク巨大企業の高利益率、高成長を支えたやり方である。広告収入モデルはこれからも有効だと考えられるが、広告ターゲットの絞り込み、広告の効果測定、効果的な分析能力に関して、ユーザーの期待は今後も継続して高まっていくに違いない。
 直接支払いと継続購読料金という課金方式は、オンライン・コンテンツ自体が持つ課金能力を反映し、主流となっていくだろう。このモデルでは、「フリーミアム」価格設定戦略が、ますます一般的になるだろう。つまり、基本サービスは無料で提供し、その上のクラスでは、広告を除外する、ゲームのアイテムを提供する、価値ある高度なサービスや特典の獲得が可能となる、といった各種の特典を与えて差別化する方法である。
 この方式を採用している企業には、ゲームサイトであるジンガやスポティファイ、さらにはリンクトインやアップルにいたるまで、幅広い実例が存在する。たとえば、リンクトインに加入するのは無料である。ところが、プレミアム会員へと資格を上げビジネスプラス会員になるには、月額59ドル99セントがかかる。ビジネスプラス会員になると、誰が自分の履歴書を閲覧したのかという情報を閲覧でき、関心のある数多くの求人企業にメッセージを送るなど、基本サービスでは得られない高度な検索も可能となる。
 企業にとって三つ目のサービス現金化モデルは、自身の保有するビッグデータから収入を得る方法である。たとえばB to Bと呼ばれる企業対企業取引の革新的なサービス提供(たとえばクラウド調達情報や、データ科学分析サービスのアウトソーシングなど)が考えられ、またデータを活用し、消費者が喜んで出費してくれそうな製品、サービス、コンテンツを開発してサイト上で販売することもできるだろう。
 たとえばリンクトインの収入源の20%はプレミアム会員からの月次加入料金であり、30%がマーケティング、そして残りの50%が人材リクルーターに対する人材探索サービスである。その具体的な内容は、人材リクルーター企業に求人要件に合致する人材情報を絞り込み、候補者情報の提供や候補者との連絡ツールを販売することだ。

『マッキンゼーが予測する未来』 第2章 より リチャード・ドッブス、ジェームズ・マニーカ、ジョナサン・ウーツェル:著 吉良直人:訳 ダイヤモンド社:刊

 インターネットで新しいサービスを始める場合、最も大切なのは、ユーザーを集めることです。

 その次に来るのが、「マネタイズ」。
 つまり、サービスをお金に変えることです。

 コンピューターの情報解析力の向上で、これまで使い道のなかった、膨大な顧客情報が「宝の山」に変わりました。
 それらをいかに使うかが、企業にとって死活問題となります。

売り込み方を学び、「複数のチャンネル」を使って売れ!

 この20年で、新興国における工業化、技術革新は、多くの人々の所得を引き上げました。
 その結果、7億人を貧困層から脱出させ、12億人を新しい「消費者層」に迎え入れました。

 グローバル企業にとって、爆発的に広がりつつある新しい市場でシェアを広げることが至上命題です。

 新興国を中心とした消費者層の拡大は、今後さらに加速度を増していくと予想されます。

 2030年までに、年間所得が2万ドルを超えるほぼ6億人の人口が新興国に住んでおり、これは世界の年間所得で該当する人口の60%になるとのこと。

 一口に「新興市場」といっても、それぞれまったく異なった性格を持ち、一筋縄ではいきません。

 著者は、企業は、顧客がいったいどこにいるのか、どこで買い物をするのを好むのか、またどこで購入の意思決定をするのか、といったことを理解したうえで顧客に出会い、向き合わなくてはならないと指摘します。

 インドやインドネシアといった国では、小売業は非常に細分化されており、小規模なオーナー店舗による売上げが80%以上を占めている。それとは逆に中国やメキシコでは、近代的な商業施設や大型店舗による売上げが半分以上を占めている。したがって、海外進出する小売企業の経営者が販路として向き合うのは、すでにグローバル展開している小売企業のカルフールやウォールマートの大規模店、それに中国のCRヴァンガードやインドのビッグバザールといった現地のトップチェーン店だけではない。それらと並行して、細分化されたさまざまな規模で点在するとオーナー店舗にも、対応していかなければならないのである。
 多くのグローバル企業が犯す間違いは、重要顧客アカウントへの対応テクニックや第三者流通業者への専任担当チームの設置といった、自国でうまくいった戦術に飛びつき、頼ってしまうことだ。だからこそ、新興国市場に進出するときにはアプローチを見直し、自国よりはるかに大きな自前の販売部隊を編成し、販売店舗をセグメンテーションし、顧客の店舗内経験の質をモニターできるようにきめ細かなルーチンの標準手順を定め、実際に運用されているかを見守るためのチェックリストを策定しなければならない。
 新興国市場でもう何十年も販売活動を行ってきているコカ・コーラでは、新興国市場のさまざまな店舗を分析し、正確なセグメンテーションを行うために多大な努力を投じている。そして、それぞれのカテゴリー別に、「成功の具体像」と呼ばれる、店舗の外観、ディスプレイのやり方、プロモーションの実施方法、コーク製品の値付けの手法などについての、詳細な説明マニュアルを作成している。
 コカ・コーラは、優先度の高い重点店舗には社員による直販モデルを適用し、直販方式ではコストがかかりすぎる場合には、ディストリビューターや卸売業者を通じて販売している。そのうえで同社は、各店舗のサービスレベル、配送頻度から店内のどこにクーラーが置かれているのかにいたるまで、すべての点を細かく調査し、把握している。
 アフリカでは、コカ・コーラは3200にのぼるマイクロ・ディストリビューターを活用しているが、これは起業したいと考えている独立事業者を数千人採用して構築したもので、彼らはコーク製品を手押し車や自転車に積み、小売店舗への「最後の1マイル」の距離を届ける役割を担っている。一方、物流インフラストラクチャーがもっとも整備されている中国では、コカ・コーラを販売する200万の小売店舗の40%超には直接販売を行い、全契約小売店舗の60〜70%については、コカ・コーラの営業担当者とマーチャンダイザーが定期的に訪問し、販売実施の環境と売り方の状況をモニターしている。
 だが、コカ・コーラが別に珍しい事例というわけではない。インド、ブラジル、アフリカといった市場では、ユニリーバやネスレといった長い実績を持つ企業は、いずれも手押し車、自転車から水上のはしけにいたるあらゆる手段を使って、自社の製品を顧客に届けている。

『マッキンゼーが予測する未来』 第5章 より リチャード・ドッブス、ジェームズ・マニーカ、ジョナサン・ウーツェル:著 吉良直人:訳 ダイヤモンド社:刊

「郷に入っては郷に従え」

 その土地、その土地に合ったマーケティングをしなければ、新興国ビジネスはうまくいきません。

 人任せにせず、実際に現地に足を運び、現状に見合ったやり方を構築する。
 その手間を惜しんではいけない、ということです。

あいまいになる「境界線」

 情報技術の進化は、物理的店舗とインターネット上での消費の境界線を、あいまいなものにしました。
 企業は、伝統的な事業のやり方から利益マージンを減らさざるをえなくなり、新たな事業機会の探索を迫られます。

 著者は、技術進化により引き起こされる終わりのない、しかも急速な破壊的変化は、これまでありえないと考えられてきた企業提携の組み合わせも実現していると指摘します。

 2000年代の初め、イギリスの自動車保険会社は、コンフューズド・コムといった保険料比較サイトの出現によって、まったく予期していなかった不意打ちを食らった。複数の保険料比較サイトが伝統的保険会社の優勢な勢力均衡を大きく破壊し、新規自動車保険契約の市場シェアを10年間で、ゼロから50%に育て上げたのである。料金の透明度が上昇したことと、消費者による各社の商品、価格を見比べる買い回り行動が増えた結果、多くの伝統的保険会社はそれ以後、事業の中核であった自動車保険の引き受けでは利益がほとんど出ない状況が続いている。
 インターネット上の価格比較サイトの成功に対応し、グーグルのような非伝統的企業は、このチャンスに気づいて保険業に進出する実験を始めた。最近イギリスで行われたインターネット保険業界のイベントでの、ライブ投票による業界当事者へのアンケート調査では、グーグルのような新規参入業者が業界に対する最大の脅威だと、投票参加者の75%が答えている。
 伝統的損保企業には、インターネット上で保険を売る新規参入企業に加え、自動車メーカーまでもが自分たちの得意分野を侵食してくるという、もう一つの心配の種がある。スマートカー技術の進展に合わせ、シトロエンのような自動車メーカーが、特定車種のすべての新車にブラックボックスを搭載すると発表したからだ。これは、走行状態のデータを各種センサーで把握し、無線で自動車メーカーのデータセンターに送信するテレメトリックス技術を使うもので、メーカーは各車の走行距離、速度のほかに、ブレーキを踏む行動といった顧客の運転の癖も把握できる。言い換えれば、この装置により、メーカーのほうが顧客の行動を保険会社よりもよく理解できるのだ。
 自動車メーカーが本当に自動車保険業界の主要企業になれるのかどうかは今後の展開を見ないとわからないが、アリアンツのような保険会社はすでに先手を打って自動車メーカーと提携し、他業界からの脅威の軽減策を実施している。

『マッキンゼーが予測する未来』 第9章 より リチャード・ドッブス、ジェームズ・マニーカ、ジョナサン・ウーツェル:著 吉良直人:訳 ダイヤモンド社:刊

 これまで、企業の競争相手は、同じ業界のライバル企業と相場が決まっていました。
 しかし、そんな常識も、通用しなくなりつつあります。

 パソコン一つで誰もが、簡単に起業できる時代。
 いつ、どこから“敵”が襲ってくるかわかりません。

 現状に甘えず、つねに新しい技術を導入し、新分野を開拓する。
 それを続ける企業だけが生き残れます。

 今まで以上に、「攻め」の経営が求められるということですね。

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☆    ★    ☆    ★    ☆    ★    ☆

「四つの破壊的な力」は、それぞれが産業革命に匹敵する、大きなエネルギーを持つ変化です。

 それらが、同時にしかも、より勢いを増して、世界を飲み込もうとしている。
 それが、今私たちが生きる激動の時代です。

 たった1年先さえ、社会がどう変化するのかわからない、先の見えない世の中。

 不安に押しつぶされそうになりますね。
 しかし、そういうときこそ、現実を直視する必要があります。

 今、私たちに最も必要なのは、「ピンチをチャンスに変える力」です。

 すべての分野において、これまでの秩序が壊れていく。
 まさに今この時が、自分の置かれている状況を良い方向へ変える、千載一遇の好機です。

 マッキンゼーの強みである、統計に基づく「ファクト」の積み上げで描いた、信頼性のある「未来予想図」。
 これからの時代を生きるビジネスパーソンにとって“羅針盤”となる貴重な一冊といえます。

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2 thoughts on “【書評】『マッキンゼーが予測する未来』(リチャード・ドップス)
  • ナノベアリングファン より:

    島根大学客員教授の久保田邦親博士は、ロボットの巨大化にかかわるブレークスルーに関する理論を発表した。
    従来より、ロボットの関節機構は巨大化すればするほど、自重のほうが面積より大きくなるので、関節機構が
    ネックになり開発が困難と考えられていた。その境界潤滑問題にナノレベルのメカニズムを明らかにした。
    それを炭素結晶の競合モデル(CCSCモデル)というのだが、摩擦面圧を上げるとダイヤモンドが生成しやすく
    なり、機械の摩擦損傷が激しくなるのでロボットは巨大化できないとする原因を解明したことになる。
     これに従えば、ダイヤモンドをつくらないトライボシステムを界面にデザインすることでガンダムみたいな
    巨大モビルスーツが出来る可能性があることになる。

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